シンプラル法律事務所
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◆ | ◆ | |
◆ | ◆ | |
★第2部 民法総則 | ||
☆第4章 意思表示による権利変動・・・法律行為・総説 (p42) | ||
第1節 法律行為・意思表示の意義 | ||
◆ | ◆1 法律行為の意義・・・・意思表示を不可欠の内容とする法律要件 | |
法律行為:当事者の意思に基づいて権利の変動(権利の発生・移転・消滅)という法的な効果が認められる行為。 | ||
法律行為では、意思表示が不可欠の要件とされ、そこでの法律行為は、意思表示の内容によって定まる。 | ||
◆ | ◆2 意思表示の意義 | |
◇ | ◇1 効果意思の表示行為 | |
意思表示とは、効果意思の表示、すなわち、権利変動(権利の発生・移転・消滅)という法律効果を発生させようとする意思(効果意思)を外部に示す行為。 | ||
◇ | ◇2 意思表示の効力発生時期・・・到達主義 | |
◆ | ◆3 法律行為の種類 | |
◇ | ◇2 契約(p44) | |
契約:複数当事者の意思表示が合致することにより成立する法律行為。 | ||
第2節 法律行為(契約)の解釈と内容確定 | ||
☆第5章 意思表示の瑕疵 (3p48) | ||
第1節 はじめに | ||
意思表示に瑕疵⇒合意には法的保護が与えられず、その効力を否定。 | ||
第2節 心裡留保 | ||
◆ | ◆T 心裡留保の意義 | |
心裡留保: 真意でない意思表示であって、表意者が真意の不一致を認識している場合 |
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◆ | ◆U 心裡留保の効力 | |
第3節 通謀虚偽表示 | ||
◆ | ◆T 通謀虚偽表示の意義 | |
通謀虚偽表示: 真意でない意思表示であって、意思表示の相手方との間に通謀があった場合 |
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第4節 錯誤 (3p51) | ||
第九五条(錯誤) 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。 一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤 二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤 2前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。 3錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。 一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。 二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。 4第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。 |
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◆ | ◆T 錯誤の意義と種類 | |
◇ | ◇1 錯誤の意義 | |
表意者の意識しないところで表意者の主観と現実との間に食い違いがある場合 | ||
◇ | ◇2 表示行為の錯誤(表示錯誤) | |
表示行為の錯誤(表示錯誤): 「意思表示に対する意思を欠く錯誤」(95条1項1号) |
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(1) 内容の錯誤 | ||
(2) 表示上の錯誤 | ||
表示行為そのものに関する錯誤 | ||
◇ | ◇3 行為基礎事情の錯誤(事実錯誤(動機の錯誤)) | |
◆ | ◆U 錯誤による意思表示の効力 | |
◇ | ◇1 重要な錯誤であることを理由とする意思表示の取消可能性 | |
■ | ■(1) 錯誤を理由とする意思表示の取消し | |
錯誤による意思表示のうち、「その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるとき」にのみ、表意者はその意思表示を取り消すことができる(95条1項)。 | ||
■ | ■(2) 錯誤の重油負う | |
「その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものである」といえるためには、 (a)その錯誤が当該法律行為の目的(その法律行為がめざしていたもの)にとって重要であることと、 (b)その錯誤が一般的にも重要であること が必要。 |
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◇ | ◇2 例外 | |
■ | ■(1) 表意者に重過失がある場合 | |
■ | ■(2) 例外の例外 | |
(1)相手方が評者に錯誤があることを知り、または重大な過失によって知らなかったとき(95条3項1号)。 | ||
(2) | ||
◇ | ◇3 善意無過失の第三社への対抗不能 | |
第5節 詐欺・強迫 | ||
◆ | ◆T 詐欺による意思表示 | |
◆ | ◆U 強迫による意思表示 | |
◆ | ◆V 関連問題・・・消費者契約法による取消し | |
☆第6章 契約の不当性(3p60) | ||
◆ | ◆T 私的自治の原則と公序良俗 | |
◆ | ◆U 公序良俗違反の類型 | |
◆ | ◆ | |
☆第7章 無効と取消し(3p65) | ||
第1節 無効・取消しの意義 | ||
第2節 取消し(3p68) | ||
◆ | ◆T 取消しの意義 | |
◆ | ◆U 取消権者 | |
◆ | ◆V 取消しの方法 | |
取消しの相手方:意思表示・法律行為の相手方。 | ||
取消しは、この相手方に対する意思表示でおこなわれる(123条)。 | ||
◆ | ◆W 追認 | |
◇ | ◇1 追認による確定的有効 | |
◇ | ◇2 追認の時期 | |
◇ | ◇3 法定追認(追認擬制) | |
◆ | ◆X 取消権の消滅・・・取消権の消滅時効・除斥期間 | |
☆第8章 代理 (3p73) | ||
第1節 代理制度の基本的しくみ | ||
◆ | ◆T 代理の意義 | |
◆ | ◆U 代理制度の必要性 | |
◆ | ◆V 代理のしくみ・・・他人効を生じさせる制度 | |
◆ | ◆W 代理行為 | |
◇ | ◇1 代理における行為者 | |
◇ | ◇2 代理行為(意思表示)の瑕疵 | |
■ | ■(1) 原則・・・代理人を基準とする評価 | |
■ | ■(2) 例外・・・本人を基準とする場合 | |
■ | ■(3) 関連問題・・・本人または代理人が詐欺をはたらいた場合 | |
◆ | ◆Y 代理権(3p77) | |
◇ | ◇1 本人への効果帰属要件としての代理権 | |
◇ | ◇2 代理権の範囲 | |
第2節 代理人の地位(3p78) | ||
◆ | ◆T 本人に対する代理人の義務 | |
◆ | ◆U 代理権の制限 | |
◇ | ◇2 代理権の濫用 | |
■ | ■(1) 代理権の濫用の意義 | |
無権代理:代理権がない場合はまたは代理権の範囲を超えて代理人として行動した場合 代理権の濫用:代理権を有している代理人が代理権の範囲内で行動したが、本人のために代理行為をする意図がなかった場合 |
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■ | ■(2) 代理権濫用の効果・・・悪意・有過失の相手方⇒無権代理擬制 | |
民法 第一〇七条(代理権の濫用) 代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。〔本条の施行は、平三二・四・一〕 |
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代理権の濫用について、 @代理権の濫用がされた場合でも、代理人は代理権の範囲内で行動している⇒相手方との関係では代理行為の効果が本人に帰属 A「自己又は第三者の利益を図る目的」を相手方が知り、または知ることができたときは、当該行為を「代理権を有しない者がした行為」、すなわち、無権代理とみなしている(107条)。 |
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★第3部 物権 | ||
☆第3章 物権変動 | ||
第7節 動産物権変動と対抗要件 | ||
◆ | ◆T 民法上の公示方法・・・引渡し・ | |
◇ | ◇2 引渡しの種類 | |
X⇒Y | ||
@現実の引渡し | ||
A簡易の引渡し | ||
B占有改定: 第一八三条(占有改定) 代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したときは、本人は、これによって占有権を取得する。 |
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C指図による占有移転 | ||
☆第4章 占有権 | ||
◆ | ||
第2節 占有(権)の成立 | ||
◆ | ◆W 代理占有 | |
◇ | ◇1 代理占有の意義 | |
◇ | ◇2 代理占有の要件 | |
◇ | ◇3 占有代理人の自己占有の可能性 | |
★第5部 債権総論 | ||
☆第1章 債券関係とその内容 | ||
◆ | ◆T 債権関係 | |
◇ | ◇1 債権と債務 | |
◇ | ◇2 債権関係の発生原因 | |
民法:契約、事務管理、不当利得、不法行為を挙げている。 | ||
◆ | ◆U 債権の目的 | |
◇ | ||
◇ | ◇2 特定物債権 | |
◇ | ◇3 種類債権 | |
◆ | ◆V 金銭債権(3p255) | |
◆ | ◆W 利息債権 | |
◆ | ◆X 選択債権 | |
☆第2章 債務の不履行 | ||
第2節 債務不履行を理由とする損害賠償(3p267) | ||
◆ | ◆T 損害賠償の要件 | |
◇ | ◇1 債務の不履行 | |
債務不履行:債務者が債務の本旨に従った履行をしないこと | ||
☆第4章 弁済(p286) | ||
第1節 総論・・・弁済とこれに関する制度 | ||
◆ | ◆W 弁済供託 | |
◇ | ◇1 供託(弁済供託)の意義 | |
◇ | ◇2 供託ができる場合 | |
民法 第四九四条(供託) 弁済者は、次に掲げる場合には、債権者のために弁済の目的物を供託することができる。この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅する。 一 弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき。 二 債権者が弁済を受領することができないとき。 2弁済者が債権者を確知することができないときも、前項と同様とする。ただし、弁済者に過失があるときは、この限りでない。 |
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☆第8章 多数当事者の債権関係(保証債務を除く) (3p336) | ||
第1節 はじめに | ||
◆ | ◆T 多数当事者の債権関係の意義 | |
◆ | ◆U 多数当事者の債権関係を捉える際の視点 | |
(1) 債権者は、債務者に対してどのように履行請求することができるか。 債務者は、債権者に対してどのように履行しなければならないか。 複数債権者と債務者、複数債務者と債権者の関係をどのように規律するか。 〜 対外的効力 |
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(2) 複数債権者・複数債務者のうちの1人について生じた事由が、他の債権者・他の債務者に影響をするか。 複数当事者の1人に生じた事由が他の当事者にも影響すること⇒絶対的効力 影響しないこと⇒相対的効力 |
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(3) 債権者複数の場合・・・ 債務者複数の場合には、債権者に弁済した債務者は、他の債務者に求償することができるか(他の債務者は弁済をした債務者の負担を分かち合わなければならないか)。 〜 内部関係の問題 |
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第2節 連帯債務 | ||
◆ | ◆T 連帯債務の意義と対外的効力 | |
◇ | ◇1 連帯債務の意義 | |
◇ | ||
◆ | ◆U 連帯債務者の1人に生じた事由 | |
◇ | ◇1 絶対的効力事由 | |
◇ | ◇2 弁済・代物弁済・供託 | |
一部の連帯債務者によって弁済、代物弁済、供託がされれば、その限度で債権者消滅する。 〜 明文の規定はないが、連帯債務が同一の給付を目的としており、これらの事由はその満足をもたらすもの⇒絶対的効力事由。 |
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◆ | ◆V 求償権 | |
◇ | ◇1 求償権と負担部分 | |
★第6部 契約 | ||
☆第10章 寄託・組合・和解 | ||
第2節 組合(3p474) | ||
◆ | ◆T 組合契約の意義 | |
◆ | ◆U 組合の業務決定・業務執行・・・組合の内部関係 | |
◆ | ◆V 組合の対外的関係・・・組合代理 | |
◆ | ◆W 組合の財産関係 | |
◆ | ◆X 組合による損益分配 | |
◆ | ◆Y 組合員の変動 | |
◇ | ◇3 組合からの組合員の脱退 | |
■ | ■(1) 脱退の種類 | |
(1) | ||
(2) 民法の定める一定の要件(・・・・除名(組合員全員の一致と正当事由のあることを必要とする))を充たしたときに、組合員の意思に反してされるだった(非任意脱退。679条・680条) | ||
■ | ■(2) 脱退の効果 | |
◆ | ◆Z 組合の消滅・・・解散と清算 | |
★第7部 法定債権関係 | ||
☆第3章 不法行為 (3p504) | ||
第1節 一般的不法行為 | ||
第2節 不法行為の要件 | ||
◆ | ◆T 権利・法益侵害 | |
◆ | ◆U 故意・過失 | |
◇ | ◇2 故意 | |
結果の発生を意欲し、または認容したこと。 | ||
◇ | ◇3 過失 | |
■ | ■(1)意義・・・結果発生の予見可能性を前提とした結果回避義務違反 | |
過失: 結果発生の予見可能性がありながら、結果の発生を回避するために必要とされる措置(行為)を講じなかったこと、つまり、結果回避義務に反する違反。 |
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現在:外部にあらわれた行為の不適切さをもって過失を判断する考え方(客観的過失) | ||
行為者に結果回避のために適切な行為をすることが期待できるものでなければならない ⇒ @結果発生の具体的危険が存したことと A結果の発生が行為者に予見できたもの でなければならない。 |
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過失の有無を判断する際には、合理人を標準とする(抽象的過失) but 合理人については、行為者と同様の職業・地位に置かれた平均人というように類型化されて考えられている。 |
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◆ | ◆V 因果関係・・・責任設定の因果関係 | |
◇ | ◇1 条件関係(事実的因果関係) | |
■ | ■(1) 不可欠条件公式による判断 | |
少なくとも、被害者に生じた権利・法益侵害および損害が加害行為の結果であるという関係が認められなければならない。 | ||
「あれなければ、これなし」という公式 | ||
■ | ■(2) 不作為の因果関係 | |
作為不法行為の場合と異なり @まず、行為者に「作為義務」があったkどうかの判断を先行 A次に、不可欠条件公式を変形し、「作為義務を尽くした行為がされたと仮定したならば、問題の結果は発生しなかったであろうか」でYES⇒因果関係肯定。 |
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■ | ■(3) 原因の重畳的競合 | |
AとBの工場廃水が混じり合い、Xを死亡させた | ||
■ | ■(4) 原因の択一的競合 | |
複数の者がいずれも被害者の疎なぎをそれのみで惹起し得る行為を行い、そのうちにいずれの者の行為によって損害が生じたのかが不明である場合 | ||
■ | ■(5) 因果関係の判断基準時 | |
◇ | ◇2 相当因果関係 | |
◆ | ◆W 損害の発生 | |
◇ | ◇1 損害の意義・・・差額説 | |
◇ | ||
◇ | ◇3 財産的損害の額と慰謝料の額 | |
財産的損害:その項目と金額について、被害者が主張・立証責任を負う | ||
慰謝料:裁判官は、被害者が慰謝料額の証明をしていなくても、諸般の事情をしん酌して慰謝料の賠償を命じることができる(最高裁)。 〜 その額を認定するに至った根拠をいちいち示す必要もない しん酌すべき事情にも制限なく、 被害者の地位・職業等はもとより、加害者の社会的地位や財産状態もしん酌することができる。 |
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第7節 共同不法行為・競合的不法行為 | ||
◆ | ◆T はじめに・・・競合的不法行為と共同不法行為 | |
複数の人の行為がされた結果として被害者の権利・法益が侵害されたという場合、2つのアプローチ: | ||
第1:各行為を別個にとらえて評価し、個別的に損害賠償請求が認められるかどうかを認定・判断していくアプローチ 個別的な判断の結果として、それぞれの損害賠償請求権で賠償されるべきものとされた損害(額)が重なり合う限りで、各行為者の不法行為責任が重なり合う(競合する)ということになる。 その結果、重なり合う損害(額)の部分については、競合する賠償義務の誰かが支払えば、他の者に対する損害賠償請求権も、その限りで消滅する。 |
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第2:A・B・Cの行為が関連しあっている点に着目して、Xの被った損害について、A・B・Cに連帯して全額賠償責任(損害賠償義務)を負担することにさせるといアプローチ。 〜 719条1項前段の「共同不法行為」 |
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◆ | ◆U 関連共同性の意味 | |
主観的共同説:行為者相互の意思の連絡を必要とする 客観的共同説:意思の連絡はなくてもよく、各人の行為が客観的にみて一体のものとして関連しあっていると評価できれば足りる |
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主観的共同説:関連共同説が認められるのは、各自が他人の九尾井を利用し、他方、自己の行為が他人に利用されるのを認容する意思をもつ場合に限るべき。 vs. @起草者は意思の連絡を求めていなかった A被害者が保護される余地が狭くなる ⇒ 判例・通説:客観的共同説 |
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◆ | ◆V 共同不法行為の効果(3p543) | |
719条1項: 共同行為者が連帯して損害賠償責任を負う。 行為者各自が全額賠償責任を負う。 |
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1960年代: 複数の者が同時に加害者となる交通事故事件が増加 公害裁判 ⇒ 共同不法行為の成立にほんのわざうかだけしか関与していないのに、全額の賠償責任を負わせるのは国にすぎるのでは? ⇒ 各自の与えた原因が共通する限度で連帯責任を認め、残りは、より多く原因を与えた者の個人的賠償義務とすべきであるとの理論。 〜一部連帯の理論。 |
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⇒ 交通事故・公害等の下級審裁判実務で比較的多様されているのが、寄与度減責の理論。 複数原因が競合する場合において、各行為者の 賠償額を決定するにあたり、個々の原因の寄与度を考慮せよという考え方。 but 共同不法行為のすべての場合に寄与度を考慮して責任の減額を認めたのでは、民法が設けた共同不法行為制度が方かいする。 ⇒ @寄与度減責が認められない共同不法行為(「強い関連共同性」) A寄与度減責が認められる共同不法行為(「弱い関連共同性」) but 共同不法行為と評価されながら責任の減少を認めるというのは、共同不法行為制度の趣旨に合致しない。 共同不法行為は、個別行為を理由とする反論を許さないほどに強力な連帯責任の効果を共同行為者間に作り出す制度。 ⇒ 各人の行為が社会観念上一体をなすと認められるべき程度にまで関連づけられた結果として共同不法行為が成立したときに、もはや個別的行為の寄与度・割合等を持ち出して、これをもとに責任の減少を認めるのは、719条1項の趣旨に反する。 |
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⇒ 寄与度減責が認められるのは、それぞれ個別の不法行為責任が損害の面で重なり合っている競合的不法行為の一場合であり、かつ、寄与度に関する主張・立証責任が転換された場合・・・共同不法行為ではない・・・というべき。 |
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寄与度に関する主張・立証責任が転換された競合的不法行為として捉えるのが適切な場合: 被害者保護の必要性を語るでけでは足りず、少なくとも複数行為者の行為の間に、個別的因果関係についての主張・立証責任の転換を認めた719条1項後段(択一的競合)なみの関係が存在していることが必要。 |
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以下の累積的競合(重合的競合)は、このことが問題となる場面の1つ。 | ||
複数の行為が関与して結果が発生した場合であるものの、 個々の行為だけでは結果の一部を惹起させることができても、全部の結果を惹起させる可能性がなく、 いくつかの行為が積み重なってはじめて全部の結果を惹起させることができる場合 〜累積的競合(重合的競合) |
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累積的競合(重合的競合)に当たるものの、719条1項前段に該当して各行為者が全額連帯責任を負う場合以外のものをどうするか? 判例: (i)複数行為者の行為の結果が被害者の側に相当回数にわたって到達しており、 (ii)複数行為者の行為により惹起された損害が被害者に生じた損害全体の一部のみであり、かつ、 (iii)各行為者の行為が個別に被害者に対してどの程度の影響を与えたかが明らかでないという場合に、 被害者の保護を図るため、719条1項後段の類推適用により、複数行為者の寄与度(集団的寄与度)に応じた連帯責任をン認めたうえで、損害の全部または一部につき個別的因果関係が存在しないことについての主張・立証責任を行為者の側に転換している(最高裁R3.5.17)。 |
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上記(ii)に関して、複数行為者の行為により惹起された損害が被害者に生じた損害の全部である場合: @複数行為者の全部連帯責任になるとしたうえで、 A個々の行為者からの寄与度減責の抗弁を認める(719条1項後段の類推適用による立証責任の転換)のが、この法理と整合性を有する。 |
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各行為者の行為が被害者に対してどの程度の影響を与えたのかが明らかである場合をどのように処理すべきか? 寄与度が明らかな行為者との関係では、各行為者の個別的寄与度に応じた単独責任(個別的寄与度に応じた分割責任)と捉えるのが、この法理と整合性を有する。 |
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◆ | ◆W 共同不法行為者間の求償権 | |
★第8部 親族 | ||
☆第8章 親権 | ||
第1節 親権のコンセプト | ||
親権:未成年の子を養育・監護する親の権利であり、養育・監護は親権者の義務でもある(818条1項・820条)。 | ||
明治民法: 親権は、養育者としての親の地位・職分に由来する子に対する支配権元 親は自分の信じるところに従い子を養育・監護することができるのであって、子の養育・監護につき他からの干渉を許さない。 |
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戦後:子には健全な環境のもとで発達・成長する権利(自立権)があり、国家に対して保護請求権をもつ ⇒国家が親に対し子の自律権を支援するために未成年子を保護し養育する義務を課したのが親権であるとの見方が有力に。 〜 親権は、子の発育・自立を支援するための手段として、しかも自立支援に必要な限度で認められるべき。 ⇒子の財産管理・身上監護の地位を受託者として捉え、その権限と義務の内容を明らかにすべきであるという見方が存在する。 |
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第4節 親権の内容 | ||
◆ | ◆1 2種の内容・・・身上監護義務・身上監護権と財産管理権 | |
親権:子を監護教育し、子の財産を管理し、子に代わって法律行為をする親の義務と権利。 | ||
◆ | ◆2 身上監護義務・身上監護権 | |
◆ | ◆3 子の財産についての財産管理権 | |