シンプラル法律事務所
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真の再生のために(個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP−トップ |
論点の整理です(随時増やしていく予定です。)
個人再生の実務(QA)120問 | ||
第1章 手続き選択・受任 | ||
◆ | ◆6 5000万円要件@ | |
◇ | ◇1 個人再生手続を利用する場合の「再生債権の総額」の限度額 | |
■ | ■(1) 5000万円(以下)要件について | |
「再生債権の総額」が5000万円ををこえないことが手続開始の要件 ← 個人の債務者であっても、負債額が大きい場合には、再生計画認可による債権の免除額が高額となり、債権者に与える不利益が大きい⇒個人再生という簡素化した手続の利用を認めることは相当でない。 |
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5000万円要件は、 (1)手続開始の要件とされているほか、 (2)再生計画認可のための要件 〜(@無異議債権の額+A評価済債権)≦5000万円 |
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■ | ■(2) 「再生債権の総額」から除外される債権 | |
(1)住宅資金貸付債権(住宅ローン債権)の額 (2)別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額 (3)再生手続開始前の罰金等 〜5000万円要件における再生債権の総額から除外 |
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(1)住宅資金貸付債権(住宅ローン債権)の額 ← 当該債権又は当該債権に係る債務の保証人の主たる債務者に対する求償権を担保するため抵当権が住宅に設定⇒債務者の弁済原資を他の債権者と分け合う関係にない。 住宅ローン債権は、住宅資金特別条項を利用するか否かにかかわらず、「再生債権の総額」から除外。 |
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■ | ■(3) 利息制限法に基づく引直し計算 | |
第2章 申立準備・申立書作成 | ||
◆ | ◆18 受任通知後の預金口座に関する留意点 | |
◇ | ◇4 | |
受任通知とともに支払を停止した後に入金された部分については、仮に当該銀行に対する債務があっても相殺は禁止される。(93TAB) | ||
第93条(相殺の禁止) 再生債権者は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない。 一 再生手続開始後に再生債務者に対して債務を負担したとき。 二 支払不能(再生債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいう。以下同じ。)になった後に契約によって負担する債務を専ら再生債権をもってする相殺に供する目的で再生債務者の財産の処分を内容とする契約を再生債務者との間で締結し、又は再生債務者に対して債務を負担する者の債務を引き受けることを内容とする契約を締結することにより再生債務者に対して債務を負担した場合であって、当該契約の締結の当時、支払不能であったことを知っていたとき。 三 支払の停止があった後に再生債務者に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。 四 再生手続開始、破産手続開始又は特別清算開始の申立て(以下この条及び次条において「再生手続開始の申立て等」という。)があった後に再生債務者に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、再生手続開始の申立て等があったことを知っていたとき。 |
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◆ | ◆19 近年の最高裁判決を踏まえた所有権留保の自動車の扱い | |
◇ | ◇1 所有権留保 | |
◇ | ◇2 所有権留保と対抗要件 | |
◇ | ◇3 別除権の行使方法 | |
別除権⇒再生手続によらないで行使することができる(民再53U)。 所有権留保⇒第三者対抗要件を備えている別除権者は留保された所有権に基づき購入者に当該自動車の引渡しを求めることができる。 |
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◇ | ◇4 2つの最高裁判例 | |
信販会社が再生手続開始後に別除権の行使として所有権留保自動車の引き揚げを行うに当たり、信販会社自身が対抗要件を備えている必要があるか? | ||
● | 最高裁H22.6.4:これを肯定 | |
信販会社は再生手続開始の時点で所有者として登録されていない限り、販売会社を所有者とする登録がなされていても留保所有権を別除権として行使することは許されない。 but 同判決は、上記の三者間契約の合理的意思解釈として、 販売会社、信販会社及び購入者の三者間において、 販売会社に売買代金残額の立替払いをした信販会社が、売買代金残額相当の立替金債権に加えて手数料債権を担保するため、販売会社に留保された自動車の所有権について販売会社から代位によらずに移転を受け、これを留保する旨の合意をしたと判断したものと評価。 ⇒ 信販会社が販売会社の売買代金残債兼とともに留保所有権を法定代位(民法500条、501条)により取得した場合については、信販会社を所有者とする登録なくして別除権を行使できると解する余地。 |
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⇒自動車の割賦販売契約上の実務上、売買契約書の約款を修正したものが現れている。 旧約款:留保所有権の被担保債権として販売会社に発生した債権以外にも信販会社の立替払手数料等の債権が含まれており、所有権は販売会社に留保 新約款:所有権留保の被担保債権を販売会社に発生した債権に限定し、所有権は販売会社に留保され、民法の規定に基づきこれに代位する旨を明示的に規定 |
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● | 新約款のうち連帯保証方式のケースについて、破産手続きの事例で、 最高裁H29.12.7: 自動車購入者の売買代金債務を連帯保証した信販会社が、保証債務の履行として販売会社に売買代金残額を支払い、販売会社に留保されていた自動車の留保所有権を法定代位による取得⇒当該支払後に破産手続開始の決定を受けた購入者(破産者)の破産管財人に対し、別除権の行使として自動車の引き揚げを求めた。 |
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判断: 自動車の購入者と販売会社との間で当該自動車の所有権が売買代金債権を担保するため販売会社に留保される旨の合意がされ、 売買代金債務の保証人たる信販会社が販売会社に対し保証債務の履行として売買代金残額を支払った後、購入者の破産手続が開始された場合において、 その開始の時点で当該自動車につき販売会社を所有者とする登録がなされているときは、 保証人たる信販会社は、上記合意に基づき留保された所有権を別除権として行使することができるものと解するのが相当。 ← @保証人たる信販会社は、主債務である売買代金債務の弁済をするについて正当な利益を有しており、代位弁済によって留保所有権を法律上当然に取得し、求償権の範囲内で売買代金債権及び留保所有権を行使することができる(民法500,501) A購入者の破産手続開始の時点において販売会社を所有者とする登録がされている自動車については、所有権が留保されていることは予測し得るというべきであり、破産債権者に対する附則の影響が生ずることはない。 |
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平成29年判決の理由付けは再生手続においても妥当する ⇒ 少なくとも新約款の連帯保証方式については、信販会社は、購入者の再生手続開始決定時点において販売会社を所有者とする登録がされていれば、売買代金残額を代位弁済することにより、法定代位によって販売会社の留保所有権を取得し、当該留保所有権を別除権として行使することで、再生手続会社決定後に信販会社を所有者とする登録なくして再生債務者(購入者)に自動車の引き揚げを求めることができる。 |
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◇ | ◇5 再生手続開始決定前の自動車の引き揚げ | |
受任通知後、購入者が信販会社からの自動車の引き揚げ要請に応じた後に破産手続開始⇒車両の引渡し行為が「債務の消滅に関する行為」に当たるとして破産管財人による否認(破162T@イ)を認めた裁判例(神戸地裁H27.8.18)あり。 〜 立替払方式であり法定代位構成を明記していない契約の事案であるが、 三者間契約の当事者間では第三者対抗要件を備えていなくても契約上の義務に基づき自動車の引渡しに応じる義務があると考えられるにもかかわらず、否認対象行為となる場合があることを示す。 |
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◇ | ◇6 設問の検討 | |
@ | ||
A偏頗弁済として否認対象行為に該当⇒当該自動車の評価額につき、清算価値に上乗せする必要。 | ||
第3章 債権者一覧表・再生債権(p58) | ||
◆ | ◆33 別除権の取扱い | |
◇ | ◇1 | |
◇ | ◇2 別除権付債権の再生計画の条項 | |
◇ | ◇3 別除権付債権の弁済方法 | |
◆ | ◆37 事業用リース等と別除権協定(弁済協定) | |
◇ | ◇5 別除権協定(弁済協定)の許される場合 | |
東京地裁: 受戻代金額が担保目的物の適正な時価を前提として、その適正な価値相当額の範囲内にあることを要求。 |
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事業継続に必要不可欠かという観点からも判断される。 | ||
第4章 財産目録・清算価値保障原則 | ||
◆ | ◆43 滞納公租公課の存在と清算価値保障原則 | |
◇ | ◇1 | |
◇ | ◇2 清算価値保障原則への適合性のチェック | |
清算価値保障原則の意味: 破産手続により債権者が受け取る満足を保障するということ ⇒ 負債についても、破産手続と同様に、財団債権、優先・一般 劣後の破産債権という区別をして、債権者が受ける満足が害されるか否かを検討すべき。 |
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固定資産税・都市計画税の滞納分: 破産手続では、財産債権ないし優先的破産債権で一般破産債権に優先⇒清算価値の算定では滞納分80万円は控除すべき。 |
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個人事業者で従業員の労働債権なども優先債権⇒清算価値の算定では控除。 | ||
◇ | ◇3 清算価値保障原則の基準時 | |
計画認可時。 | ||
実務: 清算価値保障原則に触れるか否かの判定は、申立後開始決定までの間の資料によって行われる。 債務者が開始決定後に相続財産を得たなどの特別な事情がない限り、清算価値を改めて再生計画認可時にチェックすることは、個人再生手続では想定しておらず、実際にも、行われていない。 |
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◆ | ◆50 再生債務者名義の自動車と所有権留保 | |
◇ | ◇1 自動車の評価 | |
レッドブックで売却価格 | ||
◇ | ◇2 所有権留保特約のある自動車と再生手続上の取扱い | |
所有権留保特約: 契約当事者間においては第三者に対する対抗要件を備えていなくても有効 but 個人再生手続において所有権留保が別除権として認められるためには対抗要件を備えることが必要。 ← 別除権は再生手続によらないで行使することができる(民再53A)という優越的地位が与えられている。 |
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普通乗用車の場合: 道路運送車両法4条による登録が第三者対抗要件。 車検証の所有者欄を販売会社ないし自動車ローン債権者とし、使用者欄を購入者と登録することで、購入者がローンを払い終えないまま勝手に転売することを防ぐことができる。 |
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自動車ローン債権者からの自動車の返還請求について、 自動車ローン債権者自身が対抗要件を備えている必要があるかどうか⇒Q19へ。 |
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軽自動車、小型特殊自動車及び二輪の小型自動車(「軽自動車等」) 〜 登録が対抗要件とされていない⇒引渡しが対抗要件(民法178条) 対抗要件としての引渡しには占有改定(民法183条)も含まれる(判例) ⇒ 再生債務者が軽自動車等を現実に占有している場合でも、売買契約書等において再生債務者から販売会社ないし自動車ローン債権者に対する占有改定がなされている場合には対抗要件を備えていると評価⇒再生手続上は別除権付再生債権として扱われる。 |
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◇ | ◇3 財産目録への記載方法 | |
所有権留保が第三者対抗要件を備えている⇒別除権の行使によりう弁済が見込まれる額、担保不足見込額、別除権の目的を所定の欄に記載し、 時価は中古自動車販売店等が作成した査定書等による評価額から自動車ローン債権の残額を控除した額を記載。 |
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所有権留保が第三者対抗要件を備えていない⇒ 財産目録には中古自動車販売店等が作成した査定書等による評価額をそのまま記載して、 自動車ローン債権の残額等を控除することはできない。 |
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◇ | ◇4 自動車が再生債務者の生活によって必要不可欠な場合 | |
◆ | ◆55 開始決定後再生計画案提出までの財産の増減 | |
◇ | ◇1 清算価値保障原則 | |
清算価値保障原則: 再生手続における弁済率は破産手続における予想配当率を下回ってはならないというもの。 |
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清算価値把握の基準時: 再生計画認可決定があった時点。(民再236,242) 〜 再生手続開始決定後再生計画認可決定時までの間に発生した財産の増減は、原則として、清算価値に影響を及ぼす。 but 実務上は、再生手続開始決定後に大幅な財産の増減がない限りは、申立書添付の財産目録の記載に基づく清算価値を算出するという取扱いが一般的。 |
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◆ | ◆56 相続放棄・遺産分割協議と清算価値保障原則 | |
◇ | ◇1 個人再生と相続放棄 | |
再生債務者としては、相続が発生したが相続放棄をした旨を、裁判所に疎明資料(戸籍(除籍)謄本、相続放棄申述受理証明書等)を添付して報告すれば良い。 | ||
◇ | ◇2 個人再生と遺産分割 | |
◇ | ◇3 認可決定時までに相続放棄を行わなかった場合 | |
◆ | ◆57 第三者が出捐した債務者名義の保険・預金の評価方法 | |
◇ | ◇1 保険の場合 | |
当該保険契約の契約者は名義人Aなのか、それとも出捐者である母Bか、という問題として把握。 | ||
第5章 給与所得者等再生 | ||
第6章 再生計画案 | ||
◆ | ◆66 最低弁済額 | |
◇ | ◇1 計画弁済総額 | |
◇ | ◇2 基準債権 | |
■ | ■(1) 計算方法 | |
基準債権 (1)X<100万円⇒基準債権の総額 (2)100万円≦X≦500万円⇒100万円 (3)500万円<X≦1500万円⇒1/5 (4)1500万円<X≦3000万円⇒300万円 (5)3000万円<X≦5000万円⇒1/10 |
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第7章 住宅資金特別条項 | ||
第8章 履行・変更・ハードシップ免責・再度の申立て | ||
第9章 個人再生委委員 | ||
第10章 他の手続との関係 | ||
◆ | ◆115 債権者から起こされた訴訟と個人再生手続の関係 | |
◇ | ◇1 債権者から提起された訴訟の係属中に個人再生申立てをしたとき | |
個人再生手続の開始決定⇒再生債権に基づく強制執行をすることはできなくなる。 | ||
◇ | ◇2 債権者から提起された訴訟の係属中に個人再生の手続開始決定がされたとき | |
訴訟手続は中断せず、そのまま進行。 but 強制執行はできない。 |
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but 再生債権異関する訴訟で判決⇒確定前の段階でも、その後、個人再生手続きの中で債務者がその再生債権に異議を述べるためには、自ら評価の申立てをしなければならなくなる。 ⇒ 少しでも異議を述べる可能性があるならば、きちんと応訴した上で、請求原因の立証が十分か、抗弁事由がないかなどをチェック。 |
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◇ | ◇3 個人再生手続の開始決定後に債権者から訴訟を提起されたとき | |
◇ | ◇4 債権者から提起された訴訟の係属中に個人再生の認可決定が確定したとき | |
その認可決定の確定による権利の変更を、係属中の訴訟において、抗弁として主張。 | ||
◆ | ◆116 給料等の差押と個人再生手続 | |
◇ | ◇1 民事再生法上の定め | |
◇ | ◇2 実務上の対処法 | |
■ | ■(1) 再生手続開始申立後、開始決定前での対処法 | |
■ | ■(2) 再生手続開始決定後の対処法 | |
◆ | ◆117 再生計画認可決定確定後に残存する不動産仮差押登記の抹消方法 | |
◇ | ◇1 再生手続と保全手続の関係 | |
再生債権に基づく仮差押えは、「再生債権に基づく強制執行等」(法26TA)に当たる⇒再生手続開始決定により中止し(法39T)、再生計画認可決定が確定するとその効力を失う(法184)。 | ||
◇ | ◇2 再生計画認可決定確定後に残存する不動産仮差押登記の抹消方法 | |