シンプラル法律事務所
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論点整理(刑法各論(学者))

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)


大コンメンタール 刑法第三版
第11巻(209条〜229条)
     
     
第33章 略取、誘拐及び人身売買の罪  
    224条〜229条 前注
  ◆T 総説
  ◇1 略取・誘拐罪の分類 
    略取・誘拐罪:未成年者等をその保護されている生活環境から離脱させ、自己または第三者の事実的支配の下に置く行為
     
  ◇3 略取・誘拐罪の保護法益 
    第1説:略取・誘拐された者の自由のみ
第2説:保護監督者の監督権のみ

第3説:略取・誘拐された者の自由と保護監督者の監督権の両方(判例)

@現行法では成人に対する単純な略取・誘拐が不可罰とされながら未成年者に対するそれは処罰されることや、行動の意思及び能力のない者に対しても略取・誘拐罪が成立
⇒略取・誘拐された者の自由のみを保護法的とするのは無理。

A意思能力はあるが保護者のいない未成年者に対しても未成年者略取・誘拐罪が成立
⇒監護権の侵害のみを保護法益とすることもできない。

第4説:略取・誘拐された者の自由及びその安全(平野)

行動能力を欠く嬰児なども本罪の客体に含まれることになるが、その場合には、被拐取者の安全こそが保護法益と解されることになる。

監護者の意思は、未成年者保護に資する限りにおいて考慮されるが、監護権の乱用といいうる場合には、その同意は無効であり、犯罪の主体となり得る。
    判例:第3説

実父が親権者である養母の監護の下にあった小学生を頭から毛布に包み嫁に背負わせて略取したとう事案について、
「未成年者の略取罪は暴行又は脅迫を加え幼者を不法に自己の実力内に移し一方において監督者の監督権を侵害すると同時に他の一方において幼者の自由を拘束するの行為をいうものとす」
     
   
     
  ◇5 保護監督者は略取・誘拐罪の主体となり得るか 
    第1説、第4説
〜略取・誘拐された者の自由のみ(第1節)又は自由及び安全(第4節)が保護法益
⇒保護監督者も略取・誘拐罪の主体になり得る。

第2説

保護監督者は被害者⇒略取・誘拐罪の主体になり得ない。
but
一方の親権者が他方の親権者の権利を害することにより略取・誘拐罪を犯すことはできよう。

第3説
〜保護監督者であっても本人の利益を害する限り、略取・誘拐罪の主体になり得る。
    最高裁H15.3.18:
日本人の妻と別居中の夫(オランダ国籍)が、妻の下で監護養育を受けていた長女(2歳4か月)をオランダに連れ帰る目的で、妻が付き添って入院していたベッドから両足を引っ張って逆さまに吊り上げ、脇にかかえて連れ去り、自動車に乗せて発進させた行為は、「国外移送略取罪に当たることは明らかであ」り、「被告人が親権者の1人であり、長女を自分の母国に連れ帰ろうとしたものであることを考慮しても、違法性が阻却されるような例外的な場合に当たらない」
最高裁H17.12.6:
離婚係争中で別居していた妻が養育している当時2歳の長男を妻の下から奪って監督養育しようと企て、東京から妻の住む八戸へ生き、妻の母に連れられて保育園から帰宅しようとしていた長男を祖母の隙をついて抱きかかえ、駐車中の自動車に乗せた上、発進させて連れ去ったという事案について、
「その行為が未成年者略取罪の構成要件に該当することは明らかであり、被告人が親権者の1人であることは、その行為の違法性が例外的に阻却されるかどうかの判断において考慮されるべき事情であると解される」とした上、「本件行為につき、違法性が阻却されるべき事情は認められない」。
     
     
     
     
     

刑法各論(第7版)
(西田典之・橋爪隆)
★第1編 序論  
     
     
★第2編 個人的法益に対する罪  
☆第1章 生命に対する罪  
     
     
     
◆    ◆第2節 殺人罪 
     
     
  ◇5 自殺関与罪と殺人罪の区別 
    自殺の決意および殺人への同意は、死の意味を理解した任意のものでなければならない。
  死の意味を理解しない幼児や、精神障害者を欺罔して自殺させた場合⇒自己の死の認識、すなわち自己の生命という法益を処分する意思が欠如⇒同意は無効であり、202条ではなく199条が成立。 
  同意は任意なものでなければならない。 
    脅迫・威迫等の心理的強制によって自殺を決意させた場合:
A:自殺の決意が自殺者の自由意思によるとき⇒自殺教唆罪
B:自殺者の意思決定の自由を阻却する程度の威迫を加えて自殺⇒自殺関与罪ではなく殺人罪が成立
最高裁:
暴行・脅迫により保険金を掛けた被害者に車ごと海中に転落することを強要した事例について
「被害者をして、被告人の命令に応じて車ごと海中に飛び込む以外の行為を選択することができない精神状態に陥らせたものということができる」⇒「被害者に命令して車ごと海中に転落させた被告人の行為は、殺人罪の実行行為に当たる」とした。(最高裁H16.1.20)
  欺罔によって自殺させた場合:
死亡すること自体は認識し同意していたがその動機に錯誤があった場合(偽装心中)に、202条と199条のいずれを認めるべきか? 
    分れ話を持ちかけられた女性から心中を申し出られた⇒いったん同意したが、途中から心中する気がなくなったのに、追死するように同女を誤信させ、青化ソーダを与えて飲ませて死亡させた⇒殺人罪の成立を肯定(最高裁昭和33.11.21)

被害者は被告人の欺罔の結果被告人の追死を予期して死を決意したものであり、その決意は真意に沿わない重大な瑕疵ある意思であることが明らか

自殺意思は任意であるのみならず、真意であること(動機の錯誤といった、意思決定過程における瑕疵がないこと)まで要求

判例は、202条の刑の減軽理由を責任減少的に理解。
(自殺者が自殺を決意するに至った心情に同情して手を貸した点に、行為者の刑を減軽する根拠があるとし、欺罔して自殺させた者には、かような責任減軽は認められない⇒199条の成立を肯定。)
vs.
202条の減軽の根拠は、自殺者の同意による法益性の軽減すなわち違法減少に基づくと解すべき。
同意とは、自己の法益を処分する意思である以上、法益に関係する錯誤のみが同意を無効にし、その他の事情に関する錯誤は同意の有効性に影響を及ぼさないと解すべき。
(法益関係低錯誤の理論)

自殺者が、自己の生命という法益を処分することについて錯誤に陥っていなければ、自殺に対する同意は有効であり、欺罔して自殺させた場合も199条は成立しないと解すべき。
but
法益の有無・程度・性状等に関して錯誤⇒法益に関する認識が欠ける⇒同意が無効。
ex
意思が癌患者に対して、あと1年の余命があるにもかかわらず、あと3ヶ月の命で激痛も襲ってくるからと欺罔して自殺させた⇒同意は無効であって医師には殺人罪が成立。
     
☆第2章 身体に対する罪  
     
     
     
     
     
     
     
     
  ◆第5節 凶器準備集合罪・結集罪
    第二〇八条の二(凶器準備集合及び結集)
二人以上の者が他人の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える目的で集合した場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って集合した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2前項の場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って人を集合させた者は、三年以下の懲役に処する。
  ◇T 総説 
     
  ◇U 保護法益・罪質 
    その文言および条文の位置
⇒持凶器集団による他人の生命、身体、財産に対する共同加害行為の予備罪。

侵害、財産に対する罪について特別な予備罪を新設したもの。
but
その立法の経緯
⇒同時に、持凶器集団の構想によって、これと無関係な不特定・多数人の生命・身体・財産という法益が、その巻き添えによって侵害される危険を生ぜしめるものとして公共危険罪としての性格。
    学説:予備罪的性格を優先させる見解
判例:「個人の生命、身体又は財産ばかりでなく、公共的な社会生活の平穏も同様に保護法益とするもの」⇒公共危険罪的側面を重視する立場。
  ◇V 保護法益論の帰結
  ■1 犯罪の終了時期 
    本罪:集合状態が継続するかぎり成立する継続犯。
but
目的とされた加害行為の実行に着手した後もなお継続して成立するか(=本罪の終了時期は?)
抗争・乱闘が開始された後も本罪による検挙が可能か?
抗争開始後に集団に参加した者(開始前に集団にいたことを立証できない場合を含む)にも本罪を適用しうるか?
予備罪説⇒実行に移行した以上もはや予備罪としての本罪が成立する余地はない
公共危険罪説⇒集団が存在するかぎり公共の危険は存在するし、乱闘後になれば、公共の危険はより増加する⇒当然本罪の成立が肯定
  ■2 罪数関係
    予備罪説⇒目的とされた加害行為、たとえば傷害罪が成立⇒その予備である本罪との関係は傷害罪に吸収されるか、少なくとも牽連犯の関係。
公共危険罪説⇒両社は法益を異にする⇒併合罪
  ■3 抽象的危険犯から具体的危険犯か 
     
  ■4 集合罪(1項)の成立要件(p66) 
  □1 準備の意義 
    凶器準備集合罪⇒相当数の者が凶器を準備して、また、準備のあることを知って集合した場合に成立。
    条文の形式的な解釈:2名の者が凶器を準備して集合した場合にも本罪が成立し得る
vs.
公共危険罪的性格
⇒騒乱罪(106条)にいう「多衆」にまでは至らないとしても、集合の外観が公共の平穏を害するに足る程度の人数であることを必要とする。
    準備:凶器を必要に応じていつでも使用できる状態置くこと。

集合場所と準備の場所が離れており、加害行為に使用することが著しく困難な場合には準備とはいえない。
  □2 凶器の意義 
□    □3 共同加害目的 
□    □4 集合の概念 
  □5 共犯
     
■    ■5 結集罪の成立要件 
     
     
     
     
     
     
     
☆第3章 自由に対する罪  
  ◆第1節 総説 
    自由は、生命、身体につぐ重要な法益。
but
刑法は、自由一般をではなく、かなり断片的に、社会生活において基本的に重要と思われる自由のみを保護。
刑法典が保護する自由
@意思決定の自由(脅迫、強要)
A身体的移動の自由(逮捕、監禁)
B身体的移動の自由と身体の安全(略取誘拐)
C性的自己決定の自由(強制わいせつ、強制性交等)
D住居・建造物に誰を入れるかの自由(住居侵入)
◆    ◆第2節 脅迫罪・強要罪(p75) 
  ◇1 総説 
    脅迫罪:他人の生命、身体、自由、名誉または財産に対し害を加える旨を告知する行為
    脅迫罪:
保護法益:
×A:生命、身体等の安全感、私生活の平穏
vs.
実際には、脅迫はなんらかの目的を有するうのが通常
この目的部分が明白
⇒強要、強制性交等、強盗、恐喝等
but
現実には、暗黙のうちに何かを要求しているが、明示されない場合も多い。

要求行為の手段の点のみを独立して犯罪類型化し、併せて、立証の軽減を図る趣旨をも有する。
〇:意思決定の自由に対する危険犯
強要罪は、意思決定の自由、意思活動の自由を侵害する実害犯
     
  ◇2 脅迫罪
    刑法 第222条(脅迫) 
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
  ■1 危険犯 
    脅迫:一般人をして畏怖せしめるに足る害悪の告知をいい、
相手方がこの告知を認識したことを要するが現実に畏怖したことを必要としない。
    脅迫にあたるか、それに至らない単なるいやがらせにすぎないかは、告知の内容、年齢、周囲の情況等を考慮して決定すべき。

熾烈に対立する陣営の一方の者が反対派の者に実際に火事がないのに「出火御見舞申し上げます」と記載した葉書を郵送⇒一般に他人を畏怖させるに足るものとされる。(判例)
  ■2 加害の対象(p76)
    加害の対象:告知の相手方の生命、身体、自由、名誉、財産
貞操は当然に自由に含まれる。

村八分の通知も、他人と交際する自由と名誉に対する加害の告知として脅迫にあたる。(通説・判例)
vs.
現在の社会状況、告知者にも交際しない自由がある。
     
  ■3 告知の内容
    告知の内容:
所定の法益に「害を加える旨」

将来の害悪であって、しかも、告知者がこれを支配しうることが必要。
×吉凶禍福の予告(ex.天罰が下る)
×すでに時限爆弾を仕掛けた旨の告知
×第三者によって害をくうぇられるであろうという予告
but
告知者が加害の有無に影響を与えうるものとして告知された場合は別。
    告知する害悪はそれ自体違法であることを要するか?
ex.告訴権の行使や不正を告発すること
A:適法な事実の告知は違法たりえないとして否定(平野)
B:真実権利を行使する意思がなく、相手を畏怖させる目的であるときは脅迫にあたる

権利の濫用にあたる場合には脅迫にあたると解すべき
←万引きした女性に性交に応じなければ告訴するといって脅す場合が脅迫にならないのは不合理
     
  ■4 告知の方法(p78)
    害悪の告知の方法に制限はない。
凶器を示して「金を出せ」〜態度による脅迫
     
  ◇3 強要罪
    刑法 第223条(強要)
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。
  ■1 手段 
    強要罪:
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害する行為。
    保護法益:意思決定の自由・意思活動の自由。
義務のない行為の内容に応じて恐喝、強盗、強制性交等が成立⇒法条競合の関係に立ち本罪は成立しない。
    手段:暴行と脅迫
     
  ■2 客体 
     
     
  ■3 結果 
    「義務のないことを行わせ」:
自己になんらの権利・権能がなく、したがって、相手にその義務がないのに、作為、不作為または忍受を強制すること。
ex.
雇い人に水入りバケツを数時間頭上に支持させる行為
理由なく謝罪文を書かせる行為
自己批判書を書かせる行為
    「権利の行使を妨害した」
ex.
告訴を中止させる杭
競技大会への出場をやめさせる行為
    本罪は実害犯で、未遂を処罰する。(3項)

脅迫、暴行を行ったが、相手方が要求に応じなかった場合、および、
相手方が暴行、脅迫と因果関係なく、他の動機(ex.哀れみから要求に応じたような場合)
が未遂にあたる。
     
     
  ◆第4節 略取・誘拐罪(p85)
  ◇1 総説 
     
◇    ◇2 未成年者拐取罪
  ■1 保護法益 
    @:被拐取者の自由のみ
A:人的保護関係を保護するものであり、親権者などの保護・監護権のみ
B:被拐取者の自由と保護・監護権の両方(通説・判例)

監護者は被害者として独自の告訴権を有する。
C:被拐取者の自由と安全
    ●監護者が本罪の主体たりうるか?
@C説⇒監護者も当然に本罪の共犯たりうる。
AB説⇒監護者の承諾があるかぎり本罪は不成立。
vs.
監護権を保護法益とした本来の趣旨に反するであろうし、未成年者の保護にとっても十分ではない。
最高裁:別居中の妻の監護下にある2歳の子を共同親権者である夫が有形力を行使して連れ去った事案につき、監護養育上それが必要とされる特段の事情がないかぎり本罪が成立する。
(最高裁H17.12.6)
    ●被拐取者の同意の効力
AB説:
監護権が侵害⇒当然に本罪の成立を認める。
vs.
親の許しがもらえないため、18歳の女性と結婚目的でかけおちする行為まで本罪にあたりうるという結論は妥当でない。

@C説⇒本罪不成立。
     
     
     
     
     
  ◆第5節 性的自由に対する罪
  ◇1 総説 
     
     
     
  ◇3 強制性交等罪 
    刑法 第一七七条(強制性交等)
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
未遂罪を罰する(180条)。
   
     
■    手段たる暴行、脅迫は、相手方の反抗を著しく困難にする程度のものであることが必要。 
     
  ◇4 準強制わいせつ罪・準強制性交等罪
  規定 刑法 第一七八条(準強制わいせつ及び準強制性交等)
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
2人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。
未遂を罰する(180条)。
   
  「心神喪失」 
    「抗拒不能」:
自己の性的自由が侵害されていることは意識しているが、たとえば、手足を縛られているとか、酩酊状態、極度の畏怖状態にある等の理由で、物理的、心理的に抵抗が著しく困難な場合
判例:
@被害者が半睡半醒の状態のため行為者を夫または情夫と誤信した状態を利用して性交
A治療行為のために必要であると誤信させて性交
につき広く抗拒不能による準強制性交等の罪の成立を肯定。
     
  ◇6 監護者わいせつ罪・監護者性交等罪 
  規定 刑法 第一七九条(監護者わいせつ及び監護者性交等)
十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
2十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条の例による。
未遂を罰する(180条)。
平成29年改正によって新設された規定。
    実親、養親などの監護者が18歳未満の者に対してわいせつな行為や性交等を継続している事案については、個別の性的行為については暴行・脅迫が認められず、また、抗拒不能とも評価できないため、刑法上の性犯罪として処罰することが困難なものが存在
but
18歳未満の者は一般に精神的に未熟であり、監護者に経済的にも精神的にも依存しており、その影響を受けやすい状況にある。

このような状況において、18歳未満の者を監護する者が、その影響力に乗じて18歳未満の者と性的行為に及んだ場合、18歳未満の者の意思決定は、その自由な意思決定と評価することができないし、また、18歳未満の者を監護・保護すべき立場にある者(監護者)が、被害者の脆弱な性的自由を侵害している点において、重大性・悪質性を認めることができる。
本罪の保護法益は18歳未満の者の性的自由または性的自己決定権であり、青少年の健全育成それ自体を直接の保護法益とするものではない。
   
     
     
     
     
  ◇8 強制わいせつ・強制性交等致死傷罪 
    刑法 第一八一条(強制わいせつ等致死傷)
第百七十六条、第百七十八条第一項若しくは第百七十九条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
2第百七十七条、第百七十八条第二項若しくは第百七十九条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は六年以上の懲役に処する。
    基本犯が、
@強制わいせつ罪・監護者わいせつ罪・準強制わいせつ罪およびこれらの未遂罪の場合、
A強制性交等罪・監護者性交等罪・準強制性交等およびこれらの未遂罪の場合
に区別して、有期刑の下限に差が設けられている。
     
     
☆第4章 秘密・名誉に対する罪  
     
     
     
     
  ◆第2節 名誉に対する罪(p121)
  ◇1 総説 
    名誉:外部的名誉すなわち人に対する社会的評価
外部的名誉:
@本来あるべき評価(規範的名誉)
A現実に通用している評価(事実的名誉)
    刑法230条は、「その事実の有無にかかわらず」名誉毀損の成立を認める。

虚名であっても事実的名誉が一応保護される。
  ◇2 名誉棄損罪
    刑法 第二三〇条(名誉毀き損)
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
2死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。
親告罪(232条)
  ■1 客体
    客体は「人の名誉」
     
■    ■2 行為 
  □(1) 公然性の意義 
     
□    □(2) 事実の摘示 
    名誉毀損には、事実の摘示が必要。
この事実は、他人の社会的評価を低下させるに足りる具体的なものでなければならない。
摘示事実は、230条の2の事実証明の対象となりうる程度の具体性を必要とする。
摘示された事実に具体性が欠ける⇒侮辱罪の成否が問題となるにすぎない。
     
□    □(3) 抽象的危険版 
     
  ◇3 事実の証明 
    刑法 第二三〇条の二(公共の利害に関する場合の特例)
前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
2前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
3前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
  ■1 事実証明の要件
□    □(1) 事実の公共性 
     
□    □(2) 目的の公益性 
     
  □(3) 特則
     
  ■2 真実性の表明 
     
  ◇4 真実性の誤信 
  ■1 処罰阻却事由説 
     
  ■2 団藤旧説 
     
■    ■3 藤木説 
     
  ■4 学説の整理
     
  ◇5 インターネットによる名誉毀損 
  ■1 プロバイダー責任 
     
  ■2 誤信の相当性の判断基準 
     
  ■3 名誉毀損罪の終了時期 
     
     
  ◇6 侮辱罪 
     
     
     
     
☆第5章 信用および業務に対する罪  
     
     
☆第6章 財産に対する罪  
  ◆第1節 財産罪総説(p148) 
  ◇1 刑法における財産の保護 
     
  ◇2 財産犯の分類 
  ■1 財物罪と利益罪
    窃盗罪、不動産侵奪罪、横領罪、盗品関与罪、毀棄・隠匿財⇒財物・物についてのみ成立
利益窃盗及び利益横領は不可罰

可罰的な2項詐欺罪の限界や背任罪の利益横領としての理解が問題となる。
    強盗罪、詐欺罪、恐喝罪⇒財物と財産上の利益の双方を客体とする。
    背任罪〜被害者の全体財産が保護法益
but
行為の客体としては財物と財産上の利益の双方が問題となる。
    電子計算機使用詐欺罪⇒2項詐欺罪の特別類型で、財産上の利益のみを客体
  ■2 全体財産に対する罪と個別財産に対する罪
     
  ■3 領得財と毀棄罪 
     
  ◆第2節 窃盗罪 
  ◇1 総説
  ◇2 窃盗罪 
     
     
  ■5 不法領得の意思
  □(1) 総説 
□     
   
  □(4) 使用窃盗 (p173)
    判例:当初、使用窃盗としての不可罰の基準を返還意思の有無に求めていた。
    but
その後の判例においては、返還意思のある無断一時使用についても不法領得の意思を肯定する方向が主流。
     
     
     
     
     
  ◆第3節 強盗罪 
◇    ◇1 強盗罪 
規定  第二三六条(強盗)
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
2前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
未遂(243条)および予備(237条)を罰する。
  ■1 手段たる暴行・脅迫
     
  ■2 強取の意義
     
  ■3 客体(p187) 
  □財物の意義⇒p151以下参照 
    窃盗罪と同様、242条(他人の占有等にかかる自己の財物)の適用がある。
  □「財産上不法の利益」
  利益の移転ありとするためには、債務免除や
     
  ◆第4節 詐欺罪(p206) 
    刑法 第246条(詐欺) 
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
  ■1 客体(p206)
    財物(1項)および財産上の利益(2項)
  □(1) 財物 
    財物:他人の占有する他人の財物。
    電気は財物とみなされ(251条、245条)
自己物の特例および親族相盗例が準用される(251条、242条、244条)
    窃盗罪と異なり、1項にいう「財物」には、動産のもいでなく不動産も含まれる。

欺罔行為による登記名義の移転により行為者は当該不動産の処分可能性を取得するから、不動産の占有が移転したといいうる。
(登記移転のときに既遂となる。)

権利証その他移転登記に必要な一切の書類を詐取したときも不動産の詐取を認めてよい。
賃借料を支払う意思がないのにアパートの一室や一軒家を借り受ける場合
勤労の意思がないのに雇用契約を締結した上で社宅に入居するような場合
暴力団の組事務所として使用する目的を秘してマンションを賃借する場合
過激派の構成員が活動拠点として利用する意図を秘してマンションを賃借する場合

たとえ不動産の占有を取得したとしても、それは単なる利用可能性の取得に過ぎない

賃借料相当額の利益または端的に居住の利益を得たものとして、2項詐欺の成立を認めるべき。
  □(2) 財産上の利益 
    財産上の利益:
財物以外の財産的利益の一切をいい債権や担保権の取得、労務・サービスを提供させる等の積極的利得のほか、債務免除や支払猶予を得るような消極的利得をも含む。、
  ●終局的に財物の詐取を目的とした行為である場合

そのための前提としての債権取得行為はあくまで1項詐欺の未遂であって、これを2項詐欺の既遂とするには特別の事情がなければならない。
詐欺行為により被欺罔者に金銭の交付を約束させたbutまだ受け取っていない
〜1項詐欺の未遂にとどまる。
判例:不動産の詐取については、
単に所有権移転の意思表示をさせただけでは足りず、
現実に占有を移転するか所有権移転登記をすることにより1項詐欺の既遂となるとしている。
×詐欺賭博によって、客に債務を負担させた段階ですでに2項詐欺の既遂とする判例。
  ●債務免除のほか債務の履行や弁済の一部猶予も財産上の利益にあたるとするのが通説・判例。
vs.
財産上の利益を得たというには、財物の移転と同視しうるだけの具体性・確実性が必要。

債務の履行の一部猶予の場合には、これにより債権の財産的価値が減少したことが必要(平野p219)。
すでに履行遅滞の状態にある債務者が、欺罔手段によって督促を一時免れたという事案に関し、財産上の利益を得たというためには、
債権者がもし欺罔されなかったとすれば、その督促、要求により、債務の全部または一部の履行、あるいは、これに代りまたはこれを担保すべき何らかの具体的措置が、ぜひとも行われざるをえなかったであろうといえるような、特段の情況が必要であるとした判例。

実際にも、一時猶予が財産上の利益にあたるとされた事案のほとんどは支払いの一時猶予を名目に事実上債務の支払いを免れようとしたもの。
  ●労務の提供
通説:労務・サービスの提供も当然に財産上の利益にあたる。
vs.
たとえば、母親が急病だと偽って友人の車で送ってもらった場合にも2項詐欺罪が成立すると解すべきではない

B:有償の役務、対価を伴う役務に限定すべき(有償役務説)(平野p219)。
C:債務免除説:労務の提供自体は、その非移転性ゆえに財産上の利益にはあたらず、有償の役務を利用しつつ終局的に対価の支払いを免れることが財産上の利益であるとする説。
料金を支払う意思がないのにタクシーに乗った
B説⇒タクシーの運行が開始された時点で2項詐欺が既遂に
C説⇒
代金の支払を欺罔手段によって免れた場合にのみ2項詐欺が既遂となり、
それ以前の段階は、
当初から欺罔手段によって代金の支払を免れる意図⇒2項詐欺未遂
当初から逃走することによって代金を支払いを免れる意図⇒処分行為に向けられた詐欺行為が存しない⇒不可罰
     
     
     
  ◆第5節 恐喝罪(p243)
    刑法 第249条(恐喝)
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。.
    刑法 第250条(未遂罪)
この章の罪の未遂は、罰する。
 
■    ■1 客体 
     
    財物には、不動産を含む(判例)。
詐欺罪の場合と同様、
登記名義や権利書の喝取により不動産の処分可能性を取得⇒1項恐喝
単に事実上の利用可能性を取得⇒2項恐喝
    財産上の利益については、詐欺罪の項参照。
  ■2 恐喝 
    財物または財産上の利益を交付させる手段として行われる暴行・脅迫であって、被害者の犯行を抑圧するに至らない程度のもの。
     
  ■3 処分行為 
     
  ■4 権利行使と恐喝
     
  ■5 多罪との関係 
     
 
     
     
  ◆第6節 横領罪 
     
     
  ◆第7節 背任罪
◇    ◇1 総説 
  ■1 罪質 
    他人の事務処理者が自己若しくは第三者の利益を図り、または本人に損害を加える目的で任務違背の行為を行い、本人に財産上の損害を与えることにより成立する全体財産に対する罪。
   
■    ■2 背任の意義 
    ×A:権限濫用説(代理権濫用説):
背任罪を委託者によって与えられた法的処分権限(代理権)の濫用による財産侵害

主体の範囲が法的代理権を有する者に限られ、行為も法律行為しか問題とならない。
vs.
委託者本人との対内関係での背任行為、事実行為、権限逸脱行為が含まれない
⇒財物の保管を委託された者による財物の毀損行為、第三者による搬出を黙認する不作為、企業の営業秘密の管理者による秘密漏示行為等、かなり広い範囲で当罰的な行為が補足されない。
    〇B:信任関係に違背した財産侵害が背任(通説・判例) 
     
  ◇2 背任罪 
    刑法 第247条(背任)
他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
■    ■1 主体 
  「他人のためにその事務を処理する者」=「他人の事務処理者」
     
  財産上の事務に限定されると解すべき。
     
  「他人の事務を処理する」:
他人固有の事務を本人に代わって行うこと。
    ×売買、消費貸借等の契約における売主の目的物を引き渡す義務、買主の代金支払義務、借主の返済義務等

相手方の「ための」事務ではあるが、なお自己の事務

その義務違反は、単なる債務不履行であって本罪にはあたらない。
    判例:
@登録を対抗要件とする電話加入権の二重譲渡
A二重抵当
B農地の売買において県知事の許可がないため所有権移転の効力が発生しない間に売主が第三者に抵当権を設定した事例

背任罪の成立を認めた。

@登記、登録という対抗要件を備えなければ権利を保全できない
A@では贈与により、ABでは代金の完済により、財産の実質的な処分権は契約の相手方に移転していたと解し得うる。
     
  ■2 任務違背行為(p277)
    行為:「任務に背く行為」 
    背信説⇒誠実な事務処理者としてなすべきものと法的に期待されるところに反する行為。 
任務違背の有無は、一般的にいえば、個々の事務内容、事務処理者の地位や権限、行為当時の状況等によって判断されることになる。
具体的には、法令、予算、通達、定款、内規、契約等に反するう行為であれば、それが財産的損害を生ぜしめる性質のものであるかぎり原則的に任務違背行為であり、
あとは財産的加害の認識および図利・加害目的(反対にいえば、本人のためにする意思の欠如)の有無を検討すれば足りる。
    ×A:任務違背性は、より実質的に理解すべき
vs.
本罪の故意(任務違背性の認識)のほかに図利・加害目的を要件とした意味が失われることとなり妥当でない。
     
    典型的な背任行為:
@不良貸付:
銀行等の金融機関の役職員が、回収する見込みがないのに十分な担保や保証を提供させることなく金銭を貸し付ける場合。

A粉飾決算:
法令・定款に違反して虚偽の決算を行い、利益がないのにあったように仮装して株主に利益配当。

B債務負担行為
C会社との自己取引
     
    最高裁H21.11.9(北海道拓殖銀行事件):
任務違背性の判断において経営判断の原則が適用される余地がある。
but銀行業務の特殊性⇒銀行の取締役については、経営判断の原則の適用の余地が限定的になる。
実質倒産企業に対する救済融資が例外的に正当化されるためには、「その融資判断が合理性のあるものでなければならず、手続的には銀行内部での明確な計画の策定とその正式な承認を欠かせない」ことになる。
     
  ■3 図利・加害の目的 
    任務違背と財産的加害の認識という故意のほかに
自己もしくは第三者の利益を図る目的(図利目的)または
本人に損害を加える目的(加害目的)
が必要。
第三者:自己と本人以外の者をいい、共犯者もこれに含まれる。

利欲罪的性格と毀棄罪的性格の両方を有している。
不良貸付において、貸付先の利益を図る目的
違法配当において株主の利益を図る目的
〜第三者図利目的

不良貸付においてリベートをもらう
粉飾決算により役員賞与を得る目的
〜自己図利目的
図利目的は犯罪の動機
⇒財産上の利益に限定する必然性はなく、自己の地位保全や信用・面目を維持する等の身分上の利益(保身の利益)をも含むと解すべき。
   
    A:図利・加害の目的については、図利・加害の事実について確定的認識または意欲を必要とする

@本罪は財産上の損害という結果を必要としている⇒その認識は故意の要件。
A加害の目的が未必的認識でも足りるとすれば、本罪の故意があれば同時に加害目的も肯定されることになり、加害目的を故意とは別個の主観的要件として規定した意味は失われるし、図利目的を選択的に規定した意味も失われる。
vs.
図利・加害の目的という要件は、結局、当該任務違背行為が本人のためにする意思(本人図利目的)で行われたものでないという要件を裏側から規定したもの
本人図利目的が認められない場合、本罪の要件としての図利・加害目的は未必的なもので足りる(消極的動機説)。
〇B(判例):意欲ないし積極的認容までは必要でない
図利・加害目的と本人図利目的とが併存する場合には、2つの目的の主従によって本罪の成否が決定される。
    最高裁H17.10.7(イトマン事件):
・・・・
被告人が本件融資を実行した動機は、Iの利益よりも自己やAの利益を図ることにあったと認められる、また、Iに損害を加えることの認識、認容も認められる

被告人には特別背任罪における図利目的はもとより加害目的をも認めることができる。

被告人の加害目的を認定しているが、I社に害を加える動機を具体的に認定しているわけではない⇒積極的動機説を前提にするものではない。

@Iに損害を加えることの認識・認容があることを前提に、
AIの利益を図る動機が本件融資の主たる動機とはいえないことを根拠として、加害目的を認定
⇒消極的動機説に親和的な判断と評価することができる。
     
  ■4 財産上の損害
    財産上の損害:
経済的見地において本人の財産状態を評価し、被告人の行為によって、本人の財産の価値が減少したとき又は増加すべかりし価値が増加しなかったときをいう。
     
     
  ■5 共犯 
    背任にあたる不良貸付等は民事上有効な法律行為
but
その相手方も本罪の共同正犯たりうるとするのが判例。
    融資を受ける者が
@融資担当者の図利・加害目的や任務違背性の認識などを十分認識していること
A迂回融資などの不正融資工作に積極的に関与していること
B自らも図利・加害目的を有すること
などの要件を満たす場合には、
融資を受ける者にも(特別)背任罪の共同正犯が成立するという判例理論
     
■    ■6 他罪との関係(p284)
  □(1) 詐欺罪との関係 
    本人に対する詐欺行為と本人による処分行為が存在し、これによって行為者が財物または利益を自己領得する場合⇒詐欺罪
あくまで本人の事務処理として行われた任務違背行為⇒その過程に詐欺的手段(たとえば、不良貸付における担保の仮装や過大評価)があっても、背任罪のみの成立。
□    □(2) 横領罪との関係 
  ●(a) 区別の必要性 
    財務物の賃借人が不法に賃借物を売却⇒賃借人は他人の事務処理者とはいえない⇒横領罪
二重抵当にように財物以外の権利が客体⇒財物罪である横領罪は成立しえず、背任罪が成立。
    他人の事務所理者が事故の占有する他人の財物を不法に処分した場合⇒同じ背信罪である横領罪と背任罪の両方が成立するように見える⇒両罪は法条競合の関係に立ち、より重い横領罪のみが成立するとするのが通説・判例。
  ●(b) 学説 
    財物についての領得行為が横領罪
その他の背信行為が背任罪
(平野)