シンプラル法律事務所
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新版注釈民法(24)親族(4) 792〜817の11 | ||
☆814条 | ||
第八一四条(裁判上の離縁) 縁組の当事者の一方は、次に掲げる場合に限り、離縁の訴えを提起することができる。 一 他の一方から悪意で遺棄されたとき。 二 他の一方の生死が三年以上明らかでないとき。 三 その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。 2第七百七十条第二項の規定は、前項第一号及び第二号に掲げる場合について準用する。 |
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770条2項「裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。」 | ||
◆ | ◆T 本条の意義と裁判離縁 | |
◆ | ◆U 離縁原因総説 | |
◇ | ◇(1) 離縁原因の意義とその沿革 | |
■ | ■(ア) 離縁原因の意義 | |
裁判離縁: 縁組当事者中の 強者の追出し離縁の防止と 弱者の不当ないし破綻した縁組から解放されるべき自由(ないし離縁権)の保護 の2面の機能を有する。 |
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不当ないし維持困難な縁組関係から個人を開放することは、次善的なこととして認めなければならないことがあろう。 | ||
■ | ■(イ) わが国の離縁原因の沿革(p489) | |
旧民法第866条 縁組の当事者の一方は左の場合に限り離縁の訴を提起することを得 一 他の一方より虐待又は重大なる侮辱を受けたるとき 二 他の一方より悪意を以て遺棄せられたるとき 三 養親の直系尊属より虐待又は重大なる侮辱を受けたるとき 四 他の一方か重禁錮1年以上の刑に処せられたるとき 五 養子に家名を涜し又は家産を傾くへき重大なる過失ありたるとき 六 養子か逃亡して3年以上復帰せさるとき 七 養子の生死か3年以上分明ならさるとき 八 他の一方か自己の直系尊属に対して虐待を為し又は之に重大なる侮辱を加へたると き 九 壻養子縁組の場合に於て離婚ありたるとき又は養子か家女と婚姻を為したる場合に 於て離婚若くは婚姻の取消ありたるとき |
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〜 家中心ないし家父長制的養親中心的色彩 |
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養子が家のため親のためにふさわしくない場合には、養親ないし養家の側から離縁することを認めた「家」的規定。 | ||
有責主義と 限定的列挙主義 |
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◇ | ◇(2) 離縁原因の法的構造(p494) | |
■ | ■(ア) 破綻主義と離縁原因の相対化 | |
有責主義: 離縁訴訟の被告の側に虐待・侮辱・悪意の遺棄など養子法上の基本的義務に違背する行為(有責行為または過失)があり、かつ原告側に特に責められるべき事情がない場合に、被告の有責行為を原因として裁判上の離縁を認容するという原則。 |
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〜離縁が許されるためには、原告が無責であることと被告が有責であることが要求される。 | ||
有責主義:相手方の有責性を追及し、有責行為の存在の立証をなせば離縁可能とある 〜 離縁原因は明確に規定し厳格に解釈運用しなければならない。 限定的列挙の方式。 |
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破綻主義: 被告に責任があるかづおかを問わずに、ただ養親子関係の破綻という客観的事実の存在する場合に、その破綻的事実を離縁原因とする立法主義(目的主義) |
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破綻主義的離縁原因: 縁組関係が客観的に破綻して、これ以上縁組関係を継続することができなくなったという場合であって、いわば死亡診断書のなされるべき場合。 破綻によって生命を失った養親子関係から人間性を解放しようということを基本的視点としている。 |
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1号:「悪意の遺棄」:有責主義的離縁原因 2号:当事者の「他の一方の3年以上の生死不明」:破綻主義に傾く離縁原因 3号:「その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき」:一般的抽象的条項 |
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■ | ■(イ) 1項の1号および2号と3号の関係 | |
■ | ■(ウ) 2項の意義 | |
1号および2号の事由が存するときは、原則としてそれだけで離縁が認容されるのであって、ただ特別の自由があるときにのみ2項によって裁量的に請求が棄却される。 | ||
■ | ■(エ) 縁組の破綻と養親子関係の特質(p499) | |
婚姻:無目的的自然的行為 縁組:合目的的行為で、一定の目的を前提として成立 ⇒ 「縁組を継続し難い事由」とはこの縁組の目的を達し得ないような事由の存在 |
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〜破綻主義の採用もしくは拒否に関するというよりは、「破綻」の意義の理解をめぐる問題。 | ||
養親子関係は身分関係⇒財産関係と異なる本質意思的結合。 縁組意思が心素と体素から成るとする解釈学的構成。 〜 習俗上の親子関係に類する身分関係を形成し維持しようとする意思として、深く身分的事実・本質意思的社会関係と合体している。 |
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⇒ 縁組の法的解消は、かかる生活事実的結合の社会学的解体を伴うものでなければならないし、またそのような解体が客観的に終局的となった場合には、縁組の法的解消は認めなければならない。 〜 破綻あるところに縁組あり。 |
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離縁: | ||
第1:・・・精神的葛藤もそれが侮辱等の外形的な態様をとるときに初めて問題となる。 離縁原因の非内面化。 |
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第2:離縁の「目的」: 習俗的親子関係を擬制的に形成することを手段として、それによって果たそうとする社会的目的。 縁組行為や離縁行為の法的効力はこの擬制的親子関係形成の意思によって定まるとされるが、社会的意味においては、縁組や離縁によってもたらされる社会的利益ないし効果が重要。 ⇒ 縁組の問題の社会的側面、ひいてはその法的問題処理の全面に、縁組の目的が強く出てくることは否定できないし、その目的的配慮は必要ですらある。 |
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養親子関係の危機ないし破綻はかような目的の実現困難として現れ、あるいは後者によって前者が決定的となる。 | ||
成年養子: 目的の主要なものが達成困難なほどの破綻状態をもって、離縁原因と認め、 それらの特定の目的が不明瞭な場合にも、親族扶養秩序や相続秩序の保持困難が縁組継続困難につながると解すべき。 |
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◆ | ◆V 具体的離縁原因 | |
◇ | ◇(1) 悪意の遺棄 | |
◇ | ◇(2) 縁組当事者の一方の3年以上の生死不明(p507) | |
◆ | ◆W 抽象的離縁原因・・・「離縁を継続し難い重大な事由」 (p509) | |
◇ | ◇(1) 意義と性質 | |
■ | ||
■ | (イ) 「 縁組を継続し難い重大な事由があるとき」 養親子としての精神的経済的生活関係を維持もしくは回復することがきわめて困難なほどに縁組を破綻せしめる事由の存する場合 あるいは、これ以上縁組の継続を強制しても、正常な親子的社会関係の回復は期待できない場合 |
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◇ | ◇(2) 破綻認定の基準 | |
■ | ■(ア) 客観的側面 | |
□ | □(b) 養子が成人である場合 | |
養親と養子の「両者間には経済的不要扶助の関係はもちろんのこと、通常の社会生活上の一般に認められ要求せられる親子としての交際はみられず、また合理的な親子として要請される精神的つながりも全く失われている」場合(判例)には、養親子関係が破綻していると解すべき。 | ||
● | ●B | |
学説:一般的に、旧法上の離縁原因中、家制度的色彩の特に強くないものは、「重大な事由」という抽象的離縁原因の解釈の参考になる。 | ||
旧民法第866条 縁組の当事者の一方は左の場合に限り離縁の訴を提起することを得 一 他の一方より虐待又は重大なる侮辱を受けたるとき 二 他の一方より悪意を以て遺棄せられたるとき 三 養親の直系尊属より虐待又は重大なる侮辱を受けたるとき 四 他の一方か重禁錮1年以上の刑に処せられたるとき 五 養子に家名を涜し又は家産を傾くへき重大なる過失ありたるとき 六 養子か逃亡して3年以上復帰せさるとき 七 養子の生死か3年以上分明ならさるとき 八 他の一方か自己の直系尊属に対して虐待を為し又は之に重大なる侮辱を加へたると き 九 壻養子縁組の場合に於て離婚ありたるとき又は養子か家女と婚姻を為したる場合に 於て離婚若くは婚姻の取消ありたるとき |
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個別的にはそれら旧法下の離縁原因に該当する事実ないしそれに類似する事実のあるものは、縁組の破綻を決定的にし、あるいは破綻の徴表と目すべき場合が存することは否定できない。 | ||
〇 | 〇a | |
旧866条1号の虐待・侮辱: 当事者一方の虐待または重大な侮辱によって他方が縁組の維持継続の意思を全く失うほどに精神的打撃を受けた場合には「重大な事由」が存するということになる。 〜 虐待や重大な侮辱があった場合の縁組破綻、特にその精神的結合の崩壊は、回復不可能なほどに深刻なのが通常ということ。 |
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侮辱:相手方の名誉または自尊心を傷つける行為であり、結果的に心理的苦痛を与える。 重大な侮辱としては、「馬鹿」「畜生」「色狂人」「糞婆鬼婆」など衆人の面前で侮辱的言辞をなした場合 |
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それらの多くは侮辱的言辞をするのが継続的であるか、暴力的kないし心理的虐待と共になされるか、あるいは悪意の遺棄ともみられる態様を備えているのが多い。 | ||
■ | ■(イ) 主観的側面 | |
□ | □(a) 当事者の離縁意思 | |
当事者双方に離縁の意思があると認められる場合。 | ||
□ | □(b) 当事者の主観的有責事由 | |
相手方が有責⇒離縁の認容はそれだけ容易になる。 | ||
相手方に主観的有責事由あり⇒相手方が訴訟に臨んで縁組の継続を求める意思を表明しても、自ら進んであるいは過失により縁組の破綻を生じさせ、あるいは破綻防止ないしゃ和合回復に努力する意思を示さなかったことは、もはや縁組継続を期待できないこと、つまり破綻して「重大な事由」が生じていることを示すものと解する。 | ||
ex.養親の言動にも責められるべき点があるとはいえ、養子夫婦は養親方から移転した後は、必ずしも真に養子夫婦との絶縁を希望していたとは認められない養親との感情の融合を図るための格別の努力をした事績のなかったため、親子としての精神的なつながりが全く立たれてしまった ⇒「重大な事実」の存在を認定。 |
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◇ | ◇(3) 判例に現れた「重大な事由」 | |
■ | ■(ア) 当事者の一方の暴行虐待あるいは重大な侮辱の故に養親子関係が破綻したとみられる場合 | |
■ | ■(イ) 養親と養子の性格や価値観の異常や不一致あるいは非協調的性格などから対立・葛藤が継続し、養親子関係が全く冷却状態になっている場合 | |
性格のちがいないし生活価値観のちがい: ・・・X2の死亡の時もYらは近所にいながら葬儀に列席しないなど、多年にわたり絶縁状態で、ここに養親子としての精神的なつながりは全く立たれており、「重大な事由」が認められる。 |
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各個の行為は「重大な事由」ではないが、これら各事実を考えあわせてみるとX・Y間は事実上離縁も同然の状態で、もはや復帰の見込みはなくて「重大な事由」がある。 | ||
・・・X・Y間の破綻は決定的で将来両者の融和する見込みがなくなったとされた裁判例。 | ||
・・・遺産をめぐって生じた長期間にわたる葛藤により縁組継続が困難になったケース。 | ||
■ | ■(ウ) 家業承継ないし経営をめぐる不和が破綻を決定的にしたと認められる事例 | |
Yは家業の維持発展に務める意思と気力がなく、かえってしばしばX1夫婦に暴言や侮辱的言辞をあびせ、またX2に暴力をふるった。 | ||
■ | ■(エ) 縁組当事者の一方の夫婦関係に破綻が生じ、それに他方がまきこまれた形で養親子紛争が深刻化した場合 | |
■ | ■(オ) 養親子間の抗争(とりわけ訴訟上の争い)が長期にわたっていることが、客観的破綻の認定根拠とされている場合。 | |
□ | □(a) 最高裁 | |
□ | □(b) 最高裁 | |
第1審: YがXの下で養育されたのは幼時わずか2年余にすぎず、 養父母が不仲となって、養母とともにXと別居してからは、満21年を経過し X・Aの離婚12年余、Yが物心づいてからの最近の10年間ほどの間を見ても、Yも情愛をもってXに対したこともなければ、XもまたYを事して遇したこともなく、現在においては、XY間相互に親子としての情愛も有しない ⇒「重大な事由」を認めて離縁請求を認容。 |
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2審: ・・・事こおに至らしめたのは、Xが・・・Cとの間に家庭不和をもたらすような肉体関係をもち、これがため、Aとの間の離婚をなす羽目に陥り、その際、Aとの間になした教義に基づきYとXとが別居を余儀なくされたから その間、Yにおいて、養父たるXに対し、縁組の継続を困難ならしめる何等の不行跡もない ⇒ 養子縁組を継続継続し難い重大な事由があるものとは言い難い。 |
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最高裁: Xこそ有責者であり、有責当事者の離縁請求は認められない。 |
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□ | □(c) 最高裁 | |
□ | □(d) 最高裁 | |
◇ | ◇(4) 有責当事者の離縁請求 | |
新版注釈民法(25) 親族(3)818条〜881条 | ||
★★第4章 親権 | ||
☆ | ☆前注(p1) | |
◆ | ◆T 序説 | |
◇ | ◇(1) 父権から親権へ | |
◇ | ◇(2) 親権から後見へ | |
◇ | ◇(3) 親権強制への緩和 | |
◆ | ◆U 親権の性質 | |
◇ | ◇(1) 序説 | |
◇ | ◇(2) 支配権から監護権へ | |
◇ | ◇(3) 親権の後見性・社会性 | |
■ | ■(ア) 親権に服する者 | |
■ | ■(イ) 親権者 | |
■ | ■(ウ) 親権の内容または効力 | |
親権は子のための未成年子に対する監護権。 | ||
本章第2節親権の効力として規定されているものは親権の内容であることは明らか。 820条:監護及び教育の権利義務 821条:居所の指定 822条:懲戒 823条:職業の許可 824条:財産の管理及び代表 825条:父母の一方が共同の名義でした行為の効力 826条:利益相反行為 827条:財産の管理における注意義務 828条:財産の管理の計算 829条: 830条:第三者が無償で子に与えた財産の管理 831条:委任の規定の準用 832条:財産の管理について生じた親子間の債権の消滅時効 833条:子に代わる親権の行使 民法中に法定代理人の権限として規定されているものも、広くは親権の内容に属すると解して妨げあるまい。 親権を行う母に嫡出否認の訴ぼ被告適格が認められているのも同様。 |
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■ | ■(エ) 身上監護と財産管理 | |
英米法: 親を子の自然後見人とみる 親の子に対する監護は身上にかぎられ、親としては子の財産に対し何らの権利も有しない。 親は信託の受託者として子の財産を管理することがあるにとどまる。 |
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大陸法: 親の子に対する監護は、子の身上のみでなく、子の財産にまで及んでいる。 親権者の子の財産に対する監護は、子のためのみではなく、親権者の有する子の財産に対する収益権と結合。 |
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■ | ■(オ) 親権と後見 | |
★ | ★第1節 総則(p13) | |
☆ | ☆前注(818条〜819条(親権者)) | |
◆ | ◆T 親権者と親権行使・・・親権の順位 | |
◆ | ◆U 父母同時親権の原則 | |
◆ | ◆V 親権復活(回復)の問題 | |
◆ | ◆W 離婚父母・非嫡出子父母の共同親権・共同監護 | |
離婚により、夫婦の絆は立たれても、親子の監護の絆は断たれてはならない。同様に、父母の未婚(非婚)も親子の監護の絆を断つ理由とはならない。子は、いかなる場合にも、父母に対し、監護を求めることができるとしなければならない。 | ||
最近いわゆる非親権者の法的地位が論ぜられ、また立法論として、離婚父母の共同親権・共同監護が主張されているのも、前述all or nothing への反省である。 | ||
☆818条 親権者 | ||
第818条(親権者) 成年に達しない子は、父母の親権に服する。 2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。 3 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。 |
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◆ | ◆T 親権に服する子 | |
◆ | ◆U 親権者 | |
◇ | ◇(3) 養子の親権者 | |
■ | ■(ア) 養子縁組と実親の親権 | |
特別養子⇒実親との親族関係が終了⇒実親の親権も消滅。 | ||
■ | ■(イ) 養父母による共同親権 | |
◆ | ◆V 親権の行使 | |
◇ | ◇(1) 親権を行う能力 | |
◇ | ◇(2) 親権の共同行使(p21) | |
■ | ■(ア) 共同行使の原則 | |
親権の共同行使: 子の監護教育、財産管理、子の法律行為の代理や同意など、親権の内容の行使が、父母の共同の意思によって決定されることをいう。 父母の共同の意思といいうるためには、父母が合意に基づいて共同名義で行うのが理想的といえるが、父母の一方が他方の同意を得て単独名義で行う場合であってもよく、またその同意は黙示のものでもよいとされる。 (最高裁昭和32.7.5は、父が行った子の土地の売買契約につき、母が売買契約、実地測量に同席しながら反対をしなかったことから、承諾があったとの事実認定をし、親権共同行使があったとする。) |
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父母の共同の意思を欠き、共同行使とはいえない親権行使の効力は、 それが @事実行為である場合 A代理行為である場合 B子の法律行為に対する同意である場合 によって異なる。 |
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□ | □ | |
親権者の一方が独断で不当な監護行為⇒親権の濫用となり、 理論的には、他方は共同親権に基づいてその差止を請求することができる。 |
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■ | ■(イ) 父母の意見の不一致 | |
父母の意見が一致しない⇒共同行使ができない⇒親権の行使は不可能 | ||
■ | ■(ウ) 共同行使の例外 | |
■ | ■(エ) 婚姻関係にない父母の親権共同行使 | |
☆820条 監護教育の権利義務 | ||
◆ | ◆T 監護教育の意義内容 | |
◇ | (1) 親権:父母がその子の心身および財産について監督保護し保全育成をはかる権利義務であり、その内容は、大別して身上監護と財産管理とされるのが通常。 |
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◇ | (2) 監護:監督保護 |
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監護と教育の関係 A:監護は身体の保全育成をはかる行為であり、教育は精神の発達をはかる行為 〇B: 監護は身体および精神の発達を監督し、これに危害または不利益の生ずるときにそれを防衛・保護する消極的行為であり、 教育は身体及び精神の発育完成をはかる積極的行為 |
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◆ | ◆U 監護教育をする者 | |
◆ | ◆V 監護教育の程度・方法 | |
◆ | ◆W 監護教育の委託 | |
◆ | ◆X 監護教育権の性質 | |
◆ | ◆Y 監護教育する親権者の責任 | |
◆ | ◆Z 監護教育費用の負担 | |
◆ | ◆\ 子の引渡請求 | |
☆821条 居所指定権 | ||
第821条(居所の指定) 子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。 |
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◆ | ◆T 監護教育と居所指定 | |
◆ | ◆U 居所指定権者 | |
◇ | ||
◇ | 父母の婚姻中は親権は共同行使(818V) ⇒本条についても妥当。 |
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☆822条 懲戒権 | ||
民法 第八二二条(懲戒) 親権を行う者は、第八百二十条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。 |
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◆ | ◆T 懲戒権の意義と性質 | |
懲戒:親権者による子の監護教育上から見て子の非行、過誤を矯正善導するために、その身体または精神に苦痛を加える制裁であり、一種の私的な懲罰手段。 | ||
◆ | ◆U 懲戒権者 | |
◆ | ◆V 懲戒の方法・程度 | |
懲戒のためには、しかる・なぐる・ひねる・しばる・押入に入れる・蔵に入れる・禁食せしめるなど適宜の手段を用いてよい。 but 「必要な範囲内」でなければならない。 「必要な範囲内」とはその目的を達するについて必要かつ相当な範囲を超えてはならないこと。 |
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大判明37.2.1: 親権者が法律によりて認許せられたる懲戒権を実行するに当たり、如何なる程度までその子の身体に拘束または拷責を加えることを得べきやは、 その親子の社会上の地位、懲戒を受ける子の性情、親権者の矯正せんとするその非行の種類性質等に拠りて定めるべき問題なるをもってその手段並びにその寛厳如何は常に各個の具体的事実につ之が判断を下すことを要し全ての場合に通すべき一定不変の標準を抽出すること能わず。 ・・・親権者がその子を死に致しその身体に創傷を負わしめ又はその健康を害するが如き所為は断じてこれを避止せざるべからずは勿論、 親権者の用いたる手段方法にしていやしくも常識ある人の認めてもって残忍酷薄なりとするものなるにおいてはたとえその手段方法が受戒者に一時的に痛苦をあたふるの外、何らの害悪を随伴することなしとするもなおかつ懲戒権の範囲外に逸出したる不適法の行為なりといはざるを得ず。 |
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新版注釈民法(28) 相続(3)960条〜1044条 | ||
☆1030条 | ||
◆ | ◆V 遺留分権利者を害することを知ってなした贈与 | |
当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってなした贈与は、1年前になされたものでも算入される(本条後段)。 | ||
「損害を加えることを知って」: 単に損害を加えるという認識、すなわち、「法律の知不知を問わず客観的に遺留分権利者に損害を加うべき事実関係を知ること」を意味。 |
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いかなる場合に損害を加うべき事実関係の認識があったといいうるか? 判例: @当事者双方に於いて贈与財産の価額が残存財産の価額に超えることを知りたる事実のみならず、 Aなお将来(・・・相続開始の日までに)被相続人の財産に何等の変動なきこと、少なくともその増加なかるべきことの予見の下に贈与をなしたる事実 が認められなければならない。 |
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vs. 結局、1年前の贈与を加算することは、現実に不可能となり、厳格にすぎるのではないかとの批判。 |
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