シンプラル法律事務所
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震災復興関係

震災対応(堺屋太一さんの考え)
段階 救助
(10日)
原則 「軽いものから先に」が原則
@ 情報
上空からの被者の有無を確認
通信機器を持った消防・自衛職員を配置
A 飲料と医薬の配布。
緊急の食糧。
B 安全な生活空間の準備とそこへの搬送。
仮設住宅の提供
救済
(1か月以内)
道路、水道、衛生、電力、ガスなどのライフラインの応急修理。
大事なのは速度。
最低限のライフラインをつなげるリミットは1か月以内。
新潟地震 全国から消防ホースを集めて飲料水を配給。
阪神大震災 大阪からオートバイで食料を運んだ。
1回60キロ。1日2往復。これでコンビニが開けた。
復旧 水道、道路、電力、鉄道などを旧にもどす。
店舗や飲食店を再開させ、日常生活を復元。
精神的安定やコミュニティーの再建創造。
社会と人心の再生には、明るい未来の姿も想起することが大切。
電力 東日本全体に長期にわたる電力不足。
⇒電力をどこにどのように優先的に配分するか、その順位付けが必要。
利にこだわらず情に流されず、経済社会の合理的な総合判断が必要。
復興
振興
復興院 必要性 原発事故で長期かつ広範ば電力不足が予想。
電力をどう配分し、国民の生活と産業経済、文化や希望をいかに高めるか。
そして、そこから新しい日本作り出す格好で再建するか。
意義 短期(2〜3年)の時限機関で、勧告機関。
3条件 @ 既存の枠組みを変える
政治勢力はもちろん、政府各省府の権限と人事、自治体の境界、民間企業の利害から離れ、復興に向けた予算や政策の「司令塔」の役割を果たす。
A 時間の長短を越え、目前のことと遠い先のことを等しい尺度で考える。
目前の障害を避けようと遠い先を考えずに飛び込んでしまう。
←人はみな手前のものが大きく見え、遠い先のことは小さく思う。
B これまでの経緯や利害にとらわれない。
縦割りの官僚主義を破り、官庁ごとの規制で守られた利権を超え、新しい国の形を求める。
イメージ 経済再建機関
学識経験者や地域委員
(a)経済・財政担当
(b)生活・地域担当
(c)将来契約・文化担当

復興財源を考える(柳川範之)
日経朝刊2011.4.13
問題点 多額の資金が必要。
内閣府は被害額を16兆〜25兆円と見積もっているが、復旧復興のための政府予算の規模はこれより大きくなる可能性。
日本の財政状態はすでに厳しい⇒さらに大きな政府支出を行うのはかなり困難。
増税⇒消費を抑制して景気にマイナス。
国債増発⇒国債価格の下落、金利の上昇。
目標 できるだけ政府の財政負担を減らす形での復興。
同じ復興を成し遂げるにも、より効率的で財政負担の小さい形で行うべき。
⇒民間資金を活用。
民間利用 復興のための投資を民間金融部門からの借り入れで賄い、必要な部分については、政府が支出をする、あるいは政府保証をつける。
復興のために必要な投資や支出の中には、部分的も投資収益を回復できるものも少なくない。⇒それに見合うだけの民間資金をある程度集めることは可能。
そのほうが民間の意欲を経営に取り込むことが可能になり、より効率的な運用ができる。
国が責任をもって行うことと、国が全額支出をすることは同じではない。
誰が運営をしようと、適切な事業法や行為規制などにより、安全安心を確保しなければならず、資金を誰が提供すべきかという問題とは切り離して考える必要がある。
PFI PFI(Private Finance Initiative):民間資金を活用した社会資本整備
改正PFI法は、民間からの事業の提案をしやすくし、事業権を設定して担保とすることができるなど、民間の活力をより高めることができるメリットがある。
インフラファンド インフラファンド:
民間から集めた資金をインフラ関連のPFI事業に投資し、そこから得られた収益を配当として投資家に配分するもの。
2000年以降世界的に増加。
年金基金のように安定的に長いタイムスパンで運用したい金融機関にとって有効な投資先。
仕組み インフラファンドは、PFI事業の株式部分に投資することで、事業運営の権利を有する。
ファンドから委託を受けたノウハウのあるデベロッパー、商社などの民間事業者が実質的にインフラ事業を行う。
民間事業者がより事業のリスクをとる形でファンドに出資する場合もある。
民間の知恵の積極的な活用 復興にあたって民間の知恵を積極的に活用できる。
将来の日本の礎となるような再生プランが求められる。
被災した地域の発展を促し、かつ日本全体の成長に寄与するような都市づくりを進めていかなければならない。
but
地方自治体には、そうした土地づくりを進める十分な余裕はない。
国有地で国有企業が活動する都市からは活力は生まれない⇒国の丸抱えはダメ。

復興を今後の活力と成長に結び付けていくためには、民間の知恵を生かした街づくりが必要。
ex.
医療システムに重点を置いた街づくりをするまちなか医療構想。
次世代電力網(スマートグリッド)を活用したいわゆるスマートシティの構想。
but
現状では十分なノウハウを備えた本格的なインフラファンドは立ち上がっていない。

短期的なプランとして、政府がインフラファンド形成に関与し、そこに集中的に人材を投入することが考えられる。
具体的には、産業再生機構のような期限付きの組織を立ち上げ、政府が資金を投入するとともに、復興に貢献する人材を集める。
組織の存続は期限付きとし、働く人も有期雇用とすることで、能力とやる気、そして被災地域に貢献したいという意欲のある民間人材を集めることができる。
地方再生や事業再生などにかかわってきた人材を活用することも可能。
それらの優秀で熱意にあふれた復興対策人員を国がファンドを通じて間接的に雇入れ、その人たちと地方自治体が互いに協力しながら、あるいはデベロッパーとなる民間企業と連携しながら、新しい街づくりに取り組む。
政府の役割 自らプレーヤーとして動くことではなく、民間の資金と知恵をうまく活用できるような枠組みをつくること。
狭い視野ではなく、民間の活力を利用した広い視野に基づいた復興プランの早急な策定が期待される。