シンプラル法律事務所
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論点整理(ビジョナリーカンパニーC 自分の意志で偉大になる)


ビジョナリーカンパニーC 自分の意志で偉大になる ジェームズ・C・コリンズ 
★    ★第1章 不確実性の時代に飛躍する 
  ■データに驚かされる
●意外な現実 ●意外な現実
「何が有効なのか」「なぜ有効なのか」を確認し、実証的なデータに基づいて前に進む。
リスク志向ではなく、大胆でもなく、ビジョナリーでもなく、創造的でもない。
より規律があり、より実証主義的であり、よりパラノイア(妄想的)である。
イノベーションは成功のカギではない。
イノベーションだけでは切り札にならない。
より重要なのは、イノベーションをスケールアップさせる能力。すなわち創造力と規律を融合させる能力。
外部環境が急変しても、10X型企業は比較対象企業ほど変化しない。
劇的変化に見舞われて世界が揺れ動いたからといって、自分自身が劇的変化を遂げる必要はない。
成功のカギを握っているのは、運に恵まれているかどうかではなく、遭遇した運とどのように向き合うか。 
  ■新しいレンズ、探求の旅は永遠に続く
複雑化、グローバル化、技術革新が進むことで変化は加速し、不安定さは増幅している。
われわれが落ち着きを取り戻したのは、生き残って前へ進み、最後に打ち勝つには何が必要なのか、理解を深めたから。
予測不可能な事態に対して以前よりもきちんと準備できるようになったということ。
未来を予測する最高の方法は、自ら未来を創造すること。
★      ★第2章 10X型リーダー
  ■あなたはアムンゼンか、スコットか 
アムンゼンの哲学:
@予期せぬ嵐に見舞われて初めて「もっと体を鍛え、持久力を身に付けておくべきだった」と気づいても遅すぎる
A船が遭難して初めて「イルカの肉を生で食べられるのか」と考えても遅すぎる
B南極探検隊に加わってから「スキーと犬を使いこなせるようになりたい」と思っても遅すぎる。

常日頃からあらゆる事態を想定して準備を怠らないのがアムンゼン流 
予期せぬ不幸が起きるのを前提に整然と準備していた。
不可抗力や偶発事故に対処できるように計画し、探検隊を組成した。
  ■環境の差ではなく、行動パターンの違い 
10X型企業は、両極にある「制御」と「制御不能」を同時に受け入れる能力で差別化。
10X型企業が見せる主要コードーパターン3点セット:
@狂信的規律
A実証的創造力
B建設的パラノイア

3点セットに命を吹き込むのが
やる気の原動力「レベルファイブ(第五水準)野心」
●狂信的規律  ●狂信的規律 
規律:本質的には「行動の一貫性」
一貫した価値観、一貫した長期目標、一貫した評価基準、一貫した方法
長い時間を経ても行動が一貫していること。
本物の規律を保つには、外部からの圧力をはね返すだけの独立心がかかせない。
ここでの圧力とは、自分の価値観や評価基準、長期目標を相いれない圧力のこと。
10X型リーダーにしてみれば、正当な規律形態は1つしかない。
自己規律。
どんな困難にも立ち向かい、何が何でも偉大な成果を生み出そうとする強い意志を持つということ。これが自己規律。
ケレハー:
サウスウェストを立派な会社に育てるという目標に偏執狂的に取り組んでいた。
同社を不屈の精神を持つ低コスト航空会社にするために休まず働き続け、業界内のすべての戦闘とすべての戦争に勝利。
「暇さえあれば働いています。週に七日間、普通は夜八時か九時まで」
寝床に就く前には、自宅内に散らばった数千冊の本を読むのを日課にしていた。
まずは、一貫した価値観、長期目標、評価基準を設ける。次に、これらを維持するために狂信的規律を導入する。もしこんな規律を導入したことによって常軌を逸した行動を求められたとしても、全然気にしない。
外部からの圧力に屈しないのはもちろん、社会規範すら気にしない。
不確実で容赦ない環境に置かれているとき、確実に負ける方法がある。
付和雷同である。
●実証的創造力 ●実証的創造力 
アンディー・グローブ:
「患者として、自力で学際的な調査をある程度行わなければならないと思った。どんな治療法を選ぶかで自分の生死が決まるのだから」
著しい変化によって不確実性が増幅している状況下では違う。統一見解はなく、リスクは大きい。⇒科学的実証に基づくデータに直接当たる。
社会心理学の研究によると、不確実性が高い時代になればなるほど、人々は権威筋や職場の同僚、集団行動など他人を基準に行動の手掛かりを求める。
10X型リーダーは対照的。
不確実性の時代に自らの目標を定める際に、広く受け入れられている社会通念を無視する。他人がどう行動するのか参考にすることもあまりない。
評論家や専門家が、「リーダーはこうあるべき」と提言しても気にしない。
10X型リーダーが注目するのは、もっぱら実証的データなのである。
実証主義を徹底することで知的・精神的に独立し、自分の創造的直観を検証する。
実証主義にこだわるから独立独歩になる。
実証主義は、自らじかに観察し、実験を重ね、科学的証拠と向き合うこと。
実証的な基盤を築くことによって、大胆で創造的な行動に出ると同時にリスクを抑制できる。
アムンゼンはクジラ湾をベースキャンプに選んだ。
「アムンゼンが誰よりも早く明確な結論を引き出せたのは、誰よりも早く原資料に当たっていたからだ。その意味では彼は希少な存在だ。事実を分析し、論理的に結論を導き出す「知的極地探検家」なのだ」
10X型リーダーが違うのは、決断・行動に不可欠な実証的な基盤をしっかりと築いている点。
実証的な根拠に裏づけされた自信であれば、大胆に行動しつつリスクを抑制できる。
これからどんな世界に放り込まれるのか、常に不安を感じ、時に恐れおののいている。だから、恐れていることと正面から向き合う準備をしている。
●建設的パラノイア ●建設的パラノイア 
ゲイツ:
「常に恐怖を感じて経営すべきだ。ただし、恐怖を表に出してはならない。個人的にはいつも失敗した場合のことを考えている」
快進撃を続けているさなかで恐怖におののき、「悪夢のメモ」を書いていた。
●レベルファイブ野心 ●レベルファイブ野心 
人をとりこにするほど魅力的な野心⇒何千人もの人を魅了
10X型リーダーは個人的なエゴや利益を超えて、永続する何かを作ろうとする。
自分を超越した大目標を達成するため。
10X型リーダーの野心は何よりもまず大義のため、会社のため、仕事のためにある。
自己利益のためではない。
核心に迫る問いは「何のために仕事をしているのか?」
意味があるのは性格の違いではなく、自己を超越した大義(世界を変えたり、社会に貢献したりすること)のために全身全霊をささげているかどうか。
  ■どうしたら10Xリーダーになれるか 
    ★第3章 20マイル行進 
  ■ジョン・ブランの二十マイル行進 
  どんな状況下でも1日20マイルのペースを維持する。
非常に厳しい二十マイル行進を自ら課しているストライカーには、もう一つ重要な自己規律がある・・・決して行き過ぎないこと。
一貫した成長のためには、二十マイル行進の下限と上限の両方が欠かせない。
@越えなければならない最低限のハードル
Aそれ以上越えてはならない最高限度
  ■予想外の二十マイル行進 
長期にわたって並外れた一貫性を保ちながら、工程表に従って着々と進む。
制御不能で急変する環境を調査対象にした。
調査対象期間中、10X型企業は例外なく20マイル行進モデルを体現していた。
  ■どうしたら良い二十マイル行進を実現できるのか
●良い二十マイル行進の要素
@越えなければならない最低限のハードルを明示した「工程表」に依拠
A「自制心」を保つ
〜どこまで行進していいのか上限を定める。
B個々の企業の事情や環境に合わせた「独自仕様」。
Cもっぱら「自律達成型」
D「ゴールディロックス時間」を使う。
〜短過ぎもしないし、長過ぎもしない、ちょうど良い時間。
E個々のきぎょうが「自主的に考え、自らに課す規律」
F「並外れた一貫性」を維持する。
●  プログレッシブ:
@模範的な顧客サービスを提供する
A平均96%のコンバインドレイシオを達成する
競争相手が保険料を引き下げてシェア拡大
⇒「いいだろう、やらせてやれ。相手の挑発に乗って無意味なシェア拡大にのめり込んだら、自滅してしまうのがオチ」
「利益を出せるコンバインドレイシオ」は必達目標。
二十マイル行進は、実践的で強力な戦略的道具として機能。
ジョン・ブラウン:
毎年20%の利益成長を定めた「法律」を守るため、迅速な製品開発サイクルや「シュノーケル賞」をはじめとするストライカー型システムを作った。
ピータ・ルイスは96%のコンバインドレシオ実現に向けたシステムを作った。
「96%のコンバインドレシオは簡単に聞こえるが、実は非常に難しい。レシピと考えてみてほしい。特定の材料を増やし過ぎると、望んでいた味を出せない。たとえたった1つの材料で間違えてとしても、通常の4倍の量を入れてしまったら、結果は悲惨なものになる。・・96%のコンバインドレシオを実現するためには、保険事業全体のあらゆる部分で規律を働かせなければならない。「ある年は非常に良かったのに翌年はへこんでしまった」といった展開になるよりも、毎年一定のペースを維持しながら成長する・・・これがわれわれのやり方だ」
20マイル行進未達成のときに「これでもOK」とは決して思わない。
仮に一度だけ未達成だったとしても、「なぜそうなったのか」「どうしたらよかったのか」について徹底的に反省する。
失敗から学ぶのであり、言い訳は許さない。
二十マイル行進は混乱極まる状況下で秩序を確立し、矛盾に満ちた状況下で一貫性を発揮する。
来る年も来る年も実際に二十マイル行進を達成してこそ意味がある。 
セーフコの失敗
目標とするコンバインドレシオを達成できないなか、保険料収入の株式投資に回すなど「財テク」で高い運用益を追い求める姿勢を強めた。
自社の株式資本の68%に相当する値段で、ライバル会社アメリカン・ステイツの買収に成功した。
●  非財務的な行進もある。 
■  
なぜ二十マイル行進実践者は勝つのか
  ■なぜ二十マイル行進実践者は勝つのか
@逆境でも成果を出せるとうい自信を身に付けられる
A大混乱を前にしても大参事に陥る確率を低くできる
B不可抗力に直面しても自制心を保って対応できる
●逆境下で成果を出すことから生まれる自信    ●逆境下で成果を出すことから生まれる自信 
どうやって自信を身につけたのか?
実際に何かを達成することによってである。
業界を取り巻く状況がどうであっても、来る年も来る年も厳しい経営指標をクリアする。
状況の良し悪しにかかわらず二十マイル行進を遂行すると自信が生まれる。
逆境下で目に見える成果を出すことで10X型思考を身に付けられる。
業績向上に全面的に責任を負っており、決して自分たちの置かれた状況や環境のせいにしないという思考。
逆境に打ち勝ったBTO校は「自分たちでできること」に向かって全力投球して成功した。
いわば「自力達成型」
逆境下でも成果を出す自力達成型には実践的な規律が欠かせない。
3つの教訓
@子どもが学ばないからといって、責任のなすりつけ合いをするのは禁じ手。
問題を直視し、責任を取る覚悟を持たなければならない。
A「解決策はどこか外にある」と思っていはいけない。子どもが学習していないなら、学校自身が変わらなければならない。
B子どもを誰一人として置き去りにしてはならない。どこかのクラスで1人でも学んでいない子どもがいたら、学校が本来の仕事を怠っている証だ。
校長のジュリー・テート・ピーチは「状況が厳しいから仕方がない」とあきらめるのを拒否した。
ジュリー・テート・ピーチは1つの目標達成に向けて狂信的ともいえる規律を取り入れた。
それは「読解力を含めて基礎学力向上」
@学力評価を年中行事に
A必要に応じて逐次問題を解決
B教師と事務職員が連携してデータを分析し、アイデアを共有

1年を通して児童ごとにきめ細かく指導・評価・支援する「終わりなき循環」であり、決して妥協しない「教育版二十マイル行進」といえる。
@良い成果⇒A自信とやる気が生まれる⇒B規律をもたらす⇒C良い成果につながる⇒D新たな自信とやる気を生み出す⇒E再び規律をもたらす
毎年のようにプログラム内容が変わる「次期教育改革」は流行であり、それに乗せられてはいけない。
逆にやる気も自身もなくす結果を招く。
決定的に重要なのは、
@行動を起こす、A自力で良質な学力向上対策を見つける、B狂信的規律に従って繰り返し成果を出す、C一定の成果が出るまで同じ学力上対策を長期に続ける。
成果がどんどんでてくるという事実によってこそ自信を得られる。
いったん逆境に打ち勝てば、「再び逆境に打ち勝てる」という自信を得られる。
好循環の始まりである。
●大参事の回避  ●大参事の回避 
二十マイル行進を堅持していれば、予期しない外的ショックに見舞われても、立ち直れないほどの打撃を受けずに済む。
厳し状況下に置かれると、10X型企業は比較対象企業を一気に引き離す。
猛烈な勢いで混乱が訪れると、二十マイル行進実践者は有利になる。
二十マイル行進実践者が深刻な業界不況に直面した場合、合計で29事例あり、行進実践企業は例外なくすべて良い成果を出しつつ不況を乗り切った。
(嵐の中に突入して無事に抜け出す確率は100%)
●制御不能な環境下で自制する  ●制御不能な環境下で自制する 
アムンゼン隊と同様に、10X型企業は自制を働かせるために二十マイル行進を実践する。
恐怖におののいているときでも、「いまがチャンス」という誘惑にかられているときでも、一貫したペースで行進する。
二十マイル行進を実践していれば、目標達成に向けて集中できる。
チームの誰もが工程表を認識し、工程表順守の重要性を認識しており、決して軌道から外れることがない。
大抵の物事は制御不能。
しかし、二十マイル行進を実践すると、どこに集中したらいいのかはっきりとわかる。
混乱や不安はもちろん、たとえカオス(混沌・無秩序)に見舞われたとしても、二十マイル行進に従っている限り着実に前へ進む。
    ■アーサー・レビンソン・・・企業に行進を教える
初期のジェネテック:
規律なしの「飛躍的イノベーション」戦略。
ネクスト・ビッグ・シングを追い求めた。
⇒主任科学者のアーサー・レビンソンをCEOへ昇格。
どんな傲慢さも忌み嫌う典型的「レベルファイブ」リーダー。
「五年後の目標をきちんと達成する唯一の方法は毎年着実に進むこと。・・毎年目標の二十%を達成しなければならない。」
2つのポイント:
@二十マイル行進を実践すると、「平均以下の成果しか出せない」組織から「平均以上の成果を出せる」組織へ転換できる。
Aジェネティックは、天賦の才能がありながら規律を欠いているスポーツ選手と同じだった。
レビンソンが狂信的規律を導入し、初めて公約を守られるようになった。
★      ★第4章 銃撃に続いて大砲発射 
PSA:単純明快でスピーディー、信頼できて安全、そして格安。
サウスウエスト:「PSAの成功物語を土台にしてアイデアを練り、サウスウエストを創業した」
■大きな驚き   ■大きな驚き 
×10X型成功をなしとげる決定的要因はイノベーション
10X型企業が比較対象企業よりもイノベーションを徹底しているという前提は成り立たない。
10X型企業が比較対象会社よりもイノベーション度合いで劣っているケースもある。
ストライカーのジョン・ブラウン:
「最新の流行は追い求めない」を信念にしていた。
先駆的なイノベーション企業のうち最終的に市場の覇者として競争に勝ったのは9%。
イノベーション先駆者の64%が完全に失敗している。

先駆的なイノベーションは社会に良い結果を生み出すが、当の先駆者にしてみれば統計上失敗のリスクは高く、特に致命的な結果をもたらす。
どんな環境下でも、脱落せずに競争し続けるために最低限達成しなければならない「イノベーションの閾値」がある。
航空業界などでは閾値は低く、バイオ業界などでは閾値は高い。
閾値を超えられない企業は生き残れない。
but
いったん閾値を超えれば、それ以上のイノベーションにこだわってもあまり意味がないと推察できる。 
10X型成功のためにはイノベーション以外の要素を組み合わせる必要がある。
特に重要なのは創造力と規律の融合。 
■創造力と規律   ■創造力と規律 
  イノベーションよりも多くを物語っているのは、1973年にインテルが掲げたモットー「インテル・デリバーズ(インテルは約束通りに遂行する)」。
  インテルは製造、供給、市場シェアにどこまでもこだわっていた。
初期の成功について、創業者のロバート・ノイスは「約束通りに顧客へ部品を供給する能力によってわれわれは有利になった。技術力を生かしていったん高性能製品を開発すれば、後はとことこん売るだけ」
  インテルの10X型成功をうまく語っているのは、「インテル・イノベーツ」よりも「インテル・デリバーズ」である。
「インテルは少なくともイノベーションの閾値を達成する。その後は狂ったように完膚なきまで徹底的に、どんな競争相手もぶちのめす。コストを抑えながら、並外れた信頼性と一貫性を売り物にして、イノベーションの成果をきちんと顧客に送り届ける」。
これこそインテルの10X型飛躍の本質。
  インテルの創業者:
規律の伴わないイノベーションは破滅をもたらす。
「半導体事業は常に大失敗と隣り合わせだ」
  ムーアの法則:
@「半導体の集積密度を18〜24か月ごとに倍増させる」というイノベーション
A「最低限のコストで行う」という規律
  インテルが前進するうえで必要だったのは、大きな飛躍を成し遂げる勇気ではなく着実に一歩一歩進む規律だった。
  インテルのビジネスモデルとして、最新鋭のハイテク研究所ではなく、マクドナルドに注目。
「マクインテル」という架空のロゴを付けたハンバーガーの箱。
  サウスウエスト航空のハーブ・ケハレー:
彼の本質は、
@「アイルランド人の狂ったような創造力」と
A「プロイセン人の容赦ない規律」
の2つを併せ持っていること。
  めったに達成できない偉業とは、厳格な規律に従って創造的に突き進むこと。
創造力の破壊ではなく、増幅を目的にしている。
創造力を何倍にも高めるためには、イノベーションと業務効率化の融合が欠かせない。
イノベーションを起こすと同時に業務効率化も徹底する。
■銃撃に続いて大砲発射    ■銃撃に続いて大砲発射 
  あったのは@技術顧問団とA投資家グループだけ。
最高の頭脳を集め、資金を与え、さまざまな分野で最新の遺伝子組み換え技術を試す。
この技術が使える分野を発見したら、製品をつくり、立派な会社を築く。
  課題は3つ
@偉大な人材を確保する
Aできるだけ多くの火薬(追加資金)を集める
B成功の道筋を見いだし、偉大な会社を築く
  何が有望なのかを見つけるためにいくつも銃弾を討つ。
次に、銃撃によって有望分野について実証的な裏付けを得たら、そこへ経営資源を集中投下して大砲を放つ。
砲弾が命中したら、成果を最大化するために20マイル行進に入る。
  複数の創造的銃弾(新製品、技術、サービス、事業プロセスなど)を組み合わせて使うととともに、企業買収も銃弾として使う。
その企業買収は、@低コスト、A低リスク(銃弾が的外れの方向へ飛んだとき、被害を最小限にとどめる)、B低ディストラクション(気の散ること)の3条件を満たす必要。
■精度未調整の大砲の危険な魅力   ■精度未調整の大砲の危険な魅力
  比較対象企業には、精度調整を経ていない大砲を使う傾向がある。
  PSAは大胆な新砲弾「フライ・ドライブ・スリープ(飛行・運転・睡眠)」を発射
butとんでもない方向に
「われわれはホテル経営者としては全く駄目」
L1011を5機購入で特別仕様に
⇒ジェット燃料費が2倍に
⇒「PSA」は倒産寸前まで追い込まれた。
その後、しゃにむに一般大逆転を狙うあまり、未調整の大砲に頼るばかり。
⇒USエアーからの買収提案を受け入れた。
  混乱と不安であふれた不確実な世界にいるときに大砲の命中精度を調整しないままで砲撃するリスクは大きい。
見調整の砲弾が標的を見事に外れたまさにその時に次々と外的ショックに見舞われたら・・・破滅的な結末を迎える可能性は高い。
  悪い方法で良い結果を出すことの危険性。
良い方法が好い結果につながる保証はないし、悪い方法が悪い結果につながる保証もない。しかし、悪い方法で良い結果を出すと、つまり未調整の砲弾を放ってたまたま命中させると、「悪い方法でもいいんだ」と思い込む危険。
⇒精度調整なしで次々と砲撃し始めることになりかねない。
■10X型は愚行から学ぶ   ■10X型は愚行から学ぶ
  未調整の大砲に賭けて失敗したら、10X型企業はすぐにそこから教訓を学び、「銃撃に続いて大砲発射」戦略へ切り替えている。
  大砲の命中精度を調整しないで砲撃するなど、10X型リーダーも時として大きなミスを犯す。だが、高い授業料を払ったと考える。
@失敗から何かを見いだす
Aすべて教訓として学ぶ
B学んだことを実際に応用する
C失敗を繰り返さない
10X型リーダは、実証的な有効性を確認した場合に限って大砲を発射するという規律に戻ることで挽回しようとする。
  不安定、不確実、急変化で特徴づけられる状況下では、純粋に分析に頼るだけではうまくいかない。分析能力は欠かせないスキルであるが、実際のデータを重視する実証主義の徹底はより重要。
■予測能力よりも実証的有効性   「実際にOS/2に何が起きるのか確実に予測できるほど自分は賢くない」と理解できるほどゲイツは賢かった。
ウィンドウズ95は4日で100万本売れ、マイクロソフトが業界で覇権を握る土台になった。
同社は20マイル行進を堅持し、「ベリー・ビッグ・シング(非常に大化けした物)」を最大限に活用した。
10X型リーダーは、ビジョナリーとして未来を予測する能力を備えているわけではない。
自分が置かれた環境下で何が起きるのか、正確に予測できない。
ゲイツでさえそうなのだから、「未来を予測し、それに備えよ」といった戦略で成功する人はまず存在しないと考えていい。
「銃弾の多くは標的を外れる」と肝に銘じたうえで銃撃を開始する。
大砲発射に十分な実証的裏付けを得られたら、最後は全力投球するタイミングに入る。
■アップルの復活・・銃撃、砲撃、そして規律ある創造力   ■ アップルの復活・・銃撃、砲撃、そして規律ある創造力
ドレクスラーはジョブズに対して、「20店舗とか40店舗とか一気に出店しようとしてはいけない」代わりに倉庫を使って実物大の実験店舗を設け、「これこそアップルストア」と胸を張れるまで何度でも改良する(何度でも銃弾を撃つ)のがいい。
事件店舗で改良を重ね、大丈夫だと確信を得られたら、その段階で全世界での出店に一気に乗り出す(大砲発射)。 
@銃撃⇒Aキャリブレーション(精度調整)⇒B銃撃⇒C再キャリブレーション⇒D砲撃
アップル復帰後:
まず規律を導入した。
規律がなければ創造的な仕事もままならない。
ジョブズ:創造力
クック:規律をもたらう
〜コインの裏表チーム 
既得権益を排除し、サバティカル(長期有給休暇)精度への資金支援をやめ、業務効率性を高め、全体のコスト構造を引下げ、初期のアップルを特徴づけた「昼夜問わずに働け」文化を取り戻した。
人々が欲しがる偉大な製品の創造に寄与できないものは何であっても捨てられ、削られ、無慈悲に排除された。
「ビッグ・シング」マックをよみがえらせることが最初の課題。
直ちに「ネクスト・ビッグ・シング」を目指さなかった。
まずはすでに手元にある「ビッグ・シング」から最大限引き出した。 
その間に、アップルとは無関係の世界で、音楽ファイルを共有するソフトが登場。
〜小さな銃弾が命中。
「まるで麻薬で気が緩んでしまったように感じた」
ナップスター、デジタル音楽ファイル共有、MP3プレーヤーの出現に衝撃を受けた。
「大きな変化が起きていることを見過ごしていた。追いつくまでにがむしゃらに働かなければならなかった」
アップルが携帯音楽プレーヤーのiPodを開発す以前に、すべての実証的事実がそろっていた。
@若者がデジタル音楽ファイルを共有している
AMP3プレーヤーを持っていれば音楽をどこにでも運べる
BMP3プレーヤーの記憶容量は小さい
Cアップルには「普通の人の手に届く技術」を作る並外れた能力がある
Dマックとの相性がいいおしゃれなMP3プレーヤーはマックの売り上げを刺激する
Eアップルの社員自身がおしゃれなMP3プレーヤーと音楽ライブラリを欲しがっている
F優れたMP3デバイスを作る技術の大半はすでにそろっている(東芝の小型ハードディスク、ソニーの超小型電池、TIのファイヤーワイヤー接続方式、ポータルプレーヤーからMP3デバイス設計図))
iPodは当初、既存製品カテゴリーの延長線上にあるとみなしていた。
@みんなiPodが大好き
A顧客はマック用音楽再生・管理ソフトのiTunesを気に入っている
BiPodの売り上げは1年で倍以上に膨らんだ
C音楽業界は音楽の違法ダウンロード急増に苦しんでいる
Dアップルの社員は合法的に音楽をダウンロードする簡単な仕組みを欲しがっている。

オンライン上で音楽を販売する「オンラインミュージックストア」を立ち上げると同時に、1曲96セントのデジタル配信で音楽業界と合意。

@仕組みが簡単で価格が魅力的ならば、何百万人もの人たちが音楽を盗むのではなく購入する。
Aウィンドウズ版iTunesを求める人が大勢いる
Bウィンドウズ搭載のパソコンは総計で10億台以上にのぼる
などを裏付けだーたを得た。

巨大な大砲を発射。
マック以外のパソコン向けにiTuneとiPodを用意し、潜在的な市場規模を一気に20倍近くに拡大。
iPod物語は最重要ポイントを浮き彫りにしている。
実際には、天才的なひらめきではなく実証的な有効性に基づき、段階的なプロセスを経て大成功を収めている。
狂信的規律と実証的創造力が競合し、アップルは復活した。 
偉大になるにはチャーチルのように断固として決意が要る。
同時に、圧倒的な敗北・悪運・悲劇・混乱・断絶をしのぐための備えも必要。
安定・確実な世界にいれば、狂信的規律と実証的創造力で事足りる。
だが、不安定・不確実な世界では建設的パラノイアも要る。
★        ★第5章 死線を避けるリーダーシップ 
■建設的パラノイア   ■建設的パラノイア 
10X型視点では、最重要な判断は登山隊が山のふもとに着くよりもずっと前に行われている。
突発的な変化が猛スピードで破壊的に訪れるとの前提で行動。
状況の変化に過敏に反応し、常時「もしこうなったら?」と自問している。
@事前に準備する
A補給品の蓄えを十分に確保
B非合理的といえるほど十分に安全余裕率を高くする
Cリスクを抑える
D良い時でも悪い時でも規律に磨きをかける
を徹底。

強靭で柔軟な態勢を維持しながら危機と向き合う。
失敗から何かを学びたいなら、失敗しても生き残るほど強靭で柔軟でなければならない。
建設的パラノイア
その1:前もって突発的出来事と不運に備えるために、現金など手元資金を積み上げ、「バッファー」を用意。
その2:リスクを抑える。「死線リスク」「非対称リスク」「制御不能リスク」がある。リスクを抑えることで「時間軸リスク」を上手に管理する。
その3:「ズームアウト」に続いて「ズームイン」。状況変化を察知し、効果的に対応するために徹頭徹尾用心深くなる。
■建設的パラノイア1・・余分な酸素ボンベ、これこそが嵐の前にやるべきこと   ■建設的パラノイア1・・余分な酸素ボンベ、これこそが嵐の前にやるべきこと
インテルが保有する現預金などの手元資金は100億ドル以上に達し、年間売上高の40%を占めた。

事業を営む全期間のうち95%で非合理的・非効率。
but
インテルの指導者は残りの5%に相当する「大参事が起きて業界が壊滅状態に陥る」「突発的なショックが訪れ、会社の屋台骨が揺らぐ」といった事態を心配していた。
10X型企業は、大量の酸素ボンベを余分に持っている。
万が一に備えて財務上の「バッファー」や「ショックアブソーバー」をそろえておく点では、10X型リーダーはパラノイア(財務戦略で用心深い)。
特定のブラックスワン型危機が起きる確率は1%に満たないかもしれないが、不特定のブラックスワン型危機が起きる確率は100%に近い。
具体的にどんなブラックスワンがいつ現れるかとなると、ほとんど予測不可能。
サウスウエスト:
「万が一に備えて平時に準備しておくという哲学のおかげだ。これは驚嘆すべき予防薬である。」
「9.11」時点で、10億ドルの手元資金を保有し、業界最高の各付けを得ていた。
1マイル飛ぶのにかかる営業コストを示すCASMでは業界最低。
「9.11」以前から危機計画も作っていた。
財務上の緊急時対応策も作っていた。
30年かけて独自の企業文化(=猛烈でありながらも優しく、挑戦的な企業文化)も育んだ。⇒力強くて活気のある「相互思いやり」の人間関係が生まれた。
■建設的パラノイア2・・・リスクを抑える   ■建設的パラノイア2・・・リスクを抑える
10X型リーダーは保守的で、リスク回避型の手法で会社を率いている。
@20マイル行進で成長を抑える
A大砲発射の前に銃撃に出る
B余分に酸素ボンベを用意して健全な財務体質を築く
リスクの主要3形態
@死線リスク
A非対称リスク
B制御不能リスク 
@死線リスク:
企業を文字通りつぶすか、そうでなければ深刻な打撃を与えるリスク。
ex.ターンアラウンドタイムを無視して酸素ボンベを切らすリスクを劇的に高めた
A非対称リスク:
潜在的なダウンサイド(損失)が潜在的なアップサイド(利益)よりも大きいリスク
ex.酸素ボンベ<登頂の断念<隊員の命を失う
隊員の命を失うリスクなどダインサイド⇒酸素ボンベを余分に用意
B制御不能リスク:
自力で管理・抑制できない不可抗力に企業が直面するリスク
ex.一旦下山することで、制御不能リスクを排除
10X型リーダーは、比較対象リーダーの比べ、小さい@死線リスク、A非対称リスク、B制御不能リスクしかとらない。
10X型リーダーはリスクを取っている。
しかし比較対象リーダーと比べると、同じ状況下にあっても相対的にリスクを抑制・管理し、回避する。
死線リスクを拒絶し、非対称リスクを否定し、制御不能リスクに背を向ける。
4つめのリスク・・・・C時間軸リスク
比較対象企業は差し迫ったリスクと混乱を目の前にして対応が遅れ、押しつぶされる。
10X型は、圧倒的なスピードで行動し、リスクを抑える。 
スピードを、認識スピード、判断スピード、行動スピードの3つに分類。
変化や脅威を早期に認識し、限られた時間内で用心深く厳格な判断を下すのがカギ(「限られた時間」は短い場合もあるし、長い場合もある。)。
早く行動しすぎると時にリスクが高まる。遅く行動しすぎても時にリスクが高まる。だからこそ、次のような質問がカギになる。
リスク許容度が変わるまでにどれぐらいの時間があるか?
本当に難しいのは、この質問を自分自身に投げかけられるほど冷静沈着でいること。
●良い結果と相関する行動:
@非常に警戒心が強く、何か危険につながる変化がないか常に心配する。
早期に脅威を認識する。
1980年第、ストライカーははっきりと医療費の上昇を脅威として認識。
それに続く業界再編を心配する。
A早かろうが遅かろうが、出来事のペースに合わせて判断スピードを調整する。「可能ならばゆっくり、必要ならば素早く進む」
1980年代と1990年代前半、ストライカーは性急な行動を控える。だが、選択肢を考え、手元資金を手厚くする。
B用心深く事実に基づいて判断する。どんなに素早くても、厳格な規律に従って考える。
1990年代後半、病院の共同購買グループが業界再編の起爆剤になる。ストライカーは規律を保ってハウスメディカ買収を決断する。
Cいったん決断したら完璧に行動することに集中する。時間的制約のなかで妥協せずに成果を出そうとし、フル回転する。
1998年から1999年にかけて、ストライカーの経営チームはほとんどノンストップで働き、ハウスメディカとの統合を終える。
「確かに不確実生を取り除きたいと願うのは人間の習性だ。でも、そう願うことで早急に判断を下してしまうこともある。時として早急過ぎることも。私が事業を営んでいる新興市場では不確実性は決してなくならない。どんな判断をしようとも、どんな行動を起こそうとも、である。だから、状況を見守る時間があるならばそうする。何が起きているのか、もっとはっきりするのを待てばいい。もちろん、その時が来たら一気呵成に行動できなければならない。 
×「早ければ早いほどいい」
■    ■建設的パラノイア3・・・ズームアウトに続いてズームイン
われわれが「ズームアウト」と「ズームイン」という用語を採用したのは、建設的パラノイアの基本的特徴ととらえるため。
10X型リーダーは、@自ら定めた目標に異常なほどこだわると同時にA環境変化に対して最新の注意を払う。
@完璧に行動へ移すと同時にA状況変化に適応する。
@パスの数を数えると同時にAゴリラを見る。
いずれも、二重レンズの素質を備えているから。
A:ズームアウト
状況変化を察知する。
時間を評価する⇒リスクの性質が変化する前にどのぐらいの時間があるのか。
厳格に評価する⇒新しい状況へ適応するには、それまでの計画を棚上げする必要があるのか。だとしたら、どうしたらいいのか。

続いて
B:ズームイン
完璧に計画を遂行し、目的と達成する。
インテルの例:
インテルは過去の存在になりそうだった
特別チームは5項目の競争力向上戦略と作業スケジュールを練り上げた。
その際に注目した2点
@インテルデリバーズ(インテルは約束通りに遂行する)
A あらゆる種類の半導体チップを何度世代交代しても供給し続け、顧客に安心感を与える力量。
「クラッシュ作戦」と呼ばれる反撃計画を作成。

ズームイン
クラッシュ作戦を承認し、数百万ドルの予算を配分。
クラッシュメンバーが世界へ散らばり、1年に2千件のデザインウィンを達成。
インテルはめまぐるしく変わり、危険がいっぱいで、競争が激しい世界にいた。にもかかわらず、同社の特別チームは非常に慎重なやり方で、賢明で厳格な戦略を打ち出した。それに従って、インテルは徹底的に厳格な思考を保ちつつ、たったの7日間でクラッシュ作戦を立ち上げた。
猛烈な勢いで脅威が迫っている場合、10X型リーダーは凍りつくこともないし、衝動的に反応することもない。素早く考えなければならないときでも、である。
シミバレーの人質は首位争いのレースに出場していると理解していた。
だが、スピードを優先し過ぎていい加減になることはなかった。
細部にこだわりながら理路整然と仕事をこなした。
やり遂げるだけでは駄目で、正しくやり遂げなければならない。
ジェネティックの失敗例。 
■     ■人生の瞬間はすべて同等ではない。 
北極征服のニュースを知り、アムンゼンは状況変化を分析するためズームアウトした。続いてズームインし、南極征服計画を新たに作った。
10X型リーダーが卓越しているのは、決定的な瞬間を認識する能力。
常況が変化すればそれが好機であれ危機であれ、当初計画を破棄したり、仕事の焦点を変えたり、優先順位を入れ替えたりしなければなrない。
これが決定的な瞬間。 
そんな瞬間を迎えたとき、10X型リーダーはバッファーを使う。
余分に保管してある酸素ボンベに頼ることで選択肢を増やし、柔軟性を維持しているから、新規環境に適応できる。
10X型リーダーはその瞬間に常に備え、その瞬間が到来したら必ず認識・掌握する。
続いて日常雑務を棚上げして一心不乱に働き、約束通りに最高の成果を出す。
いざというときには、同等でないエネルギーを使って同等ではない瞬間に反応する。 
★          ★第6章 具体的で整然とした一貫レシピ
    サウスウェストのパトナムのクッキー調理法:
@二時間以内の近距離路線に徹する
A10〜12年にわたって主力機として中型機ボーイング737を使い続ける。
B航空機稼働率を高く維持。ゲートターンは迅速に、できれば10分以内にする。
C乗客は我々にとってナンバーワンの商品。航空貨物や郵便物は運ばない。利益率が高く取扱いコストが低い小包は例外。
D引き続き航空運賃を低くして、できるだけ多くの運航便を維持する。
E機内食サービスは手掛けない。
F他社との乗り継ぎなし。発見・空港税・コンピュータ関連コスト。われわれの空港は独特であり、他社との乗り継ぎには適さない。
Gテキサスがナンバーワン市場。受領が大きい近距離路線がある場合に限って州外にも就航する。
H家族と人間を感じさせるサービスとともに、楽しさを感じさせる雰囲気を維持する。
Iできるだけシンプルでいく。航空券の代わりに売上伝票兼領収書を使う。搭乗口で出発十分前にキャンセル待ちの客を搭乗させる。単純なコンピューターシステムを使う。「エグゼクティブサービス」でソフトドリンクは無料提供。搭乗口でコーヒーとドーナツは無料提供。全席自由席。乗客名簿はテープ録音。航空機と乗務員を毎晩ダラスへ戻す。本拠地と整備工場施設は1つだけにする。

パトナムは決断と行動に向けて明確・単純・具体的な指針を定めた。
四半世紀の間に20%前後しか変更されていない。
最も際立っているのは、リストの進化というよりもリストの一貫性。
■    ■SMaCレシピ 
  SMaCレシピ〜反復可能で一貫性のある成功法であり、永続性のある業務改善案をひとまとめにしている。
@具体的である(Specific)
A整然としている(Methodical)
Bそして(and)
C一貫している(Consistent)
確かなSMaCレシピは戦略上の概念を現実の世界へ適用するための業務手順。
戦術は状況によって変化するがSMaC実践法は何十年にもわたって有効であり、広汎な状況下で適用できる。、
具体的でありながらも同時に永続性がある実践法を開発することは可能。
それがSMaC実践法。
SMaCレシピは「やってはならない実践法」も含んでいる。
ex.乗り継ぎ無し、機内食なし、ファーストクラスなし、航空貨物なし
SMaCレシピが明確で具体的であるからこそ、逆風下にあっても人々は辛抱し、大きな成果を出し続ける。
大きな脅威が猛烈な勢いで押し寄せ、不確実性が絶え間なく増大していく世界で不可抗力に直面したら?
10X型リーダーは異常なほど冷静にそのままの現実を受け入れる。
混沌とした世界で不可抗力と向き合う効果的な方法は?
SMaCに徹すること。
取り巻く環境が無慈悲であればあるほどSMaCに徹しなかればならない。
SMaCレシピは大混乱の中で秩序を促す。断絶が起きたときに一貫性を課す。SMaCレシピを持たないままで荒々しい世界へ放り込まれるということは、コンパスを持たないままで嵐に遭遇し、荒野のどこかで迷子になるようなもの。
重要なポイントは、10X型企業が狂信的規律に従ってどのようにしてSMaCレシピを守っているのか。
10X型企業 が実証的創造力と建設的パラノイアをテコにしてどのようにしてSMaCレシピを注意深く変更するのか。
■        ■狂信的規律で同じSMaCレシピに固執する 
10X型企業の場合、平均20年以上永続する。
プログレッシブ保険のSMaCレシピ
@ノンスタンダード(非標準)自動車保険に集中。伝統的な保険会社に相手にしてもらえない高リスク運転者を補償する。
A96%のコンバインドレシオ(合算率)を達成するよう保険料を設定。成長ではなく利益率重視。市場シェア拡大を狙って引受基準を緩めたり、保険料を値引きしたりしない。引受損益が赤字になっても言い訳しない。規制変更や競争激化、大災害発生に見舞われたとしても。
B入手可能な個人情報を基に、運転者ごとに保険料を設定。たとえ保険料が数千種類になっても。入手すべき個人情報は被保険者の運転リスクに影響を与えそうな情報すべて。郵便番号、年齢、結婚歴、運転歴、車両メーカー名・製造年、エンジン排気量など。
C最高のサービスを提供しつつ利益を出す保険料設定が基本。そんな料金設定を難しくする規制がある州からは撤退する。
D保険金査定でスピードを重視する。素早く査定すればサービス向上とコスト削減を実現できる。
E少なくとも1つの新事業・サービスを実験的に手掛ける。ただし、はっきりと持続的な収益性を確認できるまで、新事業・サービスを総売り上げの5%以内にとどめる。
F利益の原動力は保険の引き受けであり、保険料の運用収益ではない。
G保険金支払いのための準備金で利益操作してはならない。
H保険の営業部隊として独立代理店を使う。「少数の代理店を使って大規模な事業展開」ではなく「多数の代理店を使って小規模な事業展開」を実行する。
20年〜30年以上永続
変化は一番難しい部分ではない(比較対象企業は劇的に変化する)。
より難しいのは、何が有効なのかを見極め、なぜ有効なのかを理解したうえで、いつ変化すべきか(あるいは変化すべきでないか)決断すること。 
復帰後のジョブズはアップルを大改革したのではなく、アップルを当初の原則へ立ち戻らせた。
「アップルのDNAはまったく変わっていない。これこそ偉大なことだ」と語っている。 
アップルは大きな目標ばかりか、レシピ材料の多くにも変更を加えていなかった。
@他社にアップル製品のクローン品を作らせない。
A異なるアップル製品が相互にスムーズにつながるように製品設計する。
B熱狂的な関心を惹き引き起こすための秘密主義を徹底したうえで大々的に発表する。
C技術主導権を握れない市場へ参入してはならない。
D企業ではなく個人向けに設計・マーケティングする。
ジョブズ追放後のアップルが暗黒時代に入ったのは、当初のレシピが機能しなくなったからではなく、当初のレシピに固執する規律を失ったから。
思うように成果を出せなくなったとき、10Xリーダーは最初に「従来の原則や手法が古くなって時代にそぐわなくなった」と想定するのであなく、まず「レシピから外れてしまったのか」「レシピを厳格に守る規律を忘れてしまったのか」などを自問する。
YES⇒レシピの背後にある基本哲学を再確認し、レシピ厳守に向けた情熱を改めて喚起する。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)バスケットボールの名コーチ、ウッデン
30年間にわたって同じ情報カード一式を使い続けた。
トレーニングはいつも時間の針のように規則正しく始まって終わり、レギュラーシーズン開始時と同じメニューが全米選手権開始前にも用意される。
ウッデンは「成功のピラミッド」を詳細なレシピに落とし込んでいた。
「平凡さを決定づけている特徴は、変化をためらうことではなく慢性的に一貫性を欠いていること」 
10X型リーダーが大目標を達成するのは、厳しい規律に従ってレシピを堅持しているから。
レシピに依拠しながら、「急変する環境下で何が有効でなくなるのか」をめぐって常に心配している点も見逃せない。
レシピを変更するのは、状況変化に合わせて自らも本当に変わらなければならない場合に限っている。
■     ■SMaCレシピの変更・・・パラノイアと創造的一貫性 
  偉大な企業はレシピを進化させる。
レシピの大半をそのままに維持しつつ、意味がある場合に限ってレシピの一部に変化を加える。
1985年、インテルは半導体メモリー(DRAM)事業で厳しい現実に直面。
日本勢が無慈悲な価格競争を仕掛けてきたことで、2年間でDRAM価格は80%も下落。
インテルのアインディー・グローブとゴードン・ムーア:
グローブはズームアウトし
「仮にわれわれが退陣して新経営陣を迎え入れたら、彼らは何をするだろうか」
ムーア:「DRAMから撤退する」
グローブ:「それなら、われわれがいったん回転ドアで外へ出よう。そしてまた中へ戻り、メモリー事業を閉鎖する。新経営陣の手ではなく、われわれ自身の手でやるのだ」

すべての経営資源をマイクロプロセッサー事業へ集中投下。
インテルのSMaCレシピ
@半導体事業に集中。顧客に対して全機能をひとまとめにして提供。一部機能を減らすなどしない。DRAMに注力。
⇒メモリー事業撤退。マイクロプロセッサーへ転換。
以下は変化なし
A半導体の集積密度を18〜24か月ごとに倍増させる「ムーアの法則」を厳守
B「ムーアの法則」達成法は3つ。
第1にランダム欠陥の削減によるチップサイズ大型化。
第2に高密度化・多機能化に向けた集積回路イノベーション。
第3に集積回路の小型化。
C継続的に次世代チップを開発し、無競争ゾーンを築く。
旧世代よりも優れており、業界標準になっているとの理由から顧客が欲する・・・そんなチップを開発する。
「4段階循環」によって無競争ゾーンのメリットを最大化。
第1に循環初期に高価格設定
第2に大量生産・大量販売で製造コストを削減
第3に競争激化に合わせて価格引き下げ
第4に利益を次世代チップ開発に投じ、改めて無競争ゾーンを築く
D細部に至るまで製造工程を標準化。
たとえばマクドナルド流「マクインテル」を実践。
ハイテク版「砂糖菓子ゼリービーン」を作るつもりで集積回路を作る。
E「インテル・デリバーズ(インテルや約束通りに遂行する)」との評判を守る。
製造面でも価格面でも必ず約束を果たすことで信頼を勝ち取り、顧客基盤を築く。
これは、業界標準を確立・維持sるうえでの秘策でもある。
F要塞化された丘を攻撃してはならない。強固な守りを敷いた勝ち組が支配する市場を避ける。
G建設的な対立を実践。社内の上下関係に縛られずに議論・討論する。いったん決断したら全力投球。意見を異にして全力投球ということ。
Hすべてを測定し、結果をガラス張りにする。
I不況期にも研究開発費を削らない。
不況期を逆手にとって競争相手との技術格差を広げる。
インテル物語には重要な側面が2つある。
1つは、メモリー事業から撤退したこと。
もう1つは、メモリー事業撤退以外のレシピ材料はいっさい変更しなかったこと。
10X型企業がすでに非常に有効なレシピを持っている場合、レシピに変更を加えるべき時が来たのかどうかどうやって判断するのか? 
具体的なレシピが手元にあるなら、環境変化の観点から現在のレシピ材料を点検すればいい。
実証的なデータを調べる。
冷酷な現実を示すデータは何なのか、直視する。
意見ではない。
インテル物語が示しているのは、銃弾を放っておくと将来何か危機が訪れたときのヘッジになるということ。
そうすることで、危機に見舞われたときに直ちにレシピを変更できる
インテルは10年以上にわたり銃弾を討ちつづけ、マイクロプロセッサー事業でもやっていけるとのデータを積み上げていた。
SMaCレシピを変更する成功法は2つ。
1つは、実証的創造力を働かせること(自発的な行動)。
レシピ変更前に銃弾を討ち、新しい手法を発見し、有効かどうかをテストする。
2つめは、建設的パラノイアになること(外部要因に影響される行為)。
環境変化を認識・評価するためにズームアウトし、続いて必要に応じて変更を加えるためにズームインする。
ズームアウト・ズームインには規律が欠かせない。 
ゲイツ:
ズームアウトの仕組みを導入済み。
毎年まるまる1週間「シンクウィーク(考える週)」として引きこもり、読書と思索に没頭する。
「インターネットの津波」 
マイクロソフトは、インターネットへ大きくかじを切りながらも、インターネットの台頭以前から通用していたレシピの大半は変更せずにしておいた。
@ソフトウェア専業戦略を放棄しなかった。
A業界標準への信仰を放棄しなかった。
B不完全な製品を導入してから改良を重ねるという手法を放棄しなかった。
Cオープン製システムへのこだわりを放棄しなかった。
D最高のアイデアを選別するため社内で怒鳴り合いを励行する慣行を放棄しなかった。
Eウィンドウズを放棄しなかった。
Fアプリケーションを放棄しなかった。
10X企業は
@一貫性もA変化もともに取り入れる。しかも同時に。
■    ■一貫性と変化・・・偉大な人間ストレス 
  「建国の父」とも呼ばれる起草者は「修正条項」とうい独創的な仕組みを思いついた。
〜憲法は有機的に進化していく。
@建国の父が夢想だにしなかった状況が出現したとき、将来世代は必要に応じて憲法を柔軟に修正できる。
A同様に重要なのが、憲法の一貫性・安定性を確実にする仕組み。
〜憲法修正のハードルを非常に高くした。
修正のためには下院の3分の2が賛成し、上院の3分の2が賛成したうえで、合衆国を構成する州の4分の3が承認しなければならず、よほどのことがない限り修正は実現しない。
急激に変化し、まったく予測不能な世界にいるならば一貫性はなおさら不可欠。
@一貫性を書いていてはどんな組織も最高の成果は出せない。
A同時に、建設的な進化を遂げなければ、どんな組織も最高の成果を出せない。
信頼でき実証済みのSMaCレシピを変更するのは、憲法を修正するようなもの。
実践的な洞察力と実証的な有効性に基づいて作られたレシピは、非常に長い間にわたって頼りになる。
どうじに、根本的な変更も可能でなければならない。
偉大さを手に入れるのは、何が有効なのかを考えながら前進をし続ける人たち。
@ムーアの法則に従って走る
Aサウスウェストの航空のビジネスモデルを全国展開する。
B腎性貧血治療薬エリスロポエチンの遺伝子情報を解明する。
Cウィンドウズの標準化を目指して容赦なく行進する。
Dわれわれが欲するコンピューターとMP3プレーヤーを作る。
変化に受動的に反応することでエネルギーの大半を消費する人たちは、エネルギーを浪費している。
世の中に大きな変化をもたらしている人たちは、規律と創造力を併せ持つパラノイア。
    ★第7章 運の利益率 
■    ■運の役割とは 
調査の根源的な位置づけは、予測不可能・制御不能で特徴づけられる破壊的変化と向き合い、不確実・無秩序な状況下で躍進すること。
⇒「運の役割は何なのか」という疑問。
3つの疑問
@10X型企業と比較対象企業の歴史の中で、運はよくある要素なのか、それともまれな要素なのか。
A10X型企業と比較対象企業が異なる軌跡をたどったことを説明するうえで、運はどのような役割を担っているのか。
B10X型成功を目指して偉大な会社を築くうえで、リーダーは運に対してどのように取り組めばいいのか。
次の3基準を見たす事例を「運イベント」と定義。
@当該事例の相当部分は、組織の主要関係者がどう行動したのかとほとんど(あるいはまったく)無関係に起きている。
A良い悪いにかかわらず当該事例は潜在的に大きな影響をもたらす。
B当該事例は予測不可能な要素を含んでいる。
運の分析は難しい。
おそらく先端分野。
一組にマッチングした二社それぞれに一環した方法論を適用することで、データに基づいた分析を行い、とらえどころのない「運」の解明に取り組んだ。
最も重視したのは「比較対象企業と比べて10X型企業はより多くの幸運に恵まれたのか(あるいはより少ない不運に襲われたのか)という疑問。」 
■     ■運のコード化の具体例 
10X型企業がより多くの幸運に恵まれているわけではない。
10X型企業も比較対象企業も大きな幸運イベントと大きな不運イベントの両方をそれなりに経験している。
10X型企業と比較対象企業の決定的違いは運そのものではなく、遭遇した運との向き合い方。
基本的な質問は「あなたは強運のン持ち主か」ではなく、「あなたは高い運の利益率を達成しているか」
最も重要な運の形態の1つは「何」ではなく「誰」である。
どの企業が勝ち残り、どの企業が敗退するのかを決めるのは環境ではない。人間である。
人間は狂信的に規律を保つ。
人間は実証的で創造的。
人間は建設的なパラノイアになれる。
人間は指導力を発揮してちーむをつくる。
人間は組織を築き文化を育む。
人間は理想を示し、目標を追求し、人生を賭けた大目標「BHAG」を達成する。
良き助言者、良きパートナー、良きチームメイト、良き指導者、良き友人を見つける運。
あらゆる種類の運のうち、「人間運」が特に重要。
■    ■高い運の利益率(ROL)
・・・しかし、彼らのうち何人がそれまでの人生計画を棚上げにして、アルテア向けにBASICを書くことに没頭したのか。
寝る時間を極端に削り込み、食べる時間も惜しんで早食いしながら?
何人が親の反対を押し切って大学を中退し、アルテアの仕事をするためにアルバカーキーへ引っ越したか?
何人がいち早くアルテア向けBASICを書き、バグを取り除き、出荷準備を終えられたか?
おそらく何千人もの人が、まったく同じタイミングでゲイツとまったく同じことをやれただろう。
だが、実際には誰もやらなかった。
ゲイツは自分の運に遭遇したときにほかの人よりも多くを実行した。
幸運な条件が重なった状況を生かし、自分の運から大きなリターン(利益)を生み出したのだ。
リターン・オン・ラック(ROL)、つまり「運の利益率」を最大にした。
これこそゲイツが際立つ主因。
10X型リーダーはまずズームアウトする。
運イベントがいつ起きたのか察知し、それまでの人生計画を棚上げするかどうかを決める。 
10X型成功者は自分の運を最大に生かす。
幸運から高いリターンを引き出している。
@運が存在するという事実は否定できないし、一部の人は運に恵まれた環境で人生をスタートするという事実も否定できない。
A一方で、なぜ偉大な会社を築く人もいればそうでない人もいるのか、運だけでは説明できない。 
高いROLを実現するにはどうしたらいいか。
運イベントに直面したら、それまでの人生を棒に振る覚悟で全力疾走する。
決して妥協してはならない。 
ビル・ゲイツは単に大当たりをだしてチップを換金したのではない。
ひたすら全力で働き続けながら、
@20マイル行進を怠らない
A拳銃に続いて大砲を発射する
B死線を避けて建設的パラノイアになる
CSMaCレシピを開発・修正する
D頼りになる人間を採用する
E規律の文化を育む
F偏執狂的なこだわりから決して外れない
を実践。
これは運ではなくROL。
■     ■運を浪費する・・・・幸運なのに低リターン
  AMD物語は、「比較対象企業パターン」の典型例。
幸運をみすみす見逃す。
幸運を生かしてまさに行動すべきときに、つまずいてしまう。
比較対象企業は幸運不足で失敗したのではなく、やるべきことをきちんと遂行できずに失敗した。
マイクロソフトは決定的瞬間を認識し、過酷ともいえる開発スケジュールを組んで猛進した。
すべては歴史的な「IBM-PC」の投資に間に合うようにOSを開発するため。
  ■10Xリーダーが輝く・・・不運なのに高リターン 
ルイスは「プロポジション103」(1988年)を贈り物とみなし、これを生かして会社の基本目的をしっかりと認識した。

自動車事故に伴う経済コストと苦痛を軽減するということ。

「即時対応」査定サービス。
事故発生から24時間以内に査定専門家が保険契約者のところへ駆けつけ、小切手を振り出せるようになった。
⇒1987年アメリカの個人用自動車保険市場でプログレッシブは13位。2002年には4位へ浮上。
ルイス:「プロポジション103」は「わが社の歴史で最高の出来事」
プログレッシブとルイスの物語は、逆境下で10X型リーダーがどうやって輝くかを端的に示している。
不運から良い結果を生み出す。
10X型リーダーは逆境をテコにして目的を明確に認識し、目指すべき価値観を再確認する。
続いて厳しい規律を働かせ、創造力を発揮し、建設的パラノイアになる。
運ではなく、逆境から立ち直る力こそ偉大さの証。
NHL選手の70%が年の前半生まれで、30%が後半生まれ。
but
殿堂入りしたカナダ出身選手のうち半数は年後半に生まれている。

年後半生まれという不運の星の下に生まれた選手は、年前半生まれという幸運の星の下に生まれた選手よりも殿堂入りを果たす可能性が大きい。 
ボーク:
「多くの障害や試練の向う側にゴールがある。ゴールに到達するまでの道のりは険しいが、言い訳するのもいけないし、誰かを責めるのもいけない」と指摘。
現役生活の中でボークは幸運も不運も経験したが、彼が史上最高のホッケー選手の1人になれたのは運のおかげではない。
ニーチェ「わたしを殺さないものは、わたしをいっそう強くする(What doe not kill me , makes me stronger)」
肝心なのは、不運と向き合い、「人生で起きた最高の出来事の1つ」へ変えてしまうこと。
これがまさに10X型リーダーのやり方。
■       ■絶対に避けなければならない・・・悪運で低リターン 
幸運と不運の間には興味深い非対称性がある。
途方もない幸運に恵まれても、それだけで偉大な企業を築けるわけではない。
1度だけ途方もない不運に遭遇し、死線へ叩きつけられたら?不運が長期にわたって大参事に見舞われたら?
その時点で偉大な企業を目指す旅は終わりである。
PSA社のバークレー:
1979年から1985年にかけて、PSAはいわば「自己破壊スパイラル」に陥っていた。
@コスト削減ではなく価格引き上げ
A激しい労使紛争とレイオフにより企業文化破壊
B借金積み増しによるバランスシート弱体化
CSMaCレシピ破棄と収益不安定化をもたらすCEOの当用

不運から低リターンしか引き出せなかった。
「低い不運の利益率」に甘んじた。 
10X型リーダーは実証的創造力と狂信的規律を働かせながら建設的パラノイアになる。
十分な安全余裕率を確保するものだ。
長期にわたって競争にとどまることができれば、いずれ幸運と巡り合える。
ところがいったん競争から脱落してしまったら、二度と幸運に恵まれることはない。
長期に持続すれば幸運の女神がいつか微笑んでくれる。
だが、持続するためには不運に襲われても生き残る必要がある。
10X型バイオメットの例。 
●運は戦略にあらず 
運の管理する4要素
@運が訪れたときにそれをきちんと認識するため、ズームアウトする能力を身に付けておく。
A運に遭遇したらそれまでの人生計画をいつ棚上げしたらいいのか、判断できるようにしておく
B必ず訪れる不運に耐えて復活するため、十分に準備しておく
C幸運だろうが不運だろうが、運が訪れたらプラスのリターンを生み出す。
運は戦略ではないが、ROL、つまり運の利益率をプラスにすることは戦略。
●これまでの主要ポイント 
@10X型リーダーの行動パターン:
狂信的規律、実証的創造力、建設的パラノイア、レベルファイブ(第五水準)野心を備えたリーダー。
幸運に恵まれても決して気を緩めることはない。
不運に見舞われて打撃を受けても、くよくよしない。
大目標と大義に向かって前進し続ける。
A20マイル行進
10X型リーダーが幸運に遭遇すると、それを認識して生かす。
数年、場合によっては数十年にわたって。
文化の根底にあるのが「結局のところ成功は運によってもたらせるものではない」
B銃撃に続いて大砲発射
数多くの銃弾を放つ銃撃によって何が有効なのか見いだすのがうまい。
創造力を働かせながら、実証的有効性を確認したうえで巨大な大砲を発射する。
キャリブレーション済みの大砲を使うときは運を必要としない。
C死線を避けるリーダーシップ
余分に酸素ボンベを大量に持ち込む。
バッファーを用意し、安全余裕率を高める。
リスク3形態(死線リスク、非対称リスク、制御不能リスク)の管理・抑制にも注力する。
ズームアウトに続いてズームインする能力で運を認識し、従来の計画を棚上げすべきかどうかを検討。
DSMaC
SMaCれしプに従うことで、不運インベントを増幅しかねないミスの発生を抑える。
レシピを厳守しているなかで幸運にめぐまれれば、大成功の確率を高められる。
★      ★エピローグ
自分の意思で偉大になる 
■    現代文化に感染し、希望をむしばむ危険な病:
偉大さは自分の行動や規律ではなく、自分を取り巻く環境で決まるという社会意識。
  偉大なリーダーは
@勝利と同じくらい価値観にこだわる
A利益と同じくらいに目的に執着する
B成功するのと同じぐらいに役立つことに注力する
  彼らの活力や規律は、最終的に彼ら自身の内側から生まれた
  SMaCレシピは、高次元のハリネズミの概念を具体的な行動に落とし込み、組織を軌道に乗せるための業務手順。
良いSMaCレシピを作るカギは、現実性・実証性を徹底すること。
可能ならば個別具体的がいい。
SMaCレシピは実証的データに裏づけされた洞察力のたまもの。
  本書と「飛躍の法則」とは、お互いに矛盾しているわけではなく、お互いに補完し合っている。