シンプラル法律事務所
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★T 割賦販売法の全体像 | ||
◆ | ◆1 制定の経緯 | |
◆ | ◆2 制定後の法改正の経緯と概要 | |
★14 持分会社T 575〜613 | ||
☆590条(業務の執行) | ||
第五九〇条(業務の執行) 社員は、定款に別段の定めがある場合を除き、持分会社の業務を執行する。 2社員が二人以上ある場合には、持分会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、社員の過半数をもって決定する。 3前項の規定にかかわらず、持分会社の常務は、各社員が単独で行うことができる。ただし、その完了前に他の社員が異議を述べた場合は、この限りでない。 |
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◆ | ◆V 業務執行の方法 | |
◇ | ◇1 業務の意思決定 | |
■ | ■(4) 常務に関する意思決定 | |
会社の常務(日常の取引等、通常の業務)に関する意思決定および執行行為は、各社員が単独で行うことができる。 | ||
☆591条 (業務を執行する社員を定款で定めた場合) | ||
第五九一条(業務を執行する社員を定款で定めた場合) 業務を執行する社員を定款で定めた場合において、業務を執行する社員が二人以上あるときは、持分会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、業務を執行する社員の過半数をもって決定する。この場合における前条第三項の規定の適用については、同項中「社員」とあるのは、「業務を執行する社員」とする。 2前項の規定にかかわらず、同項に規定する場合には、支配人の選任及び解任は、社員の過半数をもって決定する。ただし、定款で別段の定めをすることを妨げない。 3業務を執行する社員を定款で定めた場合において、その業務を執行する社員の全員が退社したときは、当該定款の定めは、その効力を失う。 4業務を執行する社員を定款で定めた場合には、その業務を執行する社員は、正当な事由がなければ、辞任することができない。 5前項の業務を執行する社員は、正当な事由がある場合に限り、他の社員の一致によって解任することができる。 6前二項の規定は、定款で別段の定めをすることを妨げない。 |
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◆ | ◆W 業務執行社員の解任(p139) | |
本条5項:業務執行社員の解任に関するデフォルト・ルールを、民法672条に倣い、正当な事由および他の社員の一致が必要であるとした。 | ||
業務執行者の解任に関するルールの定め方: 業務執行者の動機付けとその他の社員の監督権限のバランスに関わる重要な課題。 |
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株式会社: 取締役の解任は出席株主の議決権の過半数で行うことができ、 正当な事由の有無は損害賠償との関係で問題。 |
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持分会社: 業務執行者の地位の安定性を強し、社員の監督権限を弱めているように見える。 vs. (1)本条5項は、あくまでもデフォルト・ルールであり、定款の規定により、株式会社と同様の解任ルールを定めることが可能 (2)業務執行者の選任は、定款で定める⇒社員全員の合意によるもの。 (3)一般に、ごく少数の社員からなる持分会社の業務執行者の地位は、解任に他の社員の全員一致を要するとしても、なお脆弱である可能性がある。 ⇒ 少なくとも、デフォルト・ルールとして、本人を除く社員全員の同意および正当事由を要することは妥当。 |
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@正当な理由 A他の社員の一致 |
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正当な事由:裁判官が判断すべき but 業務執行権消滅の訴え(860条)に必要な事由として掲げられたものは含まれる。 @ A B不正行為(860@、859BC) C D著しい不適任(860条2項) |
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☆593条 | ||
(業務を執行する社員と持分会社との関係) 第五百九十三条 業務を執行する社員は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行う義務を負う。 2 業務を執行する社員は、法令及び定款を遵守し、持分会社のため忠実にその職務を行わなければならない。 3 業務を執行する社員は、持分会社又は他の社員の請求があるときは、いつでもその職務の執行の状況を報告し、その職務が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。 4 民法第六百四十六条から第六百五十条までの規定は、業務を執行する社員と持分会社との関係について準用する。この場合において、同法第六百四十六条第一項、第六百四十八条第二項、第六百四十八条の二、第六百四十九条及び第六百五十条中「委任事務」とあるのは「その職務」と、同法第六百四十八条第三項第一号中「委任事務」とあり、及び同項第二号中「委任」とあるのは「前項の職務」と読み替えるものとする。 5 前二項の規定は、定款で別段の定めをすることを妨げない。 |
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☆595条(p162) | ||
(利益相反取引の制限) 第五百九十五条 業務を執行する社員は、次に掲げる場合には、当該取引について当該社員以外の社員の過半数の承認を受けなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。 一 業務を執行する社員が自己又は第三者のために持分会社と取引をしようとするとき。 二 持分会社が業務を執行する社員の債務を保証することその他社員でない者との間において持分会社と当該社員との利益が相反する取引をしようとするとき。 2 民法第百八条の規定は、前項の承認を受けた同項各号の取引については、適用しない。 |
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◆ | ◆T 総説 | |
◇ | ◇1 趣旨 | |
業務を執行する社員が、個人としてあるいは第三者のために持分会社と取引をするとき、業務を執行する社員としての地位を、当該持分会社以外の者の利益のために利用するおそれがある。 持分会社が第三者との間で行う取引でも、それによって業務を執行する社員と持分会社との利益が相反するときは、同様の危険性が認められる。 |
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⇒ 本条1項は、 @業務を執行する社員が自己または第三者のために持分会社と取引をしようとするとき、または A持分会社が業務を執行する社員以外の者との間において持分会社と当該社員との利益が相反する取引をしようとするときは、 業務を執行する社員は、定款に別段の定めがない限り、当該取引について、当該社員以外の社員の過半数の承認を受けなければならない。 @:直接取引 A:間接取引 |
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業務を執行する社員は、善良な管理者の注意をもって、持分会社のため忠実にその職務を遂行する義務を負う(593条TU)。 この義務の一内容として、業務を執行する社員は、持分会社の利益を犠牲にして自己又は第三者の利益を図ることが禁止される。(「狭義の忠実義務」) |
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本条の規制は、競合の禁止(594条)と同じく狭義の忠実義務から派生するものあるいは狭義の忠実義務の内容の一部を具体化するもの。 | ||
◆ | ◆U 規制の対象 | |
◇ | ||
◇ | ◇2 間接取引(p166) | |
☆599条 | ||
第五九九条(持分会社の代表) 業務を執行する社員は、持分会社を代表する。ただし、他に持分会社を代表する社員その他持分会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。 2前項本文の業務を執行する社員が二人以上ある場合には、業務を執行する社員は、各自、持分会社を代表する。 3持分会社は、定款又は定款の定めに基づく社員の互選によって、業務を執行する社員の中から持分会社を代表する社員を定めることができる。 4持分会社を代表する社員は、持分会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。 5前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。 |
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☆611条(退社に伴う持分の払戻し) | ||
(退社に伴う持分の払戻し) 第六百十一条 退社した社員は、その出資の種類を問わず、その持分の払戻しを受けることができる。ただし、第六百八条第一項及び第二項の規定により当該社員の一般承継人が社員となった場合は、この限りでない。 2 退社した社員と持分会社との間の計算は、退社の時における持分会社の財産の状況に従ってしなければならない。 3 退社した社員の持分は、その出資の種類を問わず、金銭で払い戻すことができる。 4 退社の時にまだ完了していない事項については、その完了後に計算をすることができる。 5 社員が除名により退社した場合における第二項及び前項の規定の適用については、これらの規定中「退社の時」とあるのは、「除名の訴えを提起した時」とする。 6 前項に規定する場合には、持分会社は、除名の訴えを提起した日後の法定利率による利息をも支払わなければならない。 7 社員の持分の差押えは、持分の払戻しを請求する権利に対しても、その効力を有する。 |
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◆ | ◆T 本条の概要 | |
◆ | ◆U 持分 | |
◇ | ◇1 「持分」の意義 | |
◇ | ||
◆ | ◆V 持分の払戻し(本条1項) | |
◆ | ◆W 持分の計算(本条2項) | |
◇ | ◇1 概要 | |
◇ | ◇2 退社の時における持分会社の財産の状況に従ってする | |
◇ | ◇3 持分計算の基礎となる会社財産の価額の評価方法 | |
■ | ■(1) 営業価額による評価か清算価額による評価か | |
払戻持分について計算を行う際には、財産目録と貸借対照表が作成されるべき。 ← 持分会社の清算の場合には財産目録および貸借対照表の作成が要求されており(658T)、社員の退社の場合による持分の計算のためにも財産目録および貸借対照表の作成を要すると解するのが適当であると説明されている。 |
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営業の存続を前提とする価額(営業価額)による(通説) | ||
その評価は必ずしも損益計算を目的とする場合におけるいわゆる帳簿価額によるべきではなく、積極財産の過小評価や債務の過大評価は許されず、固定資産について適正な範囲内で評価替えをすることは差し支えなく、また、原始取得した無体財産権や事実的財産を評価計上することも許される。 | ||
立案担当者による解説: 当該持分会社の価値(資産・負債等を継続を前提に時価評価し、将来収益その他の状況を適宜勘案して算定される)を前提に計算される」(論点解説589頁) 近年: 「退社の時における持分会社の財産の状況」とは、帳簿価額により算定される意味ではなく、会社の将来収益を予測してその割引現在価値を計算することによって算定することが原則であるとの主張。 |
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■ | ■(2) 裁判例 | |
中小企業協同組合法に基づく協同組合の脱退組合員に対する持分払戻しの基礎となる評価方法について述べた最高裁昭和44.12.11: 「一般に、協同組合の組合員が組合から脱退した場合における持分計算の基礎となる組合財産の価額の評価は・・組合の損益計算の目的で作成されるいわゆる帳簿価額によるべきものではなく、協同組合としての事業の継続を前提とし、なるべく有利にこれを一括譲渡する場合の価額を標準とすべきものと解するのが相当」とし、この見解に立つときは、脱退時における土地の時価をもって当該土地の価額とし、これに基づいて組合財産の価額を算定した原審の判断は正当である。 |
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「事業の継続を前提とし、なるべく有利にこれを一括譲渡する場合の価額」という標準を示したことについてゃ、各個の財産の個別的処分価額の合計額よりも有利に処分することはできない状態にある場合には、そのような個別的処分価額の合計額によるべきことを否定する趣旨の判旨ではないと解すべきであり、最高裁の態度は、財産の価額は、個々の財産について、それらが一括譲渡の対象となることを考慮して、通常の計算書類におけるそれらの評価額に修正を加え、さらに、通常貸借対照表bに計上されない原始取得した無体財産権やのれんの評価額を加算して決定すべきであるというものだと理解すべきではないか。 | ||
◇ | ◇4 持分の払戻額の算定方法 | |
定款に別段の定めがない⇒出資の価額に応じる | ||
◆ | ◆X 持分の払戻しの方法 | |
◆ | ||
◆ | ◆[ 持分の差押えの持分払戻請求権に対する効力 | |
★15 持分会社(2) 614〜675条 | ||
第5章 計算等 | ||
第1節 会計の原則 | ||
☆614条 | ||
会社法 第六一四条 持分会社の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする。 |
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第2節 会計帳簿(p16) | ||
☆615条 (会計帳簿の作成及び保存) | ||
会社法 第六一五条(会計帳簿の作成及び保存) 持分会社は、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない。 2持分会社は、会計帳簿の閉鎖の時から十年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならない。 |
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◆ | ◆T 本条の沿革と意義 | |
株式会社の場合(433条T)と異なり、持分会社の社員の会計帳簿閲覧・謄写請求権についての定めはない。 | ||
◆ | ◆U 会計帳簿の意義 | |
会社計算規則 第四条 法第四百三十二条第一項及び第六百十五条第一項の規定により会社が作成すべき会計帳簿に付すべき資産、負債及び純資産の価額その他会計帳簿の作成に関する事項(法第四百四十五条第四項及び第五項の規定により法務省令で定めるべき事項を含む。)については、この編の定めるところによる。 2会計帳簿は、書面又は電磁的記録をもって作成しなければならない。 |
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会計帳簿:持分会社の事業上の財産およびその価額を記載した帳簿。 | ||
★19 外国会社・雑則1 817〜867 | ||
☆859条 (持分会社の社員の除名の訴え) | ||
第八五九条(持分会社の社員の除名の訴え) 持分会社の社員(以下この条及び第八百六十一条第一号において「対象社員」という。)について次に掲げる事由があるときは、当該持分会社は、対象社員以外の社員の過半数の決議に基づき、訴えをもって対象社員の除名を請求することができる。 一 出資の義務を履行しないこと。 二 第五百九十四条第一項(第五百九十八条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反したこと。 三 業務を執行するに当たって不正の行為をし、又は業務を執行する権利がないのに業務の執行に関与したこと。 四 持分会社を代表するに当たって不正の行為をし、又は代表権がないのに持分会社を代表して行為をしたこと。 五 前各号に掲げるもののほか、重要な義務を尽くさないこと。 |
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◇ | ◇3 除名事由 | |
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■ | ■(3)業務を執行するに当たって不正の行為をし、又は業務を執行する権利がないのに業務の執行に関与したこと。 | |
〜 会社の代表行為は含まれない ←4号との対比。 |
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3号と4号を区別 ←業務執行と会社代表との峻別していた昭和13年改正前商法下の理解を反映 vs. 会社代表は業務執行の対外的側面 〜 3号・4号は一体として理解すべき。 |
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「不正の行為」 広い意味で会社の行為とみられるような行為をした場合 横領 |
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■ | ■(4) 持分会社を代表するに当たって不正の行為をし、又は代表権がないのに持分会社を代表して行為をしたこと。 | |
■ | ■(5) 前各号に掲げるもののほか、重要な義務を尽くさないこと。 | |
「重要な義務違反」 | ||
善管注意義務違反も本条5号に該当 | ||
☆860条 (持分会社の業務を執行する社員の業務執行権又は代表権の消滅の訴え) | ||
第八六〇条(持分会社の業務を執行する社員の業務執行権又は代表権の消滅の訴え) 持分会社の業務を執行する社員(以下この条及び次条第二号において「対象業務執行社員」という。)について次に掲げる事由があるときは、当該持分会社は、対象業務執行社員以外の社員の過半数の決議に基づき、訴えをもって対象業務執行社員の業務を執行する権利又は代表権の消滅を請求することができる。 一 前条各号に掲げる事由があるとき。 二 持分会社の業務を執行し、又は持分会社を代表することに著しく不適任なとき。 |
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◆ | ◆T 本条の概要 | |
持分会社の業務を執行する社員について、本条各号の事由あり⇒当該社員以外の過半数の決議に基づいて、当該社員の業務を執行する権利または代表権の消滅を請求することができるとするもの。 | ||
本条の訴えにより、業務執行権及び代表権の双方を消滅させることも、代表権のみを消滅させることも可能。 but 代表社員につき業務執行権のみを消滅させることはできない。 これにより当然に代表権も消滅すると解すべき(599条3項参照)。 |
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◆ | ◆W 業務執行権・代表権消滅事由 | |
◇ | ◇1 本条1号の事由 | |
◇ | ◇2 本条2号の事由 | |
業務執行代表権ある者が積極的に不正行為を行うにあらざるも、なおかつ著しく不適任な場合(例えば永続的な病気)にもこれらの権限をはく奪しうる旨を定めたもの。 | ||
A:本条2号は「社員が精神的または肉体的理由によりその任に堪えない場合を指称するもの」であって、放漫経営は、本条2号の事由ではなく、本条1号の引用する859条5号の事由に該当 vs. 本条2号をそのように限定的に解釈することは難しい B:放漫経営も同号に該当する。 〜 放漫経営の場合は業務執行権または代表権を消滅させ得るにとどまり、除名にまではいたらないとすることに実際上の意義がある but はなはだしい善管注意義務違反は同号の事由に該当するものと解すべきである。 放漫経営も業務執行に関する社員の資質を示す資料となるものであって、放漫経営が本条2号の事由に該当することはあり得る。 |
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◆ | ◆X 591条5項との関係 | |
本条:定款で業務を執行する社員を定めていない場合における社員の業務執行権についても適用がある。 591条5項:定款で業務を執行する社員を定めた場合における当該社員の業務執行権についてのみ適用がある。 |
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本条:本条各号の事由が対象業務執行社員に存在することを要する 591条5項:「正当な事由」があることを要する |
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本条:対象業務執行社員以外の過半数の決議に基づき、訴えをもって業務を執行する権利又は代表権の消滅を請求 591条5項:対象業務執行社員以外の社員の一致により解任 |
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