シンプラル法律事務所
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刑法各論第2版(山口厚)

 
 
★★第1編 個人的法益に対する罪  
     
     
     
     
     
     
★第4章 人格的法益に対する罪  
     
     
     
☆第2節 名誉に対する罪  
◆     
     
  ◆第2款 名誉棄損罪 
     
     
  ◇4 真実性の誤信 
     
     
  ■(5) 学説の諸相V(p146)
    過失のアプローチ:
真実の摘示についてのみ違法性の減少又は阻却を認め
虚偽の事実摘示については、真実性の誤信により虚偽性の認識が欠如した場合における過失責任を問おうとする見解。
    A説:「公共の利害に関する事実」については、虚偽の事実によってのみ侵害しうる(人の真価に対応した)規範的名誉のみが保護されているが、
その故意による侵害(虚偽性の認識がある場合)のみならず、過失による侵害(真実性の誤信により、虚偽性の認識を欠いているが、その点に過失のある場合)までをも処罰の対象とするものであり、刑法230条の2は過失犯処罰を肯定する「特別の規定」(刑法38条1項ただし書)。
vs.
事実の虚偽性はまさしく法益侵害結果、ひいては違法性を基礎付けるものと理解されることになり、事実の真否について挙証責任が転換されていることと整合しない。
B説:刑法230条の2を、事実が真実であることが(違法性の減少による)行為の可罰性を阻却することを規定したもの(処罰阻却事由説)
事実の虚偽性が(違法性に関する)処罰条件
⇒それが存在することについて、責任主義の見地から、少なくとも過失の存在が要求される。