シンプラル法律事務所
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論点整理(会社法)

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)

会社の種類 
公開会社  その発行する株式の種類の全部又は一部が、譲渡自由である場合。(2条5号) 
大会社 @最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が5億円以上
A最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上
のいずれかに該当する株式会社。(2条6号) 
種類株式発行会社  108条1項各号に掲げる事項について内容の異なる2以上の種類の株式を発行する株式会社(2条13号)
「発行する」とは2以上の種類の株式について定款に定めていること。 

株主総会 
株主総会が決議できる事項  @法律に規定する事項及び
A定款で定めた事項に限られる(295A) 
定足数株主総会の決議事項 普通決議
(309@)
(過半数+過半数)
定足数は定款で軽減・排除できる⇒多くの会社では定足数を完全排除。 
@会計監査人の選任(329)、解任(339)、不再任(338A)
A役員の報酬等(361,379,387)
B剰余金の配当(454 金銭分配請求権を与えない現物配当を除く)
C自己株式の取得(156 特定の株主(160@からの取得を除く))
D定時株主総会における欠損を額を超えない資本金の額の減少(447)の決議
E準備金の額の減少(448)
F剰余金の額の減少(450、451)
G剰余金についてのその他の処分(452)
H競業取引等の承認(356@)
特則普通決議(341) 定足数の定款による引き下げは、議決権を行使することができる株主の3分の1までしかできない。
@取締役、会計参与、監査役の選任(329)
A取締役(累積投票により選任された者を除く)、会計参与の解任(339) 
特別決議
(309A)
(過半数+3分の2)
定足数は、定款で3分の1まで軽減でき、決議要件の3分の2は定款で引き上げることができ、一定数以上の株主の賛成を要する等を定款で定めても良い。
@譲渡等承認請求に係る譲渡制限株式の買取り(140A)
  指定買取人の指定(140D)
A特定の株主から株主との合意による自己株式取得(156@、160@)
B全部取得条項付種類株式の取得(171@)
  相続人等に対する売渡しの請求(175)
C株式の併合(180A)
D募集株式の募集事項の決定(199A)
  募集事項の決定の取締役会への委任(200@)
  譲渡制限会社において取締役・取締役会への委任がない場合における株主に株式の割当てを受ける権利を与える決定(202B4号)
  譲渡制限株式の割当て(204A)
E募集新株予約権の募集事項の決定(238A)
  募集事項の決定の取締役会への委任(239@)
  譲渡制限会社において取締役・取締役会への委任がない場合における株主に新株予約権の割り当てを受ける権利を与える決定(241B4号)
  非取締役会設置会社における譲渡制限株式を目的とする新株予約権・譲渡制限新株予約権の割当て(243A)
F監査役・累積投票(342)で選任された取締役の解任(339@)
G役員等の損害賠償責任等の一部免除(425@)
H資本金の額の減少(定時総会で欠損の額を超えないものを除く)(447@)
I金銭分配請求権を与えない現物配当の決定(454C)
J定款の変更、事業の全部・重要な一部の譲渡、事業の全部の譲受け・賃貸・事後設立、解散
K組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転
特殊決議
(309B)
(株主の半数+議決権の3分の2)
定足数・議決要件ともに、定款で厳しくできる。
@その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設ける定款の変更
A消滅会社・株式交換をする会社が公開会社で対価が譲渡制限株式等である場合における当該貸会社の吸収合併契約・株式交換契約の承認(783@)
B消滅会社・株式の移転をする会社が公開会社で対価が譲渡制限株式等である場合における当該会社の新設合併・株式移転の承認
特別特殊決議 
(309C)
(総株主の半数+議決権の4分の3)
定足数・議決要件ともに、定款で厳しくできる。
譲渡制限会社における株主ごとに異なる取扱いを行う旨の定款の定め(109A)について定款の変更(当該定款の定めを廃止するものを除く) 
株主全員の同意  @発起人、役員等、業務執行者等の責任の免除(55、120D、424、462B但、464A、465A)
A種類株式発行会社以外の会社が発行する全部の株式について取得条項(107@3号)を設定する定款の変更(110)
B株式の発行語に定款を変更して当該株式についても特定の株主からの取得する場合に他の株主が特定の株主に自己をも加えたものを株主総会の議案とすることの請求等に関する規定(160AB)を適用しない旨の定款の定めの設定・変更(164A)
C株主総会の招集手続(300@)、決議(319@)、株主総会への報告(320@)の省略(議決権を有する株主の全員の同意)
D組織変更(776@)
E種類株式を発行していない会社の合併、株式交換の対価の全部又は一部が持分等である場合(783A、804A)
議題・議案提案権  303:議題
304:議案(議場での議案提案)
305:議案(総会前の議案提案)
総会前の議案提案についての株式保有要件
@総株主の議決権の1%またはA300個以上の議決権を
6ヶ月前から引き続き有する株主。
株主総会の8週間前までに請求する必要。
(8週間をきっての請求⇒来年の株主総会でも維持されるかどうかの意思確認が必要。)
会社法は書面による提案に限定していない⇒メールや電話の可能性⇒定款変更により「行使手続は株式取扱規定による」⇒書面による提案に限定。
提案理由の参考書類への記載(施93@)
(第三号又は第四号に掲げる事項が株主総会参考書類にその全部を記載することが適切でない程度の多数の文字、記号その他のものをもって構成されている場合(株式会社がその全部を記載することが適切であるものとして定めた分量を超える場合を含む。)にあっては、当該事項の概要)
⇒定款変更⇒株式取扱規定による⇒次数制限(通常400字)
株主からの文句⇒「ご意見として承ってよろしいでしょうか」
動議⇒裁決が必要

取締役 
社外取締役 株式会社の取締役であって、当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役(株式会社の第三百六十三条第一項各号に掲げる取締役及び当該株式会社の業務を執行したその他の取締役をいう。以下同じ。)若しくは執行役又は支配人その他の使用人でなく、かつ、過去に当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないものをいう。(法2条15号)
 「業務を執行した」 「職務の執行」とは異なる概念。
会社の目的である具体的事業活動に関与すること。
社外取締役が要件となる規定  1.委員会の設置・特別取締役の選定
@委員会設置会社では、各委員会の委員の過半数を社外取締役にしなければならない。(400B)
A特別取締役を選任する前提として、取締役のうち1人以上社外取締役がいる必要。(373)特別取締役のうち1人が社外取締役であることは必要でない。

2.責任の一部免除
@社外取締役について、会社に対する損害賠償額のうち年収の2年分を超える部分について、株主総会または取締役会の決議等により免除することができる。(425、426)
A社外取締役は、会社との間で責任限定契約(427)を締結できる。

3.社外役員の事業報告における活動状況等の記載 
公開会社にあっては、社外取締役のうち社外役員(施2条3項5号)に該当する者について、事業報告にその活動状況等を記載しなければならない。(施124)
取締役の解任  341の決議(特則普通決議)により解任(339@) 
総議決権または発行済み株式総数の3%以上を保有する株主等854@に規定する株主は、取締役解任の訴えを提起できる。(854)
ストックオプションと報酬決議 取締役の職務執行の対価として、財産上の価値を有する新株引受権を交付⇒「報酬等」 に該当し、361の承認対象となる。
実際に新株予約権を発行する場合は、新株予約権の発行手続が必要。
使用人兼務取締役の使用人部分の報酬決議 使用人としての職務の対価であって、取締役の職務との対価性がないものである限り、その支給は、361条の承認の対象とはならない。 

取締役会 
権限  全ての取締役で組織し(362@)、次の職務を行う(362A)。
@業務執行の決定
A取締役の職務の執行の監督
B代表取締役の選定および解職 
業務執行に関する意思決定(362A(1))
必ず取締役会で決定すべきで、代表取締役に委ねられない事項(362C)
@重要な財産の処分および譲受け
A多額の借財
B支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
C支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
D社債の募集
E取締役の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制(規則100)の整備
F定款規定に基づく取締役等の責任の一部免除
G重要な業務執行の決定
法定事項以外の事項についても取締役会で決定することができるが、一般に、日常的事項の決定は代表取締役に委譲されていると考えられる。
業務執行:(363@)
@代表取締役
A代表取締役以外の取締役で取締役会決議により取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定された者(選定業務執行取締役)
3か月に1度以上、職務執行の状況を取締役会に報告する義務。
監督(362A(2))
取締役会の決定に反するものであってはならない⇒代表取締役等の業務執行を監督する権限。
招集  招集権者が個々の取締役・監査役に通知して招集(368@)
全員が同意すれば招集手続不要(368A)⇒あらかじめ取締役・監査役全員の同意で定めた定例日に開催する場合は、招集手続は不要。 
決議  「議決に加わることができる取締役」の過半数が出席し、その出席取締役の過半数で決定。(369@)
定款により要件を加重できるが軽減はできない。(369@)
決議について特別の利害関係を有する取締役は議決に加わることができない。(369A) 
定款で定めれば書面による決議も可能。(監査役が異議を述べた場合は不可)(370)

監査役 
員数 監査役会設置会社では、3人以上で、かつ、その半数以上(半数でOK)が社外監査役である必要。 (335B)
社外監査役   株式会社の監査役であって、過去に当該株式会社またはその子会社の取締役、会計参与もしくは執行役または支配人その他の使用人となったことがないもの(2O)
任期 4年(選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで) (336@)
定款等での短縮は不可。(←独立性保障)
非公開会社では、定款により10年まで伸張可。(336A)
補欠監査役の任期は、定款により、退任した監査役の任期満了までとできる。(336B、尚C)
権限  取締役の職務を監査する機関(381@)
会計の監査を含む会社の業務全般の監査に及ぶ。
監査:業務執行の法令・定款違反または著しい不当性の有無をチェックし指摘すること。
監査報告の作成(381@、規則105、計算規則150(会計監査人がいない場合)、155(会計監査人設置会社の監査役の場合))
調査権:関係者から事業の報告を求め、自ら会社の業務及び財産の調査をする権限を有する。(381A)
子会社の調査権(381BC)
義務  不正行為の取締役会への報告:取締役の職務の執行に関し不正の行為 ・法令・定款に違反する事実・著しく不当な事実を発見したときに、取締役会に報告する義務。(382)
取締役会への出席・意見:取締役会に出席する義務を負い、必要な場合には、意見を述べなくてはならない。(383@)
尚、特別取締役による取締役会(373@)の場合(383@但書)。
株主総会関係書類の調査と総会への報告:取締役が株主総会に提出しようとする議案・書類その他法務省令で定めるもの(電磁的記録その他の資料)(規則106)を調査する義務。法令・定款違反または著しく不当な事項があると認めるときは、その調査の結果を株主総会に報告する義務(384)。
差止請求と会社代表  @取締役が会社の目的の範囲外の行為その他法令・定款違反の行為をし、またはこれらの行為をするおそれがある場合で、
Aその行為によって会社に著しい損害が生じるおそれがあるときは
その取締役に対し、その行為の差止めを請求することができる。(385@)
仮処分の担保不要。(385A)
次の場合は、監査役が会社を代表する
@取締役・会社間の訴訟(386@)
A取締役の責任を追及する訴えの提起の請求(株主代表訴訟の前段階の請求)(386A(1))
B株主代表訴訟の訴訟告知及び和解に関する通知・催告を受けること(386A(2))
報酬等 定款又は株主総会の決議で定める。(387@)
監査役が2人以上の場合で各監査役の報酬等について定款の定め又は株主総会の決議がない場合、定款又は総会で定めた範囲内で、監査役の協議で定める。(387A)
監査役は、株主総会で、監査役の報酬等について意見を述べることができる。(387B)
その職務の執行について、会社に@費用の前払い、A支出した費用及び支出の日以後におけるその利息の償還、B負担した債務の債権者に対する弁済(弁済期にない場合には担保の提供)を請求できる。(388)

監査役会 
設置義務  委員会設置会社の以外の大会社公開会社である会社は、監査役会を置かなくてはならない。(328@)
監査役会設置会社(2(10))では、監査役は3人以上で、その半数以上(半数で良い)は社外監査役(335B)
少なくとも1人は常勤監査役を選定しなければならない。(390B) 
常勤:定義なし。フル・タイムという意味。
社外監査役 過去に当該株式会社またはその子会社の取締役、会計参与もしくは執行役または支配人その他の使用人となったことがないもの(2(16)) 
権限等  全ての監査役で組織し、次の業務を行う。(390@A)
@監査報告の作成(規則105、計算規則151、156)
A常勤の監査役の選定及び解職
B監査の方針、監査役会設置会社の業務及び財産の状況の調査の方法その他の監査役の職務の執行に関する事項の決定
監査役は、監査役会の求めがあるときは、いつでもその職務の執行の状況を監査役に報告する必要(390C)。
運営 招集:
常設の機関ではなく、必要に応じて開催される。
召集権者が個々の監査役に通知して招集。(392@)
全員が同意すれば、招集手続なしで開催できる。(392A)
召集権は、個々の監査役にある。(391)
招集通知は1週間前までに発する。(392@(定款で短縮可))
通知に議題等を示す必要はない(取締役と同じ)。
決議:
監査役の過半数で決定(393@)
議決権の代理行使は不可。
決議に手続き上又は内容上の瑕疵がある場合、一般原則により決議は当然無効。
議事録:
法務省令で定めるところにより議事録を作成し、出席した監査役は署名又は記名押印する。(393AB、規則109)
議事録は、10年間本店に備え置く。(394@)
決議に反対した監査役は議事録に異議をとどめておかないと、決議に賛成したものと推定され、不利益を受けるおそれがある。(393C)
議事録の閲覧等  @株主:その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、議事録の閲覧・謄写を請求できる。
A会社債権者:役員の責任追及のため必要があるときは、裁判所の許可を得て、議事録の閲覧・謄写を請求できる。
B親会社社員(親会社の株主など):その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、議事録の閲覧・謄写を請求できる。(394AB)
裁判所は、閲覧または謄写をすることにより、会社・その親会社・その子会社に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、許可をすることができない。(394C)

役員等の責任 
責任の免除と軽減 定款規定+責任限定契約に基づく事前の軽減 対象:社外取締役・会計参与・社外監査役・会計監査人
法423条1項の責任について、善意でかつ重大な過失がないとき
@定款で定めた額の範囲内であらかじめ会社が定めた額とA最低責任限度額(法425@)とのいずれか高い額を限度とする旨の契約を会社はこれらの社外取締役等と締結することがきる旨を定款で定めることができる。(法427@)
この定款の規定と社外取締役・社外監査役は登記する。(法911B)

会計監査人 
設置義務等 会計監査人:計算書類の監査(会計監査)
大会社及び委員会設置会社は会計監査人をおく必要。(327D、328A)
それ以外の会社は任意。
資格 公認会計士又は監査法人(337@) 
員数 制限なし。 
任期 1年(選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結まで)(338@) 
定時株主総会において別段の決議がなされなかった場合は、再任されたものとみなされる。(338AB)
権限  計算書類等の監査:
計算書類(435A)・付属明細書、臨時計算書類(441@)、連結計算書類(444@)の監査(396@前段)
会計監査報告(396@後段)
会計帳簿の閲覧等: 
@会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧・謄写をし
A取締役(委員会設置会社では執行役・取締役)・会計参与・支配人その他の使用人に会計に関する報告を求めることができる。(396A)
子会社調査権 :
必要な場合、子会社に会計に関する報告を求め、会社またその子会社の業務及び財産の状況の調査をすることができる。(396B)
正当な理由がある場合は、報告・調査を拒否できる。(396C)
その他:
職務に当たり欠格事由ののある者を使用できない。(396D)
義務  不正行為の報告:
取締役の職務の執行に関し、不正の行為又は法令・定款に違反する重大な事実があることを発見したときは、遅滞なく、監査役(監査役会設置会社では監査役会)に報告。(397@B)
(委員会設置会社では、執行役・取締役の職務行為で、報告の相手は監査委員会)
監査役(委員会設置会社では監査委員会が選定した委員)は、その職務を行うため必要があるときは、会計監査人に、監査に関する報告を求めることができる。(397AC)
定時株主総会での意見陳述:
@計算書類等が法令又は定款に適合するかどうかについて監査役と意見を異にするときは、定時株主総会に出席して意見を述べることができる。(398@)
A定時株主総会において会計監査人の出席を求める決議があったときは、定時株主総会に出席して意見を述べなくてはならない。(398A)
報酬等 会社が定めるが、監査役(2人以上の場合過半数)の同意が必要。(399@)

内部統制システム(規定) 
内部統制システムとは 取締役等の善管注意義務を具体化したもの。  
健全な会社経営を行うためには、目的とする事業の種類、性質等に応じて生じる各種のリスク、例えば、信用リスク、市場リスク、流動性リスク、事務リスク、システムリスク等の状況を正確に把握し、適切に制御すること、すなわちリスク管理が欠かせず、会社が営む事業の規模、特性等に応じたリスク管理体制(いわゆる内部統制システム)を整備することを要する。そして、重要な業務執行については、取締役会が決定することを要するから(商法二六〇条二項)、会社経営の根幹に係わるリスク管理体制の大綱については、取締役会で決定することを要し、業務執行を担当する代表取締役及び業務担当取締役は、大綱を踏まえ、担当する部門におけるリスク管理体制を具体的に決定するべき職務を負う。この意味において、取締役は、取締役会の構成員として、また、代表取締役又は業務担当取締役として、リスク管理体制を構築すべき義務を負い、さらに、代表取締役及び業務担当取締役がリスク管理体制を構築すべき義務を履行しているか否かを監視する義務を負うのであり、これもまた、取締役としての善管注意義務及び忠実義務の内容をなすものと言うべきである。
(大阪地裁H12.9.20 大和銀行株主代表訴訟)
 
規定
(大会社の取締役設置会社) 
大会社及び委員会設置会社においては、取締役(委員会設置会社にあっては執行役)の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備(内部統制システム)について決定しなければならないとされている。(法348条4項、362条5項、416条2項)  

大会社は、取締役会で、
(6)取締役の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制(規則100)の整備を必ず定めなければならない。(法362C(6)D)

会社法施行規則が定める体制
原則:(規則100条1項)
@取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
A損失の危険の管理に関する規程その他の体制
例:
(イ)会社の業態に応じて生じる可能性があるリスクとして、どのようなものが考えられるか
(ロ)リスクの現実化を未然に防止するための手続・機構
(ハ)リスクが現実化した場合の対処方法等

B取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
例:取締役が職務執行を行うに当たって必要な決裁体制等

C使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
例:法令遵守マニュアルの作成や使用人相互間の監督体制の創設等

D当該株式会社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
例:
親会社の場合:
(イ)子会社における業務の適正確保のための議決権行使の方針
(ロ)親会社の監査役と子会社の監査役等との連絡に関する事項等
子会社の場合:
(イ)取引の強要等親会社による不当な圧力に関する予防・対処方法
(ロ)親会社の役員等との兼任役員等の子会社に対する忠実義務の確保に関する事項
(ハ)子会社の監査役と親会社の監査役等との連絡に関する事項等

監査役設置会社ではさらに:(規則100条3項)
@監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合におけるその使用人に関する事項
例:
(イ)監査役が補助使用人を求めた場合における対処方針
(ロ)補助使用人を監査役専属とするのか他の部署と兼務させるのか
(ハ)補助使用人の人数や地位等

A@の使用人の取締役からの独立性に関する事項
例:
(イ)補助使用人の異動についての監査役の同意の要否
(ロ)取締役の補助使用人に対する指揮命令権の有無
(ハ)補助使用人の懲戒についての監査役の関与等

B取締役及び使用人が監査役に報告をするための体制その他の監査役への報告に関する体制
例:
(イ)監査役に報告すべき事項の範囲
(ロ)報告すべき事項に応じたい報告方法
(ハ)使用人が、直接、監査役に報告するものとするか(内部通報制度)等

Cその他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制

 
事業報告への記載 決定又は決議の概要を事業報告に記載する必要(施行規則118条2号)  
監査役の調査対象 監査役設置会社の監査役(監査役会設置会社にあっては監査役及び監査役会、委員会設置会社にあっては監査委員会)は、施行規則118条2号に掲げる事項を内容とする事業報告およびその付属明細書を監査し、当該事項に関する取締役の決定または取締役会の決議の内容が相当でないと認めるときは、その旨およびその理由を記載した監査報告書を作成しなければならない。(施行規則129条1項5号、130条2項2号、131条1項2号)  

内部統制システム(基準)
対応すべきリスク 法令等遵守体制  代表取締役等が主導又は関与して法令等違反行為が行われるリスク  
法令等遵守の状況が代表取締役等において適時かつ適切に把握されていない結果、法令等違反行為が組織的に又は反復継続して行われるリスク  
代表取締役等において把握された会社に著しい損害を及ぼすおそれのある法令等違反行為が、対外的に報告又は公表すべきにもかかわらず隠蔽されるリスク  
損失危険管理体制 損失の危険の適正な管理に必要な諸要因の事前の識別・分析・評価・対応に重大な漏れ・誤りがあった結果、会社に著しい損害が生じるリスク  
会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事業活動が正当な理由なく継続されるリスク  
会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事故その他の事象が現に発生した場合に、適切な対応体制が整備されていない結果、損害が拡大しあるいは事業が継続できなくなるリスク  
情報保存管理体制 重要な契約書、議事録、法定帳票等、適正な業務執行を確保するために必要な文書その他の情報が適切に作成、保存又は管理されていない結果、会社に著しい損害が生じるリスク  
重要な営業秘密、ノウハウ、機密情報や、個人情報ほか法令上保存・管理が要請される情報などが漏洩する結果、会社に著しい損害が生じるリスク  
開示される重要な企業情報について、虚偽又は重大な欠落があるリスク  
効率性確保体制 経営戦略の策定、経営資源の配分、組織の構築、業績管理体制の整備等が適正に行われない結果、過度の非効率性が生じ、その結果、会社に著しい損害が生じるリスク  
過度の効率性追求により会社の健全性が損なわれ、その結果、会社に著しい損害が生じるリスク   
代表取締役等が行う重要な業務の決定において、決定の前提となる事実認識に重要かつ不注意な誤りが生じ、その結果、会社に著しい損害が生じる決定が行われるリスク  
企業集団内部統制 重要な子会社において法令等遵守体制、損失危険管理体制、情報保存管理体制、効率性確保体制に不備がある結果、会社に著しい損害が生じるリスク  
重要な子会社における内部統制システムの整備状況が会社において適時かつ適切に把握されていない結果、会社に著しい損害が生じるリスク  
子会社を利用して又は親会社から不当な圧力を受けて不適正な行為が行われ、その結果、会社に著しい損害が生じるリスク  
財務報告内部統制  財務担当取締役が主導又は関与して不適正な財務報告が行われるリスク  
会社の経営成績や財務状況に重要な影響を及ぼす財務情報が財務担当取締役において適時かつ適切に把握されていない結果、不適正な財務報告が組織的に又は反復継続して行われるリスク  
会計監査人が関与又は看過して不適正な財務報告が行われるリスク  

計算書類関係 
事業報告の内容 非公開会社:
@当該株式会社の状況に関する重要な事項
A内部統制システムの整備に係る決定または決議の内容の概要
公開会社:
@A(施119)
B株式会社の現況に関する事項(施120)
C株式会社の会社役員(直前の定時株主総会の終結の日の翌日以降に在任していたものであって、当該事業年度の末日までに退任したものを含む)に関する事項(施121)
D株式会社の株式に関する事項(施123)
E株式会社の新株予約権に関する事項(施123)
 
剰余金の配当 
剰余金の配当の決定機関 原則として、株主総会の普通決議(309@、454)
@委員会設置会社またはA監査役会および会計監査人を設置する会社であって、取締役が毎事業年度、改選されるものについては、取締役会の決議により剰余金の配当をすることができる旨を定款で定めることができる。(459@)

組織変更 
債務超過会社の組織変更  可能(禁じる理由も、規定もなし)

新株予約権の発行 
新株予約権無償割当の方法 278@各号に掲げる事項を定める必要。 
原則として株主総会の決議(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって決定。
定款に別段の定めがある場合には、業務執行者が決定することや、取締役会設置会社において株主総会の決議により決定することも可能。(273B)
新株/新株予約権の発行等の差止めできる場合。 @法令違反
A定款違反
B「著しく不公正な方法」 による行われる場合で、
株主が不利益を受けるおそれがある場合
第210条 
次に掲げる場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は、株式会社に対し、第百九十九条第一項の募集に係る株式の発行又は自己株式の処分をやめることを請求することができる。
一 当該株式の発行又は自己株式の処分が法令又は定款に違反する場合
二 当該株式の発行又は自己株式の処分が著しく不公正な方法により行われる場合

第247条 
次に掲げる場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は、株式会社に対し、第二百三十八条第一項の募集に係る新株予約権の発行をやめることを請求することができる。
一 当該新株予約権の発行が法令又は定款に違反する場合
二 当該新株予約権の発行が著しく不公正な方法により行われる場合  

ブルドックソース判決 

 
ブルドックソースの新株予約権の無償割当ての内容   ア 新株予約権無償割当ての方法により,基準日である7月10日の最終の株主名簿及び実質株主名簿に記載又は記録された株主に対し,その有する相手方株式1株につき3個の割合で本件新株予約権を割り当てる。
 イ 本件新株予約権無償割当てが効力を生ずる日は,7月11日とする。
 ウ 本件新株予約権1個の行使により相手方が交付する普通株式の数(割当株式数)は,1株とする。
 エ 本件新株予約権の行使により相手方が普通株式を交付する場合における払込金額は,株式1株当たり1円とする。
 オ 本件新株予約権の行使可能期間は,9月1日から同月30日までとする。
 カ 抗告人及びSPVUを含む抗告人の関係者(以下,併せて「抗告人関係者」という。)は,非適格者として本件新株予約権を行使することができない(以下「本件行使条件」という。)。
 キ 相手方(ブルドックソース)は,その取締役会が定める日(行使可能期間の初日より前の日)をもって,抗告人関係者の有するものを除く本件新株予約権を取得し,その対価として,本件新株予約権1個につき当該取得日時点における割当株式数の普通株式を交付することができる。
相手方は,その取締役会が定める日(行使可能期間の初日より前の日)をもって,抗告人関係者の有する本件新株予約権を取得し,その対価として,本件新株予約権1個につき396円を交付することができる(以下,これらの条項を「本件取得条項」という。)。なお,上記金額は,本件公開買付けにおける当初の買付価格の4分の1に相当するものである。
 ク 譲渡による本件新株予約権の取得については,相手方取締役会の承認を要する。
 (7)相手方取締役会は,6月24日,本件議案の可決を受けて,本件新株予約権無償割当ての要項を決議するとともに,税務当局に対する確認の結果,株主に対する課税上の問題から,非適格者である抗告人関係者から本件取得条項に基づき本件新株予約権の取得を行うことができないと判断される場合であっても,抗告人関係者の有する本件新株予約権の全部を,相手方として抗告人関係者に何らの負担・義務を課すことなく1個につき396円の支払と引換えに譲り受ける旨決議した。
(最高裁H19.8.4 ブルドックソース)
 
株主平等原則(法109条1項)と新株予約権 における差別的取扱い 直ちに、株主平等原則(法109条1項)違反ではない。
but
その趣旨は、新株予約権無償割当ての場合に及ぶ。
新株予約権無償割当てが新株予約権者の差別的な取扱いを内容とするものであっても,これは株式の内容等に直接関係するものではないから,直ちに株主平等の原則に反するということはできない。
しかし,株主は,株主としての資格に基づいて新株予約権の割当てを受けるところ,法278条2項は,株主に割り当てる新株予約権の内容及び数又はその算定方法についての定めは,株主の有する株式の数に応じて新株予約権を割り当てることを内容とするものでなければならないと規定するなど,株主に割り当てる新株予約権の内容が同一であることを前提としているものと解されるのであって,法109条1項に定める株主平等の原則の趣旨は,新株予約権無償割当ての場合についても及ぶというべきである。
(最高裁H19.8.4 ブルドックソース)
 
会社の企業価値がき損され,会社の利益ひいては株主の共同の利益が害されることになるような場合における,その防止のための差別的取扱いの可否。 当該取扱いが衡平の理念に反し,相当性を欠くものでない限り,これを直ちに同原則の趣旨に反するものということはできない。 個々の株主の利益は,一般的には,会社の存立,発展なしには考えられないものであるから,特定の株主による経営支配権の取得に伴い,会社の存立,発展が阻害されるおそれが生ずるなど,会社の企業価値がき損され,会社の利益ひいては株主の共同の利益が害されることになるような場合には,その防止のために当該株主を差別的に取り扱ったとしても,当該取扱いが衡平の理念に反し,相当性を欠くものでない限り,これを直ちに同原則の趣旨に反するものということはできない
(最高裁H19.8.4 ブルドックソース)
 
特定の株主による経営支配権の取得に伴い,会社の企業価値がき損され,会社の利益ひいては株主の共同の利益が害されることになるか否かの判断 判断の正当性を失わせるような重大な瑕疵が存在しない限り株主総会の判断を尊重。  特定の株主による経営支配権の取得に伴い,会社の企業価値がき損され,会社の利益ひいては株主の共同の利益が害されることになるか否かについては,最終的には,会社の利益の帰属主体である株主自身により判断されるべきものであるところ,株主総会の手続が適正を欠くものであったとか,判断の前提とされた事実が実際には存在しなかったり,虚偽であったなど,判断の正当性を失わせるような重大な瑕疵が存在しない限り当該判断が尊重されるべきである。
(最高裁H19.8.4 ブルドックソース)
「特別決議」とはいっていない。
衡平の理念に反し,相当性を欠くものであるかどうかの判断 @株主総会での手続き、A対価の取得を考慮し、相当性を欠くものではないとの判断。  抗告人関係者は,本件新株予約権に本件行使条件及び本件取得条項が付されていることにより,当該予約権を行使することも,取得の対価として株式の交付を受けることもできず,その持株比率が大幅に低下することにはなる。
しかし,本件新株予約権無償割当ては,抗告人関係者も意見を述べる機会のあった本件総会における議論を経て,抗告人関係者以外のほとんどの既存株主が,抗告人による経営支配権の取得に伴う相手方の企業価値のき損を防ぐために必要な措置として是認したものである。さらに,抗告人関係者は,本件取得条項に基づき抗告人関係者の有する本件新株予約権の取得が実行されることにより,その対価として金員の交付を受けることができ,また,これが実行されない場合においても,相手方取締役会の本件支払決議によれば,抗告人関係者は,その有する本件新株予約権の譲渡を相手方に申し入れることにより,対価として金員の支払を受けられることになるところ,上記対価は,抗告人関係者が自ら決定した本件公開買付けの買付価格に基づき算定されたもので,本件新株予約権の価値に見合うものということができる。これらの事実にかんがみると,抗告人関係者が受ける上記の影響を考慮しても,本件新株予約権無償割当てが,衡平の理念に反し,相当性を欠くものとは認められない。
(最高裁H19.8.4 ブルドックソース)
金員の交付の変わりに無議決権優先株式の交付もありえる。
対応策を予め定めていなかったことと、「著しく不公正な方法」 著しく不公正な方法によるものとはいえない。 事前の定めがされていないからといって,そのことだけで,経営支配権の取得を目的とする買収が開始された時点において対応策を講ずることが許容されないものではない。本件新株予約権無償割当ては,突然本件公開買付けが実行され,抗告人による相手方の経営支配権の取得の可能性が現に生じたため,株主総会において相手方の企業価値のき損を防ぎ,相手方の利益ひいては株主の共同の利益の侵害を防ぐためには多額の支出をしてもこれを採用する必要があると判断されて行われたものであり,緊急の事態に対処するための措置であること,前記のとおり,抗告人関係者に割り当てられた本件新株予約権に対してはその価値に見合う対価が支払われることも考慮すれば,対応策が事前に定められ,それが示されていなかったからといって,本件新株予約権無償割当てを著しく不公正な方法によるものということはできない。
(最高裁H19.8.4 ブルドックソース)
 
専ら経営を担当している取締役等またはこれを支持する特定の株主の経営支配権を維持するための新株予約権無償割当て。 原則として著しく不公正な方法によるものとなる。 株主に割り当てられる新株予約権の内容に差別のある新株予約権無償割当てが,会社の企業価値ひいては株主の共同の利益を維持するためではなく,専ら経営を担当している取締役等又はこれを支持する特定の株主の経営支配権を維持するためのものである場合には,その新株予約権無償割当ては原則として著しく不公正な方法によるものと解すべきであるが
(最高裁H19.8.4 ブルドックソース)