シンプラル法律事務所
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論点整理(ビジョナリーカンパニーB 衰退の五段階)

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)

ビジョナリーカンパニーB 衰退の五段階 ジェームズ・C・コリンズ 
★    ★静かに忍び寄る危機
  ★衰退の五段階 
第1段階 成功から生まれる傲慢
 
第2段階 規律なき拡大路線
第3段階 リスクと問題の否認
第4段階 一発逆転の追求
第5段階 屈服と凡庸な企業への転落か消滅
★第1段階 成功から生まれる傲慢   ★第1段階 成功から生まれる傲慢
■何となぜの混同
ベスト;・バイ:大型店をたえず変えていったが、その際に当初の成功をもたらしたコンセプトの柱(顧客は大量のブランド品が分かりやすく配置され、低価格で売られ、店員が親切に対応してくれる店舗を好む)は維持している。
企業はその時点の慣行にすぎないものと、永続的な成功の原則とを混同し、慣行を墨守して変化を拒否する過ちに陥ったとき、衰退への道を歩むことになる。
A&Pが当初に成功したのはなぜなのか、という基本的な問いをバーガーはたてようとしなかった。
過去に成功した具体的な慣行や戦略については考えても、成功した基本的理由を考えようとしなかった。
優れた企業指導者は好奇心旺盛な科学者のように、自分の仕事について学ぶ姿勢をとりつづけており、なぜ、なぜ、なぜと執拗に質問を浴びせ、合った人から知識を吸収しつくしたいという卸しがたい衝動をもっている。 
(1)ものを知っている人と、(2)ものを学ぶ人は基本的に違う。
(1)は2つの方法で会社を衰退への道に導き得る。
@具体的な慣行について独断的になりうる
A当初の成功をもたらした要因が通用しない事業に進出するか、通用しない規模にまで拡大して、拡張しすぎになる。
  ■第一段階の現象 
●成功は当然だとする傲慢
成功を収めてきたのは「当然だ」と考え、圧倒的に不利な条件のなかで思わぬ幸運に恵まれたか、一時的なものだとは考えず、必死に努力した結果だとすら考えない
会社が何かを行う決定を下しても、あるいは何かを行わない決定を下しても、それにはほとんど無関係に成功が続くと信じるようになる。
 ● ●主要な弾み車の無視
指導者が外部にある脅威や冒険、機会に関心を奪われ、主要な弾み車を無視するようになり、当初に偉大な業績をあげるようになったときと同じ徹底した創造性を発揮して若返りをはかろうとしない。 
●何からなぜへの移行
成功を謳歌する見方をとるようになり、深い理解と見識が忘れられる。 
●学習意欲の低下
指導者が好奇心と学習意欲を失う。
真に偉大な人物は好奇心と学習意欲を特徴としており、どれほど成功を収めても、キャリアをはじめた時期と変わらないほど急こう配の学習曲線を維持している。 
●運の役割の軽視
偶然と幸運に恵まれた可能性を認めるのではなく、成功はすべて組織と指導者が優れていたからだと考えるようになる。
★第2段階 規律なき拡大路線   ★第2段階 規律なき拡大路線
  ■自己満足ではなく、拡張しすぎ 
A&Pは@傲慢⇒A自己満足⇒B否認⇒C一発逆転策の追求 
それ以外は、野心や創造性、攻撃、恐れに刺激されて、第二段階にすさまじいほどのエネルギーを発揮
この段階にかなりのイノベーションも進めている。
メルク
ラバーメイド
  ■成長への固執 
メルクがあれほどの成長を約束したためにバイオックスが大型薬でなければならなくなり、期待通りにならないかったとき、とてつもなく転落する状況を作り出した。
傲慢になると、拡大につぐ拡大を軽率に約束すrようになりうる。そしてある日、期待をはるかに高めすぎていたときに失敗する。そのときの打撃は大きい。
メルク
モトローラ
HP
創業者は、利益をはるかに超えた崇高な目的のためにこれらの企業を築いてきた。
ジョージ・メルク2世:人々の生命を維持し、生活を改善する目的
ポール・ガルビン:社員の創造性を引き出してつねに若返りをはかる
ビル・ヒューレット、デビッド・パッカード:HPが技術の進歩に貢献するためにあり、利益はこの目的を達成する手段、達成度をはかる尺度になるだけ。

規模の拡大を目標だとはみておらず、基本目的を追求した結果として残るもの。
かならずついてくるもの。
but
後の世代はこの教訓をわすれ、この関係を逆転している。
持続しえない短期的成長を求める圧力に抗した企業が、ウォール街の尺度である株式運用成績でみても、長期的に優れた結果を生み出している。 
「株式の価値」と「株式の価額」の違い、「株主」と「株式売買者」の違いを認識しており、自分たちの責任は、株主にとっての価値を築くことであって、株式売買者にとっての価格を最大限に高めることではないと認識。
成長と卓越性を混同することはない。
大きいから偉大だとはいえないし、偉大だから大きいわけではない。
■    ■パッカードの法則の無視 
●規律なき拡大・・・規律を欠く行為:
・燃えるような情熱をもって取り組めるわけではなく、これまでの分野に隣接しているわけでもない分野に飛躍
・基本的価値観と矛盾する行動・
・際立った能力、競争相手より優れた能力を獲得できるわけでない新分野に大掛かりに投資
・経済的原動力、経営資源の原動力に適合しない事業に飛び込む
・規模に執着
・中核事業を放置して興奮を呼ぶ新事業につぎつぎ飛びつく
・経営者個人のさらなる成功のために、富や名声や権威を増進するために使い、組織の長期的な成功を犠牲
・成長と拡大を追求するにあたって基本的価値観を危うくし、基本目的を見失う
●パッカードの法則:
偉大な企業は機会が少なすぎて飢える可能性よりも、機会が多すぎて消化不良に苦しむ可能性の方が高いというパッカードの指摘。 
どの企業も、成長を担う適切な人材を集められるよりも速いペースで売上高を増やしながら、偉大な企業になることはできない。
偉大な企業が成長を担う適切な人材を集められるよりも速いペースで売上高を増やしつづけた場合、停滞に陥るだけでなく、衰退する。
パッカードの法則を無視して、不適切な人材を主要なポストにつける⇒不適切な人の欠陥を補うために、官僚的な手続きを確立⇒適切な人材を追いやる⇒適切な人材が逃げ出す
官僚制の凡庸な文化が規律ある卓越性の文化に徐々に取って代わっていく。
経営者は、以下の質問に答えられる必要。
会社の主要なポストはどれなのか。主要なポストのうち、適切な人材が配置されていると自信をもって断言できるのはどれだけの比率があるのか。この比率を高めるためにどのような計画を立てているか。適切な人材が主要なポストを離れたときのために、どのようなバックアップ計画があるか。 
不適切な人材:これこれの「肩書き」をもっていると考える
適切な人材:自分はこれこれに「責任」を負っていると考える。
「わたしはこれとこれにたいして最終責任を負っている。前後左右を見渡しても、他に最終責任を負っている人はいない。そしてわたしは、この責任を引き受ける」 
業績が劇的に飛躍するのは、異例なほど優れた指導者が何人も集まって経営チームを作り、優れた決定を下していき、きわめてうまく実行していくとき。
企業が偉大な業績を維持できるかどうかは何よりも、適切な人が経営にあたる体制を維持できるかどうかにかかっている。
  ■問題のある権力承継 
指導者が後継者の選任に失敗した場合、企業は没落の道を歩むことになる。
特に重要なものの1つは、
偉大さを維持するために行わなければならないことを理解しないか、実行する意思のない指導者、そして同様に重要な点として、行ってはならないことを理解しないか、行わない意思のない指導者へ権力の引き継ぎ
企業は第二段階の特徴である拡張しすぎと権力継承の失敗が重なったとき、第三段階からさらにその先へと転落していくことが多い。
1人の指導者が独力で永続する偉大ない企業を築くことはできないが、間違った指導者が権力を握った場合、ほぼ1人の力で会社を没落させることができる。
  ■第二段階の現象 
●持続不可能な成長の追求と、大きさと偉大さの混同 
●関連しない分野への規律なき飛躍 
●主要なポストのうち、適切な人材が配置されているものの比率の低下 
●容易に利益を得られることによるコスト面の規律の緩み 
●官僚制による規律の破壊 
●問題のある権力継承 
●  ●組織の利害より個人の利益を優先 
★第3段階 リスクと問題の否認     ★第3段階 リスクと問題の否認 
モトローラのイリジウム事業
  ■方針の誤りを示す事実が積みあがるなかで大きな賭にでる 
●  @傲慢⇒A拡張しすぎ⇒Bリスクと問題の否認 
新しいアイデアのうち何が成功するかが事前に確実に分かるのであれば、成功するアイデアだけに投資すればいい。
but確実にはわからない。
⇒偉大な企業は成功しない可能性もある小さなアイデアを大量に試す。
TIはモトローラと違って、大量の事実が積み上がって、成功を収められるとみられるようになってはじめて、大胆な賭にでている。
大胆な目標は進歩を促すが、事実の裏付けのない大胆な賭や、方針の誤りを示すデータが増えてきた事実を無視した大胆な賭は、異例なほどの幸運に恵まれないかぎり、経営を破綻させうる。
それは、幸運に頼るのでは、信頼でいる戦略にならない。
実際のところ、とくに危険な状況になるのは、明確で議論の余地のない事実を無視したときではなく、データがどちらにも解釈できるが、悪い方向に振れたときに深刻な結果か悲惨な結果になりうる状況で、曖昧なデータを間違って解釈したとき。
  ■喫水線下のリスクをおかす 
長時間の議論のなかで、なぜか決定の枠組みが180度転換していた。
@「打ち上げが安全だと証明できるのか」⇒
A「打ち上げが安全でないと証明できるのか」
教訓:
悪い結果になったときに大きな打撃を受ける決定を、後戻りがきかない形で下す必要に迫られたとする。
これを「打ち上げ決定」と呼ぶなら、打ち上げの判断を下すためには、安全であることを示す事実が逆を示す事実よりはるかに多い状況になっていなければならない。
立証責任を安全でないと主張する側ではなく、安全だと主張する側が追っていれば(「打ち上げが安全であると合理的な疑問の余地なく証明することができなければ、打ち上げを遅らせる」)、チャレンジャーの悲劇は防げたかもしれない。 
●偉大な企業は大きな賭けを行う。
but喫水線以下に大穴を開けかねない賭は避けている。 
データが曖昧か矛盾している状態で高リスクの賭けか決定を行うとき、以下の3つの問いをたてるべき。
@良い結果になったときに何が得られるのか
Aきわめて悪い結果になったときに、どのような打撃を受けるのか
Bその打撃に耐えられるのか
ネイキッド・エッジを登っていた2人の登山家:
@リスクがいかにも非対称的で
A良い結果になったときに得られるものが小さく
B悪い結果になった場合には悲惨な結果になる状況で、
C激しい嵐に襲われる確率が高まってきたことを知りながら、
岩登りを続けた。
2008年の金融危機では、3つの問いをうまく扱わなかったときに、会社が破たんしうることを示している。
@一層の利益
A独立を失う、公的管理下、倒産、経済悪化
  ■否認の文化 
●特に注意すべき指標
@粗利益率(売上高に対する粗利益の比率)
A流動比率(流動負債に対する流動資産の比率)
B負債比率(自己資本に対する負債の比率)
の悪化が、嵐の到来を示す徴候に。
別表:経営陣の行動様式・・・下り坂の企業と上り坂の企業 
「起業のリスクは高いといっても、否認の環境で働き続けるより低いだろうと思えた」
悪いデータや警戒信号に対応するときに組織再編を主要な戦略として使うようになると、否認の段階に入っている可能性がある。
深刻な心臓疾患や癌の診断を受けたときに、リビング・ルームの家具を並べ替えて対応するようなもの。
理想的な組織などというものはない。
どのような組織構造にも利点と欠点があり、どのような種類の組織にも非効率的な面がある。
★第4段階 一発逆転策の追求       ★第4段階 一発逆転策の追求
  HPのカーリー・フィオリーナ
「リーダーシップはパフォーマンスだ」
「われわれは皆さんから将来についてのきわめて明確なビジョンを受け取っています。・・・そしてこのビジョンを皆さんに提供したいと望んでいます。」
フィオリーナは、HPがCEOの選任を発表してから1日たっていないときにビジネス・ウィーク誌のインタビューで優先事項をあきらかにしており、その筆頭のHPのビジョンの策定をあげ、インターネット企業というビジョンもとで広範囲な製品をまとめると語っている。
  IBMのルイス・ガースナー
「ここでみなさんに申しあげたいのは、たったいまのIBMにもっとも必要ないもの、それがビジョンだということだ。」

最初の優先事項はもっと基本的な活動だと語った。
@主要なポストに適切な人材を確実に配置すること
A収益性を回復すること
Bキャッシュフローを増やすこと
CIBMの行動のすべてで顧客本位の姿勢を回復すること
ガースナーは、一歩ずつ足元を固める堅実な方法をとり、既存の強みを活かすことを基本にし、「大量の定量分析」を行った。
IBMの状況を完全に理解するために3か月近い時間をかけている。
「わたしは危機感をもっていない。わたしがもっているのは緊迫感であり、事業が好調なときも不調なときも、いつも変わらずもっている。・・・しかし、IBMが危機に陥っているとはまったく考えてない」
ガースナーは、@まず的瀬tな人材を主要なポストに配置し、AつぎにIBMの状況を理解し、Bその後にビジョンや戦略を決めるという規律ある姿勢をみずから選んだ。
■      ■特効薬を探す 
第4段階がはじまるのは、後退に反応して、組織が特効薬に頼ろうとするようになったとき。
ex.
検証されていない新技術に大きく賭ける
実績のない戦略に望みを託す
派手な新製品の成功に依存する
「ゲームを変える」買収条件を探す
イメージ・チェンジに賭ける
救済を約束するコンサルを雇う
救世主になるCEOを探す
「革命」をいいつのる

大規模で素早い解決策化大胆な方針によって一気に業績回復を達成しようとして、長期的な勢いを取り戻すために困難な道のりを着実に歩んでいこうとはしない。
第4段階の一発逆転の追求で短期間、業績が回復することがあるが、長くは続かない。
希望がついえた後につぎの希望もついえ、そのつぎの希望もついえる。
「凡庸さ」を示すのは変化を望まないことではに。一貫性のない姿勢が慢性化していること。
TIの成功例: 
ジェリー・ジャスキンズに経営を託した。
てらったところがなく、断固として困難に立ち向かう人物であり、25年以上勤務してきたTIのCEOの役割を静かに担うようになった。
TIが偉大な企業の地位を回復する過程の第一段階を指導。
@活発な対話と論争に火をつけ
A世界一になる可能性がある事業に努力を集中
B第三段階の章で論じたDSPの大成功が生まれる。
TIの指導者は、偉大さを取り戻すには優れた決定をうまく実行し、それをいくつも積み重ねていく必要があることを理解。
なかには大きな決定もあるが、もっとも大きな決定すら、偉大な企業の構築という全体的な結果の打ち、ごく一部に寄与するにすぎない。
「一夜にして成功を収めた」物語のほとんどは、20年前後の努力の結果。
偉大な企業の構築と外部からのCEO招聘の間には強い逆相関関係がある。
衰退企業は、外部から救世主を迎えて経営を託した時期に、業績が一般に悪化している。 
外部からガースナーを招聘したIBMの成功例:
@当初に偉大を築いたときに戻って、熱心で組織的で一貫した方法を採用
×一発逆転を狙う
■    ■パニックと必死の行動
問題にぶつかったとき、転落の瀬戸際にあると気づいたとき、生存本能によって、そして恐怖心によって、生き残るためには絶対とってはならない行動を反射的にとってしまうことがある。
必要なものとは正反対の行動をとり、もっとも恐れている結果を引き起こすリスクをおかすことになる。
転落を食い止め、反転させたいのなら、すべきでないことは行わないよう、厳格な姿勢をとるべき。 
海兵隊出身の企業家:
「味方は何人かしかおらず、周囲に敵がたくさんいるとき、最善の方法は、「おまえはここからここまでを担当しろ。おまえはそこからそこまでを担当しろ。オートマチックに撃ってはいけない。弾は一発ずつつかえ」と指示する」
@深呼吸をする、A冷静になる、B考える。
C的を絞る。
D狙いを定める。
E弾は一発ずつ撃つ。
アドレソグラフの失敗。
ゼロックスが2400コピー機を発売し、アドレソグラフの複写事業にとって直接の脅威。
⇒パニック状態⇒3年間に23の新製品を発売
⇒10年ほどの間に4人のCEOが後退し、2回倒産
★      ★第5段階 屈服と凡庸な企業への転落か消滅
企業は利益の不足で倒れることはない、現金の不足で倒れる。 
  第5段階には基本的に2つの形態:
@権力を握る人たちがこのまま戦い続けるより、屈服した方が全体的に良い結果になると考えるようになる。
A権力を握る人たちが苦闘を続けるが、選択肢が尽きてしまい、企業が完全に死に絶えるか、以前の壮大さと比較すればまったく重要性のない企業に縮小する。
  ■戦いをあきらめる 
スコット・ペーパーがアル・ダンロップを招いた例
  ■選択肢が尽きる 
ゼニスの例:
@第1段階 成功から生まれる傲慢:
マクドナルド時代氏の後期に、白黒テレビの製造で第1位に
A第2段階 規律なき拡大路線(1960年代後半から70年代にかけて)
RCAを追い抜いてカラー・テレビ受信機で第1位のメーカーとなる目標達成
⇒製造能力の大幅な拡大に投資。
負債比率が2倍になり100%に達した。
B第3段階 リスクと問題の否認(1970年代後半)
自社の競争力の欠如という問題に取り組むのではなく、窓の外を見て、外部の要因に責任を押しつけた(日本の貿易慣行、アメリカ経済の低迷、労働争議、石油危機等)。
生産能力過剰⇒市場シェアを高めようと価格を引下げ、負債をさらに増やす⇒利益率低下
C第4段階 一発逆転策の追求
いくつもも機会に飛びつくようになった。
「われわれに計画があるとするなら、あらゆることをやってみるというものだ」
闇雲に機会に飛びついた。
but
新たに設立したデータ・システムズ部門が精力的なジェリー・パールマンのもと、好調に業績を伸ばす。
パールマンはCEOに昇進し、ゼニスをIBM互換パソコンの第2位メーカーに押し上げ、先見性を発揮して、新しいラップトップ・パソコン市場で第1位の地位を築いている。

デルかコンパックのようになっても不思議でなかった。 
but
長年にわたって問題を否認し、一発逆転策にすがってきたから、財務状態が悪化。

コンピューター事業を売却。
その後辞任。

第1段階から第4段階までの打撃が積み重なって現金が不足するようになれば、とりわけ優秀で有能な指導者でも自社の方向を管理できなくなりうる。
■    ■否認なのか希望なのか 
  戦いで重要な点は生き残ることではない。
世界のうち関係した部分に特有の影響を与え、しかも優れた業績をあげながらそうした影響を与えるので、存在しなくなれば大きな穴ができ、他の組織が簡単に埋めるというわけにはいかない、そういう企業を築くこと。
これを達成するには、指導者が、単なる生き残りよりも大きな目標(自社の存続よりも大きな目標)を追求する戦いに勝利する道を見つけられるという確信をもちつづけると同時に、この目標を達成するために必要なら、どれほど耐えがたいものであれ、どのような行動でもとるという強い意思をもちつづけていなければならない。
闇の中で脱出の道を見つけだし、充分に根拠のある希望を与えてくれるのは、このようなタイプの指導者。
★        ★充分に根拠のある希望
■    ゼロックスのアン・マルケイヒー:
「わたしは企業文化そのものだ。わたしが企業文化を活かす方法を見つけられないようなら、わたしをこの職に選んだのは間違いだった」
偉大な企業の地位を回復するには、断固としたコスト削減とともに、長期的な投資が不可欠だと主張し、最悪の時期に、売上高に対する研究開発費の比率を逆に高めている。
「わたしにとって、こうした動きはすべて、従業員が引退まで勤められる会社にし、従業員の子供たちが入社して働き続けられる会社にし、いつの日か、実績を誇れる会社にするためのものだ」
マルケイヒーがそうであるように、これらの指導者は衰退を機会として利用している。
ディック・クラークはメルクの製造部門を長年率い、レイ・ギルマーティンの後にCEOになった指導者だが、「危機は素晴らしい機会であり、無駄にするのはとんでもないことだ」と語っている。
すでに衰退がはじまっているのであれば、そして、正真正銘の危機に直面しているのであれば、一発逆転にすがるサイクルから早く抜け出すほど良い結果が生まれる。
回復への道は何よりも、健全な経営慣行厳格な戦略思考に戻ることにある。
経営規律の欠如は衰退と相関し、経営規律を固守する姿勢が回復や上昇と相関する。
混乱や激変、不確実性、激動に直面するなかですら、偉大な組織を築き、数十年にわたって、そしておそらくはそれ以上の期間にわたって、異例なほど優れた実績を維持することは可能。 
偉大な組織を築く原則を常に守っているのであれば、厳しい波瀾が起こるよう神に祈るべきだとすらいえる。

七難八苦に襲われる時期には、規律を維持する猛烈な意思をもたない競争相手を大きく突き放すことができる。
波乱の時に衰退の段階に陥っていれば、つまり、傲慢や規律なき拡大、問題の否認、一般逆転策に追求に陥っていれば、安定した時期よりも転落は速く、激しくなる。
衰退の段階に陥っているのであれば、堅実な経営規律にいますぐ戻るべき。 
外的な状況や一時的な後退、過去の経緯、間違い、さらには強烈な敗北にすらも、われわれは縛られていない。各自の選択によって自由になれる。
チャーチル:
「これが教訓だ。決して屈服してはならない。決して屈服してはならない。決して、決して、決して、相手の大小を問わず、強弱を問わず、決して屈服してはならない。名誉と良識の確信に対してでないかぎりは屈服してはならない。力に屈服してはならない。敵の力が圧倒的だと思えても、屈服してはならない」
暗闇からの脱出の道は、このように腹立たしいほど頑固な人物、そもそも屈服することができない人物からはじまる。
強烈な敗北を喫するのはやむをえない。
永続する企業や社会団体なら、その歴史のなかでほぼかならずそういう時期がある。
だが、長期にわたって苦闘する価値があるのは価値観と目標があるからであり、これを放棄してはならない。
失敗とは外的な状態ではなく、心の状態だえる。
成功とは、倒れても倒れても起き上がる動きを果てしなく続けることである。


経営陣の行動様式 
上り坂の企業の経営陣  下り坂の企業の経営陣
不愉快な現実を指摘し、議論しようとする。
厳しい現実を指摘した部下を批判しない。 
権力を握る経営者に厳し現実を伝えないようにする。
(←厳しい現実を明らかにしたとき、批判され罰せられるのを恐れているから。)
データや証拠、論理、堅実な論拠を示して議論にのぞむ。 データや証拠、堅実な論拠を示すことなく、自説を強く主張する。
指導者はソクラテス型の問答を使い、主張に対する質問の比率が高い。
周囲に質問を浴びせて、深い意見をただすよう求める。
指導者は主張に対する質問の比率が低く、悪い情報を避け、ずさんな論理や根拠を示さない主張を受け入れる。
決定を下すまでは活発に反対意見を述べていても、決定が下された後は実行して成功に導くために団結して努力する。 経営幹部は決定を黙認するが、決定を実行して成功に導くために団結することがないか、もっと悪い場合には、決定が下された後に失敗に導こうとする。
成功したのは他の人の功績だと主張するが、他の経営幹部に信頼され、賞賛される。 経営幹部は自分自身の功績を最大限に主張しようとするが、他の経営幹部に信頼され賞賛されることがない。
議論し論争するが、みずからの地位を高めることではなく、全体の目的にとって最善の答えを見つけ出すことを目標にする。 自らの優秀さを示すためか、自らの利益を増やすために主張し、全体の目的にとって最善の答えを見つけ出すために議論しようとはしない。
「非難と伴わない解剖」を行い、苦しい経験から教訓を引き出そうとする。 「非難のための解剖」を行い、教訓ではなく犯人を捜し求める。
異例なほど勝れた実績をあげるが、後退したときは各人が責任を全面的に認めて、失敗から学ぼうとする。 優れた業績意をあげられないことが多いが、後退や誤りや失敗は他人や外部要因のためだと非難する。