シンプラル法律事務所
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五輪書

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)

★地之巻
「直なる道」の地盤を固める巻で、
兵法が剣術だけでなく、武士の法のすべてに関わるものであることを述べる。
◆「兵法の道」とは
  兵法は「武家の法」
  「文武二道」
◆「士農工商」それぞれの道 
◆「死の覚悟」とは
  死の覚悟は、武士だけでなく、「出家にても、女にても、百姓以下に至る迄、義理を知り、恥をおもひ、死する所を思ひきる事は、その差別なきもの」
◆武士の精神 
  武士が兵法を行う道は、
「何事においても人に優るる所を本とし、あるいは一身の切り合いに勝ち、あるいは数人の戦いに勝ち、主君のため、我が身のため、名をあげ身を立てんと思う」ことっである。
  「何時にても役に立つように稽古し、万事に至り役にたつようにおしゆる事、これ兵法の実の道也」
◆大将と士卒・・「大分の兵法」と「一分の兵法」 
●大将について
大工の棟梁が「かね」(規矩・規範)をわきまえて、大勢の大工を使って家を建てるように、
大将たる者は、天下のかねをわきまえ、その国のかねを正し、その家を治めるべきかねを知っていなければならない。
棟梁は、まずどのよな木をどう使うのか、さまざまな材木をそれぞれの特質に合わせて、芯の柱とし、表の柱とし裏の柱とし、敷居・鴨居・戸障子などへと「木配り」をしなければならない。
また、大工たちの力量を見分けて仕事を割り振り、宮殿・楼閣などを建設する事業が全体としてうまく捗るようにすうr。
このような適材適所の比喩によって、大将が家臣団を統率して、合戦を戦い、また国を治めるやり方を示す。
大将がこうして行うのが「大分の兵法」
●士卒について 
平大工は道具を持って、棟梁の指図に従ってさまざまな仕事をし、常日頃から道具を研ぎ、どんな物でも手際よく作れるように技を磨いておかなけえればならない。
士卒は日頃から太刀をはじめ武道具に親しみ、訓練を重ね、技を磨言えおかねばならない。
  士卒でも技を磨き勝つべき道理をよく知れば、大将にもなれる。
◆二刀である理由 
◆さまざまな「武具の利」 
◆なぜ剣術なのか 
◆さまざまな「道」 
  「拍子」「速さ」「目付」
「あふ拍子」「ちがふ拍子」「あたる拍子」
「間の拍子」「そむく拍子」
◆「道をおこなう法」 
  @よこしまなき事をおもふ所
A道の鍛錬する所
B諸芸にさはる所
C諸職の道を知る所
D物毎の損徳をわきまゆる事
E諸事目利を仕覚る事
F目に見えぬ所をさとってしる事
Gわづかなる事にも気を付くる事
H役にたたぬ事をせざる事
  「兵法の利にまかせて諸芸諸能の道となせば、万事において我に師匠なし」
◆兵法の道を追求する心意気
★水之巻  
  入れる器に従って変化し、一滴となり、大海ともなる水のイメージによりながら、
兵法の道の核であり、さまざまに応用できるものとして、「剣術一通りの理」を解く。
◆「見ると思はず、習ふと思はず」 
◆術の基礎となる5箇条 
  太刀使い以前の、術の基礎となること。
■「兵法心持」 
  心の持ち様は、兵法の道においても日常の心と変わってはならない
  「常にも、兵法の時にも、少しもかわらずして、心を広く直にして、きつくひっぱらず、少しもたるまず、心のかたよらぬように、心をまん中におきて、心を静かにゆるがせて、そのゆるぎの刹那もゆるぎやまぬように、よくよく吟味すべし

日常生活での、剣術の時でも、心を広く真っ直ぐにしていなければならない。何が起ころうとも動じず、手や足などどこかに心が取られることなく、自分のからだ全体が見えるように心を真ん中に置くとともに、心が居ついてどこかに止まることなく、相手のどんな動きにも即応できるように静かに揺るがせる。 
  静かなる時も心は静かならず。何とはやき時も心は少しもはやからず。心は躰につれず、躰は心につれず

心に用心をし、身は意識せずとも動けるように日頃から訓練しておく。
  「心のたらぬ事なくして、心を少しもあまらせず、上の心(=外見)はよはくとも、底の心(=本心)をつよく、心を人にみわけられざるやうにして」
  からだの小さい者は心に大なることを知り、大きい者は心に小さいことを知り、「我が身のひいきをせざるやうに」することが大事。

体が小さいからといって、すばしっこさに頼ったり、からだが大きいからといって、力任せの大技を行おうとするのは、「我が身のひいき」であり、そうならないようにする。
  「心の内にごらず、広くして、ひろき所へ知恵を置くべき也。知恵も心も、ひたと磨く事、専也」
  天下の理非を弁え、物事の善悪を知って、諸芸諸能に通じ、世間の人にだまされないようになって初めて、「兵法の知恵」となる。
  「戦の場、万事せはしき時なりとも、兵法の道理をきわめ、うごきなき心、よくよく吟味すべし」
  厳しい戦いの場にあって的確に対処するには、「常にしも敵にあひておなじ心に思ひなし」
〜日常から敵に対している時と同じように思って備えていなければならない。
■「兵法の身なり」 
  肩に力を入れず、腰が入って丹田を中心にして足につながり、真っ直ぐにすっと立った姿勢。
  「惣体一同にして、余る所なく不足なる処なく、強からず弱からず、頭から足のうらまで、ひとしく心をくばり、片つりなき様に仕立る」

頭から足の裏まで全身に心を配って、どこかに偏り出来て隙が生まれないように、からだが上下左右に自然につながって、全身一体となるようにしなければならない。
■「生きる手」とは 
  「惣じて太刀にも手にても、いつくといふ事をきらふ。いつくは、しぬる手也。いつかざるは、いきる手也」
「いつく」=居付くで、動きが止まり滞ること。
居付かず、動けることを「生きる」と言う。
  「切る事を忘れていつく手、これ死ぬるという也。生きるというは、いつとなく太刀も手も出合やすく、かたまらずして、切り能き様にやすらかなる」ことだと説明。

手の筋肉が「かたまらず」「やすらかなる」状態であってこそ、次の瞬間、即座にどのようにでも動くことができる。
「身なり」の条で言われていた偏りのない全身一体である姿勢も、「かたまらずして、切りよきようにやすらか」で、次の瞬間どのようにでんも動き得る体勢。
■足遣い・・・「常にあゆむがごとし」 
  「足のはこびやうの事、つま先を少し浮けて、きびすとつよく踏むべし」
  「とびて廻りても、身なりはろくに(真っ直ぐに)、いかほどもしずかに、きっかりとして、下はゆるぐとも上のうごかざるやうに、たとえば空より縄をおろし、つりさげたるものと心にあるべき也」
■「兵法の目付」 
  目の付け様は、大きく広く付けよ。
  「観の目つよく、見の目よはく、遠き所を近く見、ちかき所を遠く見る事、兵法の専也」
「観の目」:心の働きにより状況全体を見る目。
「敵の太刀をしり、いささかも敵の太刀を見ず。」とういことが大事。
   
火之巻  
  小さな火でもたちまちのうちに大きく燃え広がる火のイメージによって、
剣術の1人での勝負の理が、万人の合戦の場面にもそのまま通じることを示す。
   
風之巻  
  「その家々の風」として、
世にある他の流派の間違っているところを書く。
   
空之巻  
  窮極では「道理を得ては、道理を離れ」、「おのれと実の道に入ることを、空の巻にして書きとどむるもの也」とまとめている。