シンプラル法律事務所
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勉強会(提携契約・・販売提携)

★販売提携
★販売提携 事例:
技術力を有するB社は、新たな技術の開発に成功。
この技術を使って新製品を売り出したいが販売力がないので、販売力のあるA社と提携。

B社:
特化した技術を持つ中小メーカー 売上高50億円 従業員100人
早く事業化して開発費用を回収したい。

A社:大手メーカー 売上高1000億円 従業員5000人
B社の製品を扱って売り上げを大きく伸ばしたい。
商品のラインアップを充実させ、顧客へのアピール力を高めたい。
■1 販売店と代理店
■1販売店と代理店 比較 項目 販売店 代理店
売買契約 メーカー⇒販売店、販売店⇒顧客
それぞれに成立
メーカー⇒顧客
に成立
販売価格 販売店が決定 メーカーが決定
リスク 販売リスク・代金回収リスク:
販売店が負う
メーカーが負う
在庫 販売店が抱える メーカーが抱える(通例)
報酬 転売差益 手数料
クレーム 販売店に責任(販売店が販売) メーカーに責任(通常)
投資 比較的大きい 比較的小さい
コメント B社 自己の顧客を獲得。
販売価格をコントロール。
⇒代理店
代金回収リスク。
在庫リスク。
顧客からのクレームへの対応責任。
⇒販売店
A社 商品の販売や価格をコントロールして利益を享受
⇒販売店
全国的な販売網を有し販売ノウハウが豊富
⇒代金回収リスク、在庫リスク、顧客からのクレームへの対応責任、販売促進などは、B社との契約内容が合理的であれば対応できるリスクと費用
視点 それぞれ得意なところで相互に補完する。
■2 独占販売権・最低購入数量
■2 条項 Bは、Aによる販売が期待したほどの成果をあげない場合に備え、新商品を自らまたは第三者を通じて販売する余地を残したい⇒条項1-1
1-1
(B)
Bは、Aを、本契約の有効期間中、別紙Tに規定される商品(以下「本商品」という)の日本における非独占的販売店に指名し、Aはこれを受諾する。
AはBに対して新製品の独占販売権を求める。

@独占的に扱って売り上げを伸ばしたい。
A新商品販売のため相応の人員配置、広告宣伝などを行う以上、これらに要する費用を確実に回収したい。
B開拓した顧客を他社に奪われてしまうことを防止したい。
⇒条項1-2
1-2
(A)
Bは、Aを、本契約の有効期間中、別紙Tに規定される商品(以下「本商品」という)の日本における独占的販売店に指名し、Aはこれを受諾する。
「独占販売権を認める」だけでは、Bによる直接販売が禁止されるかどうかについて疑義が残る。
⇒条項1-3
1-3
(A)
なお、Bは、Aの事前承諾なく自ら本商品を日本においてA以外に販売してはならない
独占販売権を認めるなら最低購入義務をB社は希望。
その場合、新商品の購入とカウントされる条件を明記すべき。
⇒条項1-4
1-4
(B)
Aは、各事業年度におてい、別紙Uに規定される最低購入数量以上の本商品を購入し、その対価をBに支払わなければならない。なお、ある事業年度における最低購入数量を満たしたかどうかは、その事業年度末日時点までにAがBに対して対価を支払った本商品の数量により判断されるものとする。
交渉⇒条項1-5
1-5 (1) Bは、Aを、本契約の有効期間中、別紙Tに規定される商品(以下「本商品」という)の日本における独占的販売店に指名し、Aはこれを受諾する。なお、Bは、Aの事前承諾なく自ら本商品を日本においてA以外に販売してはならない
(2) Aは、各事業年度において、別紙Uに規定される最低購入数量以上の本商品を購入し、その対価をBに支払わなければならない。なお、ある事業年度における最低購入数量を満たしたかどうかは、その事業年度末日時点までにAがBに対して対価を支払った本商品の数量により判断されるものとする。
(3) Aがある事業年度においてBから購入しその対価をBに支払った本商品の数量が当該最低購入数量に達しなかった場合、Bは、事前の書面による通知をもって、Aに付与した独占販売権を非独占販売権に変更することができる。かかる独占販売権の非独占販売権への変更は、Aの当該最低購入数量の未達に対してBが取るうる唯一の措置であり、Bは当該最低購入数量の未達に対して損害賠償請求、解除権の行使その他の措置をとることはできない。
追加 Aは販売店契約終了時に新商品の在庫を抱えるのが通常。

「契約終了後も一定期間A社による新商品の販売を認める」
「契約終了時の新商品の在庫はB社が買い戻す」
等の規定が必要。
最低購入義務 @努力規定とする。
VS.ターゲット未達成の効果が不明で、B社にとって受入れ難い。
Aペナルティは代金相当額の損害賠償
2年連続で最低購入義務未達の場合、解除権発生
B当該義務違反の場合は独占販売権を非独占販売権に変更する権利。
C当該義務違反の場合、販売地域の一部を販売店契約の対象から除外する権利。
独占地域のバリエーション @ @A社の独占販売権を認める。
例外的にB社の直接販売権を認める。
Bが直接販売できる相手の指定。
BからA以外の販売店への販売禁止等の規定。
A AA社の独占販売権を認めるが、独占的に販売できる地域(独占地域)を限定
明確性⇒都道府県単位で指定。
Aが地域内で販売した新商品が地域外で転売の可能性
⇒Aの独占地域での販売態様についての取り決め。
ex.
地域外の顧客からの引き合いを受けられるか。
地域外に転売する者への販売の禁止等。
Bが市場における有力なメーカー(市場でのシェアが10%以上、又は順位が上位3位以内)⇒BがAに対し独占地域外でのAの販売を制限したり、地域外の顧客からの求めに応じた販売を制限することは、独禁法上問題となる場合もある。
(公取委事務局「流通・取引慣行に関する独禁法上の指針」(平成3年7月11日)第3部第二1(3)@、第2部第二3(3))
Aが最低購入義務達成⇒独占地域の隣接地を新たな独占地域として加える規定もあり。
競争者間の販売店契約(独禁法上の問題) 独占販売店となる事業者が契約対象商品と同種の商品(契約対象商品と機能・効用が同様であり、相互に競争関係にある商品)を製造又は販売している場合で、その市場におけるシェアが10%以上であり、かつ、その順位が上位3位以内であるときは、競争阻害効果が生じる場合がある。
競争阻害効果が生じる⇒「不公正な取引方法」のうちの拘束条件付取引(12項)に該当し、違法。
独占的販売店となる事業者のシェアが25%以上、かつ、その順位が第1位⇒このような地位にある事業者が競争関係にあるメーカーと独占的販売契約を締結することは、通常、競争阻害効果が生じるおそれが強い。
以上の場合でも、
@契約対象製品を国内市場で新たに販売開始するために行われるものであって、契約期間が短期間(3年ないし5年が一応の目安)である場合、または
A契約対象商品が独占的販売店となる事業者から技術供与を受けて製造され、もしくは当該事業者から製造委託されたものである場合は、
原則として独禁法上問題とならない。
独占販売店となる事業者が契約対象商品と同種の商品の製造または販売している場合であっても、その市場におけるシェアが10%未満またはその順位が第4位以下であるときに、当該契約対象商品のメーカーと独占販売店契約をすることは、原則として独禁法上問題とはならない。
■3 対象商品の特定
■3 条項 Bは、改良品については、自社にとり最もメリットのある販売店を選定したい⇒新商品の改良品をAに独占的に取り扱わせるか否かについては、都度決定することを希望。
2-1
(B)
Bは、本商品の改良品につき、Bの判断により、別紙Tを改定することにより本商品の範囲に含めることができる。
この場合、Bは、当該改良品についてAの最低購入数量の設定をAに申し入れることができ、Aは、当該申入れを受けて、当該最低購入数量の設定につきBと誠意をもって協議するものとする。
Aは、改良品についても独占販売権を希望。
2-2
(A)
本商品とは、Bが製造する●●ならびにその一切の改良品をいう。
交渉後
2-3 (1) Bは、本商品の改良品を開発した場合、速やかに当該改良品についての情報をAに開示するものとする。
Aは、当該開示を受けた後30日以内に、別紙Tを改定して当該改良品を本商品の範囲に含めるか否かを決定し、その旨をBに通知するものとする。Bは、当該期間内にAから当該改良品を本製品の範囲に含めるとの通知を受領しない場合は、当該改良品を以後自らまたは第三者を通じて自由に販売できるものとする。

(2) 前項においてAが改良品を本商品の範囲に含める旨を通知した場合、両当事者は、当該改良品の売上予測を踏まえて、当該改良品についてのAの最低購入数量を設定するものとする。当該設定についての合意の成立を条件として、Aは当該改良品について独占販売権を得るものとする。

別紙T
本商品は、●●をいい、具体的には次のモデル番号の付された商品をいう。
モデル番号●●
■4 競合品の取扱い
■4 条項 BはAに新製品の販売に尽力してもらいたい⇒他社の製品を取り扱わないでもらいたい。
3-0
(B)
Aは、日本国内で、本商品と類似または競合するいかなる商品も製造、販売、販売促進またはその注文の収集もしくは受諾を行ってはならない
Bは、契約終了後であってAが競合品を取り扱った場合、新商品についてのノウハウがAに流用さ得る⇒契約終了後も制限したい。
3-1
(B)
Aは、本契約の有効期間中およびその後●年間、日本国内で、本商品と類似または競合するいかなる商品も製造、販売、販売促進またはその注文の収集もしくは受諾を行ってはならない。
Bの意向:Aを新商品の販売に専念させたい。
Aの意向:独占販売権は確保しつ自社の事業活動への過度な制限を避けたい。
3-2 Aは、本契約の有効期間中、日本国内で、本商品と類似または競合するいかなる商品も製造、販売、販売促進またはその注文の収集もしくは受諾を行ってはならない。
独禁法 秘密情報の流用を防止する必要性など正当な理由があり、必要な範囲の期間的限定があれば独禁法に抵触しない
秘密情報の流用を防止する必要性など正当な理由があれば、契約終了後2年程度を目安に競合品の取扱いを禁止すると規定するケースもある。
市場における有力なメーカー(当該市場(制限の対象となる商品と機能・効用が同様であり、地理的条件、取引先との関係などから相互に強豪関係にある商品の市場)におけるシェアが10%以上、またはその順位が上位3位以内であることが一応の目安となる)が競争品の取扱規制を行い、これによって新規参入者や既存の競争者にとって代替的な流通経路を容易に確保することができなくなるおそれがある場合:
排他条件付取引(不公正な取引方法11項)または拘束条件付取引(不公正な取引方法12項)として独禁法に違反するリスクがある。

新商品およびその競合品を合わせて市場におけるBのシェアが高く、かつ、Aが競合品を取り扱わないことによりB以外の事業者にとり流通ルートの確保が困難になるなどの事情があれば、競合品の取扱禁止は独禁法違反になるおそれがある。
■5 メーカーから販売店への販売価格
■5 規定 4-1
(B)
本商品の販売価格は、Bが指定するとおりとする。なお、Bは、本商品の販売価格を変更することは、1か月前にAに通知するものとする。
4-2
(A)
本商品の販売価格は、Aの事業年度ごとに定めるものとし、各事業年度の開始までに両当事者協議のうえ決定されるものとする。
4-3 本商品の販売価格は、四半期ごとに定めるものとし、各四半期の開始までに別紙Vに定める計算式により決定されるものとする。
選択肢 新商品の販売価格は、Aの事業年度ごとに定めるものとし、各事業年度の開始までに両当事者協議のうえ決定するものとする。
ただし、原材料費の急激な変動その他両当事者の予見できないような事情変更により本文により決定された価格によることが著しく不合理と認められる場合には、各当事者は、相手方に対してその改定の協議を申し入れることができるものとし、この場合両当事者協議のうえ対応を決定するものとする。
vs.
「原材料費の急激な変動」や「決定された価格によることが著しく不合理」につき意見が一致しないことが多く、意見が一致したとしても、価格の改定につき決定できるとは限らない。
但書は現実には機能しない場合が多い。
新商品の販売価格は、四半期ごとに定めるものとし、各四半期の開始までに別紙Uに定める計算式により決定されるものとする。
■6 販売店の注文手続(個別契約の成立)
■6 条項 5-1
(B)
個別契約は、AがBに注文し、Bがこれを承諾することにより成立する。
5-2
(A)
個別契約は、Aの注文がBに到達することにより成立する。
vs.過大な注文の場合にBは対応できない場合がある。
5-3 (1) 個別契約は、AがBに注文し、Bがこれを承諾することにより成立する。ただし、BがAの注文を受領後5営業日以内にAに何らの申し出もしない場合には、当該注文はBにより承諾されたものとする。
(2) 前項の規定にかかわらず、Bは、ある月のAからの本商品の注文が●●個に達するまでは、当該注文を承諾する義務を負うものとする。
ウィーン売買条約 適用 営業所が異なる国に所在する当事者間の物品売買契約について、
@これらの国がいずれも締約国である場合、または
A国際私法の準則によれば締約国の法の適用が導かれる場合
に適用される。
Aは、一方当事者の営業所が非締約国に所在する場合であっても、訴訟を提起された締約国(ex.日本)の裁判所で、その国の国際私法によって締約国の法が準拠法とされるとき(たとえば日本の「法の適用に関する通則法」によって日本法が準拠法とされるとき)に、ウィーン売買条約が適用されること。
当事者は、その合意によりウィーン売買条約の適用を排除できる。
影響 日本法との違い(かっこ内は日本法の規定)
  • 申込み原則撤回できる(原則撤回できない)
  • 沈黙または不作為承諾とならない(商人間の平常取引での申込みに対する沈黙は承諾となる)
  • 承諾申込者に到達したときに発効する(隔地者間の承諾は発信時に発効する)
  • 申込みに対する承諾に追加的または異なる条件を含む場合、その条件が申込みの内容を実質的に変更しないときは、申込者が異議を述べない限り承諾となる(申込みの拒絶と新たな申込みとみなされる)
  • 売主は、契約に定める数量、品質および種類に適合し、かつ、契約に定める方法で収納され、または包装された物品を引き渡さなければならない(売主は、物品につき瑕疵担保責任と債務不履行責任を負う)
  • 契約の解除は、相手方の重大な契約違反または相手方が付加期間内に義務を履行しない場合に認められる(債務不履行があれば認められる)・
インコタームズ 国際商取引慣習として広く使用されている貿易取引条件の解釈に関する国際規則。
ウィーン売買条約の下では、当事者は合意した慣習に拘束される。
⇒海外の会社との販売店契約においてインコタームズを採用した場合、インコタームズの規定が、ウィーン売買条約の規定に優先して適用される。
■7 品質保証および瑕疵担保責任
■7 条項 6-1
(B)
(1) Bは、Aに対し、本商品がBの定める製品仕様(以下「本仕様」という)を満たすることのみを保証するものとし、その他一切の保証は行わない。Bは、かかる保証を、Aによる本商品の受領から6か月間に限り行うものとする。かかる保証の違反があった場合、Aは、本条第2項および第3項の規定に従った場合に限り、Bの選択に従い、当該保証違反にかかる本商品lに関する個別契約の解除または損害賠償の請求のみを行うことができり、他のいかなる請求も行うことはできない。
(2) Aは、本商品を受領したときは、遅滞なく、その品質および数量につき検査しなければならない。
(3) Aは、本商品に瑕疵(本仕様を満たさないことをいう。以下同じ)または数量不足を発見したときは、当該発見日を含めて5営業日以内にBに対してその旨の通知をしなければ、その瑕疵または数量不足を理由とするBに対するいかなる請求もすることができない。
6-2
(A)
(1) Bは、Aに対し、本商品が両者合意のうえ定める製品仕様(以下「本仕様」という)を満たすこと、本製品に適用されうる日本におけるすべての法令および安全基準を満たすこと、ならびに本商品が使用される通常の目的・用途および顧客が企図した目的・用途への適合性の保証(以下「本保証」という)する。Bは、本保証を、Aによる本商品の受領から1年間に限り行うものとする。本保証の違反があった場合、Aは、次項の規定に従った場合に限り、自己の選択に従い、当該保証違反にかかる本商品に関する個別契約の解除損害賠償の請求代品請求または修補請求のみを行うことができる。
(2) 削除
(3) Aは、本商品に瑕疵(本保証に違反することをいう。以下同じ)または数量不足を発見したときは、当該発見日を含めて5営業日以内にBに対してその旨の通知をしなければ、その瑕疵または数量不足を理由とするBに対するいかなる請求もすることができない。
6-3 (1) Bは、Aに対し、本商品が両者合意のうえ定める製品仕様(以下「本仕様」という)を満たすことならびに本契約締結日現在本製品の製造および販売に適用されうる日本におけるすべての法令および安全基準を満たすことのみを保証(以下「本保証」という)する。Bは、本保証の違反があった場合、Aによる本商品の受領から1年間に限り行うものとする。本保証の違反があった場合、Aは、本条第2項および第3項の規定に従った場合に限り、自己の選択に従い、当該保証違反にかかる本商品に関する個別契約の解除損害賠償の請求、代品請求または修補請求を行うことができる。
(←顧客に対して6か月の保証期間を設けることが適切であれば、BのAに対する保証期間は6か月より長く設定しなければ、Aが顧客からのクレームをBに転嫁できないおそれが生じる)
(←顧客のニーズを重視するなら、救済手段の選択をAに委ねるのは合理的)
(2) Aは、本商品を受領したときは、遅滞なく、その品質および数量につき検査しなければならない。
(←Aの受領後一定期間経過後に瑕疵が発見されたときに、当該瑕疵がBの責に帰すべきもの(Aの受領以前から存在)なのかAの責に帰すべきもの(Aの保管不良等により発生)なのか不明確となるため、検査は合理的)
(3) Aは、本商品に瑕疵(本保証に違反することをいう。以下同じ)または数量不足を発見したときは、当該発見日を含め5営業日以内にBに対してその旨の通知をしなければ、その瑕疵または数量不足を理由とするBに対するいかなる請求もすることができない。
商法上の責任 商法 第526条(買主による目的物の検査及び通知)
商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。
2 前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物に瑕疵があること又はその数量に不足があることを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その瑕疵又は数量の不足を理由として契約の解除又は代金減額若しくは損害賠償の請求をすることができない。
売買の目的物に直ちに発見することのできない瑕疵がある場合において、買主が六箇月以内にその瑕疵を発見したときも、同様とする。
3 前項の規定は、売主がその瑕疵又は数量の不足につき悪意であった場合には、適用しない。
リコール対応 問題 消費者向け商品について、リコールが行われるべき場合、それは品質保証違反がある場合に限られない。
その費用をいずれかの当事者のみに負担させることは合理的ではない。
6-4 (1) AおよびBは、本商品に関して品質上の問題が発見された場合、直ちにその旨を相手方に通知するものとする。この場合、両当事者は、本商品のリコールなどの対策の必要性につき協議のうえ決定するものとする。
(2) 前項の協議に基づきリコールなどの対策をとることを決定した場合、両当事者は、当該対策の実施方法およびその費用負担につき協議のうえ決定するものとする。
■8 製造物責任
■8 条項 7-1
(B)
新商品の欠陥(製造物責任法2条2項に定義されるところによる)により第三者の生命、身体または財産が侵害された場合、かかる侵害によって生じた損害についてBは責任を負わず、Aが一切の責任を負うものとする。かかる損害につきBに対して請求がなされた場合、Aは、当該請求に関してBに発生した一切の損失、損害および費用につきBに対して補償するものとする。
7-2
(A)
新商品の欠陥(製造物責任法2条2項に定義されるところによる)により第三者の生命、身体または財産が侵害された場合、かかる侵害によって生じた損害についてAは責任を負わず、Bが一切の責任を負うものとする。かかる損害につきAに対して請求がなされた場合、Bは、当該請求に関してAに発生した一切の損失、損害および費用につきAに対して補償するものとする。
7-3 (1) Bは、本商品の欠陥(製造物責任法2条2項に定義されるところによる)による第三者の生命、身体または財産への侵害によって生じた損害につき第三者からAまたはBに対して請求がなされる場合に備えて、自己の負担で生産物賠償責任保険に加入するものとする。当該保険の付保の範囲については、両当事者協議のうえ決定するものとする。
(2) 各当事者は、第三者から本商品に関してクレーム、請求等を受けた場合、その旨を遅滞なく相手方当事者に通知するものとする。この場合、両当事者は、当該クレーム、請求等への対処方法につき、協議のうえ決定するものとする。
(3) 各当事者は、前項に規定する第三者からのクレーム、請求等のうち第1項に規定する保険で填補されなかった部分が自らの責に期すべ事由に基づく場合(本商品の欠陥に起因する場合は、Bの責に期すべき自由に基づく場合に含める)には、当該クレーム、請求等への対応に関連して相手方当事者に生じた一切の費用および損失を相手方当事者に対して補償するものとする。
販売店の対応 商品を自ら製造していない販売店であっても、顧客から商品についてのクレームが相当数なされた後は、当該クレーム情報を速やかに顧客に提供し、安全性が確認されるまで当該商品の販売を中止するなどの措置を執る義務があった。
⇒当該義務違反(過失)につき販売店に不法行為に基づく損害賠償義務を認めた。
⇒販売店もクレームに適切に対処しなければ責任を問われる。
■9 商標の使用許諾
■9 条項 8-1
(B)
(1) Bは、Bが所有する別紙W記載の登録商標権(以下「本商標」という)につき、Aに対して次の範囲の通常使用権を許諾し、Aは当該範囲で本商標を使用する義務を負う。なお、Aは、本商標の具体的な使用形態につき、Bから指定された場合を除き、Bの事前承認を得なければならない。
ア 許諾商品 本商品
イ 使用地域 日本国内
ウ 使用範囲 本商品の販売および販売促進のために本商品の包装、パンフレット、商品説明書その他の販売促進物に付して使用すること
(2) Aは、本商品に関して本商標以外のいかなる標章も使用してはならない。
(3) Aは、本商標と類似する標章につ商標登録の申請をしてはならない。
(4) Aは、第三者が本商標を侵害していることまたはそのおそれがあることを発見した場合、直ちにBにその内容を報告するものとする。この場合、Bは、当該侵害またはそのおそれの排除、予防または差止めのために必要な行為を実施することができるものとし、Aは、Bからの要請に基づきこれに協力するものとする。
(5) Aによる本商標の使用に関して第三者から権利侵害の主張、損害賠償の請求その他の主張もしくは請求がなされた場合、または、本商標につき第三者から無効事由もしくは取消事由があると主張された場合(無効審判もしくは取消審判を請求された場合を含む)、Aは自らの費用と責任でこれに対応するものとし、Bに一切の損失、費用などの負担を及ぼさないものとする。
(6) Aは、本契約が終了した場合には、本商標の使用を直ちに取り止めるものとする。
8-2
(A)
(1) Bは、Bが所有する別紙W記載の登録商標権(以下「本商標」という)につき、Aに対し、次の範囲の通常使用権を許諾し、Aは当該範囲で本商標を使用する義務を負う。なお、Aは、本商標の具体的な使用形態につき、Bから指定された場合を除き、Bの事前承認を得なければならない。
ア 許諾商品 本商品
イ 使用地域 日本国内
ウ 使用範囲 本商品の販売および販売促進のために本商品の包装、パンフレット、商品説明書その他の販売促進物に付して使用すること
(2) Aは、本商品に関して本商標以外のいかなる標章も使用してはならない。
(3) Aは、本商標と類似する標章につ商標登録の申請をしてはならない。
(4) Aは、第三者が本商標を侵害していることまたはそのおそれがあることを発見した場合、直ちにBにその内容を報告するものとする。この場合、Bは、当該侵害またはそのおそれの排除、予防または差止めのために必要な行為を実施することができるものとし、Aは、Bからの要請に基づきBによる費用負担を条件としてこれに協力するものとする。
(5) Aによる本商標の使用に関して第三者から権利侵害の主張、損害賠償の請求その他の主張もしくは請求がなされた場合、または、本商標につき第三者から無効事由もしくは取消事由があると主張された場合(無効審判もしくは取消審判を請求された場合を含む)、Bは自らの費用と責任でこれに対応するものとし、Aに一切の損失、費用などの負担を及ぼさないものとする。
(6) Aは、本契約が終了した場合には、本商標の使用を直ちに取り止めるものとする。ただし、Aは、本契約終了時に所有する本商品の在庫の販売のために、本契約終了後も本商標を使用できるものとする。
8-3 (1) Bは、Bが所有する別紙W記載の登録商標権(以下「本商標」という)につき、Aに対し、次の範囲の通常使用権を許諾し、Aは当該範囲で本商標を使用する義務を負う。なお、Aは、本商標の具体的な使用形態につき、Bから指定された場合を除き、Bの事前承認を得なければならない。
ア 許諾商品 本商品
イ 使用地域 日本国内
ウ 使用範囲 本商品の販売および販売促進のために本商品の包装、パンフレット、商品説明書その他の販売促進物に付して使用すること
(2) Bは、Aに対し、本商標がBの単独所有であることを保証する。
(3) Aは、本商品に関して本商標以外のいかなる標章も使用してはならない。
(4) Aは、本商標と類似する標章につ商標登録の申請をしてはならない。
(5) Aは、第三者が本商標を侵害していることまたはそのおそれがあることを発見した場合、直ちにBにその内容を報告するものとする。この場合、Bは、当該侵害またはそのおそれの排除、予防または差止めのために必要な行為を実施することができるものとし、Aは、Bからの要請に基づきBによる費用負担を条件としてこれに協力するものとする。
(←Aに何ら落ち度はなく、商標権者であるBがその費用と責任で対処するのが妥当)
(6) Aによる本商標の使用に関して第三者から権利侵害の主張、損害賠償の請求その他の主張もしくは請求がなされた場合、または、本商標につき第三者から無効事由もしくは取消事由があると主張された場合(無効審判もしくは取消審判を請求された場合を含む)、両者協力してこれに対処するものとする。ただし、いずれかの当事者の責に帰すべき事由により当該主張または請求がなされた場合は、当該当事者がその費用と責任でこれに対応するものとし、相手方当事者に一切の損失、費用等の負担を及ぼさないものとする。
(←第三者への対応は両者にとってメリットがある。)
(6) Aは、本契約が終了した場合には、本商標の使用を直ちに取り止めるものとする。ただし、Aは、第1条第2項に基づく本商標の在庫の販売のために、本契約終了後3か月以内に限り、本商標を使用できるものとする。
■10 販売店側の義務
■10 条項 9-1
(B)
は、本商品の販売に最大限の努力を払わなければならない。
9-2
(B)
Aは、自己の費用で、本商品の宣伝、広告、その他販売促進を行うものとする。
9-3
(A)
Aは、本商品の宣伝、広告、その他販売促進を行うものとする。ただし、販売促進に係る費用負担割合については、別途協議する。
9-4
(A)
Bは、Aに対し、Aの要求があった場合、本商品の販売に要するパンフレット、商品説明書、その他販売促進物(以下総称して「販売促進物」という)を無償で提供するものとする。
9-5
(A)
(1) Bは、販売促進物または本商品に付与された表示(ラべリング、警告、指示書を含むがこれらに限られない)の内容が、商品の性質、特徴、品質などを正確に不足なく表示するものであり、かつ、瑕疵がないことを保証する。
(2) Bは、Aに対し、前項の表明・保証の違反に関し、第三者から生じたクレームに自らの責任と費用で対応するものとし、Aに生じた一切の損失および損害を賠償する。
9-6 (1) Aは、本商品の販売に最大限の努力を払わなければならない。
(←Aに販売権が付与されている。)
(2) Aは、自己の費用で、本商品の宣伝、広告、その他販売促進を行うものとする。
ただし、AがBから提供される方針に基づいて販売促進を行った場合の費用は、Bの負担とする。
(3) Bは、Aに対し、Aの要求があった場合、本商品の販売に要するパンフレット、商品説明書、その他販売促進物(以下総称して「販売促進物」という)を無償で提供するものとする。
(4) Bは、販売促進物または本商品に付与された表示(ラべリング、警告、指示書を含むがこれらに限られない)の内容が、商品の性質、特徴、品質などを正確に不足なく表示するものであり、かつ、瑕疵がないこと保証する。
(5) Bは、Aに対し、前項の表明・保証の違反に関し、第三者から生じたクレームに自らの責任と費用で対応するものとし、Aに生じた損失および損害を当該違反と相当因果関係のある範囲で賠償する。
報告義務 10-1
(B)
Aは、Bに対し、暦年四半期終了後10日以内に、当該暦年四半期(以下「対象期間」という)における次の各号に掲げる事項をBの指定する書式にて報告するものとする。
(1) 対象期間末日の本商品の在庫数量
(2) 本商品の顧客の氏名・名称および住所
(3) 対象期間の本商品の顧客別販売価格および数量
(4) 対象期間の翌暦年四半期の本商品の販売数量見込み
(5) 対象期間中に得た本商品についての評判・苦情の内容
(6) 本商品の競合品の状況
(7) その他Bが要求する事項
(2)(3)は、Aによる新商品販売努力の賜物であり、情報提供について抵抗が強い。
Bにとっては、Aとの販売店契約終了後も、これらの顧客に対してスムーズに新商品を供給するため、顧客に関する情報は必要。
Aと協力して新商品のよりきめ細かなマーケティングを行うことも可能になる。
顧客別販売価格の報告の関係で、再販売価格の拘束は、独禁法上原則違法。
10-2 Aは、Bに対し、暦年半期終了後10日以内に、当該暦年半期(以下「対象期間」という)における次の各号に掲げる事項を両者合意のうえ定める書式にて報告するものとする。
(1) 対象期間末日の本商品の在庫数量
(2) 本商品の顧客の氏名・名称および住所
(3) 対象期間の本商品の顧客別販売価格および数量
(4) 対象期間の翌暦年四半期の本商品の販売数量見込み
(5) 対象期間中に得た本商品についての評判・苦情の内容
(6) 本商品の競合品の状況
個人情報 規定 個人情報保護法 第2条(定義)
この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。
個人情報保護法 第23条(第三者提供の制限)

個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない
一 法令に基づく場合
二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
四 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。

4 次に掲げる場合において、当該個人データの提供を受ける者は、前三項の規定の適用については、第三者に該当しないものとする。
一 個人情報取扱事業者が利用目的の達成に必要な範囲内において個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合
二 合併その他の事由による事業の承継に伴って個人データが提供される場合
三 個人データを特定の者との間で共同して利用する場合であって、その旨並びに共同して利用される個人データの項目、共同して利用する者の範囲、利用する者の利用目的及び当該個人データの管理について責任を有する者の氏名又は名称について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置いているとき。
説明 新商品の顧客が個人である場合、Aが集めた顧客の情報のうち個人情報保護法2条1項に定義される個人情報に該当するものは、本人の同意を得なければBに提供できないのが原則(同法23条1項)。
⇒Bとしては、個人データをAとBが共同利用する要件(同法23条4項)を充足するなどして当該個人情報を利用する手立てを考えるべき。
再販売価格の拘束 規定 独禁法 第19条〔不公正な取引方法の禁止〕 
事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。
独禁法 第2条〔定義〕

Hこの法律において「不公正な取引方法」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。
四 自己の供給する商品を購入する相手方に、正当な理由がないのに次のいずれかに掲げる拘束の条件を付けて、当該商品を供給すること。
イ 相手方に対しその販売する当該商品の販売価格を定めてこれを維持させることその他相手方の当該商品の販売価格の自由な決定を拘束すること。
ロ 相手方の販売する当該商品を購入する事業者の当該商品の販売価格を定めて相手方をして当該事業者にこれを維持させることその他相手方をして当該事業者の当該商品の販売価格の自由な決定を拘束させること。
説明 再販売価格の拘束等、相手方の当該商品の販売の価格の自由な決定の拘束は、不公正な取引方法として禁止される。(独禁法19条、2条9項4号)
@委託販売の場合であって、取引が委託者の危険負担と計算において行われるときや、
Aメーカーと小売業者との間で直接の価格交渉により納入価格が決定され卸売業者に対してその価格で当該小売業者に納入するよう指示する場合であって、当該卸売業者が物流および代金回収の責任を負い、その履行に対する手数料分受取ることとなっている場合など、実質的にメーカーが販売していると認められる場合には、メーカーが卸売業者に対して販売価格を指示しても、通常違法とはならない。
■11 契約期間・契約の終了
■11 条項 11-1
(B)
(1) 本契約は、締結日に発効する。
(2) 本契約締結後2年経過後、いずれの当事者も、30日以上の予告期間をおいて相手方に書面により通知することにより、本契約を解約することができる。
Aとしては、新商品の販売が伸びてきた途端にBの都合で短期間の予告により本契約を終了させられる事態は受け入れ難い。
@販売店は、メーカー新商品の販売のために、担当者を特別に配置または採用するなど相応の人的資源を投入。
A新商品のパンフレットなどをメーカーから購入したり、新商品販売のために新たに事務所を借りるなど相応の物的資源を投入する場合も多い。
B特に、販売店が独占販売権を有する場合、販売店は一定期間を通じて最低購入数量を達成することを前提に資本を投下して事業計画を立てる。
⇒短期間の予告による契約終了は、販売店にとりリスクが大きい。
11-2
(A)
(1) 本契約は、締結日より2年間効力を有する。
(2) 本契約期間満了の6か月前までに相手方からの書面による特段の申出がない場合は、本契約はさらに2年間延長されるものとし、以後も同様とする。
Bとしては、事業戦略の機動的な修正を確保したい。
新商品の売行きなどによっては早期に契約を終了したい場合もある。
商品のライフサイフルが短い状況では、事前通知期間が6か月というのも長すぎる場合がある。
11-3 (1) 本契約は、本契約の締結日より2年間効力を有する。
(2) 本契約の契約期間満了の3か月前までに相手方から書面による特段の申出がない場合は、本契約はさらに1年間延長されるものとし、以後も同様とする。
契約の解消 販売店契約が長期間継続した場合、契約条項どおりに終了できない場合がある。
メーカーが販売店契約を契約条項どおりに終了できるか否かは、これまでの契約存続期間、販売店がいわゆる弱者にあたるか(販売店が零細か、販売店の当該メーカーへの依存度など)、販売店の顧客獲得への貢献度、販売店の投下資本などの要素に左右される。
販売店から顧客に対する販売権益や投下資本の補償が主張されることがあり、かかる主張を認めた裁判例もある。(札幌高裁昭和62.9.30)
条項 11-4 両当事者は、Aが本契約に基づき受ける利益は本商品の再販売から得られる利益のみであり、BからAに対する顧客に対する販売権益の補償、投下資本の補償その他の補償は一切行われないことを確認する。
11-5 (1) 第●条、第●条および本条の規定は、本契約終了後もなお有効に存続するものとする。
(2) 本契約の終了時に存在する個別契約については、当該個別契約の存続期間中、本契約が適用されるものとする。
残存条項 契約が終了したからといって、当事者間の債権・債務を完全に消滅させるべきではない。
ex.契約終了と同時に秘密保持義務を消滅させることは両当事者にとって好ましくない。
存続させる条項:
在庫品の処理
競合品の取扱い
品質保証、瑕疵担保責任および製造物責任
商標の使用許諾(ただし、在庫商品にかかる商標に限る)
知的財産権の帰属
知的財産権侵害時の対応
損害賠償
秘密保持
仲裁または裁判管轄
販売店契約の終了時に存在する個別契約には販売店契約が適用されることを明示すべき。
■12 紛争処理条項
■12 条項 12-1
裁判
本契約ならびに本契約に基づきまたはこれに関連して生じる本契約当事者の一切の権利および義務に関する訴訟は、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
12-2
仲裁
本契約からまたは本契約に関連して、当事者の間に生じることがあるすべての紛争、論争または意見の相違は、一般社団法人日本商事仲裁協会の商事仲裁規則に従って、同協会(東京都)において仲裁により最終的に解決されるものとする。
説明 仲裁 メリット @当事者間において紛争の実態に適した仲裁人を指名できる。
A紛争処理の機密性が保たれる。
B一審限りが原則なので迅速な解決が可能。
C個々の事件に適合した弾力的な手続をとりやすい。
D紛争以降に当事者間にビジネス関係が継続する場合、訴訟よりも仲裁のほうがしこりが残りにくい。
E実体法のみにとらわれない柔軟な判断が可能。
デメリット @当事者間に合意がないと仲裁手続を開始できない。
A仲裁により解決できる紛争は和解可能な民事上の紛争に限られる。(特許の無効確認請求事件は仲裁では解決できない。)
B仲裁判断までに要する時間や仲裁人の報酬は個々の仲裁人により異なる(時間については予測困難)。
C法律的素養を欠く仲裁人が指名された場合においてかかる仲裁人の判断結果を予測することが困難。
D不正確な仲裁判断が下されても原則として不服申立てできない
規定 仲裁合意は、書面でなされなければ効力を有しない。
仲裁合意では、仲裁地、仲裁機関と仲裁規則、どの範囲の紛争を仲裁に委ねるかなどを規定すべき。
日本の場合 裁判への信頼は一般的に高く、裁判のコストが膨大とまでは言えない
⇒日本企業同士の紛争処理方法としては、裁判が選択される場合が多い。
条項 12-3 本契約ならびに本契約に基づきまたはこれに関連して生じる本契約当事者の一切の権利および義務に関する訴訟は、被告となるべき当事者の所在地を管轄する地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
説明 裁判管轄 原則:被告の普通裁判籍の所在地の裁判所。
被告が法人⇒その主たる事務所または営業所の所在地に普通裁判席。
限定された種類内容の事件⇒特別裁判籍。
ex.財産上の訴えについては、義務履行地。
@専属的合意管轄
A付加的合意管轄
販売店契約特有の紛争 独占販売権を与えたにもかかわらず、第三者に販売権を与え又は第三者に自ら販売したとして、クレームが申し立てられるケースが多い。
(←販売店に独占販売権を付与したもののメーカーの思ったほどに販売店の販売が伸びないといった事情。)
⇒1-2での手当てにより、未然に防止すべき。
国際契約の場合 13-1 本契約の成立、効力、解釈および履行は、日本法に準拠するものとする。
準拠法 @第三国の法律を指定
vs.
当該第三国の法律に精通していないリスク。
自国での仲裁や裁判において第三国の法律が正しく適用されるかについて不安が残る。
A仲裁を申し立てられまたは訴訟を提起された当事者の所在国の法律を指定
vs.
仲裁申立てや訴訟提起がない場合の準拠法が不明。
当事者相互に仲裁申立てや訴訟提起を行った場合の準拠法をどうするかの問題。
B規定しない
vs.
各当事者の属する国際私法に従いケースバイケースで決定される。
13-2 本契約からまたは本契約に関連して、当事者の間に生じることがあるすべての紛争、論争または意見の相違は、国際商業会議所の仲裁規則(the Rule of Arbitration of the International Chamber of Commerce)に従って、同規則に基づき選任された1名またはそれ以上の仲裁人により最終的に解決されるものとする。
仲裁地は、被申立人の国とする。
仲裁のメリット F F各当事者の母国間の司法制度の相違をある程度克服できる。
仲裁の場合、手続は原則として当事者の選択した仲裁規則と当事者間の合意で定まる⇒裁判に比して当事者双方の意向を反映した柔軟な手続をとる余地が大きい。
G G判断の承認・執行が容易。
日本・中国の判決について中国・日本の裁判所が承認せず執行を認めなかった事例⇒相手国で執行できる可能性が低い。
仲裁については、「外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約」(ニューヨーク条約)等の多国間条約があり、相手方が加盟国の企業であれば相手国において比較的容易に仲裁判断の承認および執行が得られる(中国も同条約に加盟している。)。
⇒国際販売店契約においては、一般的に仲裁の方が裁判よりも好まれる傾向にある。
仲裁規定 @準拠すべき仲裁ルール
A仲裁地
を指定すべき
国際的に定評のある仲裁機関を選択することが、質の高い仲裁人の確保の点で無難。
仲裁地については、@仲裁を申し立てられた当事者の所在地を仲裁地とする方法、A第三国を仲裁地とする方法。
13-3 本契約ならびに本契約に基づきまたはこれに関連して生じる本契約当事者の一切の権利および義務に関する訴訟は、Aが提起した場合は東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とし、Bが提起した場合はアメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市の連邦裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
裁判管轄 @訴えられた当事者の所在国の裁判所を専属的合意管轄裁判所とする方法。
A第三国の裁判所を専属的合意管轄裁判所とする方法。
Aの場合、承認・執行の問題。
@の方が望ましい。
(←管轄の国内に強制執行できる相手方の資産がなければ、勝訴判決を得た後に相手方の所在地国で外国判決の執行のための承認手続をとる必要がある。そのような場合、最初から相手方の資産がある国を管轄地にしておいた方が効率的なこともある。)
■チェックリスト
注意 公正取引委員会事務局「流通・取引慣行に関する毒腺禁止法の指針」(平成3年7月11日)に注意
チェックリスト □ 対象製品
□ 販売権の内容(独占か非独占か、独占の場合の売主の自己販売権の扱い、最低購入数量の有無、販売地域)
□ 競合品の取扱い
□ 販売価格、支払条件および注文手続
□ 引渡し、所有権移転および危険負担
□ 品質保証、受入検査、リコール対応および瑕疵担保責任
□ 商標の使用許諾
□ 売主の知的財産権に関する保証の有無・範囲
□ 品質、製造物責任、知的財産権等に関する第三者からのクレームへの対応(相手方に対する補償の有無・範囲、保険の取扱い等)
□ 販売促進活動(各当事者の役割、商標権、ロゴ等の使用の可否等)
□ 販売店の報告義務(在庫数量、顧客の氏名等、販売数量、販売見込み、顧客からのクレーム等について)
□ 契約期間および契約の終了(継続的契約関係の解消)
□ 契約終了の効果(販売店製品在庫の取扱い、強豪製品の取扱禁止、残存条項、個別契約の有効性など)
□ 紛争処理(仲裁、裁判)