シンプラル法律事務所
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真の再生のために(個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP-トップ |
論点の整理です(随時増やしていく予定です。)
☆交通事故処理マニュアル(大阪弁護士会交通事故委員会) | ||||||
◆ | ◆第1章 初動調査・資料収集 | |||||
◇ | ◇1 序論 | |||||
◇ | ◇2 初動調査の必要性・重要性 | |||||
◇ | ◇3 交通事故証明書と入手方法 | |||||
■ | ■(1) 交通事故証明書とは | |||||
警察に届け出され、その事実が確認された交通事故について発行される証明書 | ||||||
■ | ■(2) 交通事故証明書の記載内容 | |||||
①自己の発生日時場所 ②事故当時者の氏名、住所等 ③運転車両の車両番号(登録番号又は車両番号) ④加入自賠責保険会社と証明書番号 ⑤事故の類型 ⑥人身事故、物件事故の区別 |
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■ | ■(3) 入手方法 | |||||
郵便為替⇒警察署、交番又は地区交通安全協会等で交通事故証明書申込用紙を入手して手数料を送金すれば、2週間程度で郵送。 代理人住所を郵送先とすることもできるが、この場合は申込用紙の通信欄に事故当時者のいずれの代理人であるかを明記し職員を押印。 |
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■ | ■(5) 発行期間 | |||||
◇ | ◇4 車両の所有者等の確認方法 | |||||
■ | ■(1) 登録事故等証明書及び軽自動車の検査記録事項証明書 | |||||
交通事故証明書には運転車両の所有者の記載がない。 but 運行供用者責任の責任主体である「運行供用者」には自動車の所有者が含まれる⇒同責任の追及に際して所有者の氏名住所等の確認が必要となる場合がある。 |
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□ | □ア 自動車検査証 | |||||
自動車(総排気量250ccを超える二輪自動車を含む)は、自動車検査証(車検証)の携帯が義務付けられている。 相手方や任意保険会社が任意に開示する場合もある。 |
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□ | □イ 車検証の開示が受けられない場合 | |||||
● | ●(ア) 自動車(総排気量250ccを超える二輪自動車、軽自動車及び小型特殊自動車を除く) | |||||
登録制度⇒登録事項等証明書の交付を申請。 but 車台番号の記載が必要⇒弁護士会照会(23条の2)による照会を行う必要 |
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● | ●(イ) 軽自動車 | |||||
軽自動車検査ファイルに基づく検査記録事項等証明書が作成 but 弁護士会照会を行う必要 |
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● | ●(ウ) 二輪自動車(総排気量250ccを超えるもの) | |||||
二輪自動車検査ファイルに基づく検査記録事項等証明書が作成 but 弁護士会照会を行う必要 |
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□ | □ウ その他の車両 | |||||
◇ | ◇5 保険関係の調査 | |||||
相手方加入の自賠責保険会社は交通事故証明書に記載がある。 証明書番号の誤記など、正確な証明書番号が不明⇒当該保険会社、加害者本人または加害者側の任意保険会社への問い合わせ、弁護士照会等をする。 |
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◇ | ◇6 相続関係、身分関係の調査 | |||||
◇ | ◇7 関連法令、裁判例等の調査 | |||||
■ | ■(1) | |||||
自賠法、道交法、同法施行令、施行規則 各都道府県の条例(道路交通規則、道交法施行規則などの名称)により運転者の遵守事項が規定(ex.下駄履きでの車両の運転や傘をさして自転車を運転することの禁止など) |
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■ | ■(2) | |||||
裁判例集 | ||||||
◇ | ◇8 医療記録の取り寄せ | |||||
■ | ■(1) 医療関係資料入手の必要性 | |||||
□ | □ア 損害賠償請求に必要な資料 | |||||
①治療費、入院雑費、入通院(傷害)慰謝料等 ⇒診断書、診療報酬明細書、領収証 |
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②後遺障害に関する損害(逸失利益、後遺障害慰謝料) ⇒後遺障害診断書、(自賠責保険の請求済であれば)後遺障害等級認定表 |
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③死亡慰謝料 ⇒死亡診断書又は死体検案書等 |
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□ | □イ その他自賠責保険の請求で要求される資料 | |||||
後遺障害事案⇒等級認定資料として、後遺障害が見込まれる受傷部位の画像資料(レントゲン写真等) | ||||||
□ | □ウ 争点に応じて必要となる資料 | |||||
加害者が傷害・後遺障害の有無・程度、事故との因果関係がを争う場合 ⇒診療録や看護記録、レントゲン写真等の画像資料 |
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■ | ■(2) 診断書、診療報酬明細書(レセプト)等の入手方法 | |||||
被害者側⇒医療関係資料の作成・交付を依頼できる。 代理人が入手⇒事前に被害者の同意書を得ておく必要。 |
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加害者側の任意保険会社が示談代行により治療費を支払⇒任意保険会社が診断書や診療報酬明細書を取り寄せている⇒任意保険会社側に、これらの資料の写しの送付依頼をするのが便宜。 受任通知を送付する際、事件関係書類一式の送付依頼をも行っておくと、早期に依頼者の治療状況が把握できる。 |
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加害者の任意保険が治療費を支払っていない⇒被害者に病院から取り寄せてもらうか、委任状を得て代理人が取り寄せる。 被害者請求(自賠法16条)や訴訟が見込まれる⇒あらかじめ自賠責保険会社から請求書類一式を取り寄せて、当該書式に則って診断書等を記載してもらうよ病院側に依頼しておく必要。 |
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治療が長期間に及ぶ⇒まとめて取得しようとすると取り寄せに時間がかかる場合がある⇒適宜発行を依頼しておくのが望ましい。 | ||||||
労災⇒労働局に対する保有個人情報開示請求で安価に診療報酬明細書を取得することも可能。 | ||||||
◇ | ◇9 その他の記録の取り寄せ | |||||
■ | ■(1) 信号周期表 | |||||
■ | ■(2) 事故状況報告書(任意保険会社の記録) | |||||
任意保険会社は、保険金支払にあたり契約者から報告を受け事故状況報告書を作成している⇒その開示を受けることができれば、当事者の主張する事故状況について確認できる。 | ||||||
■ | ■(3) ドライブレコーダ、防犯カメラなどの映像 | |||||
相手方がバス、タクシー等 ⇒車両前方を撮影するドライブレコーダ(速度やブレーキ操作の有無が記録されているものもある。)や車内を撮影した防犯カメラが設置されていることがある。 ~ 相手方が所有している場合、任意の開示を受けるか、 訴訟における文書提出命令などの証拠開示手続。 |
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店舗や街頭の監視カメラに自己情報が記録されていることがある ⇒現地を確認したうえで管理者に任意の提供を求めるか、文書送付嘱託の申立などにより入手。 |
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■ | ■(4) 運航記録計(タコグラフ) | |||||
◆ | ◆第2章 事故態様の把握(6頁) | |||||
◇ | ◇1 刑事記録(実況見分調書等)等の入手 | |||||
■ | ■(1) 刑事記録の取り寄せ方法 | |||||
□ | □ア 必要性 | |||||
□ | □イ 民事訴訟手続による方法 | |||||
□ | □ウ 民事訴訟手続によらずに入手する方法 | |||||
● | ●(ア) 公訴提起事件 | |||||
〇 | 〇a 公判中(証拠調べ後) | |||||
請求先:当該刑事被告事件の係属する裁判所 | ||||||
〇 | 〇b 確定後 | |||||
請求先:検察庁 | ||||||
● | ●(イ) 不起訴事件 | |||||
原則として、実況見分調書に限って請求可能 | ||||||
□ | □エ 注意事項 | |||||
● | ●(ア) 検番について | |||||
警察署に検番や送致番号を照会: 被害者及びその親族が直接問い合わせ⇒特段の手続をとることなく教えてもらえる(電話による照会は困難)。 弁護士が被害者等の代理人として問い合わせ⇒個人情報保護を理由に、弁護士会照会の手続を要求されることが多い。 |
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検察庁に対しては、代理人として文書で照会⇒検番を回答してもらえることがある。 この場合、委任状と交通事故証明書(写し可)を添付。 |
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● | ●(イ) 物件事故報告書 | |||||
警察署では、、物損のみの事故については物件事故報告書を作成。 実況見分調書に比べて簡略な記載で証拠価値が乏しい。 but 刑事記録がない⇒事故状況を把握する資料として検討すべき。 |
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警察署に対する弁護士会照会、又は訴訟提起後に文書送付嘱託により取り寄せる。 | ||||||
● | ●(ウ) 記録の保存期間 | |||||
● | ●表1 刑事記録の保管期間 | |||||
◇ | ◇2 事故現場の状況(公道外事故含む。) | |||||
■ | ■(1) 事故直後に相談を受けた場合の対応…証拠収集の指示 | |||||
事故の状況を明確にし、それを証明する証拠資料をできるだけ収集しておくよう指示 ←訴訟等においては、事故現場における事故直後の証拠が大いに効果を発揮する。 |
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■ | ■(2) 事故発生の地点とその状況、車の破損程度、スリップ痕の状況、転倒した状況、ガラス破片等の散乱状況等の写真を撮影しておく | |||||
事故車両を撮影した写真: ①加害車両と被害車両との衝突部位を推定して事故態様を推測する手掛かり。 ②被害者の受傷の存否や程度が争われる場合には交通事故による衝撃のおよそ程度を推知し得る客観的資料として有用。 ③物的損害の賠償を求め、自動車が全損したか否か、損害箇所又は修理費若しくは評価損の相当額が争われるようなときにも、自動車の破損状況を直截に証明し得る客観的資料。 |
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車両は事故現場にアクセスできない⇒証拠保全手続も検討。 | ||||||
■ | ■(3) 現場に自己の目撃者がいる場合、住所・氏名などを聞いてメモしておく | |||||
■ | ■(4) 受傷⇒軽傷でも、直ちに医師の診断を受けておく。 | |||||
←受傷の存否や程度が争われる可能性がある。 | ||||||
■ | ■(5) 公道外(駐車場等)での事故 | |||||
◇ | ◇3 警察への通報や救急搬送状況 | |||||
被害者が事故後に救急搬送されているケースで、 被害者の受傷の存否や程度、事故との因果関係が争われる場合: 弁護士照会や文書送付嘱託により消防署から救急搬送記録を取り寄せて、事故直後における被害者の救急隊員に対する被害申告内容を明らかにする ⇒受傷の存在や程度、事故との因果関係を立証。 |
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加害者にもひき逃げ(道交法72条1項の救護義務・報告義務違反)⇒慰謝料の増額を考慮。 ⇒警察や消防への事故報告がされているかを確認。 |
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◇ | ◇4 その他の自動車事故関連知識 | |||||
◆ | ◆第3章 請求及び当事者(p12) | |||||
◇ | ◇1 被害者の加害者等に対する請求 | |||||
■ | ■(1) 運行供用者責任 | |||||
□ | □ア 自動車事故における運行供用者責任 | |||||
自賠法 第3条(自動車損害賠償責任) 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。 |
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自己のために自動車を運行の用に供する者=「運行供用者」 | ||||||
□ | □イ 立証責任の転換 | |||||
民法の不法行為のうち、過失の立証責任を転換。 推定は、因果関係や損害発生までには及ばない。 |
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□ | □ウ 「運行」の概念 | |||||
自賠法 第2条(定義) 2 この法律で「運行」とは、人又は物を運送するとしないとにかかわらず、自動車を当該装置の用い方に従い用いることをいう。 |
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「運行」=自動車を当該装置の用法により用いること(自賠法2条2項) | ||||||
□ | □エ 「保有者」の概念 | |||||
自賠法 第2条(定義) 3 この法律で「保有者」とは、自動車の所有者その他自動車を使用する権利を有する者で、自己のために自動車を運行の用に供するものをいう。 |
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ex.自動車の所有者、賃借人、レンタカー会社、タクシー会社等の事業者、売買用自動車のディーラー等 | ||||||
□ | □オ 「自己のために」の要件 | |||||
自賠法3条の「自己のために」 ~ ①自動車の使用についての支配権と、 ②その使用により享受する利益が 自己に帰属することを意味 |
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×他人のために運転に従事する運転者(バス会社の乗務員、社用車を運転する従業員等) 〇自動車泥棒など使用権原のない者であっても、自己のために運転に従事していた者 |
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「自己のために」に該当するか否かの判断に当たっては、 ①運行支配(当該利用権者の権限に基づきその支配内において運転すること)と ②運行利益(客観的外形的には、その運行は当該利用者のためにされていること) の帰属の有無という基準で判断。 (最高裁昭和46.1.26) |
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自動車の所有者から依頼されて自動車の登録名義人となった者の責任について ①登録名義人となった経緯、②所有者との身分関係、③自動車の保管場所その他の諸事情に照らし、 自動車の運航を事実上支配、管理することができ、社会通念上自動車の運行が社会に害悪をもたらさないよう監視、監督すべき立場にある場合には、 右登録名義人は、自動車損害賠償責任法3条所定の自己のために自動車を運行の用に供する者にあたる として、運行供用者責任を認めた判例。 (最高裁昭和50.11.28) |
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□ | □カ 自賠法3条ただし書きによる免責 | |||||
■ | ■(2) その他の不法行為責任 | |||||
□ | □ア 使用者責任等 | |||||
□ | □イ 未成年者や責任無能力者等による事故 | |||||
□ | □ウ 国家賠償責任 | |||||
■ | ■(3) 加害者側の保険に対する請求 | |||||
■ | ■(4) 政府保障事業 | |||||
■ | ■(5) その他 | |||||
◇ | ◇2 多重事故、複数事故と共同不法行為 | |||||
■ | ■(1) 多重事故、複数事故 | |||||
■ | ■(2) 寄与度による責任額の限定 | |||||
■ | ■(3) 医療事故と共同不法行為 | |||||
◇ | ◇3 加害者(義務者)側からの請求 | |||||
◆ | ◆第4章 受任に関して | |||||
◆ | ◆第5章 自賠責保険(p19) | |||||
◇ | ◇1 意義 | |||||
◇ | ◇2 補償の範囲、仮渡金等 | |||||
■ | ■(1) 補償の範囲 | |||||
人的損害のみで、物損への保証はない | ||||||
生命身体自体に対するものでなくとも、 応急処置費用(応急手当のための布団、搬送具などが汚損したことにより生じた費用)、 技肢等の費用(眼鏡、義肢、補聴器、松葉杖などの医師が身体の機能を補完するために必要と認めたものが事故により損傷し、修繕又は再調達が必要な場合) は人損として扱い補償の対象となる。 |
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■ | ■(2) 保険金額 | |||||
自賠令2条により上限額が規定。 | ||||||
上限額は1事故について被害者1名に対するものであり、被害者が複数の場合にはそれぞれに限度額までが支払われる。 | ||||||
加害者が複数(共同不法行為)⇒上限額は加害車両の台数を乗じる。 | ||||||
● | 死亡に対する補償⇒3000万円 葬儀費、逸失利益、死亡慰謝料 |
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● | 傷害に対する補償⇒120万円 治療関係費(治療費、通院費、看護料、入院雑費、義肢等の費用、診断書等作成費) 文書料(交通事故証明書、印鑑証明書等) 休業損害 慰謝料 その他の費用(事故現場から医療機関までの運送費、遠隔地にいる近親者の交通費、救助又は捜索の費用等) |
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● | 後遺障害に対する補償⇒等級に応じて4000万円~75万円 逸失利益、後遺障害慰謝料 |
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◇ | ◇3 支払基準 | |||||
金融庁と国土交通省とが定める「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」(平成13年金融庁国土交通省告示第1号) | ||||||
~ 自賠責保険会社がこれに従って保険金を支払うことを義務づけるもので、 支払基準は、自賠責保険会社以外の者を拘束するものではない。 最高裁: 訴訟において被害者が自賠責保険会社に対して損害賠償額の支払を請求する場合には、「裁判所は、法16条の3第1項が規定する支払基準によることなく損害賠償額を算定して支払を命じることができる」 |
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◇ | ◇4 仮渡金 | |||||
当座の治療費、生活費を確保するための手段として仮渡金 | ||||||
被害者の請求により 死亡⇒290万円 傷害⇒政令の定める限度に応じて一定額(40万、20万、5万)が支払われる。 (自賠法17条、自賠令5条) 治療費の金額が確定していなくても、事故が発生し、政令に定められる人身損害の発生を証明できれば支払がされる。 |
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◇ | ◇5 損害保険料率算出機構について | |||||
損害など事故に関する調査を保険会社等とは別の機関が行う。 損害保険料率算出機構の自賠責損害調査センターにより各地に設置されている地区本部及び「自賠責損害調査事務所」が行っている。 |
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自賠責保険会社に請求⇒自賠責損害調査事務所にて事故発生状況や損害額などを調査し損害保険会社等に報告⇒この報告を元に支払額を決定し、請求者に支払をする。 | ||||||
後遺障害の有無や等級の認定も同機構で行われる。 | ||||||
◇ | ◇6 自賠責保険金の請求 | |||||
■ | ■(1) 請求の方法 | |||||
□ | □ア 加害者請求(15条請求) | |||||
加害者が被害者に賠償を行った後に加害者が保険金を請求 | ||||||
□ | □イ 被害者請求(16条) | |||||
被害者が直接、加害者側が契約している自賠責保険会社に対し自賠責保険金を請求。(自賠法16条) ⇒ 加害者との間で争いがある場合等でも早期に賠償を受けることができる。 |
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□ | □一括払制度(一括払請求、任意一括など) | |||||
■ | ■請求手続 | |||||
□ | □ア 加害者請求・被害者請求の手続 | |||||
自賠責保険会社に自動車損害賠償責任保険支払請求書兼支払指図書(資料4)と 添付書類(資料5参照)を提出して請求。 |
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通院先が歯科医院や整骨院の場合、あるいは高次脳機能障害が問題となる事案など ⇒ 通常の書類のほか特別の書式(資料10など)や添付書類が必要になる。 |
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□ | □イ 一括払請求の手続の流れ | |||||
□ | □ウ 支払指図について(保険会社から病院等への治療費支払) | |||||
治療費に対する部分については、支払請求書に支払先の病院等を記入して提出 ⇒被害者請求(自賠法16条)、一括払請求のいずれの場合でも、保険金請求の際に治療費分の支払を病院等へするよう支払指図ができる。 |
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通院のたびに治療費を負担する必要がなくなる but 被害者がしらないうちに高額な治療費が請求され、保険会社と紛争になることもある。 |
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◇ | ◇7 自賠責保険が支払われない場合 | |||||
◇ | ◇8 無保険の場合等 | |||||
◆ | ◆第6章 任意保険 | |||||
◇ | ◇1 自賠責保険との相違点 | |||||
◇ | ◇2 任意保険の約款 | |||||
平成20年7月の自動車保険の自由化にともない各社が独自の約款を作成 ⇒具体的な事件の処理にあたっては、必要に応じて各社の約款の内容を確認すべき。 |
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◇ | ◇3 任意保険による賠償の種別 | |||||
■ | ■(1) 相手に対する賠償に関するもの | |||||
□ | □ア 対人賠償責任保険 | |||||
□ | □イ 対物賠償責任保険 | |||||
■ | ■(2) 保険契約者側に生じた損害に関するもの | |||||
□ | □ア 自損事故保険 | |||||
□ | □イ 無保険車傷害保険 | |||||
□ | □ウ 搭乗者傷害保険 | |||||
□ | □エ 人身傷害補償保険 | |||||
対人・対物賠償責任保険:事故の相手方が契約する保険。 人身傷害補償保険:被害者自身が契約している保険会社からの保険金で損害を填補する保健。 |
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□ | □オ 車両保険 | |||||
◇ | ◇4 特約 | |||||
◇ | ◇5 保険会社等の示談代行 | |||||
◇ | ◇6 任意保険会社に対する提訴の要否 | |||||
◇ | ◇7 人身傷害補償保険と代位の問題 | |||||
■ | ■(1) 概要 | |||||
■ | ■(2) 人身傷害保険会社による代位の範囲についての諸問題 | |||||
人身傷害補償保険により支払われる保険金は裁判所が認定すると予想される損害額(過失相殺前)を下回ることが通常 ⇒実質的に一部保険となっており、いわゆる一部保険と請求権代位の問題。 |
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□ | □人身傷害保険金の支払が先行した場合(人傷先行型) | |||||
最高裁(最高裁H24.2.20):訴訟基準差額説: 人身傷害保険金は、 加害者(賠償義務者)に対する損害賠償請求訴訟における被害者(被保険者)の過失割合に対応する損害に優先的に充当される ⇒ 人身傷害保険会社は、支払った人身傷害保険金が前記訴訟における被害者の過失割合に対応する損害を上回るときにはじめて、その上回る額についてのみ被害者の加害者に対する損害賠償請求権を代位取得できる。 |
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□ | □賠償義務者からの損害賠償債務の履行が先行した場合(賠償先行型) | |||||
被害者及び加害者の責任の所在と切り離して保険金の支払が迅速に受けられるというのが人身傷害補償保険の特徴⇒本来このような事態は想定されていない。 | ||||||
約款の規定には、人傷基準により損害額から差し引くものとして、 自賠責保険等すでに給付が決定し又は支払われた額という項目と並んで、 保険金請求権者(被害者)が賠償義務者からすでに取得した損害賠償金の額 が挙げられている。 but 上記H24.2.20とで差異が生じるのは不合理。 ⇒平成24年10月契約分以降、順次約款の改定を行い、人傷先行型と同じ結果がもたらされる内容となってきている。 |
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■ | ■(3) 確定遅延損害金との関係 | |||||
人身傷害保険会社は加害者に対する損害金元本に対する人身傷害保険金支払日までの遅延損害金を代位取得しない。 ← その約款内容から、被害者の損害の元本を填補するものであり、損害の元本に対する遅延損害金を填補するものではない。 ⇒ 被害者が自賠責保険から損害賠償額の支払を受けた場合と異なり、被害者が受け取った人身傷害保険金は人身傷害保険金支払日までの確定遅延損害金に充当されず、被害者が加害者に対して請求する損害額の残元本は人身傷害保険会社から支払われた人身傷害保険金の額だけ減少。 |
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他方で、被害者は事故日から支払済みまでの遅延損害金を加害者側に請求することができる。 (ただし、確定遅延損害金の算定の基礎となる損害金元本額は、 人身傷害保険金支払日まで加害者に対して請求できる損害金元本を基礎とし、 支払日翌日からは加害者に対して請求できる損害金元本から人身傷害保険金額を差し引いた残額を基礎とする。) |
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● | ●算定例 | |||||
事故日:平成25年7月1日 総損害額(裁判基準):1億円 過失相殺(10%)後の被害者の損害額:9000万円 人身傷害保険金の支払日:平成26年6月30日 支払われた人身傷害保険金:5000万円 ⇒ 被害者が加害者から受領できる額は、次の①②③の合計。 ①損害金元本:5000万円(訴訟基準差額説) (=1億円ー5000万円) ②9000万円に対する事故日から人身傷害保険金支払日までの確定遅延損害金:450万円 ③5000万円に対する人身傷害保険金から支払済みまでの遅延損害金 |
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■ | ■(4) 自賠責保険との関係 | |||||
人身傷害保険会社が自賠責保険分の支払うといういわゆる「人傷一括」の場合、 後に人身傷害保険会社が自賠責保険金を回収すると、 被害者の加害者に対する訴訟における請求認容額にどのような影響を与えるか? |
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● | ●算定例: | |||||
総損害額(裁判基準):1億円 過失相殺(50%)後の被害者の損害額:5000万円 支払われた人身傷害保険金:7000万円 人身傷害保険会社が回収した自賠責保険:3120万円 A:加害者負担部分から人身傷害保険会社が回収した自賠責保険金を損益相殺する見解 B:加害者負担部分から人身傷害保険会社が回収した自賠責保険金を損益相殺しない見解 |
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◇ | ◇8 故意、飲酒無免許、反社会的勢力 | |||||
◇ | ◇9 自転車事故と個人賠償責任保険 | |||||
◆ | ◆第7章 社会保険等 | |||||
◇ | ◇1 社会保険と公的扶助 | |||||
◇ | ◇2 労災保険(給付・他制度との関係) | |||||
■ | ■(1) はじめに | |||||
■ | ■(2) 労災保険の申請方法 | |||||
□ | □ア 申請方法 | |||||
労災保険の請求権: ①療養・休業・葬祭・介護に関するもの⇒2年 ②障害・遺族に関するもの⇒5年 の時効により消滅。 |
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□ | □イ 認定要件 | |||||
■ | ■(3) 保険給付・公災補償される費目 | |||||
①療養(補償)給付 ②休業(補償)給付 ③傷病(補償)年金 ④障害(補償)給付 ⑤介護(補償)給付 ⑥遺族(補償)給付 ⑦葬祭料・葬祭給付 のうち、 被害者の被った損害項目に該当する保険給付・公災補償(「保険給付等」)がされる。 |
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物的損害や慰謝料に関する給付はない。 | ||||||
休業(補償)給付が6割しかされないことや、 労災に限り休業4日目から支給開始となること に注意。 |
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これらの給付は、損益相殺の対象となる。 | ||||||
■ | ■(4) 特別支給金 | |||||
特別支給金は損益相殺の対象とならない。 | ||||||
■ | ■(5) 自賠責保険との関係 | |||||
通達(厚生労働省通達)により、自賠責保険先行の通達。 but 同通達に拘束力はない。 ⇒被害者の利益になる場合には労災保険給付を先行させるべき。 |
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自賠責保険:休業補償や慰謝料のの面で補償範囲が広い点で有利 労災保険:過失相殺がなく、制度趣旨・認定趣旨の違いや医師面談が必ず実施されるため認定資料が豊富⇒一般的に後遺障害等級が認定されやすい傾向にある。 自賠責保険にはない年金給付も認められている。 |
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■ | ■(6) 健康保険、国民健康保険及び公務員共済(「健康保険等」)の関係 | |||||
労災事案においては、健康保険等は使用できない。 | ||||||
■ | ■(7) その他の給付制度との関係 | |||||
■ | ■(8) 控除及び求償 | |||||
□ | □ア 概要 | |||||
政府、国、地方公務員災害補償基金: 先に労災給付等 ⇒給付価額の限度で労災給付等を受けた者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得し(「求償」)、 先に第三者から「同一の事由」について損害賠償を受領 ⇒その価額の限度で保険給付をしないことができる(「控除」)。 |
||||||
控除の対象は「同一の事由」についての損害賠償に限られる ⇒本件給付等ではなく福祉事業の一環として支給される特別支給金は控除の対象にならず、別途保険給付を受けることが可能。 |
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控除の具体的方法: ①一時金給付⇒損害賠償の項目及び保険給付等の種類ごとに保険給付等の金額から受領済みの損害賠償額を控除した金額が支払われる ②年金給付⇒支給されるべき年金額が受領済みの損害賠償額に達するまでの間、年金給付が支給停止される |
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□ | □イ 求償・控除の対象期間 | |||||
通達により、3年に限り求償・控除の対象にするとの運用が長年取られてきたが、 新たな通達により、平成25年4月1日以降に発生した災害については、控除に限り、対象期間が7年まで延長。 |
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◇ | ◇3 健康保険の利用 | |||||
■ | ■(1) 健康保険 | |||||
■ | ■(2) 交通事故による健康保険 | |||||
□ | □ア 保険診療と自由診療 | |||||
診療報酬は、 保険診療の場合1点10円 自由診療の場合は医療機関が自由に設定できる |
||||||
□ | □イ 健康保険利用の手続 | |||||
交通事故に夜傷病の場合、保険者による求償 ⇒「第三者行為による傷病届」を各健康保険担当窓口に提出する義務 その他、示談を勝手にしないことの念書等の提出が必要。 |
||||||
□ | □ウ 健康保険利用のメリット | |||||
①加害者が自賠責保険にしか加入しておらず、治療費が高額になる場合や、 ②被害者の過失がある場合 ~ 保険診療の方が、被害者の最終的な受領金額が多くなる等のメリットがある。 |
||||||
□ | □エ 健康保険利用のデメリット | |||||
①「第三者行為による傷病届」提出義務等、手続が煩雑 ②健康保険を利用した治療は、治療内容、使用できる薬剤の種類・量、リハビリの回数等に制約がある。 |
||||||
■ | ■(3) 健康保険給付と損害賠償の関係 | |||||
□ | □ア 求償 | |||||
□ | □イ 控除 | |||||
■ | ■(4) 健康h権給付と損益相殺の関係 | |||||
◇ | ◇4 年金制度と逸失利益、損益相殺 | |||||
◇ | ◇5 交通事故に関連する生活保護制度の扱い | |||||
◇ | ◇6 被害者請求権(自賠法16条)との関係 | |||||
◇ | ◇7 他の被害者援助制度 | |||||
◆ | ◆第8章 人身損害の算定 | |||||
◇ | ◇1 損害算定の方法 | |||||
◇ | ◇2 積極的損害(p39) | |||||
■ | ■(1) 治療関係費 | |||||
診断量、検査料、入院料、投薬量、手術料、処置料のほか、 鍼灸、整骨院での施術費等が含まれる。 |
||||||
過失相殺あり⇒既払い治療費であっても一旦計上のうえ、過失相殺後に、改めて既払い額を損益相殺で控除、。 | ||||||
◇ | ◇3 消極的損害 | |||||
◇ | ◇4 慰謝料 | |||||
■ | ■(1) 死亡慰謝料 | |||||
■ | ■(2) 入通院慰謝料 | |||||
□ | ①通院が長期にわたり、かつ、不規則な場合 ⇒ 実際の通院期間(始期と終期の間の日数)と実通院日数を3.5倍した日数と比較して、 少ないほうの日数を基礎として 通院期間を計算。 (いわゆる3.5倍基準) |
|||||
②軽度の神経症状(むち打ち症で他覚的所見のない場合等) ⇒ 通常の慰謝料の3分の2程度とする (いわゆる3分の2基準) |
||||||
□ | 仕事や家庭の都合等で本来より入院期間が短くなった ⇒慰謝料増額の主張を検討すべき |
|||||
通院治療であってもギプス固定により自宅安静をしていたり、 入院の空室がなく待機を余儀なくされた ⇒自宅待機期間や自宅安静期間を入院期間とみるべきとの主張。 |
||||||
①加害者に悪質性がある場合 ②14級相当に満たない軽微な後遺障害が残った場合 ③将来治療費が見込まれるもののその算定が困難ないし不可能な場合等 ⇒慰謝料増額の主張を検討すべき。 |
||||||
■ | ■(3) 後遺障害慰謝料 | |||||
■ | ■(4) 近親者の慰謝料 | |||||
◆ | ◆第9章 物的損害 | |||||
◇ | ◇1 物的損害の性質・留意点 | |||||
■ | ■(1) 人身損害との際 | |||||
物的損害については、自賠法3条による請求権がなく、自賠責保険の適用対象ともならない。 物的損害の賠償請求権の消滅時効は、人身損害について自賠法3条に基づいて賠償請求している場合でも中断しない。 |
||||||
■ | ■(2) 物的損害につちえのみ先に示談する場合の留意点 | |||||
後日、人身損害に関する過失割合の認定に不利にならないよう注意 | ||||||
◇ | ◇2 請求権者 | |||||
原則として物の所有者⇒車両損害については、自動車検査証(車検証)や自動車登録事項証明書などにより所有者を確認し、立証する必要。 | ||||||
オートローン契約により所有権留保がされている自動車の車両損害について | ||||||
◇ | ◇3 車両損害 | |||||
1⃣全損でない⇒①修理費用、②評価損 2⃣全損⇒再調達費用(同種同等の車両時価額及び買替諸費用 ) 3⃣ 1⃣2⃣共通⇒①代車料、②休車損、③保管費用、④牽引費用、運搬費用等 |
||||||
■ | ■(1) 全損か否かについて | |||||
■ | ■(2) 修理費用 | |||||
■ | ■(3) 評価損 | |||||
□ | □ア 技術上の評価損 | |||||
□ | □イ 取引上の評価損 | |||||
■ | ■(4) 再調達費用 | |||||
□ | □ア 事故車両の評価額 | |||||
□ | □イ 買替諸費用 | |||||
①登録、車庫証明、廃車などの法定の手数料相当分 ②ディーラー報酬部分(登録手数料、車庫証明手数料、納車手数料、廃車手数料)のうち相当額 ③自動車取得税 ④事故車両の自動車重量税未経過分(自動車リサイクル法に基づき還付された分を除く) ⑤リサイクル預託金など 車両を購入する際に車両価格以外に必要となる諸費用。 ~ 全損の場合、これらの買替諸費用は必要かつ相当な範囲で損害として認められる。 |
||||||
事故車両の自動車税、自賠責保険の保険料は損害とは認められない。 ←未経過分の還付制度があるから。 新しく取得した車両の自動車税も損害とは認められない。 |
||||||
■ | ■(5) 代車料 | |||||
■ | ■(6) 休車損害 | |||||
■ | ■(7) 保管費用 | |||||
■ | ■(8) 牽引費用、運搬費用等 | |||||
◇ | ◇建物・積荷・道路施設の損壊 | |||||
■ | ■(1) 建物に加えた損害 | |||||
■ | ■(2) 積荷の損傷 | |||||
■ | ■(3) 道路施設の損壊 | |||||
◇ | ◇5 物損に対する慰謝料 | |||||
◆ | ◆第10章 その他の損害 | |||||
◆ | ◆第11章 後遺障害の認定と異議申立て | |||||
◇ | ◇1 後遺障害と症状固定 | |||||
■ | ■(1) 症状固定と治癒の概念 | |||||
自動車事故による傷害がなおったときに残存する当該傷害と相当因果関係を有し、かつ、将来においても回復が困難と見込まれる精神的または身体的な毀損状態(「後遺障害」)であって、 その損害が医学的に認められるものが、 後遺障害による損害として損害賠償の対象とされている。 |
||||||
「なおったとき」とは、 傷病に対して行われる医学上一般に承認された治療方法(以下「療養」)をもってしても、その効果が期待し得ない状態(療養の終了)で、かつ、 残存する症状が、自然的経過によって到達すると認められる最終の状態(症状の固定)に達したとき。 ~ 症状固定:これ以上治療を続けても被害者の受けた傷病が回復しない状態。 健康時の状態に完全に回復⇒「治癒」。 |
||||||
実務上、 症状固定までが相当な治療期間であり、 症状固定までの治療費を相当因果関係のある損害と認め、 症状固定後に支出した治療費については特段の事情がない限り損害と認められない。 |
||||||
症状固定日は、後遺障害による逸失利益の算定における基準時。 | ||||||
症状固定は、原則として、医師の診断に基づき、後遺障害診断書に記載されている症状固定日が基準となる。 but 症状固定はあくまで法的概念 ⇒治療の経過等によっては診断書記載の症状固定日と裁判所の認定する症状固定日が必ずしも一致するとは限らない。 後者が前者より前の日となった場合には、その翌日以降の治療費(自由診療による治療費を含む。)が賠償の対象とならないこともある⇒注意が必要。 |
||||||
■ | ■(2) 治癒を継続するかどうかの判断 | |||||
治療費は、加害者が任意保険に加入⇒一般的には加害者の任意保険会社から支払われる。 but 被害者の症状や治療内容については、医療機関に対する治療費の支払を停止することもある。 |
||||||
任意保険会社が治療費の支払を停止した場合、医療機関としてもその後の治療に消極的になることは避けられない。 but だからといって、治療係属の必要性がないとは一概に言い切れるものではない。 |
||||||
数カ月にわたって同じような治療を続けており、症状としても全く改善が見られないということであれば、治療が効果を上げていないといえ、症状固定したと判断されることが多い。 but 被害者の症状の改善が見られなくとも、種々の治療方法が試されていたり、反対に、同じ治療が繰り返されていたとしても、症状に改善が見られたりするような場合には、治療を続ける必要がある。 ⇒ 被害者側代理人としては、治療継続の必要性については慎重に判断すべきであり、場合によっては主治医と面談して確認すべき。 |
||||||
任意保険会社が治療費の支払を停止⇒治療を続けるには、治療費の自己負担が必要となるが、 健康保険や生命保険、自己の加入する自動車保険(人身傷害補償特約等)の活用を適宜検討すべき。 事案によっては、相手方に対し、治療費の仮払いを求める仮処分を申し立てることも考えられる。 |
||||||
◇ | ◇2 後遺障害等級 | |||||
■ | ■(1) 後遺障害等級 | |||||
後遺障害に対する自賠責保険金の給付を受けるにあたっては、損害保険料率算定機構の自賠責損害調査事務所による等級認定を受ける必要。 | ||||||
自賠責保険を使える交通事故の場合、被害者が症状固定に至った⇒自賠責保険の等級認定を受け、認定された等級に相当する自賠責保険金を受領。 | ||||||
後遺障害等級: 自賠令2条並びに別表一及び別表二に定める等級。 |
||||||
別表一:神経系統の機能 別表二:その他の後遺障害 (しおり44頁以下) |
||||||
■ | ■(2) 相当 | |||||
各等級の後遺障害に該当しない後遺障害であって、各等級の後遺障害に相当 ⇒当該等級の後遺障害とする場合がある。(自賠令別表第ニ備考六参照) |
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嗅覚脱失 味覚脱失 嗅覚減退 味覚減退 鼻機能障害 口腔障害 |
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■ | ■(3) 準用 | |||||
■ | ■(4) 併合 | |||||
系統を異にする後遺障害が2つ以上 ⇒ 重い方の後遺障害の該当する等級によるか、 その重い方の等級を1級~3級繰り上げる (労災補償障害認定必携p79) |
||||||
■ | ■(5) 加重 | |||||
加重傷害:「既に後遺障害のある者が傷害を受けたことによって同一の部位について後遺障害の程度を加重した場合」(自賠令2条2項) ~ 加重後の後遺障害に対応する保険金額から既存の後遺障害に対応する保険金額を控除。 |
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◇ | ◇3 自賠責保険における等級認定の手続 | |||||
■ | ■(1) 後遺障害の認定機関 | |||||
自賠責保険会社は、後遺障害等級認定の申請⇒損害保険料率算定機構の調査事務所に等級の認定を依頼。 | ||||||
■ | ■(2) 等級認定の2つの方法 | |||||
①被害者自ら自賠責保険会社に被害者請求(自賠法16条)を行う方法 ②一括払請求手続を取っている場合に、加害者側が契約する任意保険会社を通じて等級認定を受ける方法(事前認定) |
||||||
①被害者請求⇒自動車損害賠償責任保険支払請求書兼支払指図書(資料4)に、後遺障害診断書などの必要書類を天ぴゅして自賠責保険会社に提出。 ②一括払請求手続⇒任意保険会社に後遺障害診断書などの必要書類を提出。 |
||||||
被害者として後遺障害認定に対する異議申立て⇒被害者請求によることが望ましい。 | ||||||
■ | ■(3) 異議申立ての留意点 | |||||
◇ | ◇4 自賠責保険に関する異議申立て | |||||
■ | ■(1) 異議申立てとは | |||||
被害者請求⇒被害者が自賠責保険会社へ異議申立書を提出。 一括請求⇒被害者が任意保険会社へ異議申立書を提出し、任意保険会社が自賠責保険会社へ再認定を依頼。 |
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◇ | ◇5 一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構 | |||||
◆ | ◆第12章 後遺障害に関する医学的知識 | |||||
◇ | ◇1 脊椎や神経根等(前提知識) | |||||
◇ | ◇2 むち打ち損傷 | |||||
■ | ■(1) 病名 | |||||
むちうち損傷:追突などによって頭部が急激に前後、あるいは左右等に振られることにより、頚(頸)部の軟部組織等が損傷されること。 診断名:外傷性頚部症候群、外傷性頭部症候群、頚椎症、頚椎捻挫、外傷性頚椎捻挫、頚部挫傷等。 |
||||||
■ | ■(2) 相当因果関係の認められる治療の範囲 | |||||
事故状況(物損の大きさ等)や 治療経過(初診時の愁訴、施行された検査・治療等) を十分に分析した上、保険会社側と交渉。 |
||||||
■ | ■(3) 自賠責保険における後遺障害認定 | |||||
むち打ちにより、頚部痛、頚部不快感、頭痛、背部痛、上肢のしびれ、脱力感等の後遺障害が存した場合、「神経系統の機能障害・精神の障害」のうち、「局部の神経症状」として取り扱われる。 | ||||||
①第12条13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」 ②第14級9号「局部に神経症状を残すもの」 ③非該当 |
||||||
①:神経学的検査所見や画像所見などの他覚的所見により、医学的に証明しうるもの。 | ||||||
②:神経学的検査所見や画像所見などから証明することはできないが、受傷時の状況や治療の経過などから、連続性・一貫性が認められ、医学的に説明可能な症状であり、単なる故意の誇張でないと医学的に推定されるもの。 必ずしも画像所見や神経学的検査所見等の他覚的所見を必要としない。 |
||||||
神経根症状型: ①画像から神経圧迫の存在が認められ、 ②圧迫されている神経の支配領域に知覚障害などの神経学的異常所見が確認 ⇒医学的証明があったとされやすく、12級と認定されやすい。 ⇒ 被害者に残存した神経根症状について、 画像所見及び神経学的検査所見を取得するよう努めるべき。 具体的に、 高性能MRIで関係個所を細かく撮影する。 部位に応じた神経学的検査(ジャクソンテスト、スパーリングテスト、深部腱反射等)を実施し、 これらの結果を後遺障害診断書に記載してもらう。 |
||||||
■ | ■(4) 自賠責保険の認定と裁判所における認定の関係 | |||||
◇ | ◇3 高次脳機能障害 | |||||
◇ | ◇4 脳脊髄液減少症 | |||||
◇ | ◇5 CRPS(カウザルギー、RSD) | |||||
◇ | ◇6 MTBI | |||||
◇ | ◇7 精神、神経症状 | |||||
◇ | ◇8 PTSD | |||||
◆ | ◆第13章 過失相殺 | |||||
◆ | ◆第14章 素因減額 | |||||
◆ | ◆第15章 損益相殺 | |||||
◆ | ◆第16章 消滅時効 | |||||
◇ | ◇1.時効期間 | |||||
不法行為:3年 運用供用者責任:3年 自賠法に基づく被害者請求権:平成22年4月1日以降の事故は3年 自賠法15条に基づく加害者請求:平成22年4月1日以降の事故については、支払ったときから3年 政府保障事業に基づく填補背給権:同様 |
||||||
◇ | ◇2.起算点 | |||||
障害に関する損害:事故時 後遺障害:(傷害による損害も含めて)症状固定時 死亡:死亡時 物的損害:事故時 |
||||||
◇ | ◇3.時効中断・停止事由等 | |||||
時効中断を確実にしておく必要。 | ||||||
◆ | ◆第17章 賠償請求手続 | |||||
◆ | ◆第18章 関連手続 | |||||
★ | ★資料編 目次 | |||||
1.交通事故証明書 2.交通事故証明書申し込み用紙 3.受任通知文例(任意保険会社宛) 4.自動車損害賠償責任保険支払請求書兼支払指図書 5.自賠責保険請求必要書類一覧 6.委任状 7.事故発生状況報告書 8.診断書 9.自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書 10.自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書(歯科用) 11.神経系統の障害に関する医学的意見(小学生以上・成人用) 12.日常生活状況報告(小学生以上・成人用) 13.学校生活の状況報告(学童・学生用) 14.神経系統の障害に関する医学的意見(乳幼児(0~6歳)用) 15.日常生活状況報告(0~3歳未満用) 16.日常生活状況報告(3歳~就学前用) 17.休業損害証明書 18.異議申立書 19.時効中断承認申請書(自賠責用) 20.送付文書の交付について 21.当部にCD-R等の複製を申請される皆様へ 22.送付嘱託・調査嘱託における郵便切手の組み合わせについて |
||||||
☆交通事故損害賠償額算定のしおり(大阪弁護士会交通事故委員会) | ||||||
★ | ★第1 損害賠償額算定基準 | |||||
◆ | ◆1 積極損害 | |||||
◇ | ◇(1) 治療関係費 | |||||
■ | ■エ 整骨院・接骨院による施術費、鍼灸、マッサージ費用、温泉治療費等は、 医師の指示があった場合、又は症状により有効かつ相当な場合は、 相当額を認めることができる。 |
|||||
◆ | ◆2 消極損害 | |||||
◇ | ◇(1) 休業損害 | |||||
■ | ■ア 算定方法 | |||||
休業損害: 現実に休業により喪失した額が分かる場合⇒その額が損害 それが判明しない⇒基礎封入に休業期間を乗じて算定 |
||||||
賠償となる休業期間: 原則として現実に休業した期間 症状の内容・程度、治療経過等からして就労可能であったと認められる場合⇒現実に休業していても賠償の対象にならないことや一定割合に制限されることがある。 |
||||||
■ | ■イ 基礎収入の認定 | |||||
□ | □給与所得者 | |||||
少なくとも事故直前3か月の平均収入 不確定要素の強い職種⇒より長期間の平均収入を用いることがある。 |
||||||
◇ | ◇(2) 後遺障害による逸失利益 | |||||
■ | ■オ 中間利息控除 | |||||
民事法定利率である5%の割合で控除し、計算方法はライプニッツ方式による。 中間利息控除の基準時は、原則として、症状固定時。 |
||||||
賃金センサスを用いる場合⇒症状固定時の年度の統計を使用 | ||||||
労働能力喪失期間を短期間に限定⇒賃金センサスを使用 原則として、学歴計・年齢対応平均賃金を用いる。 (ただし、家事従事者については学歴計・女性全年齢平均賃金を用いる。) |
||||||
◆ | ◆3 慰謝料 | |||||
◇ | ◇(1) 死亡慰謝料 | |||||
◇ | ◇(2) 入通院慰謝料(p10) | |||||
■ | ■ア 算定方法 | |||||
仕事や家庭の都合等により入院期間が短く⇒増額が上慮 入院の必要性に乏しいのに本人の希望により入院⇒減額が考慮 |
||||||
各基準の「重症」は 重度の意識障害が相当期間継続した場合、 骨折又は臓器損傷の程度が重大であるか多発した場合等、 社会通念上、負傷の程度が著しい場合。 |
||||||
上記の重症に至らない程度の障害んいついても、傷害の部位・程度によっては、通常基準額を増額。 | ||||||
■ | ■イ 実通院日数と通院期間の計算 | |||||
■ | ■ウ 軽度の神経障害 | |||||
軽度の神経障害(むちうち症で他覚所見なし等)⇒通常の慰謝料の3分の2程度。 | ||||||
◇ | ◇(3) 後遺障害慰謝料 | |||||
◆ | ◆4 物的損害 | |||||
◆ | ◆5 その他 | |||||
◆ | ◆入・通院慰謝料表 | |||||
別表 平成10年基準 通常 | ||||||
別表 平成10・14年基準 重症 | ||||||
別表 平成14年基準 通常 | ||||||
別表 平成17年基準 通常(p20) | ||||||
別表 平成17年基準 重症 | ||||||
★ | ★資料編(目次) | |||||
◆ | ◆資料1 賃金センサスによる平均給与額 1.全労働者 2.男性労働者(学歴計、中卒、高卒、高専・短大卒、大学・大学院卒) 3.女性労働者(学歴計、中卒、高卒、高専・短大卒、大学・大学院卒) |
|||||
◆ | ◆資料2- 1 年別ホフマン計数表 2 年別ライプニッツ係数表 3 18歳未満の者に適用するライプニッツ係数及び新ホフマン計数 4 装具・器具等購入費 買替係数表 |
|||||
◆ | ◆資料3- 1 平成25・26・27年簡易生命表 2 第21回生命表(完全生命表) |
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◆ | ◆資料4- 1 自動車損害賠償保障法施行令別表の変遷表(後遺障害別等級表) 2 自賠責後遺障害別等級表 |
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◆ | ◆資料5 労働能力喪失率表(労働基準局長通牒) | |||||
◆ | ◆資料6 自賠責保険金額推移表 | |||||
◆ | ◆資料7 自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準 | |||||
☆損害賠償額算定基準(上巻:基準編)(赤い本) | ||||||
★ | ★第1 積極損害 | |||||
◆ | ◆1.治療関係費 | |||||
◇ | ◇(1) 治療費 | |||||
必要かつ相当な実費全額。 | ||||||
◇ | ◇(2) 柔道整復(接骨院、整骨院)、鍼灸、マッサージ等の施術費、器具薬品代 (p3) | |||||
症状により有効かつ相当な場合、ことに医師の指示がある場合などは認められる傾向にある。 | ||||||
■ | ■施術費を認めた事例 | |||||
〇追突事故の被害者につき、頚椎捻挫に引き続くバレー・りゅー症候群: 医師の指示はないが・・・症状を軽快させるのに効果があったことは否定できない ⇒48回のうち比較的頻繁に通院していた19回について治療の必要性を認めた |
||||||
〇頚椎捻挫、両膝捻挫、右下腿打撲で併合14級の被害者 医師の指示はないが・・・①施術により疼痛が軽快し整形外科による治療回数が減少、②施術費が社会一般の水準と比較して妥当、③加害者らが施術を認めていた⇒症状固定までの整骨院施術費全額を認めた |
||||||
〇頚椎捻挫等で約2年5カ月通院し14級の美容師: 整骨院での |
||||||
◆ | ◆2.付添費用 | |||||
◆ | ◆3.将来介護費 | |||||
◆ | ◆4.雑費 | |||||
◆ | ◆5.通院交通費・宿泊費等 | |||||
◆ | ◆6.学生・生徒・幼児等の学習費、保育費、通学付添費等 | |||||
被害者ぼ被害の程度、内容、子供の年齢、家庭の状況を具体的に検討し、学習、通学付添の必要性が認められれば、妥当な範囲で認める。 | ||||||
◇ | ◇(1) 進級遅れの場合、授業料や補習費を認めた事例 | |||||
〇入通院のため1年休学⇒退院後1年前後にわたる補修費47万円余を認めた | ||||||
〇事故のため1年留年した大学生⇒学費97万円余及び1年分のアパート賃借料55万円余 | ||||||
〇卒業を1年間見送った音大4年生⇒1年間の留年期間中の授業料、実験実習量費、諸会費等合計120万円余 | ||||||
〇 | ||||||
〇半年間卒業が延びた⇒大学に支払うこととなった学費増額分 | ||||||
◇ | ◇(6) 通学のため賃借したマンションの賃料等を認めた事例 | |||||
受傷により自宅からの通学が困難⇒大学近くに借りたマンションの卒業まで2年分の賃料、保証金等140万円余 | ||||||
◆ | ◆7.装具・器具等購入費 | |||||
◆ | ◆8.家屋・自動車等改造費 | |||||
◆ | ◆9.葬儀関係費用 | |||||
◆ | ◆10.損害賠償請求関係費用 | |||||
◆ | ◆11.後見関係費用 | |||||
◆ | ◆12.その他 | |||||
◆ | ◆13.弁護士費用 | |||||
◆ | ◆14.遅延損害金 | |||||
★ | ★第2 (消極損害その1)休業損害 | |||||
◆ | ◆1.有識者 | |||||
◆ | ◆2.家事従事者 | |||||
◆ | ◆3.無職者 | |||||
◇ | ◇(1) 失業者 | |||||
◇ | ◇(2) 学生、生徒等(p87) | |||||
原則として認めないが、収入があれば認める。就職遅れによる損害は認められる。 | ||||||
〇高校3年生(女・18歳) 事故に遭わなければ昭和62年4月1日から就労したと認められる 平成元年4月18日に結婚しているが家事労働を含めて平成5年7月12日(症状固定)まで就労不可能 ⇒賃セ女性高卒年齢別平均を基礎に、年度ごとに休業損害を算定。 |
||||||
〇短大生(女・20歳) | ||||||
〇大学生(男・21歳) 事故により留年し1年半就職遅れ ⇒賃セ男性大卒20歳~24歳平均を基礎に就職後れの期間分、479万円余を認めた。 |
||||||
〇大学浪人生 | ||||||
◆ | ◆4.その他 | |||||
★ | ★第3 (消極損害その2)後遺症による逸失利益 | |||||
◆ | ◆1.逸失利益の算定方法 | |||||
◆ | ◆2.基礎収入 | |||||
◆ | ◆3.減収はないが逸失利益を認めた事例 | |||||
◆ | ◆4.眼の障害 | |||||
◆ | ◆5.耳の障害 | |||||
◆ | ◆6.鼻の障害 | |||||
◆ | ◆7.口の障害 | |||||
◆ | ◆8.神経系統の機能又は精神の障害 | |||||
◆ | ◆9.外貌醜状等 | |||||
◆ | ◆10.胸腹部臓器の障害(脾臓摘出等) | |||||
◆ | ◆11.脊柱及びその他の体幹骨の障害 | |||||
◆ | ◆12.上肢・下肢及び手指・足指の障害 | |||||
◆ | ◆13.その他の障害 | |||||
◆ | ◆14.後遺障害を負った被害者が死亡した例 | |||||
★ | ★第4 (消極損害その3)死亡による逸失利益(p143) | |||||
◆ | ◆1.逸失利益の算定方法 | |||||
現実年収額または学歴計あるいは学歴別の男女別平均賃金×(1-生活控除率)×67歳までのライプニッツ係数=逸失利益現価 |
||||||
◆ | ◆2.基礎収入 | |||||
◆ | ◆3.生活費控除率 | |||||
◆ | ◆4.税金の控除 | |||||
◆ | ◆5.就労可能年数 | |||||
◆ | ◆6.中間利息控除 | |||||
◆ | ◆7.幼児の養育費 | |||||
◆ | ◆8.扶養利益喪失等 | |||||
★ | ★第5 慰謝料 | |||||
◆ | ◆1.死亡 | |||||
◆ | ◆2.傷害 | |||||
◆ | ◆3.後遺症 | |||||
◇ | ◇(1) 被害者本人の後遺症慰謝料 | |||||
◇ | ◇(2) 近親者の慰謝料 | |||||
◇ | ◇(3) その他 | |||||
◆ | ◆4.慰謝料の増額事由 | |||||
◇ | ◇(1) 加害者に故意もしくは重過失(無免許、ひき逃げ、酒酔い、著しいスピード違反、ことさら信号無視、薬物等の影響により正常な運転ができない状態で運転等)または著しく不誠実な態度等がある場合(本旨2005年版下巻37頁「慰謝料増額事由」参照) | |||||
◇ | ◇(2) 被害者の親族が精神疾患に罹患した場合 | |||||
◇ | ◇(3) その他 | |||||
★ | ★第6 物損 | |||||
◆ | ◆1.修理費 | |||||
◆ | ◆2.経済的全損の判断 | |||||
◆ | ◆3.買替差額 | |||||
◆ | ◆4.登録手続関係費 | |||||
◆ | ◆5.評価損 | |||||
◆ | ◆6.代車使用料 | |||||
◆ | ◆7.休車損 | |||||
◆ | ◆8.雑費 | |||||
◆ | ◆9.営業損害等 | |||||
◆ | ◆10.積荷その他の損害 | |||||
◆ | ◆11.物損に関する慰謝料 | |||||
◆ | ◆12.ペットに関する損害 | |||||
★ | ★第7 損益相殺・損害の填補等 | |||||
◆ | ◆1.控除肯定・否定例 | |||||
◆ | ◆2.社会保険給付等がある場合の控除 | |||||
◆ | ◆3.共同不法行為の場合の填補関係 | |||||
◆ | ◆4.人身傷害(補償)保険 | |||||
★ | ★第8 同乗事故による減額 | |||||
◆ | ◆1.無償同乗(好意同乗) | |||||
◆ | ◆2.同乗者へのシートベルト等の不装着が問題となった事例 | |||||
★ | ★第9 素因減額 | |||||
◆ | ◆1.心因的要因 | |||||
◆ | ◆2.体質的・身体的素因 | |||||
★ | ★第10 過失相殺 | |||||
◆ | ◆1.これまでの基準改訂の経過について | |||||
◆ | ◆2.2017年・2018年版の改訂について | |||||
◆ | ◆3.本表の見方 | |||||
◆ | ◆4.本表の使用方法 | |||||
★ | ★第11 渉外交通事件 | |||||
◆ | ◆1.日本における渉外交通事故 | |||||
◆ | ◆2.外国における日本人同士の交通事故 | |||||
◆ | ◆3.外国において日本人が一方当事者となった交通事故 | |||||
★ | ★資料 | |||||
◆ | ◆自賠責保険の保険金額・仮渡金の変遷 | |||||
◆ | ◆後遺障害別等級表・労働能力喪失率 | |||||
◆ | ◆簡易生命表(平成23年~平成28年) | |||||
◆ | ◆賃金センサス平成28年第1巻第1表(抜粋)・年収額付 | |||||
男女 学歴 |
||||||
◆賃金センサス年収額表(平成23年~平成28年) | ||||||
◆ | ◆ライプニッツ係数および新ホフマン計数表(現価表) | |||||
◆ | ◆ライプニッツ係数および新ホフマン計数表(年金現価表) | |||||
◆ | ◆同上 18歳未満の者に適用する表 | |||||
◆ | ◆自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等支払基準 | |||||
★ | ★付録 | |||||
◆ | ◆事前準備(損害賠償請求調査事項整理票) | |||||
◆ | ◆訴状作成のチェックポイント | |||||
◇ | ◇傷害・後遺障害 | |||||
□ | ①管轄 | |||||
□ | ②原告 | |||||
□ | ③被告 | |||||
● | 自賠責保険の場合:自賠法16条に基づき、被害者は自賠責保険会社を被告とすることができる。 but 自賠責保険会社は、保険者に対する損害賠償請求訴訟の結果に従うのが通常 ⇒特段の事情のない限り、自賠責保険会社を被告とする必要はない。 |
|||||
特段の事情のある場合: 加害者が任意保険に加入しておらず且つ資力が十分でない場合、 自賠責保険会社に対する訴訟を併行して提起しておくと、現実に支払を受けられる金額を増加させられる場合。 |
||||||
自賠責保険に対して追加請求を予定していて、自賠責保険会社を訴訟の被告としていない場合、時効にならないよう時効中断申請をしておくことが重要。 | ||||||
自賠責保険会社を被告人する場合、本件金額につき、自賠法施行令2条に定めるとおりの限度がある。 | ||||||
自賠法 第一六条(保険会社に対する損害賠償額の請求) 第三条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。 |
||||||
● | 任意保険の場合: 本件約款に基づき、被害者は任保険会社を被告として直接請求できる。 but 被保険者に対し損害賠償を命じる判決が確定すれば、保険約款により、任意保険会社は被害者に支払をする義務が生じる ⇒ 任意保険会社が保険契約の効力を争っている場合や免責事由があると主張している場合をなどを除いて、任意保険会社を被告とする必要はない。 |
|||||
□ | ④訴訟物の価額 | |||||
□ | ⑤訴訟救助 | |||||
□ | ⑥請求の趣旨 | |||||
人損:運転者(民法709条)と運行供用者(自賠法3条) 物損:運転者(民法709条)と使用者(民法715条) が不真正連帯関係 |
||||||
□ | ⑦請求の趣旨 | |||||
不法行為による損害賠償義務は、損害の発生とともに遅滞に陥り、損害(弁護士費用も含まれる)は、事故時に発生。 | ||||||
□ | ⑧自賠責保険から自賠法16条の被害者請求手続により損害賠償額を受領した場合や、人傷保険金を受領した場合などの請求元本と遅延損害金の関係 | |||||
□ | ⑨請求の原因 | |||||
事実についての主張: ①請求を理由づける事実についての主張と ②当該事実に関連する事実についての主張 を区別できるよう記載。(民訴規則53条2項) ⇒ 間接事実や事情などの関連事実は、請求を理由付ける事実と区別できるよう記載。 |
||||||
□ | ⑩事故の発生 交通事故証明書 |
|||||
□ | ⑪請求を理由付ける事実の記載 | |||||
立証を要する事由ごとに重要な関連事実及び証拠を記載。(民訴規則53条1項) | ||||||
□ | ⑫責任原因 | |||||
運転者:民法709条 保有者:自賠法3条 使用者:民法715条 運送契約者: 任意保険会社:保険約款 自賠責保険会社:自賠法16条1項 |
||||||
□ | ⑬治療関係費 | |||||
被告側が直接治療機関に支払をしたため、直ちに損害額が判らないものについても、被告側から診療報酬明細書や既払金明細書などを取り寄せる等して、できる限り損害額を記載するのが望ましい。 | ||||||
□ | ⑭休業損害 | |||||
職種、休業の内容、それによる損害を詳しく書く。 給与所得者の場合、勤務先の倒産等により休業損害証明書が入手困難となることもある⇒同証明書は早めに取得しておくことが望ましい。 事業所得者:所得を立証する正確な証拠資料を準備する必要。 |
||||||
□ | ⑮逸失利益 | |||||
労働喪失率: 必ずしも後遺障害等級に応じた労働能力喪失表に基づく必要はないが、後遺症による仕事への 影響の程度等を詳しく書くべき。 |
||||||
□ | ⑯慰謝料 | |||||
増額事由があれがその事情を具体的に詳しく書く。 | ||||||
□ | ⑰損害の填補 | |||||
● | 「前記各損害のうち、治療費の全額(〇〇円)および休業損害の8割相当額(〇〇円)は、被告が加入する任意保険会社によって補填済みである(治療費は、任意保険会社が直接病院に支払済み)。また、原告は、平成〇年〇月〇日自賠責保険から後遺障害の損害賠償額〇円を受領している。」などと記載。 | |||||
填補された額を遅延損害金に充当する場合⇒充当する遅延損害金の額を計算し、充当後の遅延損害金の起算日を決める必要⇒填補額の支払日の記載は必須。 そうでない場合は、支払日を特定しなくてもよい。 |
||||||
通常の場合、弁済充当の費目は考慮されない⇒受領原因(治療費、休業損害としてなど)を明らかにしなくてもよい but これを記載しておいて方が、事実関係を把握しやすくなる。 |
||||||
● | 労災保険や厚生年金による給付を受け、かつ、過失相殺が問題となるときは、受領原因の記載は必須。 ← 労災保険等による給付額の損害額からの控除は、少なくとも、積極損害、消極損害、慰謝料などの損害の性質による区分内でのみ許される。 |
|||||
・・・・ | ||||||
□ | ⑱弁護士費用 | |||||
既払額控除後の請求額の10%程度。 | ||||||
□ | ⑲結論に先だって、事前に加害者側と折衝がある場合には、その内容につき争いあるところを記載しておくと、裁判官は容易に争点を把握することがき、迅速な争点整理が可能。 | |||||
□ | ⑳訴え提起前の証拠保全⇒記載(民訴規則54条) | |||||
□ | ㉑任意保険会社に対して直接請求する場合の、よって書き。 | |||||
□ | ㉒資格証明書(現在事項証明書等) | |||||
◆ | ◆交通事故損害賠償請求における立証資料 | |||||
◇ | ◇1 刑事記録等の取り寄せ方法について | |||||
◇ | ◇2 登録自動車の登録事項等証明書の交付請求について | |||||
☆損害賠償額算定基準(実務運用と解説)(青い本) | ||||||
★ | ★第1章 積極損害 | |||||
◆ | ◆第1 治療費 | |||||
◆ | ◆第2 付添監護費 | |||||
◆ | ◆第3 雑費 | |||||
◆ | ◆第4 交通費 | |||||
◆ | ◆第5 葬祭費 | |||||
◆ | ◆第6 家屋・自動車などの改造費 | |||||
◆ | ◆第7 装具など | |||||
◆ | ◆第8 子どもの学習費・保育費、学費等 | |||||
◆ | ◆第9 弁護士費用 | |||||
◆ | ◆第10 その他 | |||||
★ | ★第2章 消極損害 | |||||
◆ | ◆第1 休業損害 | |||||
◆ | ◆第2 後遺症による逸失利益 | |||||
◆ | ◆第3 死亡による逸失利益 | |||||
★ | ★第3章 慰謝料 | |||||
◆ | ◆第1 障害 | |||||
◆ | ◆第2 後遺症 | |||||
◆ | ◆第3 死亡 | |||||
◆ | ◆第4 慰謝料に関するその他の問題 | |||||
★ | ★第4章 減額事由 | |||||
◆ | ◆第1 過失相殺 | |||||
◆ | ◆第2 好意(無償)同乗 | |||||
◆ | ◆第3 割合認定(素因減額) | |||||
★ | ★第5章 損益相殺 | |||||
◆ | ◆第1 損益相殺の当否 | |||||
◆ | ◆第2 控除すべき対象となる損害の限度 | |||||
◆ | ◆第3 過失相殺と損益相殺による控除の先後関係 | |||||
◆ | ◆第4 共同不法行為の場合のてん補関係 | |||||
★ | ★第6章 遅延損害金 | |||||
★ | ★第7章 物損 | |||||
★★資料 | ||||||
★ | ★1 簡易生命表 | |||||
★ | ★2 賃金センサスによる平均給与額 | |||||
★ | ★3 ライプニッツ式計数表(年別) | |||||
★ | ★4 ホフマン式計数表(年別) | |||||
★ | ★5 18歳未満の者に適用するライプニッツ式係数及び新ホフマン式係数 | |||||
★ | ★6 後遺障害等級及び労働能力喪失率表 | |||||
★ | ★7 自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準 | |||||
★ | ★8 自賠責保険金額推移表 | |||||
★★付録 | ||||||
★ | ★脳外傷による高次機能障害相談マニュアル | |||||
★ | ★自賠責保険請求と後遺障害等級認定手続の解説 | |||||
★ | ★後遺障害認定実務の問題点 | |||||
◆ | ◆1 自賠責保険における後遺障害等級表の内容と認定基準 | |||||
後遺障害等級表の規定は抽象的な内容⇒認定上の具体的指針が必要。 | ||||||
後遺障害等級表は、労災保険における後遺障害等級表とほぼ同じ内容 ⇒労災の認定実務で基準とされている認定基準(「障害認定必携」)をもとに行われている。 |
||||||
自賠責保険実務における障害等級の認定にあたっては、平成14年4月1日以降発生の事故については、自賠法16条の3に基づこい定められた「支払基準」で、障害認定基準に準拠すべき ⇒障害認定基準は一定の拘束力。 |
||||||
◆ | ◆2 精神の障害・神経系統の機能障害 | |||||
◇ | ◇(1) 障害態様による分類 | |||||
①脳の障害(麻痺) ②脳の障害(高次脳機能障害) ③脳の障害(非器質性精神障害) ④脊髄の障害 ⑤末梢神経障害 ⑥その他の特徴的障害(外傷性てんかん、頭痛、失調、めまい及び平衡機能障害、疼痛等感覚障害) に分類。 |
||||||
◇ | ◇(2) 軽度神経障害に関する等級認定の原則 | |||||
いわゆる「鞭打ち症」等の痛み、しびれ、麻痺、めまい、難聴等の神経の機能の異常と思われる症状の評価をめぐり紛争化。 | ||||||
頚椎捻挫などの比較的軽微な傷病名の診断のなされた被害者につき、前述のような症状がいつまでも改善しない場合に、後遺障害等級の障害判断をめぐって争いになることが多い。 | ||||||
9級以上、12級、14級、等級非該当 | ||||||
12級:「障害の存在が他覚的に証明できるもの」 14級:「障害の存在が医学的に説明可能なもの」 |
||||||
他覚的証明: X線、CT、MRI、脳血管撮影などの画像診断 脳波検査、 深部反射検査、 病的反射検査(上肢のホフマン、トレムナー、下肢のバビンスキー反射、膝クローヌス、足クローヌスなど) スパークリングテスト ジャクソンテスト 筋電図検査 神経伝導速度検査 知覚検査 徒手筋力検査(MM<T) 筋萎縮検査 など |
||||||
他覚的な証明: 事故により身体の異常が生じ、医学的見地から、その異常により現在の障害が発生しているということが、他覚的所見をもとに判断できること。 = 症状の原因が何であるかが証明される場合。 |
||||||
「医学的に説明可能」: 現在存在する症状が、事故により身体に生じた異常によって発生していると説明可能なもの。 被害者に存在する異常所見と残存している症状との整合性が必要。 ⇒ 被害者の訴え(自覚症状)のみでは、被害者の身体の異常との整合性がないとして等級非該当とされることが多い。 |
||||||
12級以下のものが局部の神経症状とされている。 9級以上の等級:脳・脊髄などの中枢神経の異常の存在が原則的に必要。 |
||||||
◇ | ◇(3) 非器質性精神障害 | |||||
◇ | ◇(4) 高次脳機能障害の評価 | |||||
◇ | ◇(5) カウザルギー、RSD(反射性交換神経性ジストロフィー)の取扱 | |||||
◆ | ◆3 視覚障害 | |||||
◆ | ◆4 上肢・下肢の関節機能障害 | |||||
◆ | ◆5 せき柱の障害 | |||||
★ | ★自賠責保険の請求に必要な書類 | |||||
★ | ★一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構の紛争処理について | |||||
★ | ★人身傷害保険の解説(相談に必要な基礎知識) | |||||
★ | ★独伊率行政法人自動車事故対策機構の被害者援護制度について | |||||
★★「交通事故損害賠償における損害論・・・民法の「損害論」からの乖離と接合」(潮見佳男) | ||||||
◆ | ◆Ⅰ はじめに | |||||
◆ | ◆Ⅱ 民法の世界・・・・わが国の差学説とその思考様式(p424) | |||||
◇ | ◇1 差額説とは? (p424) | |||||
■ | ■(1) 差額説の定義 | |||||
差額説: 「もし加害原因がなかったとしたならばあるべき利益状態と、加害がなされた現在の利益状態との差」を損害と捉える考え方。 |
||||||
最高裁: 民法上のいわyる損害とは、一口にいえば、 侵害行為がなかったならば惹起しなかったであろう状態(原状)を(a)とし、 侵害行為によって惹起されているとこの現実の状態(現状)を(b)とし a-b=xそのxを金銭で評価したものが損害 |
||||||
■ | ■(2) 金銭差額説・・・個別客体差額説と総体財産差額説 | |||||
①損害とは財産状態の差であり、かつ、 ②それが金銭の差として示される 点に特徴がある(差額説=金額差額説)。 |
||||||
差額説の考え方は、②をいれることで、損害を不法行為の結果として被害者に生じた不利益の事実としては捉えない・・・「事実としての損害」(①)と「損害の額」(②)とを区別しない。 | ||||||
被害者の権利・法益が侵害されたことによって被害者の事実状態が仮定的な局面と現実の局面とでどのような違いとなって現れるかという観点から損害を捉える立場(事実状態比較説)とも異なる。 事実状態比較説: 典型的な損害事実説と同様、①と②を区別し、「損害の額」を扱う②は損害の金銭評価の問題として捉え、「事実としての損害」に関する①においてのみ、事実状態の差という捉え方をする立場。 ドイツにおいても主張されており、潮見の立場。 |
||||||
財産状態の差をどのような観点から捉えるか? A:権利侵害を受けた対象(客体)の価値に注目(個別客体(財産)差額説) B:権利侵害を受けた被害者の総体財産に着目(総体財産差額説) |
||||||
「差額説」 ~権利侵害を受けた被害者の総体財産の差(額)に着目する「総体財産差額説」を観念 (差額説=総体財産差額説) |
||||||
■ | ■(3) 損害(額)に対する規範的評価・・・「原状回復」の理念または相当因果関係 | |||||
差額説:損害賠償が加害行為(不法行為)がなかったと仮定したらあるであろう財産状態(仮定的財産状態)の回復ないし実現を目的としてものであるとの理解。 「原状回復の理念」 |
||||||
仮定的財産状態の実現・回復: A:加害原因(不法行為)が発生する前の財産状態の回復という後向きの方向での差額算定 B:加害原因(不法行為)がなかったとしたら現在の時点で被害者が置かれているであろう仮定的財産状態の実現という前向きの方向での差額算定 |
||||||
我が国の実務: 損害(額)の規範的評価にあたって、原状回復の理念が正面に出されることは、少なくとも交通事故損害賠償実務の領域では少ない。 むしろ、 どこまでの損害(額)が賠償されるのかは相当因果関係によって定まるとされて、 法的=規範的評価が因果関係の「相当性」判断として示されているのが一般的。 but 「相当性」の判断(規範的評価)を正当化する原理・思想が何であるかに関して明確に触れるものはない。 |
||||||
◇ | ◇2 差額説に結びつけられた損害額の算定方法(p426) | |||||
差額説の考え方に、以下の損害額算定方式が結び付けられるのが通例 | ||||||
■ | ■(1) 個別積算方式(個別損害項目積み上げ方式) | |||||
本来: 差額説⇒損害は抽象的・包括的な数額としてあらわされる(損害の包括的把握。統一的損害概念。)⇒被害者のもとでどのような項目ないし費目の損失が生じているかということは、損害を確定するための間接的な資料にすぎない。 |
||||||
but わが国での差額説: 差額算定に当たり、個々の損害項目に決定的な意味を持たせて主張・立証の対象とし(=これらを主要事実ととして扱い)、個々の損害項目に対応する金額を積み上げていくという手法(=個別積算方式(個別損害項目積み上げ方式))による差額算定。 |
||||||
■ | ■(2) 実損主義 | |||||
実損主義:不法行為による被害者に現実に生じた損害のみが賠償されるべきである。 ①被害者の利得禁止 ②被害者に現実に生じた損害が回復⇒被害者が有していた権利・法益の価値が金銭的に回復⇒被害者に不利益はない。 |
||||||
⇒ ①被害者の利得を吐き出させることを目的とした損害賠償 ②被害者に対する制裁・懲罰を目的とした損害賠償 を否定。 ③不法行為を抑止することを目的とした損害賠償を認めることにも消極的。 |
||||||
■ | ■(3) 具体的損害計算(損害の主観的把握)・・・損害の被害主体関連性 | |||||
具体的損害計算を基礎に捉える。 具体的損害計算: 損害額を個別具体的被害者に即して確定していく考え方(損害の主観的把握)。 |
||||||
①損害賠償制度を実損主義のもとで捉え ②当該事件において個別具体的被害者が被った不利益を回復すべきものとする ⇒ 被害者の個人的実情を斟酌しなければならない。 |
||||||
◇ | ◇3 個々の算定方法と差額説との連関(p427) | |||||
①差額説≠個別積算方式: 差額説の基礎にあるのは損害の包括的把握。 |
||||||
②差額説≠実損主義: ある一定の規範的または政策的価値判断のもとで、実損に依らない差額の算定方法を選択することは否定されない。 実損主義自体が多義的。 |
||||||
③差額説≠具体的損害計算: ある一定の規範的または政策的価値判断から、具体的被害者を離れた平均人(標準人)を基準として差額計算をすることは否定されない。 |
||||||
④必ず具体的損害計算によらなかければならないということはない。 ← 「現実に生じた損害」が何かは規範的な評価を経て決定される⇒被害者の属するグループの標準人について観念できる損害を規準に被害者に「現実に生じた損害」を判断することが否定されるものではない。 |
||||||
◆ | ◆Ⅲ 交通事故損害賠償法の世界・・・・差額説の修正・差額説からの離脱?(p428) | |||||
◇ | ◇1 人損①・・・収入減少がない場合の逸失利益 | |||||
判例(最高裁昭和56.12.22) ①労働能力の喪失が認められるとしても、このことが収入の減少につながっていなければ逸失利益の賠償が認められない(労働能力喪失説の否定) ②事故の前後を通じて収入に変更がないことが本人において労働能力低下による収入の減少を回復すべく特別の努力をしているなど事故以外の要因に基づくものであって、こうした要因がなければ収入の減少を来しているものと認められる場合には、収入の減少が見られなくても逸失利益の賠償の余地がある。 |
||||||
②の説明: ×反論可能性のない公平観や内実を示さない形での正義観・相場観、言語化されないままに用いられることのある経験則 |
||||||
労働能力の投入を含め、自らの行動をどのように展開するかは被害者の自由である(自己決定権の一種としての人格の自由な展開の保障)。 but 交通事故による人身への侵害を受けた被害者が、交通事故がなかったと仮定した場合に比して自らの活動を自らの収入の減少を防止することへと傾注することを余儀なくされた場合、ここに、被害者の行動の自由ないし自己決定権に対する侵害を認めることができるし、 被害者のもとでは、加害行為(交通事故)がなかったと仮定した場合との差(事実状態の差)を認めることができる。 ⇒ 被害者が自己の人格の自由な展開を制約してまでして確保した収入相当額については、人格の自由な展開に対する侵害をもたらした加害者の負担とすべき。 ~ ①具体的被害者を基点にして、 ②この者の人格の自由な展開としての行動を捉え、そのうえで、 ③この行動により防止できた収入源という観点から、この総体財産の額の増減を捉えて、 この差(=減少を回避できた現在および将来の収入額)を逸失利益と評価する。 ~ 「被害者の特別な努力により回避することができた差額分は、権利・法益侵害につき帰責される加害者の負担とすべきである。」との思想に基礎づけられるもの。 |
||||||
◇ | ◇2 人損②・・・年少者・学生・専業主婦の逸失利益(p430) | |||||
■ | ■(1) いくつかの損害額算定モデル | |||||
□ | □(ア) 判例法理・・・統計値を用いた控え目な算定 | |||||
最高裁昭和39.6.24: 年少者死亡の場合における右消極的損害の賠償請求については、一般の場合に比し不正確さが伴うにしても、 裁判所は、被害者側が提出するあらゆる証拠資料に基づき、経験則とその良識を十分に活用して、できうる限り蓋然性のある額を算出するよう努め、 ことに右蓋然性に疑がもたれるときは、被害者側にとって控え目な算定方法(たとえば、収入額につき疑があるときはその額を少な目に、支出額につき疑があるときはその額を多めに計算し、また遠い将来の収支の額に懸念があるときは算出の基礎たるk時間を短縮する等の方法)を採用することにすれば、 慰謝料制度に依存する場合に比較してより客観性のある額を算出することができ、被害者側の救済に資する反面、不法行為者に過当な責任を負わせることにもならず、損失の公平な分担を窮極の目的とする損害賠償制度の理念にも副うのではないかと考えられる。 |
||||||
~裁判所の統計値を用いた逸失利益の判断枠組みは、損害論との関係でみたときに、どのような観点から理論的に説明し、また、正当化することができるか? | ||||||
□ | □(イ) 「総体財産差額説+具体的損害計算」のモデルものとでの主張・立証面の緩和 | |||||
有職者のそれと異ならないとするんもの。 | ||||||
①具体的被害者を基点として、 ②この者の人格の自由な展開としての行動を捉え、 ③この行動(労働)により得ることができたであろう収入額 という観点から、この者の総体財産の額の増減を捉えて、 この差(=得ることができなかった現在および将来の収入額)を 逸失利益と評価するという枠組み。 もっぱら③についての主張・立証面での負担軽減という観点から、統計値を用いた「控え目な算定」が用いられている。 |
||||||
実損主義を「損害賠償の目的は被害者個人に生じた実損害の填補にある⇒被害者の個人的な事情を斟酌しなければならない」とのコンテクストで捉えることを通して、 具体的損害計算と実損主義を連結。 |
||||||
□ | □(ウ) 「総体財産差額説+抽象的損害計算」のモデル | |||||
□ | □(エ) 「労働能力喪失説+抽象的損害計算」のモデル | |||||
■ | ■(2) 具体的損害計算の修正・・・第1の見方を採る場合(p432) | |||||
■ | ■(3) 抽象的損害計算の展開・・・第2・第3の見方を採る場合(p432) | |||||
□ | □(ア) 抽象的損害計算の正当化・・・国家による権利・法益の価値の保障 | |||||
⇒ 国家が権利、法益に結び付けた価値は、被害者が誰であれ、等しきものは等しいものちsて、損害賠償の形で保障すべきであるとの考え方(「最小限の損害」の考え方)。 |
||||||
□ | □(イ) 抽象的損害計算と具体的損害計算の関係 | |||||
● | 第1:権利・法益の侵害を理由とする損害賠償において、国家は、少なくとも、権利・法益のもつ客観的価値に相当する額については、当該権利・法益の主体に対して最小限の損害として賠償を認めるべき(損害賠償による権利の客観的価値の最低保障=「最小限の損害」の賠償)。 | |||||
抽象的損害計算による逸失利益の賠償請求⇒加害者側は具体的損害計算による額がこれよりも低くなるとの反論を出すことができないことになる。 | ||||||
● | 第2:抽象的損害計算により算定された額を超えた具体的被害者の個人的事情に由来する権利・法益の価値(主観的価値)については、被害者がその主観的価値が法的保護に値するものとして説得力ある形でその主張・立証に成功したときには、その賠償を認めるべき(具体的損害計算による上積み)。 | |||||
● | 第3:統計値を用いた「控え目な算定」とは、単なる損害額についての主張・立証面での緩和を意味するのではなきう、損害賠償責任の内容を支える原理・思想面での質的転換を意味する。 | |||||
● | 第4:実損主義の考え方は、不法行為を奇禍としての利得の禁止、利得吐き出し型損害賠償の否定、懲罰的・制裁的損害賠償の否定としての意味はもつが、 具体的損害計算と実損主義との連結は否定される。 ~ 抽象的損害計算により算定された額>具体的損害計算により算定された額の場合も、実損主義に反するとの理由で、その額の賠償が否定されることはない。 |
|||||
□ | □(ウ) 抽象的損害計算に際しての権利主体の類型化・・・逸失利益の類型別定額化 | |||||
×死傷損害説 | ||||||
国家が過失評価を担う禁止規範・命令規範の内容を確定する際に、規範の名宛人である行為者を・・・グループごとの平均人(標準人)として・・・類型化することが認められているのと同様に、 権利主体に権利・法益を供与することを目的とした規範(許容規範)の内容を確定するに当たっても、ある権利・法益に対して国家がどのような内容を与え、その価値を権利主体に対して保障しているかを考える際に、権利・法益の保有主体である権利主体の特徴ごとに類型化をし、同じ類型に属する権利主体に対してその権利・法益に結び付けられる価値を同一類型内で等しく・・・具体的損害計算による損害の主張・立証がなくても認められる最低限のものとして・・・保障することは、類型間での差異が法の下の平等に反するものでない限り、否定されるべきではない(権利主体の属性と結び付けられた権利・法益の価値の類型別定額化)。 そうすることで、自らと同一のグループに属する標準的な権利主体が、その権利・法益のもとで自らの活動を展開することによって得ることのできる標準的な利益を、(最小限の損害として捉えることで)損害賠償の形で個々の権利者に保障することができる。 |
||||||
□ | □(エ) 逸失利益の類型別定額化が問題となるいくつかの局面(p434) | |||||
● | ●(a) 承前(p434) | |||||
賃金センサスの使用 専業主婦⇒女子労働者の平均賃金 男子大学生⇒大卒男子労働者の平均賃金 年金生活者⇒受給権の喪失の観点 |
||||||
● | ●(b) 専業主婦の逸失利益 | |||||
女子労働者の全年齢平均賃金を基準 | ||||||
妻の家事労働は財産上の利益を生ずるものというべきであり、これを金銭的に評価することも不可能ということはできない。 具体的事案において金銭的に評価することが困難な場合が少なくないことは予想されるところであるが、かかる場合には、現在の社会情勢等にかんがみ、家事労働に専念する妻は、平均的労働不能年齢に達するまで、女子雇用労働者の平均的賃金に相当する財産上の収益を挙げるものと推定するのが適当である。 (最高裁昭和49.7.19) |
||||||
● | ●(c) 年少者の逸失利益(p436) | |||||
年少女子について、 かつては女子労働平均賃金⇒今日では全労働者平均賃金を基礎とする方式。 |
||||||
~ ×将来の収入の認定ないし蓋然性判断として現在の女子労働者平均賃金を基礎とすることを否定するという事実認定のレベルでのコンテクストにおいて語られている 〇逸失利益を捉える規範的評価の視点に変更があったもの ①未就労年少者の将来における多様な就労可能性を考慮すべき(現在の労働市場における男女間の賃金格差を直接に反映させるべきではない) ②将来における法制度・社会環境および就労形態の変化を考慮すべきこと(これまでの女子固有の職業領域だけでなく、男性の占めていた職業領域にも女性が進出しつつある) という規範的評価の視点が示されている。 |
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● | ●(d) 若年非正規雇用労働者の逸失利益(p437) | |||||
● | ●(e) 重度知的障害児の逸失利益(p437) | |||||
得べかりし収入についての将来予測や蓋然性に関する判断という衣をんまといつつも、その実質においては、重度の知的障害を負った者にも健常者と同程度の労働による収入相当額を与えるべきか否かという規範的な価値判断が基礎にあり、また、見解の対立の核心をなしている。 | ||||||
● | ●(f) 一時滞在外国人の逸失利益(p438) | |||||
わが国で就労していいる外国人: その就労が合法か否かを問わず、予想されるわが国での就労可能期間につきわが国での収入等を基礎として算定 その後は出国先での収入等を基礎として算定 |
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~ 権利主体(被害者)が自らの労働能力を投入して得ることのできた利益がいくらであるかは、その主体が労働能力を投入する労働環境・生活環境という「場」に即して評価すべきである との規範的評価。 |
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■ | ■(4) 小括 | |||||
□ | □(ア) 金銭評価規範と実損主義・・・価値保障規範と利得禁止規範 | |||||
被害者の逸失利益を判断する場面では、抽象的損害計算の方法のもと、損害の金銭評価に当たっての規範的評価のあり方が問題の本質をなしている。 ~ 争点は、 事実の取捨、推認の技法、蓋然性判断の緩和の是非といった事実認定レベルにあるのではなく、 権利主体(被害者)が自らの労働能力を投入して得ることができた利益(収入)を、当該権利主体(被害者)に与えられるべき権利・法益の価値として、どこまで保障すべきかという規範的評価のレベルにある。 |
||||||
差額説そのものが問題とされているのではなく、差額説に結び付けられた各種の算定方式が問題とされ、論じられている。 | ||||||
その際、個別積算方式は維持されているものの、具体的損害計算には、それほどのこだわりは見られない。 統計値を用いた逸失利益の算定、項目ごとの定額化⇒抽象的損害計算の方法が浸透することは必然。 but 賠償されるべきなのは被害者に現実に生じた損害であるという意味での実損主義は維持されている。 |
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実損主義:不法行為による被害者に現実に生じた損害のみが賠償されるべきである。 ①被害者の利得禁止 ②被害者に現実に生じた損害が回復⇒被害者が有していた権利・法益の価値が金銭的に回復⇒被害者に不利益はない。 |
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抽象的損害計算の方法が浸透しつつも、なお、実損主義が維持されている ⇒ 実損主義を支える ①被害者は、不法行為を原因として利益を得てはならないとの規範(利得禁止規範)が ②被害者の権利・法益を保護するためには、その権利・法益の価値を保護すべきであるとの規範(権利・法益の価値の保障規範)とともに採用。 |
||||||
利得禁止規範は、(損益相殺をつかさどる規範とは異なり)損害額そのものの決定において作用するもの ⇒ 価値保障規範に組み込まれ、その外延を画するもの、すなわち、被害者が加害者側から受けるものを、国家による権利・法益の価値の保障の範囲へと限定するものとして位置づけられる。 |
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□ | □(イ) 損害額決定のための判断枠組みへの展開 | |||||
① | 逸失利益の算定: 人の労働能力が生み出す利益(収入)を示すものとして、男子労働者の平均賃金(全年齢平均賃金または学歴別賃金)を一般的な標準とすべき。 ← これによって算定された額が、自然人の持つ労働能力が生み出す収益を全面的に補足しているものと考えられるから、この方法により算定された収益の額を損害額として捉えることにより、被害者の法益に割り当てられた価値を保障することができる。 |
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② | ①で示した額より低い額での逸失利益の賠償しか認められないのではないかが議論される場面 ←利得禁止の思想 |
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③ | 利得禁止に関する評価も、規範的な観点から行われる。 当該被害者自身を基準とする具体的損害計算により算出された額を超える額をその被害者に与えることは、それだけでは利得禁止の思想に反するということにはならない。 実損主義≠具体的損害計算 |
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④ | 憲法を頂点とする法秩序のもとで、国家が生命・身体その他の権利・法益を・・・これらの権利・法益に基づいた権利主体による活動(人格の展開)の自由も含めて・・・市民に対して法的保護に値するものとして保障 ⇒損害賠償が問題となる場面でも、法秩序の側から見て、国家がその権利・法益に対して一般的にどれだけの価値を与えたのかという視点から、損害の額を算定すべき(抽象的損害計算による権利・法益の保障内容の確定)。 |
|||||
⑤ | この視点により導き出された額が、当該被害者につき具体的損害計算により算出された額を超えたとしても、この超過額は利得禁止の思想に抵触しない。 ←国家がその権利・法益について保障した額である以上、個々の権利主体にはその価値の帰属が正当化される。 |
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⑥ | 逆に、当該被害者が具体的損害計算による損害額とその要保護性を基礎づける事実についての主張・立証をしていないにもかかわらず、国家がその権利・法益について保障した価値を超える 額を損害額として被害者に与えることは、利得禁止の思想に抵触。 | |||||
⑦ | 類型化の正当性。 | |||||
⑧ | 逸失利益に関して、男女間格差問題、年少者・高齢者・非正規雇用労働者・障害児・一時滞在外国人等の逸失利益の問題が論じられている際には、 (i)こうした類型作出が正当化されるか、 (ii)その類型のもとで上記①で示した一般的な標準とは異なる基準で損害額が算定されるのはなぜか、 (iii)損害額を算定する際に重要な判断要素(=規範的評価の視点)は何か を正面から論じるべき。 |
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~ 不法行為時点での個別具体的被害者にとっての利益取得の蓋然性(事実レベルの蓋然性)は、判断要素の1つとはなりえても、唯一のまたは決定的な要素ではない。 |
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◇ | ◇3 物損・・・車両損害(p442) | |||||
■ | ■(1) 民法の一般理論・・・物損一般についての金銭評価の枠組み | |||||
物損の賠償をめぐっての3つの観点からのアプローチ | ||||||
①物の完全性を回復するために必要な費用を被害者に与えるという観点からのアプローチ(原状回復費用相当額の賠償) | ||||||
②物の交換価値を金銭で填補するのにふさわしい価額を被害者に与えるという観点からのアプローチ(交換価値の賠償) | ||||||
③被害者が物を完全な状態利用することができたにもかかわらず、その使用収益の権限(利用権限)を行使してその物を利用することができなかったために、被害者の総体財産に損害が生じたこと(休業損害、営業利益の喪失)、または、その物を完全な状態で利用することができたのと同等の利用可能状態を調達(確保)するために費用を投下したことにより、被害者の総体財産に損害が生じたことを理由に、その填補をするという観点からのアプローチ(利用価値の賠償) | ||||||
以上の3つのアプローチの関係 | ||||||
①原状回復費用相当額の賠償と②交換価値の賠償との間には、二者択一の関係。 どちらを選択するかは、被害者の自由であるというのが基本。 (損害軽減義務の問題は、別に残る) |
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②交換価値の賠償と③利用価値の賠償との間では、③は②に包摂されるのではないか? but 利用価値の賠償といわれているものの内実は、 (a)その物の所有権が帰属する権利主体は、その物の所有者として自己に与えられた使用収益の権限(利用権限)を行使して、権利の客体である物を用いて自らの行動を展開することにより得ることができた利益を保障されるべきという観点⇒客体としての物の交換価値とは異質な利益としてその賠償が認められるべきもの であるか、 (b)所有権に由来する使用収益の権限またはその権限を行使することによってら得られる利益を保全するために投下した費用は権利主体にその回復を認められるべきであるという観点⇒これまた、客体としての物の交換価値とは異質な利益としての賠償が認められるべきもの。 |
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利用価値の賠償として論じられるものが、この(a)(b)のいずれかのコンテクストで捉えられるもの⇒当該客体を用いた被害者の行動が被害者の総体財産にもたらす利益の喪失(積極・消極双方を含む。)に対する賠償として、客体としての物の交換価値の賠償や原状回復費用の賠償とは別にその請求が認められるべきもの。 (損害軽減義務の問題は、別に残る) |
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■ | ■(2) 車両損害 | |||||
□ | □(ア)損害額算定ルールの枠組み | |||||
交通事故での車両損害の法理 | ||||||
① | 原則として修理によって原状回復すべきであり、これに要する費用相当額の賠償が認められる。原状回復を超える修理の場合、超過分に相当する額の賠償は認められない。 | |||||
② | 修理によって完全に修復できない客観的価値低下としての評価損(格落損) ⇒その賠償も認められる。 |
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評価損: ①機能面・外観面での障害による交換価値の低下(技術上の評価損) ②事故歴があることを理由とする交換価値の低下(取引上の評価損) |
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評価損は、「将来の売却時に生じる減価を、現在において評価損として賠償するもの」であり、交換価値の賠償の一種。 | ||||||
③ | 被害車両が物理的・経済的に修理不能 ⇒「事故当時におけるその価格と売却代金との差額」を、加害者に対して賠償請求できる。 |
|||||
物理的・経済的に修理不能でなくても、 「被害車両の所有者においてその買替えをすることが社会通念上相当であると認めれるとき」 も同様。 |
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被害車両を買い替えたことが社会通念上相当であると認めれるには、 「フレーム等車体の本質的構造部分に重大な損傷の生じたことが客観的に認められることを要する。」 |
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いずれの場合も、当該車両がなお保有している交換価値相当額(スクラップ価値)の分だけ、減額される(買替差額) | ||||||
④ | 中古車が損傷 ⇒当該自動車の事故当時における取引価格は、原則として、これと同一の車種・年式・型・同程度の使用状態・走行距離等の自動車を中古車市場において取得するのに必要な価額(中古市場での調達価格)によって定めるべき。 |
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この価格を課税または企業会計上の減価償却の方法である定率法または定額法によって定めることは、加害者および被害者がこれによることに異議がない等の特段の事情のない限り、許されない。 | ||||||
⑤ | 事業・通勤・日常生活にとって必要な限りで、修理または買替えに要する相当期間の代車賃貸料相当額が賠償される。 | |||||
タクシー、バスその他の営業者については、 被害者が被害車両の代替車両となる遊休車を有していないことが認められたときには、 休業損害および営業利益喪失を理由とする損害の賠償を請求することができる。 |
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上記の ①:原状回復費用賠償 ②③(さらに③の下位命題としての④):交換価値賠償 ⑤:利用価値賠償 に対応。 |
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□ | □(イ)原状回復費用の賠償と交換価値の賠償・・。理論面から見た金銭評価規範相互の関係(p445) | |||||
(ア)の枠組みについて、原状回復費用の賠償(①)と交換価値の賠償(③)の関係について可能な3つの説明 | ||||||
● | 第1:車両損害の賠償に関しては、自然的原状回復の方向での損害賠償を優先させなければならず、修理費用(原状回復費用)の賠償を原則とする考え方が採用されている。 | |||||
● | 第2:原状回復費用の賠償額と交換価値の賠償額を比較して、低い方の額が賠償されるべきであるとの考え方、そして、前者が後者よりも低額であることが通例であるとの認識が、その基礎に据えられているとの説明。 | |||||
賠償額の最小化を正当化するため、「被害者は、信義則上被害又は損害を最小限ならしめる義務を負っている」旨が説かれることがある。 but (厚生改善(厚生経済学)の見地から損害賠償制度を一般的に語るのでなければ)通常の民法の損害軽減義務の理論からは正当化がしずらいところがある。 |
||||||
● | 第3:自然的原状回復の方向での損害賠償を優先させなければならないとの考え方を基礎に据えつつ、この例外に当たる場合、とりわけ、被害車両の交換価値に比して修理に過大な費用を要する場合には、「被害者は、不法行為(交通事故)を原因として利得をしてはならない。」との利得禁止の思想により、原状回復費用の賠償ではなく交換価値の賠償が認められていると説明。 ⇒ 被害者が当該被害車両につき特別の愛着があるなど、利得禁止規範に違反するものとは評価されず、多額の修理費用を投下してもなお、その車両を保持することに正当な利益があると認められる場合には、買替費用を上回る修理費用の賠償が認められてよい。 |
|||||
□ | □(ウ)原状回復費用の賠償と仮定的修理費用(p446) | |||||
ドイツのように、自然的原状回復を損害賠償制度の第一の目的 ⇒自然的原状回復に向けた費用として捉えられた原状回復費用(修理費用)が実際に自然的原状回復に用いられなければ、仮定的修理費用の賠償は自然的原状回復をもたらすという目的に照らして正当化されないのではないということが深刻な問題に。 |
||||||
金銭賠賠償主義を採るわが国の損害賠償法制 ⇒原状回復の方向で車両の価値を保障するために被害者に対して金銭で支払われるのが原状回復費用(修理費用)に相当する額であると捉えるならば、被害者に被害者が被害車両の修理に当てたかどうかは問われない。 ~ 修理費用の賠償は、権利の客体である自動車の交換価値の賠償としての一面も併せ持つ。 修理費用の賠償は、 ①原状回復のための費用の賠償であるとの性質を持つと同時に、 ②被害者量の交換価値が減じられた分を金銭で補填するための賠償 であるとの性質をもつ。 |
||||||
□ | □(エ)利用価値の賠償 | |||||
次の2つのタイプのものを観念できる。 | ||||||
第1:その物の所有者が帰属する権利主体には、その物の所有者として自己に与えられた使用収益の権限(利用権限)を行使して、権利の客体である物を用いてみずからの行動を展開することにより得ることができた利益が保障されるべきであるという観点から、その賠償が認められるべきもの。 ex.被害車両をン用いることができなかったことによる休車損害や営業利益の喪失。 |
||||||
第2:所有権侵害の結果、所有権に基づき使用収益をすることのできる地位を確保ないし保全するために投下した費用は権利主体(被害者)から加害者に転嫁されるべきであるという観点から、その賠償が認められるべきもの。 ex.代車賃貸料。 |
||||||
● | 前者: 所有者が権利主体として使用収益の権限(利用権限)に基づき自己の活動を展開することによって得ることができた経済的利益につき、被害者(権利主体)の総体財産に生じた損害としてこれの填補を保障するという意味での損害賠償。 |
|||||
使用収益の権限(利用権限)の行使により被害者が得ることができた利益を保障 = 権利主体に割り当てられた権利の価値を・・・権利の客体(被害車両)を用いて権利主体(被害者)が自己の活動を展開することによって得られる利益を含め・・・金銭で実現することを保障すること。 |
||||||
● | 後者: 使用収益の権限(利用権限)やこれを行使することによって被害者(権利主体)が得ることのできる利益を保全するために必要な費用を支出するのであれば、その填補を認めてやるという意味での損害賠償。 |
|||||
この種の損害賠償を目的とした規範を、「権利保全規範」と並べて、「利益保全規範」と称する論者もいる。 | ||||||
①利用価値の賠償に括られるものの、その実態は、利益保全のために支出した費用の賠償を目的とするもの。 ②自己の権利や利益を保全するための措置を講じるかどうかは権利主体の自由。 ⇒ 代車賃貸料相当額の賠償を請求することができるためには、(保全の必要性があることとともに)被害者が被害車両の利用により得ることができたであろう利益を保全するための具体的な保全措置、すなわち、代車を調達する措置(代車の賃貸料)を講じたこと、または、かかる措置を将来講じることが確実に予測できることが必要となる。 (もとより、ここでも、損害軽減義務の問題は、これとは別に残る。) |
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□ | □(オ)小括 | |||||
車両損害についての損害賠償の特徴 | ||||||
① | 賠償されるべき損害は、 ①原状回復費用 ②交換価値 ③利用価値 という観点から整理することができる。 |
|||||
② | 修理費用は、 原状回復の費用として捉えられるものであるが、客体である被害車両の価値の回復という目的に向けられたものであって、 客体レベルでの差額計算が妥当するものであるとともに、裁判実務では、(個別具体の事案における見積り査定等を手掛かりとすることで)具体的損害計算による金額査定が基礎に据えられている。 |
|||||
ここでの修理費用は、客体の価値の回復を目的。 修理の結果が事故前の車両の価値を超えることとなる場合には、原状回復のコンテクストで捉えられない⇒そのような費用の賠償を認めることはできない。 |
||||||
③ | 被害車両の交換価値の賠償が問題となる局面では、 差額計算の一方の項である事故時の被害車両の交換価値については、中古市場における同種・同等の価値の自動車に対して与えられるであろう価値によらざるをえない⇒抽象的損害計算とならざるをえない。 |
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スクラップ価格についても、当該被害車両自体の価格を算定することが困難な場合は、抽象的損害計算によることになる。 | ||||||
修理費用が賠償された場合の評価損については、交換価値賠償の一種。 裁判例では、修理費費用の2割または3割といった形で処理(抽象的損害計算)。 |
||||||
④ | 修理費用の賠償と交換価値の賠償のいずれを選択するかについては、3つの立場がありうる。 | |||||
⑤ | 利用価値のうち、 (a)休車損害のように、被害者が被害車両を所有権に由来する使用収益の権限(利用権限)に基づき利用すれば得られたであろう利益の賠償が問題となる局面では、具体的損害計算が行われ、かつ、被害者の総体財産に生じた増減が問題とされている。 ~ その非会社が使用収益の権限(利用権限)を行使することにより自己の総体財産がどれだけ増加したかをもとに判断がされている。 but 被害者の属する人的類型に注目することにより、権限行使により得られたであろう利益の最低保障の可能性(抽象的損害計算による。)が否定されているものとは見るべきではない。 |
|||||
(b)代車賃貸料のように、被害者が被害車両の使用収益をする権限(利用権限)を保全するための措置に要する具体的な費用については、具体的損害計算が妥当。 (←自己の権利や利益を保全するための措置を公示するかどうかは権利主体の自由) |
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◆ | ◆Ⅳ 権利・法益の側からみた損害論の整理・・・再び民法の世界へ(p449) | |||||
◇ | ◇1 交通事故損害賠償実務における蓄積の、民法理論へのフィードバック | |||||
被害者の財産(総体財産)に生じている金銭面での差を計算し、確定しているというよりは、 人身侵害・所有権侵害を受けて被害者が置かれた状態を考慮したときに、この者に対してどれだけの金額が賠償されるべきかという規範的評価が全面に出ている。 ~ ここでの問題の核心は、交通事故により被害者に生じた不利益という事実(損害事実)につき、この不利益な事実をどのように金銭評価すべきか(同法248条にいう「損害の額」の決定)。 |
||||||
人損・物損の算定をめぐる実務の努力や諸説の対立は、この金銭評価を担う規範を設定し、正当化するレベルのもの。 損害(財産的損害)の金銭的評価を裁判官の裁量にゆだねるという立場(平井説)を採らないのであれば、損害の金銭的評価を支える実体ルール、すなわち、金銭評価規範の内容ないしはそこでの思考様式を明らかにする必要がある。 |
||||||
◇ | ◇2 財産的損害に関する規範的評価の視点①・・・権利・法益の価値の保障 | |||||
■ | ■(1) 権利保護の思考様式・・・権利・法益の価値の保障+権利・法益の保全 | |||||
権利・法益の価値を保障するためにどれだけの金額が賠償されるべきかを問う姿勢が強く認められる。 ~ 生命・身体、自動車の所有権といった絶対権・絶対的法益を保有する権利主体に対して国家が保障した地位が交通事故(不法行為)により侵害されたとき、 国家が権利・法益を有する主体としての地位を保障している以上、どれだけの金銭を被害者に得させれば、その地位を保障したことになるかが問われている。 通常、被害者に生じた損害の填補と言われるが、その実態は、権利主体に帰属する権利・法益の価値の保障。 |
||||||
人身侵害・所有権侵害を受けて被害者が置かれた状態を考慮したときに、この者に対してどれだけの金額が賠償されるべきかという評価をするときには、この権利主体に帰属する権利・法益の価値の保障という観点から、問題を捉えるのが有益。 = 「損害賠償請求権の権利追求機能」 |
||||||
一般的枠組みとして抽出できるもの。 | ||||||
● | 国家による権利・法益の価値の保障には、 ①権利・法益の客体自体の価値として権利主体が有していたいものを、その客体自体に対する侵害を理由に金銭で保障するということと、 ②権利主体が権利・法益に基づき自らの活動を自由に展開することにより得られる利益(自らの総体財産の維持ないし増加)を金銭で保障するという 2つの次元のものが含まれている。 |
|||||
● | ①②のいずれについても、 (a)不法行為依然の状態、つまり原状への回復という方向でそれに必要な金額を権利主体に与えるという方向での賠償と、 (b)不法行為がなかったならば現在の時点で置かれている状態を実現するために必要な金額を権利主体に与えるという方向での賠償 とを認めることができる。 |
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車両損害における 修理費用の賠償は①(a) 買替費用の賠償は①(b) 休車損害の賠償は②(b) 人損における逸失利益の損害も②(b) 入院・治療費は①(a) 年金受給権の喪失は①(b) |
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● | 国家による権利・法益の価値の保障の中には、 権利・法益の価値そのものおよび 権利・法益に基づく権利主体が行う活動から得られる利益を保全するために必要となる費用 を不法行為の加害者の側に負担させるということも含まれている。 |
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権利保全規範・利益保全規範に属するもの ・車両損害における代車賃貸料 ・人損における家屋改造費や介護費用 |
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■ | ■(2) 財産的損害に関する規範的評価の視点(p451) | |||||
□ | □(ア) 権利・法益の価値に対する評価・・・類型化の視点(p451) | |||||
● | 不法行為に関する民法の一般理論のレベルでも、権利・法益の価値が権利主体にどのように割り当てられて、保障されているのかは、国家(法秩序)の立場から規範的に評価していくのが適切。 | |||||
● | ①権利・法益の客体自体の価値として権利主体が有していたいものを、その客体自体に対する侵害を理由に金銭で保障するという場面。 ②権利主体が権利・法益に基づき自らの活動を自由に展開すること(自らの労働力を投入しての活動が含まれることは言うを待たない。)により得られる利益(自らの総体財産の維持ないし増加)を金銭で保障するという場面。 |
|||||
● | ①の場面: (a)客体の有する客観的な価値が、原状回復に向けた費用の填補または失われた交換価値の填補という方向で保障されるのが基本。 その上で、 (b)当該具体的な被害者がその客体に特別に結び付けた価値(愛着利益)もが財産的損害の賠償の対象とされて保護されているかどうかについては、見解が分かれる。 |
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②の場面: 国家(法秩序)がその権利・法益を承認する場合に、国家は権利主体が社会生活の中で自己に帰属する権利・法益に基づき自己の人格を自由に展開することをどこまで保障すべきか? |
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(a)当該権利・法益につき、同種・同等の地位にある者に対しては、国家が等しくその権利・法益の価値を保障すべきである点を重視⇒一般的・標準的な権利主体(同種・同等の地位にある者)が権利・法益に基づき自己の人格を自由に展開することにより客観的・類型的に受けることができる財産的利益が賠償の対象とされるべきであり、かつ、この抽象的損害計算の方法により算定された金額が「最小限の損害」として権利主体(被害者)に保障されるべき。 | ||||||
その上で、 (b)個別具体的被害者が自己に帰属する権利・法益のもとで一般的・標準的な権利主体を超える能力・才覚を発揮して自己の人格を自由に展開することにより受けることができた財産的利益も、 このこととそれが法的保護に値するものであることが証明された場合には、 抽象的損害計算による額に上積みする方向で、その賠償が認められるべき。 |
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②(a)について、どのような観点から「同種・同等の地位にある者」を規範的にカテゴライズするか? 問題の本質は、以下の3つの局面における差別化の是非をめぐる規範的な評価にある。 |
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● | 第1:他の者と比べて、労働力の展開を妨げられている者を他者と区別して標準化し、その展開力に即した財産的利益を保障すれば足りると考えるか? ex.重度知的障害者、身体障害者、無職の高齢者が被害者となった場合に、このような者を類型化し、それに相応の財産的利益を保障すべきかという問題。 |
|||||
● | 第2:労働力の展開を妨げられているわけではないものの、その展開する場を有していない者を他者と区別して標準化し、その限られた場での展開力に即した財産的利益を保障すれば足りるか? ex. 専業主婦や若年非正規労働者の逸失利益が問題となる場面で、このような者を類型化し、それに相応の財産的利益を保障すべきかという問題。 働く意欲のない者の逸失利益をどうするか? 失業者・無職者の休業損害、車両損害における休車損害・営業利益喪失。 |
|||||
● | 第3:労働力の展開について時間的制約がある者を他者と区別して標準化し、その限られた時間枠の中での展開力に即した財産的利益を保障すれば足りると考えるどうか? ~ 逸失利益判断における始期・終期基準を設定するにつき、全般的に考慮されているもの。 交通事故によりいわゆる植物状態になった者の逸失利益の終期をどのように捉えるか。 車両損害における事業者の休車損害・営業利益喪失に関して、賠償の対象となる事業期間をどのように捉えるか。 |
|||||
最高裁H8.4.25: 「交通事故の時点で、その死亡の原因となる具体的事由が存在し、近い将来における死亡が客観的に予測されていたなどの特段の事情」がある場合に、就労可能期間を認定する際にこの事情を考慮することができる余地を、傍論ながら、残している。 規範レベルでは、むしろ、利得禁止規範の観点から逸失利益の時間的限界が付される可能性を認めたものとして正当化すべき。 |
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いずれの場面でも、結論を左右するのは、 平等原理との抵触の有無、利得禁止の思想との抵触の有無 に関する個々の研究者・実務家の判断。 |
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□ | □(イ) 物損の場合 | |||||
● | 物損について権利・法益の価値を捉えるにあたり、 客体自体の交交換価値の賠償が問題となる場面では、 客体の価値は、 基本的に当該客体が有していた客観的な市場価値として評価されるか、 (ある特定の立場を採る場合には、このほかに)個別具体的な被害者にとっての価値も考慮されるかのいずれか。 |
|||||
交通事故損害賠償実務が、その余の損害項目も含め、具体的損害計算による算定を否定していない⇒ 客観的な市場価値(「通常(共通)の価値」)によることを基本(「最小限の損害」)としつつ、 当該客体には具体的被害者に結び付けられた特別の財産的価値(「特別の価値」)があることが主張・立証されたならば、それが抽象的損害計算による額を超える場合でも、その賠償が認められるべき(具体的損害計算による賠償額の上積み)。 |
||||||
● | 原状回復費用の賠償が問題となる場面: 交換価値の賠償の場合と同様に、個別具体的被害者のもとに不法行為前の状態を回復するために必要な費用がいくらかを、客観的に評価すればいい。 |
|||||
ここでの規範的な評価は、 金額(見積額)を示す点においてではなく、 もっぱら、その前の段階、つまり、原状回復をしたと言える状態とはどのような状態なのか(被害者が原状回復として提示する費用により実現される状態は原状回復を超えた利得を被害者に得させることになりはしないか。)を判断する段階で行われる。 |
||||||
● | 利用価値の賠償が問題となる場面(権利・利益の保全に要した費用の賠償を除く。)では、 具体的被害者が自己の権利・法益に基づき自らの活動を展開することによって得た利益を評価すべき(具体的損害計算によるべき。)というのが、車両損害に関する学説・実務から導かれる帰結。 but ①ここでの利用価値の賠償は、所有者が所有権に由来する使用収益の権限(利用権限)により当該客体を利用することにより得られた利益の賠償。 ②この利益は、人身損害における被害者の逸失利益と同列に位置づけられるもの。 ⇒ ここでも、抽象的損害計算による利用利益の賠償、つまり、被害者と同様の地位に置かれた者(平均人(標準人))であれば当該客体を利用することにより得られた利益の賠償が認められてよい。 |
|||||
□ | □(ウ) 逸失利益賠償の場合 | |||||
賃金センサスほか統計値による逸失利益算定の実務 ⇒損害額の推認という事実レベルでの操作を超えて、権利・法益の価値を国家が市民に対して割り当てて、保障するときには、同種の権利・法益につき同種・同等と評価される主体に対しては、同等の価値が保障されるべきであるとの規範的な評価の視点。 ~ 抽象的損害計算により算定される金額が、最低限のものとして、被害者に与えられるべきである(「最小限の損害」)。 |
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これを超える利益の喪失を具体的被害者が主張・立証: 生命・身体という法益ならびにこのもとでの具体的被害者の活動の自由の保障(人格の自由展開の保障)も国家による保護の対象となる ⇒この被害者に特有の逸失利益の賠償を認めてよい(具体的損害計算による賠償額の上積み)。 |
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◇ | ◇3 財産的損害に関する規範的評価の視点②・・・利得の禁止 | |||||
利得禁止の名のもとに、現代における社会構造・生活環境の矛盾を追認し、将来における社会構造・生活環境の改善の可能性に目をふさぎ、結果的に、個々の権利主体(被害者)に本来保障されるべき権利・利益の価値の保障が行きわたらないことになっていないかどうか(被害者に帰するべきではない社会的要因を被害者に負担させる結果となっていないか。)を慎重に検討することが必要。 | ||||||
特に、無職者、障害者等の将来の逸失利益については、将来の社会構造・生活環境が被害者にとってプラスの方向で変化する可能性にも期待し、現状維持を前提とした将来予測をすることにより被害者にとって不利とならないような評価の態度が、可能な限り求められるように思う。 | ||||||
★★損害賠償額算定基準(下巻:講演録編)(赤い本) | ||||||
★ | ★講演 最近の東京地裁民事交通訴訟の実情 | |||||
★ | ★講演 損害賠償額の算定について | |||||
◆ | ◆1 女子年少者の逸失利益算定における基礎収入について | |||||
◆ | ◆2 整骨院における施術費について(吉岡裁判官) | |||||
◇ | ◇第1 整骨院における施術費について損害と認められる範囲 | |||||
■ | ■(1) 治療費についての一般論 | |||||
被害者が交通事故により受けた傷害の具体的な内容・程度に照らし、症状が固定するまでに行われた「必要かつ相当な治療行為」の費用であれば、交通事故と相当因果関係のある損害と認められる。 ~ 医学的見地からみて当該障害の治療として必要性及び相当性が認められる治療行為であり、かつ、その報酬額も社会一般の水準と比較して妥当なもの。 |
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整骨院における治療費についても、上記が妥当。 | ||||||
■ | ■(2) 施術費の請求が認められる要件(その1) | |||||
□ | □ア 施術が症状固定までに行われたものであること | |||||
□ | □イ 施術録に記載された施術が現になされたこと | |||||
■ | ■(3) 施術費の請求が認められる要件(その2) | |||||
□ | □ア 必要かつ相当な施術行為であること | |||||
● | 「必要性」 | |||||
①施術の必要性: 施術を行うことが必要な身体状態にあった。 |
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②施術の有効性: 施術を行った結果として具体的な症状の緩和がみられる。 |
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● | 「相当性」 | |||||
③施術内容の合理性: 施術が、受傷内容と症状に照らし、過剰・濃厚に行われておらず、症状と一致した部位につき、適正な内容として行われていること。 |
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④施術期間の相当性: 受傷の内容、治療経過、疼痛の内容、施術の内容及びその効果の程度等から、施術を継続する期間が相当であること。 |
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⑤施術費の相当性: 報酬金額が社会一般の水準と比較して妥当なもの。 |
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片岡講演では、これらの5つについて、具体的な主張・立証がある場合には、交通事故による損害として認められる。 | ||||||
□ | □イ 医師の指示がある場合、ない場合 | |||||
医師が患者に対して整骨院での施術を受けるように指示 ~ 特段の事情がない限りは、 ①施術の必要性、②施術の有効性があることを強く窺われる事情。 but ③④⑤が認めらるかが検討される必要。 |
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他方で、医師の指示がなかったとしても、 ①施術の必要性、②施術の有効性について具体的な主張・立証がされたのであれば、更に、 ③施術の合理性、④施術期間の相当性、⑤施術費の相当性が認められる場合には、施術費が交通事故による損害と認められる。 |
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□ | □ウ 問題のある事案 | |||||
片岡講演「初療の日から6か月を一応の目安としたらどうでしょうか。」 | ||||||
□ | □エ 総合的な検討 | |||||
◇ | ◇第2 医師の同意がある場合、脱臼又は骨折の場合 | |||||
■ | ■(1) 医師の同意がある場合、同意がない場合 | |||||
■ | ■(2) 脱臼又は骨折の場合 | |||||
◇ | ◇第3 必要かつ相当な施術行為の費用と認められない場合の損害の範囲 | |||||
■ | ■(1) 保険基準説と割合説 | |||||
■ | ■(2) 平成15年以降の裁判例の傾向 | |||||
■ | ■(3) 裁判例の紹介 | |||||
□ | □ア | |||||
□ | □イ | |||||
□ | □ウ | |||||
□ | □エ | |||||
□ | □オ | |||||
■ | ■(4) 小括 | |||||
◇ | ◇第4 まとめ | |||||
◆ | ◆3 給与所得者の休業損害を算定する上での問題点 | |||||
★ | ★講演 肩関節~腱板断裂を中心に | |||||
★ | ★部会活動報告等 | |||||
◆ | ◆民法改正と損害賠償実務(民法改正検討プロジェクトチーム報告) | |||||
◆ | ◆人身傷害保険金請求を行う場合の訴状作成のチェックポイント | |||||
◆ | ◆自動車同士の自己の過失相殺基準 | |||||
◆ | ◆「脳外傷による高次脳機能障害事案」の相談における留意点 | |||||
◆ | ◆政府保障事業について | |||||
賃金センサス | ||
★第1巻:全国・大分類 | ||
◇ | ◇第1表 | |
◇ | ◇第2表 | |
◇ | ◇第3表 | |
★第2巻:全国・中分類 | ||
◇ | ◇第1表 | |
◇ | ◇第2表 | |
◇ | ◇第3表 | |
★第3巻:全国・役職・職種・新規学卒者・標準労働者・短時間労働者・企業規模5~9人 | ||
◇ | ◇第1表 | |
◇ | ◇第2表 | |
◇ | ◇第3表 | |
◇ | ◇第4表 | |
◇ | ◇第5表 | |
◇ | ◇第6表 | |
◇ | ◇第7表 | |
◇ | ◇第8表:新規学卒者の初任給額 | |
◇ | ◇第9表:新規学卒者の初任給額 階級別労働者数及び初任給額の分布特性値 | |
◇ | ◇第10表:標準労働者の年齢各歳別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額 | |
◇ | ◇第11表:標準労働者の年齢階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額 | |
◇ | ◇第12表 | |
◇ | ◇第13表 | |
◇ | ◇第14表 | |
◇ | ◇第15表 | |
◇ | ◇第16表 | |
◆ | ◆企業規模5~9人 | |
◇ | ◇第17表 | |
◇ | ◇第18表 | |
◇ | ◇第19表 | |
◇ | ◇第20表 | |
◇ | ◇第21表 | |
◇ | ◇第22表 | |
★第4表:都道府県別・北海道~沖縄 | ||
◇ | ◇第1表 | |
◇ | ◇第2表 | |
◇ | ◇第3表 | |
◇ | ◇第4表 | |
◆ | ◆企業規模5~9人 | |
◇ | ◇第5表 | |
◇ | ◇第6表 | |
★第5表:全国・雇用形態 | ||
◆ | ◆常用労働者 | |
◇ | ◇第1表 | |
◇ | ◇第2表 | |
◇ | ◇第3表 | |
◇ | ◇第4表 | |
◇ | ◇第5表 | |
◇ | ◇第6表 | |
◆ | ◆臨時労働者 | |
◇ | ◇第7表 | |
◇ | ◇第8表 | |
◇ | ◇第9表 |