シンプラル法律事務所
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民事交通事件について(15民事部裁判官)

石丸裁判官
★第1 交通部について  
  ◆1 大阪地裁交通部で扱う事件3
  ◇(1) 第1審の事件 
  ◇(2) 第2審の事件(交通控訴事件) 
     
  ◆2 事件数等4
   
  ◆3 交通部の体制4
     
  ◆4 単独事件と合議事件5 
     
★第2 事故態様について  
  □6
    〇交通事故の概要を把握し、訴状に正確に記載する
・発生日時~時刻の記載も
・発生場所
・関係車両
・事故態様~具体的な「事実」を記載
    〇事故態様がイメージ⇒図面の活用 
    〇交通事故証明書(証拠)は必須
     
  □7
    事故態様の認定に役立つ事実
・交通事故の発生場所及びその付近の状況
・交通事故前の車両の動静、事故時の状況
・交通事故後に道路等に残存した事故の痕跡
・交通事故による車両の損傷状況
・事故状況についての当事者や目撃者の説明
・交通規制の状況、事故時の転校
・その他

争いがないか、証拠により認定される必要
     
  ◇証拠:交通事故発生場所及びその付近の状況8
    ※道路の位置関係、道路の形状、幅員、交差点の構造、照明の有無、見通しの良否など
    〇事故現場を含めた付近一帯の地図や写真
〇事故現場の図面や写真等
具体的には:
道路地図、住宅地図
実況見分調書に添付の図面や写真
当事者や代理人が撮影した写真やビデオ映像
保険会社や調査会社が作成した調査報告書の図面や写真
航空写真、グーグルマップの写真
を証拠として提出。
    注意:
作成者(撮影者)を説明
作成時期(撮影時期)を説明
どの地点からどの方向を撮影しているかを説明
撮影の時期(季節や時刻)にも配慮
写真には番号を付ける(写真①など)
写真については、クリーンコピーを用意。
  □9 
  ◇証拠:交通事故前の車両の動静、事故時の状況 
    〇ドライブレコーダーの映像や音声
・裁判所の機器で再生可能なファイルの形式で提出
(交通事故処理マニュアル(補訂版)の資料24参照)
・コマ落としで写真化したものを提出 

〇事故現場付近に設置された防犯カメラの映像
〇タコグラフ⇒保存期間は1年
     
  ◇証拠:交通事故後に道路等に残存した事故の痕跡 
    ※スリップ痕、ガウジ痕、車両の破片の散乱状況、車両の停止位置等
  〇実況見分調書
〇事故後に当事者等が現場で撮影した写真
     
  ◇証拠:交通事故による車両の損傷状況10
    ・自動車検査証(車両の高さ、長さ、幅)
・原告車両の写真(全体、損傷部位)
・被告車両の写真(全体、損傷部位)
・損傷部位の高さが確認できる資料
・車両の損傷に関する査定書や修理見積書
・アジャスターの意見書
・その他

損傷状況、入力方向、損傷部位の高さの整合性、当事者等の説明との整合性など
    注意:
事故後に当事者等が現場で写真を撮影していることがある。
車両のどの部分を撮影しているか分からない場合がある。
写真を見てもどこに傷があるのか分からない場合がある。
写真のどの部分に着目すべきかを説明することも考える。
写真は、カラー写真が望ましい。
写真には番号をつける。
写真については、クリーンコピーを用意する。
     
  □11 
  ◇証拠:事故状況についての当事者や目撃者の説明 
    〇実況見分調書の指示説明
〇物件事故報告書
〇刑事事件の供述調書
〇保険会社や調査会社の調査報告書
〇陳述書、当事者尋問、証人尋問
〇その他(事故後の搬送先の病院のカルテなど)
     
  ◇証拠:交通規制の状況、事故時の天候など 
    〇実況見分調書
〇信号サイクル表
〇その他
     
  ◇証拠:事故態様 
    〇工学鑑定書(私的鑑定書)
     
  □12 
  〇事故態様に関する証拠の収集は、提訴前から積極的に行う
〇刑事記録の閲覧(刑事訴訟が確定済みの場合)
〇23条照会や提訴前証拠収集処分による送付嘱託による提訴前の証拠収集もある
〇送付嘱託の申立ては早期に行う(第1回期日前の申立ても可能)
〇刑事記録等の取寄せ方法については、赤い本上巻の説明が参考になる(不起訴事件の供述調書の送付嘱託の開示基準、目撃者の特定のための情報に関する調査嘱託の開示基準に留意)
〇証拠の提出は早期に行う
〇証拠を提出しないこと自体が不利益に斟酌されることがある
     
  □13 
    〇依頼者の説明をよく聞くことは必要
〇but依頼者の説明を鵜吞みにせず、他の証拠との整合性を検討
(依頼者の説明に基づく主張後に、刑事記録やドライブレコーダーによる映像により全く異なる事実関係が明らかになることがある。)
〇証拠を収集し、裁判所に提出すれば終わりではない。
〇関係証拠の整合性や矛盾の有無をよく吟味し、裁判所が受け入れることができるような証拠評価をした主張をすることが肝要
★第3 過失と過失相殺について  
  ◆1 過失について14
   

〇民法709条等を根拠⇒被害者は、事故態様を具体的に主張した上で、加害者に道交法違反等の注意義務違反があることを主張立証する必要。

〇注意義務違反についての主張も怠らない。
(訴状でこの記載が欠落していることがある。)
     
  □15 
    〇道交法に関する文献
・道路交通執務研究会「執務資料 道路交通法解説」
・道路交通法研究会「注解 道路交通法」

〇民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(別冊判タ38号)
→加害者の過失についても参考になる部分がある。

〇類似の事故態様の裁判例
     
  ◆2 過失相殺について16 
  ◇民法722条2項 
    民法709条の過失=注意義務違反
民法722条2項の過失=注意義務違反(+被害者の落ち度)
     
  ◇被害者側の過失 
    被害者と身分上ないし生活関係上一体をなすとみられるような関係にある者の過失

証拠上は、このような関係にあることが明らかであるのに、主張されていない場合があるので、注意を要する。
     
  □17 
    〇過失相殺の判断も「事故態様」が前提となる。
    〇民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(別冊判タ38号)
・大阪地裁でもこの認定基準がベースに
・序章、各章の序文、各項目の説明、基準表の注の記載等の検討
→当該事案には当てはまらない認定基準を指摘している例
・基本過失割合の修正用をについては、注の記載を踏まえて指摘する必要
・実際に発生する事故は千差万別→事案の個別性にも目配りして、過失割合を検討
     
  □18 
    〇別冊判タ38号に記載のない事故類型
    交通法規の定めや事故態様を個別具体的にみて、適切な過失割合を定めるほかない。

参考:
東京三弁護士会交通事故処理委員会編「寄与度と非典型過失相殺」
赤い本の「自転車同士の事故の過失相殺基準(第一次試案)」
赤い本の過失相殺に関する公演
類似の裁判例
     
★第4 損害~人的損害(人身損害)(19)  
  ◆1 損害の算定方式や額についての基準(目安)(20) 
    ①大阪弁護士会交通事故委員会「交通事故損害賠償額算定のしおり」(緑のしおり)
19訂版(平成28年7月発行)→20訂版の発行へ

②大阪地裁民事交通訴訟研究会編集
「大阪地裁における交通損害賠償の算定基準(第3版)」

③日弁礼交通事故相談センター東京支部編集
「民事交通事故訴訟損害賠償算定基準」(赤い本)

④日弁連交通事故相談センター専門委員会編集
「交通事故損害額算定基準」(青い本)


大阪高裁管内の裁判所においては、「緑のしおり」が使用されているkじょとが多い。
     
  □21 
    ☆緑のしおりの改訂部分
    1 古い基準の削除
2 債権法改正への対応
・中間利息の控除率
・遅延損害金の利率
3 その他の内容の改訂
4 資料の整理
・賃金センサス等のアップデート
・年5%と年3%のライプニッツ係数の掲載
・ホフマン係数の削除
3 その他の内容の改訂
①整骨院の費用の記載
②付添看護費の記載
③将来の介護費の記載
④葬儀関係費の記載
⑤後遺障害逸失利益の14級の労働能力喪失期間
⑥年金生活者の志望逸失利益の生活費控除率
⑦通院慰謝料の3.5倍基準
⑧入通院慰謝料の軽度の神経症状
⑨別表第1の2級と別表第2の後遺障害慰謝料
⑩経済的全損の基準
     
  □22 
    各種基準の位置づけ
・裁判所の判断に関する予測可能性が高まり迅速かつ適切な紛争解決につながる
・同種事案における公平性の確保
・基準はあくまでも過去の裁判例の集積から導かれる一定の目安⇒法的拘束力を持たない
・事案ごとの個別事情を無視して形式的・機械的に基準を適用するのみでは、妥当な結論を導くことができない場合も

各種基準の内容を十分に把握し、理解しつつも、個別事情に目配りすることも必要
     
  ◆2 損害の種類23
    人的損害と物的損害は分けて考える
・不法行為に基づく損害賠償訴訟において、訴訟物が異なる
・消滅時効の期間が異なる(改正民法724条の2)
・相殺が禁止されるかが異なる(改正民法509条2号)
・自賠法が適用されるかが異なる
     
  ◆3 損害を論ずる前提
  ◇その1~権利利益の侵害24 
    権利又は法律上保護される利益が侵害されたことの主張立証が必要
交通事故(加害行為)によって侵害されたことの主張立証が必要
    死亡事故:交通事故によって被害者が死亡したことの主張立証
→訴状の記載に格別問題なし
→死亡したことの証拠(死亡届(死体検案書)、戸籍謄本等)

傷害事案:交通事故によってどのような傷害を負ったのかについての主張立証
→どのような傷害を負ったか(傷病名)について記載がない訴状がある
→傷病を負ったことの証拠(診断書等)
     
  □25 
    受傷否認の事案:
原告において、交通事故(加害行為)と死傷の結果との間に因果関係があることの主張立証が必要。

自賠法の適用の事案:
過失の主張立証責任は転換but
運行と死傷との間の因果関係は、原告において主張立証する必要。
     
  ◇その2~入通院の状況26 
    入通院の状況は、治療関係費、入院雑費、交通費、付添看護費、休業損害、入通院慰謝料など複数の費目に関係⇒訴状においては、個々の損害費目について記載。
①どこの医療機関等に、いつからいつまで、入院(通院)したか
②各医療機関ごとの入院日数、実通院日数
③全医療機関を通じての通院期間、実通院日数
(日の重複がないようにする。)
④日数の数え間違いが多い⇒正確に記載。
⑤エクセルによる表の活用が有効なこともある。
証拠:診断書、診療報酬明細書(入通院期間、通院実日数の記載のあるもの)、施術証明書(施術費明細書)を提出。
   
  ◇その3~症状固定日27 
    個々の損害費目について記載する前に記載
    症状固定前:治療費、休業損害、入通院慰謝料
症状固定後:将来治療費、逸失利益、後遺障害慰謝料
    後遺障害診断書の提出を忘れない。
後遺障害診断書の症状固定日とすることが多い
but
症状固定したかは、飽くまで法的な判断⇒医師の診断と異なることもあり得る⇒その場合には、相応の主張立証(反証)が必要。
     
  □28 
    症状固定時が争われる⇒後遺症診断書の検討が必須。
その上で、
診断書、診療報酬明細書のほか、各種の医療記録(整骨院の施術記録を含む。)等により、k
①事故態様、事故による身体への影響の有無・程度
②症状の内容・程度・推移
③治療の内容・推移
④通院尾頻度や治療中断の有無・期間
⑤検査の有無や結果
等に着目しながら、
当事者双方から指摘意見書や、代理人の質問に対する主治医の回答書等が提出された場合は、その内容も参考にして、症状固定時期を認定判断。

証拠を早めに準備し、証拠による裏付けのある説得的な主張が欲しい。
     
  ◇その4~後遺障害29 
    ①逸失利益と後遺障害慰謝料に関係
②後遺障害の有無、内容及び程度についてまとめて記載してある方が理解しやるい
⇒個々の損害費目について記載する前に記載。 
  ◇(1) 後遺障害等級認定 
    損害保険料算定機構による被害者の後遺障害に関する等級認定は、裁判所を拘束するものではないが、後遺障害に関する被害者側の立証負担を軽減し、後遺障害の審理を円滑化し、和解などによる紛争解決を促進する機能

等級認定を受けておく
等級認定に不服⇒資料を整えて、早期に異議申立て
     
  □30 
  ◇(2) 具体的な主張 
    後遺障害の内容・程度、後遺障害等級該当性については、具体的に主張。
障害等級認定基準(基本通達)や各種の認定基準にも目配りする。
     
  ◇(3) 証拠の提出 
    後遺障害診断書、後遺障害等級認定票
(必要に応じて)医療記録、医師の意見書、後遺障害事案整理票、外貌醜状の写真など
     
  □32 
  ◇(4) 後遺障害等級認定における着目点の例 
    ①事故態様、事故の状況、事故による身体への影響の有無・程度、態勢の変化、事故による車両の損傷状況
②事故直後の症状、初診時の主訴、診断、検査の内容、初診の時期
③その後の症状の内容・程度・推移・症状の一貫性
④治療の内容・推移、痛みを除去するための処置の有無・内容
⑤通院の頻度や期間、通院の中断の有無・期間
⑥検査の有無や結果(患者の応答や協力が不可欠な検査か否か)
⑦画像所見の有無・症状との整合性
⑧その他
     
  ◇医療記録について 
    〇医療記録を書証として提出する際の留意点
・送付嘱託の申立ては早期に
・書証として提出
・適切に書証の番号(枝番)を付する
・丁数又は頁数を振る
・外国語、医学用語、略語、読みにくい手書きの文字には訳文等を付ける
・画像については、裁判官が理解できるようにしるしや説明を付す
・医師の意見書については、内容を理解した上で提出
     
  ◆4 積極損害
  ◇治療費33
    (1)症状固定前の治療費→必要かつ相当な実費
(2)症状固定後の治療費→原則として認められない。
症状の内容及び程度に照らし、必要かつ相当な実費については認めれられる
but
説得的な主張立証が必要。
(3)入院中の個室使用料→特別の事情がある場合、相当な期間について認められる。
①医師の指示があった場合
②症状が重篤であった場合
③空室がなかった場合
(1)~(3)の証拠として、診断書、領収書、診療報酬明細書等
(領収書のみで、必要性、相当性の立証ができるかという問題がある。)
(3)の証拠として、必要性や必要期間の記載のある診断書が考えられる。
     
  ◇整骨院・接骨院における施術費、鍼灸費用34 
    医師の指示の有無などを参考にしつつ、症状により有効かつ相当な場合は、相当額を認めることがある。

施術の必要性、施術内容の合理性、施術の相当性、施術の有効性に着目した主張立証が必要。

赤い本2018年下巻に「整骨院における施術費用」の講演

証拠:施術証明書、施術費明細書、領収書など。
     
  ◇治療関係費35 
    ・治療費等の額を領収書や診療報酬明細書で確認して主張。
・保険会社や労災保険等から医療機関に支払⇒正確な金額を原告において把握していないことがあるbut早急に把握して主張。
・治療費等は内払分も含めた全額を主張(既払金の主張がなされる場合に、過失相殺や素因減額が問題となると、過失相殺や素因減額をした後の損害額から既払金を控除。)。
     
  □36 
    比較
     
  □37 
    ・医療機関等ごとの額を主張
・計算間違いが多い⇒検算をする
・エクセルで表を作成し、訴状等に添付することも考える
・文書料込みの場合はその旨を命じ
・示談で提示された金額を主張but
被告の認否が否認又は不知⇒領収書や診療報酬明細書で立証する必要があることが多い。
     
  ◇入院雑費38 
    基準額(1500円)×入院日数
入院が長期に⇒基準額より低い金額とする場合もある
入退院を繰り返している⇒入院日数を二重に計算しないよう注意
     
  ◇交通費39
    (1) 被害者本人の入院時・退院時の交通費
①現実に支出した費用で
②必要かつ相当なもの 
(2) 近親者の付添看護のための交通費
原則として認めない(付添看護費に含まれるという扱い。)
留意点:
①計算根拠が明らかでないものがある。
②自家用車を利用したと主張
→医療機関までの距離、駐車料金等の証拠がないものがある。
③公共交通機関を利用したと主張
→運賃の額の証拠がないものがある。
④タクシーを利用したと主張
→領収書等の証拠がないものがある。
→タクシーを利用する必要性に関する主張立証が不十分
⑤保険会社の示談の提案額をそのまま損害として主張する場合に、特に、上記①~④の問題が生じることが多い。
被告が否認→原告において立証が必要。
⑥領収書等について、分かりやすいように整理し、必要であれば、証拠説明書等で説明を加える。
⑦エクセル等で一覧表→分かりやすい。
     
  ◇付添看護費41 
    (1) 入院付き添費(近親者)
ア 医師の指示があった場合
イ 受傷(症状)の内容・程度、被害者の年齢等から付き添い看護の必要性がある場合
→1日あたり6000円を基準として相当額。
(2) 通院付き添費(近親者)
→1日あたり3000円を基準として相当額。
上記金額は、付添人に生じた交通費、雑費、付添に必要な諸経費を含む。
有職者が休業して付添い→上記の金額と休業による損害の高い方の額。
(ただし、職業付添人による付添看護費を上限とすることあり)
    (3) 自宅付添費
症状により、自宅療養期間中の付添費を認めることがある。
付添費の額は、近親者の入通院付添費を参考にして定めることもある。
    (4) 職業付添人の場合
必要かつ相当な実費を認める。
近親者による付添いと異なり、領収書等の証拠の提出が必要。
     
  ◇将来の介護費43
    日額×365日(年額)×介護の期間の年数に対応する中間利息の控除のためのライプニッツ係数
※ライプニッツ係数が年5%によるか、年3%によるか
※口頭弁論終結前に死亡⇒死亡までに限られる。
〇近親者による介護
常時介護:原則は日額8000円
随時介護:介護の必要性の程度・内容に応じた相当な額

〇職業介護者による介護
必要かつ相当が実費

〇近親者による介護と職業介護者による介護を併用した事例

〇近親者が67歳まで近親者による介護+その後は職業介護者による介護とした事例

〇身体的介護を要しない看視的付添
障害の内容・程度、被害者の年齢、必要とされる看視の内容・程度等に応じて、相当な額を定めることがある。
     
  ◇装具・器具購入費等44 
    (1) 器具・装身具購入費
症状の内容・程度に応じて必要かつ相当な範囲で認める
一定期間で交換の必要なもの(車椅子、介護ベッド等)については、将来の費用についても認めるが、その際、中間利息を控除。

(2) 家屋改造費
症状の内容・程度に応じて必要かつ相当な範囲で認める。
家屋改造により同居家族が便益を受ける場合、減額することがある。

(3) 自動車購入費、自動車改造費
必要性、耐用年数が問題となるほか、買替えが必要な場合は、中間利息控除をする必要がある。
(2)と同様、家族の便益の供与による減額が問題となることがある。
     
  ◇将来の介護費、装具・器具購入費等45 
    中間利息控除計算資料の使い分け
①「年金現価表」→年払いで〇〇円を△年受け取る場合
ex.将来介護費として、余命期間20年間、日額8000円が必要
(8000円×365日)×12.4622(年金原価表の20年の係数)=3638万9624円
②「現価表」→△年後の〇〇円を現在受け取る場合
ex.将来3年毎に2回、10万円のベッドを買い替える
3年目の10万円の現在値
10万円×0.8683(現価表の3年目の係数)
6年目の10万円の現在値
10万円×0.7462(現価表の6年目の係数)

10万円×(0.8683+0.7462)=16万1000円

緑のしおりには、「装具・器具等購入費 買替係数表」があるので、これが便利。
     
  ◇葬儀関係費46 
    原則として基準額(150万円)
死亡の事実があれば、通常、葬儀の執行とこれに伴う基準額程度の出費は必要なものと認められる。
but
実際に支出した額が基準額を下回る場合は、実際に支出した額も考慮して相当額を算定する。
※遺体処置費、墓碑建立費、仏壇費、仏具購入費等の諸経費
→葬儀関係費に含まれ、特別の事情のない限り、別途認めない。

※遺体搬送料
→相当額を認める。

※香典返し、弔問客接待費
→損害と認めない。
     
  ◇その他47 
    (1) 損害賠償請求関係費用~必要かつ相当な範囲で認める
ex.
交通事故証明書の取得費用
診断書等の文書料
成年後見開始の審判手数料費用
(2)その他
交通事故と相当因果関係のある損害は認める
     
  ◆5 消極損害
  ◇休業損害48 
    (1)休業によって現実に減収となった額を認定可能→その額
(2)上記額の認定ができない
→基礎収入(日額)×休業期間×休業割合
①基礎収入~実収入が原則
②休業期間~症状固定迄の間で、かつ、要休業期間
③休業割合~休業期間中の休業割合
※休業の事実が必要
※減収の事実が必要but有給休暇分はこの限りではな
※無職者~原則として、休業損害は認められない。
but休業期間中に就労できた蓋然性の具体的な立証がポイント。
※高齢の1人暮らしの無職男性や女性
~家事をしていても、他人のために行なう労務ではない⇒休業損害は認められない。
     
  □49
    基礎収入:
①給与所得者

通常は事故前3か月に支払われた給与額を参考にして算定。
不確定要素の強い職種→より長期間の平均収入を用いるなどすることがある。
休業損害証明書、給与明細書、源泉徴収票の提出が多い。
同族会社において代表者の親族が従業員→納税証明書や課税証明書の提出を求めることがある。
②事業所得者

事故直前の申告所得額が原則→確定申告書の提出が必要
納税証明書や課税証明書(所得額の記載のあるもの)の提出が必要なこともある。
申告所得額を上回る実収入額の立証も可能butハードルは高い。
経費をどように考慮するかは、経費の内容による。
収入から一定の経費を控除した残額のすべてを基礎収入としてよいか(事業所得者の寄与による額にすべきか)がもpン台となることもある。
③会社役員

報酬のうち、役員としての稼働に対して支払われる労務提供の対価部分。
労務対価部分であることの具体的な主張立証。
④家事従事者

女性全年齢平均賃金(事故時の年の賃金センサス)
※年齢、家族構成、家事の分担状況などを考慮し、女性全年齢平均賃金の一定割合や年齢別平均賃金額とすることもある。
⑤兼業主婦

女性全年齢平均賃金額か実収入額の高い方
※家事の分担状況等が基礎収入に影響することもある。
   
  □52
    休業期間と休業割合:
現実に休業した期間や休業の程度を裏付ける証拠の提出。
給与所得者のj場合、休業損害証明書の提出が一般的butそれでは不十分な場合もある。
症状の程度・内容、被害者の属性によっては、休業が必要であった理由を具体的に主張立証する必要。
就労制限の程度について逓減方式によったり、減収額を割合的に認定することもある。
症状固定時に後遺障害が残存しているのか、その程度がどれくらいかを見据えて判断することもある。
休業日数を入院日数や実通院日数に限定して認定することもある。
     
  ◇後遺障害による逸失利益53 
    基本的な考え方:
東京・大阪・名古屋地裁「交通事故による逸失利益の算定方式についての共同提言」判タ1014豪62頁(3庁共同提言) 
基本的な計算方法:
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間のライプニッツ係数
     
  □54 
    基礎収入:
①給与所得者:
休業損害の場合に準じる
but
若年者(30際未満の者):
実収入額が、学歴計・全年齢平均賃金を下回る場合でも、将来的に障害を通じて平均賃金を得られる蓋然性あり→平均賃金。
上記蓋然性が認められなくても、学歴別・全年齢平均賃金、学歴計・年齢対応平均賃金等を採用することもある。
※蓋然性の主張立証が重要

若年者のうち大卒者:
大学生・全年齢平均賃金との比較を行う。
②事業所得者
③会社役員
④家事従事者
~休業損害の場合に準じる。
⑤幼児・生徒・学生:
原則→学歴計・全年齢平均賃金
大学生、大学進学の蓋然性あり→大卒・全年齢平均賃金
年少女子→原則は、全労働者の学歴計・全年齢平均賃金
⑥無職者:
就職の蓋然性があれば認められる。
被害者の年齢や失業前の実収入額等を考慮し、蓋然性の認められる収入額による。
     
  □56 
    労働能力喪失率:
後遺障害等級から労働能力喪失率表を参考にし、後遺障害の部位・程度、性別・年齢・職業、事故前後の就労状況、減収の程度等を総合考慮して判断。
後遺障害等級には、後遺障害の性質上、それだけでは通常は労働能力に影響を与えないと考えられる後遺障害あり⇒労働能力に与える影響を具体的に主張立証する必要がある場合がある。
※醜状痕(赤い本2001年)、歯牙傷害(赤い本2005年)
腸骨採取に伴う骨盤骨変形、脾臓障害、脊柱変形、嗅覚障害(赤い本2004年)
     
  □57 
    労働能力喪失期間:
始期: 
症状固定日
未成年者→18歳
ただし、大学進学等を前提とする→就学終了予定時    
終期:
67歳
年長者→原則は、平均余命の2分の1といずれか長い方
むち打ち症の場合、12級程度で5~10年が目安
★14級程度で3~5年が目安

非器質性精神障害 10年程度に制限する裁判例が多いとの指摘もある
中間利息控除~留意点は後述
   
  □58 
    後遺症の程度が比較的軽微であって収入の減少がない
→特段の事情の主張立証を忘れない。
①事故の前後を通じて収入に変更がないことが本人において労働能力低下による収入の減少を回避すべく特段の努力をしているなど事故以外の要因に基づくものであって、かかる要因がなければ収入の減少を来しているんものと認められる場合。
②本人が現に従事し又は将来従事すべき職業の性質に照らし、特に昇給、昇任、転職等に際して不利益な取扱を受けるおそれがあるものと認められる場合。
(最高裁昭和56.12.22)
     
  □59 
    裁判例における着目点
①業務への支障
②本人による努力の内容、程度
③勤務先による配慮
④勤務先の規模、存続可能性
⑤昇進、昇給等における不利益
⑥退職、転職の可能性 
     
  ◇死亡による逸失利益60 
    基礎収入×(1-生活費控除率)×就業可能年数のライプニッツ係数 
基礎収入:
後遺障害逸失利益の場合に準じる。
※賃金センサスを用いる場合は、死亡した年のもの(後遺障害と異なる。)
※年金の逸失利益は肯定する傾向(遺族年金の逸失利益は否定される傾向)
生活控除:
一家の支柱:30~40%
女性:30~40%
その他:50%
※未就労の年少女子が死亡し、全労働者平均賃金を基礎収入とする場合
※男性並みの収入を得ていた女性の場合
★年金収入の逸失利益については、異なる生活控除率を用いることがある。
就労可能年数:
67才までが基本

年長者:簡易生命表の余命年数の2分の1と67歳までの就労可能年数とを比較して長期の方
※ただし、年金の逸失利益~余命年数

未就労者:始期に注意
原則として18際
大学進学等によりそれ以後の就労を前提→就学就労予定時
     
  ◇逸失利益62
    中間利息控除:
症状固定時を基準にライプニッツ方式による(3庁共同宣言)
★交通事故(不法行為)が令和2年3月31日まで→年5%
★交通事故(不法行為)が令和2年4月1日以降→当面は年3%
未就労者の場合のライプニッツ係数の計算に注意:
死亡時の年齢から労働可能期間までの年数に相当するライプニッツ係数ー死亡時の年齢から就学終了予定時までの年数に相当するライプニッツ係数
※緑のしおり資料「18歳未満の者に適用するライプニッツ係数」
     
  ◆6 慰謝料
  ◇死亡慰謝料63 
  ◇入通院慰謝料 
  ◇後遺障害慰謝料 
     
     
  ◆7 損害の通常の計算67
  ◆8 過失相殺68
  ◆9 素因減額69
     
  ◆10 損害の填補・損益相殺等72 
  ◇(1)はじめに
  交通事故に関して給付を受けた場合、損害額の算定に当たって控除する必要がある場合がある。
  受領した給付の種類・費目によって、
①控除されるか(加害者等からの弁済、損益相殺(的調整)、保険代位)
②過失相殺との先後関係がどうなるか
③費目拘束があるか
④充当される範囲や順序はどうなるか
が異なる。
   
  □73 
    交通事故に関して給付を受けたか、
誰からどのような原因で給付を受けたか
を確認

資料を収集し、証拠として提出(支払通知書、支給決定等)
必要であれば、送付嘱託や調査嘱託の申立て
原告において既払金を把握⇒訴状で明らかにされていることが多い。
和解案提示や弁論終結の前に、さらに受けた給付がないかを確認。
※和解案提示後に既払金が明らかになり、紛糾することあり。
※既払金が発覚して、弁論の終結ができくなる事例。
     
  □74 
  ◇(2) 控除の対象となるものとならないものの仕訳 
  ■ア 控除の対象とならないもの 
    ①香典

②見舞金
(弁済の趣旨が争われることがないわけではない⇒加害者が被害者に金銭を交付する場合は、その趣旨を明確にしておく。)

③労災の特別支給金
労働福祉事業の一環としtえ被災労働者の福祉の増進を図るためのもので、代位等の規程なし。
⇒損害のてん補の対象外。

④介護保険法による給付の将来受給分
控除を否定する扱いが多い
⑤生命保険金
既に払い込んだ保険料の対価たる性質。不法行為の原因と関係なく支払われるもので、代位規定なし。

⑥搭乗者傷害保険金
定額保険と解されている。
but
加害者加入の自動車保険から支払われた場合、慰謝料の減額要素として斟酌する扱いをすることがある。
     
  ■イ 控除の対象となるもの 
  (ア) 過失相殺前に控除すべき給付 
①健康保険法、国民健康保険等による療養の給付(異なる見解あり)
②介護保険法による介護保険給付(既に給付された分)
    (イ) 過失相殺後に控除すべき給付 
    加害者からの弁済

①自賠責保険金
②任意保険金
③労働者災害補償保険(労災保険)給付
(特別支給金を除く。)
④国民年金法等による障害年金・遺族年金
⑤人身傷害補償保険金(人身保険金)
※その他にも、所得補償保険金、無保険車傷害保険金などがある。
     
  □77 
    ①自賠責保険金
・控除の可否~控除される
・過失相殺後に控除
・費目拘束なし(ただし、人損のみという点では費目拘束あり)
・充当方法
特段の主張なし⇒元本から充当
遅延損害金から充当する旨の主張あり⇒遅延損害金から充当し、残額を元本に充当

※政府の自動車損害賠償保障事業てん補金についても同様
     
  □78 
    ②任意保険金
・控除の可否~控除される
・過失相殺後に控除
・費目拘束なし(ただし、対人保険→人損、対物保険→物損)
・充当方法
元本への充当合意があると認定されることが多い

※被告においては、既払金の額等を主張し、必要に応じて、書証(プルーフ等)を提出
※被告側の任意保険会社が作成した既払い金に関する資料には、労災保険や健康保険の療養給付分の治療費に関する求償分として、労基署や健康保険組合に支払った分も計上されていることがあるので注意を要する。
     
  □79 
    ③労災保険給付:
損害のてん補に当たるとされる保険給付の種類

  業務災害      通勤災害
① 療養補償給付  療養給付
② 休業補償給付  休業給付
③ 障害補償給付  障害給付
④ 遺族補償給付  遺族給付
⑤ 葬祭料      葬祭給付
⑥ 傷病補償年金  傷病年金
⑦ 介護補償給付  介護給付

過失相殺後に給付
費用拘束がある
→休業損害及び逸失利益、慰謝料といった損害の種類(費目)に拘束される。
→保険給付と損害賠償が「同一の事由」の関係にある場合に、損害の填補が認められるため。

「同一の事由」の関係にあるとは・・・
=保険給付の趣旨目的と民事上の損害賠償の趣旨目的とが一致すること。
(単に同一の事故から生じた損害であるだけではなく、保険給付の対象となる損害と民事上の損害賠償の対象となる損害とが同性室であり、本件給付と損害賠償とが相互補完性を有する関係にあること)
①療養補償給付→少なくとも治療費に充当
休業損害、逸失利益、慰謝料には充当できない。

②休業補償給付、障害補償年金→休業損害及び逸失利益に充当
障害補償一時金、傷害補償年金→休業損害及び逸失利益に充当

③葬祭料→葬祭費用に充当

④介護補償給付→介護費用に充当

※労災保険給付は、物的損害を補償するものではない。 
労災保険給付の遅延損害金への充当の可否:
最高裁H22.9.13:
→療法給付については、治療費等の療養に要する費用の元本と同性質及び相互補完性を有する。
→元本との間で損益相殺的な調整を行う(遅延損害金との間で損益相殺的調整を行うことは相当ではない。)

最高裁H22.10.15:
→休業不及び障害一時金につき、休業損害及び逸失利益の元本との間で損益相殺的な調整(遅延損害金との間で損益相殺的調整を行うことは相当ではない。)

最高裁H27.3.4:
→遺族補償年金につき、逸失利益等の消極損害の元本との間で損益相殺的調整(この点に関する最高裁H16.12.20は変更されている)
年金給付の場合:
年金形式で支給されるもの(傷病年金、障害年金、遺族年金等)
→既支給分だけでなく、今後、支給を受けることが確定している分も控除の対象。

請求権者と受給権者が異なる場合:
死亡事故で被害者の損害賠償請求権を妻と子供が相続した場合に、妻のみが遺族年金を受領し、子供らは受領していない
→妻の損害額からのみ控除。
     
  □85
   
国民健康保険法による傷病手当金
厚生年金保険法による遺族厚生年金・障害厚生年金
国民年金法による遺族基礎年金・障害基礎年金
国家公務員共済組合法による遺族年金
地方公務員等共済組合法による遺族年金

控除の対象となる。
過失相殺後に控除。
費目拘束あり。

年金方式の場合に注意。
請求権者と受給権者が異なる場合に注意
     
     
     
     
     
  ◆11 弁護士費用88 
    事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものに限り、当該不法行為や自賠法3条の「運行」と相当因果関係に立つ損害として認められる。
原則として、認容額(=過失相殺等がされた後の損害額)の1割程度
ただし、諸般の事情を考慮して、増減はある。
     
  ◆12 遅延損害金89
    損害の発生と同時に遅滞に陥る。

★遅延損害金の利率
債務者が遅滞の責任を負った最初の時点が令和2年3月31日まで⇒年5%
債務者が遅滞の責任を負った最初の時点が令和2年4月1日以降⇒年3%
     
     
★第5 損害~物的損害90
    損害を論ずる前提:
誰のどのような権利又は法律上保護される利益が侵害されのか意識する。 
①所有者が請求する場合:
所有者であることの主張が欠落していることが比較的多い。
被告の認否が否認又は縁→所有者であることの立証が必要。
車検証等により所有権の立証は容易。
もっとも、名義残りの場合に所有権取得原因の根拠が準備されていないことが多い。
②所有権留保された車両の使用者が請求する場合。
③リース車両ユーザーが請求する場合
→請求権を有するかの吟味が必要。
     
  □91 
    1 車両修理費等
2 評価損
3 代車使用料
4 レッカー代
5 車両保管料、廃車費用
6 登録手続関係費用
7 休車損害
8 慰謝料
     
  ◆物的損害の計算 
     
★第6 責任の主体
(誰に対し、どのような法的根拠で請求するか。)  
    〇運転者の責任(民法709条)
    〇使用者責任(民法715条)
①運転者の「使用者」であることを基礎付ける事実
②交通事故が「事業の執行」中に発生したことを基礎付ける事実
→訴状において、いずれかの記載が抜けていることがある。
→①②の事実と責任についての主張を分けて記載しないと、①②についても、否認や争うとの認否がされてしまうことが多い。
    〇運行供用者の責任(自賠法3条本文) 
人損のみ→物損の根拠規定としている訴状が散見される。
自転車は対象とならない(原付とは異なる。)
過失の立証責任が転換されており、被害者に有利であるのに、人損の事案でも、民法709条のみを根拠とする訴状がよくある。
自賠法3条を根拠としながら、運行供用者であることを基礎付ける事実が訴訟に記載されておらず、立証もされない事案がある。
運行供用者については多数の判例・裁判例がある→それを踏まえた主張立証が必要。
    〇その他(民法711条、714条など)
根拠条文、要件、関連する判例等を理解し、それを意識した主張立証を!
    〇加害者側の任意保険会社に対する直接請求
請求する必要があるかを吟味
・アフターロス契約であるなどとして、保険契約の効力を争っている事案
・当該事故による損害は任意保険によってカバーされないと主張している事案
・任意保険約款所定の賠償責任条項の要件の欠如を主張している事案
・約款所定の免責を主張している事案
被害者の被保険者に対する判決の確定を条件とする将来請求(請求の趣旨に注意)
仮執行宣言の申立てはできない(この申立てが記載されている訴状が散見される)
保険約款の該当条項の主張が必要(この主張がないと主張自体失当となる。)
約款の該当部分を証拠として提出
     
★第7 訴訟上の留意点 96
  ◆1 提訴の準備96 
     
  □97 
    ◇自賠責保険の被害者請求をすべきか検討したか?
※裁判所による法的な損害額の算定より被害者に有利な取扱い(過失相殺など)。
訴訟係属⇒裁判所の判断が優先され、結果的に被害者に不利になることがある。

※労災保険や社会保険が求償氏、先に自賠責保険から回収することがある。
過失割合7割未満⇒自賠責では減額なし

死亡又は後遺障害
・過失割合 7割以上8割未満⇒2割減額
・過失割合 8割以上9割未満⇒3割減額
・過失割合 9割以上10割未満⇒5割減額

傷害
・過失割合 7割以上10割未満⇒2割減額
     
  □98 
    損保保険料機構により後遺障害等級認定は受けたか?
提訴によるリスクはないか?
※訴訟になると送付嘱託等を利用して、刑事記録や医療記録等が証拠提出⇒その内容によっては、加害者側の対応が提訴前と全く異なるものになるなどして、示談よりも被害者に不利益な結果となることもある。
※示談においては、判決では認められないおそれがある損害を早期解決のために支払うこととしている場合もある。
     
  ◆2 訴状の作成
  ◆3 管轄 100
    (1)事物管轄:
140万円超⇒地方裁判所
140万円以下⇒簡易裁判所
 
    (2)土地管轄:
普通裁判籍→被告の住所地
特別裁判籍:
不法行為地→交通事故発生場所
義務履行地→原告の住所地
(3)合意管轄:
合意書と被告代理人の委任状を提出
(4)応訴管轄:
被告が大阪地裁で応訴予定である旨の上申書
     
  ◆4 訴額 102
    反訴する場合、反訴状提出前に担当書記官に訴額を問い合わせてもよい。
(手数料の還付のことを考えると書記官もその方がよい)
  ◆5 準備書面 
  ◆6 証拠説明書 
  ◆7 書証 
  ◆8 送付嘱託
  ◆9 閲覧・当社105
    文書→司法協会
CD等のメディア→第15民事部
※交通事故炎処理マニュアル補訂版の資料21参照
レントゲンフィルム等→大阪府医師会
※第15民事部に複製の日の3営業日前に連絡が必要
(大阪府医師会への予約が必要。また、フィルムは第15民事部で保管していないので、借用の手続が必要)
  ◆10 障がい者配慮 
配慮が必要な場合は事前に書記官に連絡。
     
★第8 民事裁判のIT化